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2005年10月30日 [パウルス第6軍]

今日は「パウルス第6軍」の話です。先日、このゲームをやり込んでいる
という方からメールをいただきました。その方は、ゲーム内容については
かなり高く評価してくださっていて、何度プレイしても新たな展開になると
書かれているのですが、1つだけ大きな不満があるとのこと。

それは、選択ルールとして入れた「ヒトラーの死守命令」が歴史の再現
としては全く機能していない、ということでした。このルールは、ソ連軍
プレイヤーが最終ターンに支配しているスターリングラード市街ヘクス1個
につき10VPを獲得できる、という単純きわまりないもので、一応ドイツ軍
がスターリングラードを捨てないようにする「動機づけ」として入れたの
ですが、実際のプレイではこのような結果にペナルティを課すだけの制限
では、史実でパウルスが苦しんだであろう中間管理職としてのジレンマ
や葛藤を感じることが全くできない、というのが、ご意見の主旨でした。

これは、言われてみれば全くそのとおりで、私は返す言葉も見つかりま
せんでした。史実のパウルスは、スターリングラードの放棄だけでなく、
そうする「そぶり」すら見せることは許されない状況に置かれており、
顔半分が顔面神経痛になるほどの重度のストレス下でスターリングラード
攻略戦の陣頭指揮を執っていました。「パウルス第6軍」というゲームは、
純軍事的な可能性を探ることを意図したゲームとしてデザインされている
ので、ヒトラーの死守命令やそれに完全に服従したパウルスという史実の
図式は「敢えて」ゲームの構造から外していたのですが、選択ルールの
形で「ヒトラー命令」を入れるのであれば、このような(工夫のない)単純な
ものではなく、もう少し史実の再現性を意識したルールを作るべきでした。

ただ、私が前にデザインした「スターリングラード・ポケット」の制限ルール
(ドイツ第51軍団の所属ユニットは、スターリングラード市街から2ヘクス
の範囲内に常に留まっていなくてはならず、もし違反すればその時点で
補給物資の空輸はストップする)では、史実におけるドイツ軍装甲部隊の
機動(第24装甲師団がいったんカラチでドン川を渡って西に向かい、ソ連
軍の戦車に限定的反撃を実施した後、再びドン川を渡って包囲環に帰還)
を再現することが不可能なので、それをそのまま流用することはできません。

いろいろ考えた結果、次のような追加ルールを考案してみました。これは、
オリジナルの11.41項と11.42項に続いて適用されます。

11.43  E・F・Gの増援登場ヘクスから、ドイツ第6軍に所属する全ての
ドイツ軍およびクロアチア軍ユニットに対して補給線を設定する場合、
必ずグムラク(ヘクス3706)またはピトムニク(3708)を経由して設定しな
くてはなりません。もし、このどちらかのヘクスを経由せずに補給線を設定
する場合、仮に補給下と判定されても、常に1個の補給切れマーカーが
置かれます。例えば、補給切れマーカー3個と補給切れマーカー1個が
置かれているドイツ第6軍のユニット2個が、それぞれグムラク/ピトムニク
を経由せずに補給線を設定した場合、補給切れマーカーの数は両者とも
「1個」となります。ただし、消費された補給物資ユニットからの補給線に
関しては、このような制限は適用されません。
11.44  もし、ゲーム中にソ連軍ユニットがいずれかのスターリングラード
市街地ヘクスへと進入したら、その最初の進入(のみ)ごとにサイコロを
1個振ります。もし、出た目が「1」なら、ヒトラーはドイツ軍プレイヤーを
第6軍司令官から解任したものと見なされ、ゲームはソ連軍プレイヤーの
決定的勝利と共に終了します。この判定を行う場合、既にソ連軍の支配
下(ソ連軍ユニットが存在するか、または最後に進入したユニットがソ連軍
である場合)のスターリングラード市街地ヘクスが1個存在するごとに、
サイの目から「1」を引きます。従って、既に市街地3へクスを失っている
状況で、4つめのヘクスをソ連軍に占領された場合、サイの目「1~4」で
ドイツ軍プレイヤーは敗北します。

これは、まだアイデア段階で、正式な改訂ではありませんが、オリジナル
版のヒトラー命令ルールに不満を感じておられた方は、ぜひ試してみて
ください。そして、ご感想やご批判などをお寄せいただければ幸いです。


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