SSブログ

2010年4月24日 [ゲーム・グラフィック私塾]

今日は、ゲーム・グラフィック私塾「ユニットシートの作り方(2)」です。本題に入る前に、今日の説明で使用する「教材」を、ダウンロード可能な状態にして公開していますので、「イラストレータ」などのグラフィックソフト(ドローソフト)をお持ちの方は、実際にデータをご覧になりながら、以下の記事をお読みいただければ、より理解が容易になるかと思います。

《Mac用》 ※sit圧縮
《Win用》 ※lzh圧縮

前回の最後で、独ソ戦のキャンペーン・ゲームを想定した、ソ連軍の「軍」ユニットをひとつ、作成してみました。それが、下の画像です。

私塾0424-01.jpg

画像左上は、すべてのレイヤーを表示した状態で、右上は「切断線(黒いボックス)」「背景色(赤色)」「部隊名」のレイヤーのみ表示した状態。中左は「切断線」「背景色」「部隊規模」のレイヤーのみ表示した状態。中右は「切断線」「背景色」「兵科マーク」のレイヤーのみ表示した状態。下は、「切断線」「背景色」「数値」のレイヤーのみ表示した状態です。これらの表示の違いをご覧になれば、それぞれのレイヤーの関係を、ご理解いただけるかと思います。

「レイヤー」というパレットの左側に、二列のドットがあります(最新のバージョンでどうなっているかは未確認ですが、たぶん大きくは変わっていないと思います。ご存知の方がおられましたら、ご指摘いただければ幸いです)が、左列の「目」のイラストの下にあるのは、表示・非表示の切り替え(ドットがあるのが「画面に表示している」状態で、ドットなしは表示せずに「隠している」状態)を表しており、右列の「鉛筆またはペン」のイラストの下にあるのは、ロック・アンロックの切り換え(ドットがあるのが「ロックしていない」つまり選択可能なレイヤーで、ドットなしは「ロックしている」つまり選択できない状態)を表しています。

表示・非表示の切り替えは、各オブジェクト(「兵科マーク」や「数値」などの対象物)が、正しいレイヤーに描かれているかを確認する時などに、使用します。例えば、「兵科マーク」のレイヤーのみを非表示にすれば、本来は全てのユニットの兵科マークが一斉に姿を消しますが、もし間違って何個かのユニットで兵科マークを「数値」のレイヤーにコピーしてしまっていれば、この時点で画面上に残るので、それを選択して、正しいレイヤーに戻してやります。このように、作業の途中および最後で、特定のレイヤーを表示したり消したりすることで、正しい構造のレイヤー分けができているかを確認します。

ロック・アンロックの切り替えは、作業中に部隊名だけ、あるいは兵科記号だけをまとめて選択したい時などに使用します。兵科記号のXマークは、英文の「X」という文字を並べたテキストデータとして作っています(大隊や連隊の場合は「I」という文字です)が、書体(フォント)をいろいろ変更することにより、自分の好みに合った形にすることができます。触りたいレイヤーだけを「アンロック」状態にした上で、「全てを選択」コマンド(Macの場合はコマンド+A、Windowsの場合はコントロール+A)を実行すれば、いちいち個別の兵科記号をクリックして選択しなくても、全ての「兵科記号」を一瞬で選択することができます。

私塾0424-02.jpg

上は「兵科規模」のレイヤーのみアンロックにして、書体を変更してみたもの。左は「Helvetica Regular」、真ん中は「Helvetica Bold」、右は「Frutiger Ultra Black」です。全体のバランスを見ながら、使用する書体とサイズを決定します。

私塾0424-03.jpg

文字や記号などのレイアウトも、画面を見ながらいろいろと試行錯誤して、ご自分の好みに合う形にされるとよいでしょう。一番右のは、兵科記号の縦横の比率を少し変えてあります。

前回の記事のコメントの中で、ボックスの「切断線」と「背景色」を分けている理由についてのご質問がありましたが、これはシックス・アングルズ製品などの「打ち抜き型」ユニットを作る際の習慣なので、打ち抜きではない、プリントアウトを最終成果物とする形ですと、同じにしてもかまわない場合があります。ただし、ユニットの背景色を、複数の色で塗り分けたりする場合は、全ての彩色に「勝る(優先される)」切断線のレイヤーを、別に作っておくのが良いと思います。

私塾0424-04.jpg

上の例は、「背景色」のレイヤーを非表示にし、「切断線」のボックス内を「背景色」と同じ色で塗りつぶして、レイヤーの階層を一番下に移動させたもの。単体だと問題ありませんが、例えば兵科記号の位置に別の色の帯を入れる場合、単一のレイヤーで「切断線」と「背景色」を混合させると、下の例のように、切断線の一部が隠れてしまう形になります。

シックス・アングルズ製品などの「打ち抜き型」ユニットを作る場合、印刷製造工程で抜き型の「ズレ」が生じる可能性を、あらかじめ考慮しておく必要があります。現在、シックス・アングルズが仕事をお願いしている業者さんは、抜き型のズレもほとんどありませんが、それでも1ミリ程度のズレが生じる前提で、グラフィックを作成しています。そうすると、今回の例における「背景色」のように、切断線として想定している位置よりも、数ミリほど広い範囲に、地色を広げておく必要があります。

次回は、背景色を塗り分ける場合の注意点や、文字色と背景色との関係(白抜き文字の効果的な使い方)、文字に影(ドロップシャドウ)をつける際の注意点などについて、ご説明します。
nice!(0)  コメント(2) 

nice! 0

コメント 2

エマ

教材DLさせてもらいました。
レイヤーがどういったものかよくわかりました。

作業を進めているうちに別レイヤーを設定したいもの、たとえば「部隊名」と「兵科マーク」を同じレイヤーで作ってしまった場合、「部隊名」を切り取って新たにレイヤー作成するという方法になるのでしょうか?

>レイヤーパレッドの最新のバージョン
http://help.adobe.com/ja_JP/Illustrator/14.0/WS714a382cdf7d304e7e07d0100196cbc5f-62d6a.html

こんな感じです。若干違うみたいです。

by エマ (2010-04-27 20:50) 

Mas-Yamazaki

エマさま: コメントありがとうございます。リンクしていただいた「イラストレータCS4」のマニュアルを見ましたが、これは初心者にはかなり難しい説明ですね。ある程度、使い慣れていれば、「レイヤーごとにアウトラインモードとウートワークモードを切り替えられる」「画像の表示濃度をレイヤーごとに調節できる」といった説明を見て「それは便利かも」と思いますが、まずきれいな線を引く、望む形状の図形をきれいに描く、それを規則的に複製する、といった基本的な作業を学びたい人にとっては、付加的な機能はかえって混乱の種になる気がします。このあたりは、ゲームの場合も同じかもしれません。

あと、『作業を進めているうちに別レイヤーを設定したいもの、たとえば「部隊名」と「兵科マーク」を同じレイヤーで作ってしまった場合、「部隊名」を切り取って新たにレイヤー作成するという方法になるのでしょうか?』とのご質問ですが、私がそうした事態に直面した場合、まず新たにレイヤーを作って適切な名称をつけ、次にそこへ動かしたいオブジェクトをすべて(または何回かに分けて)選択し、その状態(選択した状態)でターゲットのレイヤーへ移動させます(レイヤーパレット上の「選択コラムのマーク」をクリックし、それをターゲットのレイヤーまで縦方向でドラッグすれば、レイヤー間を簡単に移動させられるはずです)。
by Mas-Yamazaki (2010-04-30 02:26) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

2010年4月20日2010年4月29日 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。