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2006年1月19日 [クルスク大戦車戦]

このところ多忙のため、こちらの更新が滞っています。新情報を求めて
こまめにチェックしていただいている方には申し訳ありませんが、まだ
しばらくこの状態が続きそうです。すいません。

学研「歴史群像」次号の巻頭特集「レニングラード攻防戦」がようやく完了
し、ゲーム関係の仕事(クルスク大戦車戦、サンセット版アルデンヌ、
そしてデシジョン・ゲームズのSPI再版2作)に戻っています。クルスクは、
印刷所と相談して、2月6日に最終データ入稿、2月19日に納品、
2月20日にプレオーダー分発送、2月25日店頭発売というスケジュールで
作業を進めているところです。今週末、石田さんとルール最終チェックを
兼ねたミニシナリオのプレイをする予定で、石田さんもこのヘビーなゲーム
の対戦からようやく解放されそうです(どうもありがとうございました)。

レニングラードの原稿は、スターリングラード、モスクワ、ベルリンに続く
東部戦線ものの巻頭記事ということで力が入りました。そして、史実を
検証するに従って、同テーマの新作ゲームを作りたいという欲求が
湧き上がってきました(再版ばかり出しているようですが、私はやはり
今でもデザイナーのようです)。ずっと昔に、ゲーマーズのSCSの
システムで一作作りかけて挫折したことがありますが、今だったら
当時よりずっとマシなゲームを作れるのではないかと思っています。

1941年のレニングラード戦をゲーム化する時、重要なポイントとなるのは
ヒトラー命令による第4装甲集団の引抜です。これが実行されてしまうと、
ドイツ軍のレニングラード突入・占領はほぼ不可能となるので、その扱い
には注意しないといけないのですが、前に作ったゲームではほぼ自動的
に引き抜きが(史実のスケジュールに従って)発生するので、いまひとつ
当時の雰囲気を醸し出すことができませんでした。そのため、今構想を
練っている新作では、ヒトラー命令をサイの目判定で行うようにして、
ゲーム序盤と中盤におけるドイツ軍の獲得ポイントによって、多少の
修正が加えられる形にしようかと考えています。

一般的な北方軍集団のゲームでは、第16と第18の2個軍に所属する
歩兵師団は完全な「脇役」扱いで、ゲームの勝敗においてもさほど
影響を及ぼす存在ではありませんでした。しかし、例えばバルト海に
浮かぶサーレマー・ヒーウマー両島の攻略やデミヤンスク占領などを
ポイント対象として、そこを早期に奪うことで、第4装甲集団がモスクワ
方面へ「引き抜かれにくくなる」効果を生み出せるのであれば、これら
の歩兵師団にも「やりがい」(笑)が生まれるでしょうし、第16軍を支援
するためにルガ線突破を延期してワルダイ高地に振り向けられた
マンシュタインの第56装甲軍団という史実の展開もリアルかつ自然に
再現できると思います。いろんな作業が一段落したら、モスクワと
レニングラードのプレイテスト版をこしらえて、夏以降の発売を目指して
プレイテストとディベロップを進めたいと思います。


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コメント 5

古参遊戯人

レニングラード戦(1941年)の決定版ゲーム、よく考えれば見当たりませんね。GMTのBarbarossa Northは少々ヘヴィすぎますし、Road toは「羊頭狗肉」というかレニングラードが入っていませんし・・・  DeciaionのSPI再販モノは小さすぎていまひとつ盛り上がりに欠ける。ユニットは師団(ドイツ軍は連隊?)規模、フルマップ1枚でドヴィナ川からティフヴィンくらいまで入っているゲームが希望です。
by 古参遊戯人 (2006-01-20 17:14) 

佐藤(Pum)

何をもってそのテーマの決定版というのかを定義しないことには議論にならないのですが、私はウォーゲームとしては(WWW/HJ)突撃レニングラードは楽しくプレイできました。
ただし、昔NiftyのFGAME7でも議論したことがあるのですが、ソ連軍がゲーム的に勝利を狙うことを目的としてAクラスユニットが全速力でレニングラード市内に逃げ込む作戦を行うと、第1ターンにドイツ軍が航空攻撃でこれらのユニットを足止めできるかどうかで勝負が決まってしまうという穴がありました。
もっとも楽しくプレイするためにはこういったくだらない技を使ってはいけないのですが...と、その技を発表した私がそんなことを言うのもダメですけどね。

そもそも1941年のレニングラードを含む作戦級ゲームというと、これ以外には(SSG)Army Group North と(Jagdtpanzer)The Siege of Lenningrad くらいしか思い浮かびません。いずれも古いゲームですし、私は未プレイなので何ともコメントしようがありません(未だに持ってはいますが:笑)。ここ20年で出版されたレニングラードのゲームは私の知る限りではGMTしかありません。CoAは1943年ですし...。
逆に言うと東部戦線の中でもあまりデザイン意欲をかき立てる要素が少ないのかもしれません。
山崎さんが手をつけかけている(?)凍結戦線は当初企画されていた北方への拡張版ということですが、HJの企画で(WWW/HJ)突撃レニングラードと接続させてレニングラード攻略とリンクさせるという野心的なものでしたが、今回はどうするのですか?
by 佐藤(Pum) (2006-01-20 23:06) 

佐藤(Pum)

本題と関係ありませんが、そのテーマの決定版と広く認知されているゲームって何があるでしょうね? まぁよく議論される話題ではありますが。
昔、ハナザー大将(当時は中将を名乗っていたかな?)が主張していた「馬理論」もあるとおり、何点か同テーマのゲームが出版されていないと比較しようがないのですが。(「馬理論:一頭しか馬がいなければ、たとえどんなにその馬がひどくても、その馬を使わざるを得ない。」というような主旨だったと記憶しています)。

例えば、第2次欧州大戦に限って見てみると....
バルジ:決定版なし?
スターリングラード:やっぱりなし?...日本ではBfSかな、プレイ率から言うと。でもSoSや(AH)Turning Point Stalingradを主張する人も多いような気がするし。
東部戦線キャンペーン:ないなあ...個人的にはEast Frontだがマザーランドやルシアンキャンペーンもあるし。
WW2戦術級:ASLか?
第2次欧州大戦キャンペーン:20年前なら(AH)第3帝国なんだが
モスクワ:日本では(SPI)オペ・タイだろうねぇ
ブダペスト:(HJ)ビターエンドでしょう。でもブダペスト1945もあるなぁ。
北アフリカ(チュニジア除く):やれやれ...
チュニジア:うぅぅぅ、そもそもほとんどプレイされていないし。
カセリーヌ峠:(WWW)で決まりでしょ。リバイス再販されるくらいだから。
ノルマンディ:あぁ困った。D-DAY? LongestDay? June6? それとも?

要するに出版されているゲーム数が多いと決定版を絞ることが難しくなるし、マイナーテーマになると「馬理論」が頭をもたげてくるということですかね。それくらいウォーゲーマーの価値観が多様化しているということがオチでした。チャンチャン!

P.S. WW1キャンペーンはパスグロでしょう。ナポレオン戦争キャンペーンは(GMT)ナポレオニック・ウォーかな?(エンパイア・オブ・ジ・アーム?)
by 佐藤(Pum) (2006-01-20 23:28) 

カール剪定公

「レニングラード戦(1941年)の決定版ゲーム、よく考えれば見当たりませんね」という意見に同感です。史実の第4装甲集団は、移動力的には7月中旬にレニングラード市内に行けたのではないかと思ってますが、じゃあ何が彼らの足を引っ張ったのか、という問題が実感できるゲームが欲しいところです。マンシュタインの「失われた勝利」を読んだ後でプレーしたくなるような・・・ できれば6月の国境会戦も入れてほしいです。
by カール剪定公 (2006-01-22 00:57) 

Mas-Yamazaki

レニングラードのゲームは、前回デザインした時にはフルマップ1枚に西ドヴィナ川からチフヴィン周辺およびスヴィリ川(フィンランド軍の最大進出線)まで入れて、ラドガ湖の東側での完全包囲(これが成功するとソ連軍はラドガ湖経由の限定的な物資供給まで絶たれてしまう)も可能な作品になっていました。そして、オマケとしてA3マップを一枚追加し、国境地帯から西ドヴィナ川まで延伸することで、バルバロッサ作戦初期の戦闘も(拡張シナリオという形で)再現できるようになっていました。ただ、国境付近での緒戦の戦いは、ドイツ軍プレイヤーのソロプレイとなりがちなので、新版でこのミニマップを付けるかどうかは微妙なところです。ロッシェニの戦車戦など、緒戦のソ連軍の反撃をうまくゲームに含められるシステムが見つかれば、プレイヤーの選択肢を増やすことも商品価値の増大につながるので、前向きに検討したいと思います。

ちなみに、私の考える「決定版」の定義は、そのテーマ(題材およびスケール)で新たなゲームをデザインしようという意欲を削ぐような(総合的な意味での完成度の高い)作品ということで、一般ゲーマーの方が考えるものとは微妙に視点が違うかもしれません。現状では、独ソ戦のキャンペーン・ゲームと、スターリングラードの市街戦、同冬季戦役、バルジの戦いについては、シックス・アングルズの製品以外に「新たなゲームを作れない(特に欠けている要素が見つからない)」状態なので、私にとってはこれらが「決定版」です。来月、クルスク戦の戦役レベルでの「決定版」が発売されますが(笑)、モスクワ戦とレニングラード戦の41年戦役レベルの「決定版」は私の知る限り見当たらないので、それで「新たなゲームをデザインしたい」と考えているわけです。人の好みは多種多様ですから、1つのゲームで万人を満足・納得させることは最初から不可能だと思っていますが、とりあえず「私が欲しいゲーム」を目標に固定して作業を進めていくつもりです。
by Mas-Yamazaki (2006-01-22 14:23) 

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