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2011年3月14日 [ウエストウォール]

東北各県を中心に、北海道や関東、上越などで、今回の地震と津波の被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。余震や発電所の問題など、まだ進行中の部分もあり、また生活上の苦難に直面しておられる方も多いかと思いますが、どうか心を強くお持ちになってください。

そういった方々の中の、たとえお一人にでも精神面でお力添えできれば、との思いも込めて、今日からブログを再開しようと思います。

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昨日の日曜日、自宅にてシックス・アングルズ別冊第7号 『ウエストウォール』 の「ヒュルトゲンの森」検証プレイを行いました。コンポーネントのチェックとルール上の不備、バランス確認などが主眼でしたが、このゲームは標準ルールだとアメリカ軍の圧勝となる展開が多く、ゲームバランスが悪いとの評判があるようです。

実際、「隠(なばり)ゲームクラブ」で一緒にゲームをプレイしているKMTさんからも、同様の感想が寄せられました。このバランス上の問題をどのようにして解決すべきか考えながら、石田さんとゲームを何度もプレイした結果、その原因とおぼしきルールを特定できたように思います。

このゲームでは、米独両軍の砲兵ユニットと米軍の航空支援ポイントについて、使用上の「上限」が定められているのですが、どうもこの米軍に対する制限が、デザイナーの考案した意図と違う形で最終版のルール文面になっているのではないか、と思われます。

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例えば、SPI社の英文ルールでは、アメリカ軍は自軍プレイヤー・ターンの戦闘フェイズにおいて、「個々の戦闘」で最大「4ユニットまで」砲兵ユニットを投入でき、さらに「最大5航空支援ポイント」まで投入可能というルールになっています。しかし、実際には1つの戦闘でこれだけ膨大な火力を投入すれば、大抵の場合は圧倒的に攻撃側が有利な戦力差(このゲームは「差」=ディファレンシャルの戦闘結果表を使用)となり、米軍は史実のような苦戦と出血を伴わず、悠々と(それも前線の数か所で同時に)ドイツ軍を押し込むことが可能になります。

言い換えれば、英文ルールに書かれているような(緩い)規定では、米軍の砲兵火力や航空支援力を抑制する「制約」として、全く機能していない、ということです。ちなみに、米軍の歩兵大隊は、攻撃力が2で防御力が3です。砲兵を4ユニット投入すると、攻撃力を最大で8追加でき、さらに5航空戦力ポイントを投じれば、火力支援だけで13(歩兵大隊6.5個分)となりますが、戦闘結果表の最も攻撃側に有利な戦力差は「プラス12」です。

特に「威力が過大」と思われるのが、航空支援ポイントのルールで、1ゲームターンに20ポイント使用可能というのが英文ルールの規定ですが、これだと計4箇所に5ポイントずつ突っ込むことができ、米軍はノルマンディのヤーボ(戦闘爆撃機)も霞んでしまうほどの圧倒的な航空戦力のおかげで、ドイツ軍を各所で圧倒、というゲーム展開となります。

しかし、実際のヒュルトゲンの森での戦闘がどうであったかといえば、航空戦力や砲兵火力をふんだんに駆使した米軍が圧勝したわけではなく、逆にドイツ軍の巧みな防御支援砲撃によって予想外の出血を強いられ、部隊の前進は全く捗りませんでした。

例えば、『Strategy & Tactics』誌の第54号に掲載されたヒストリカル・ノート(日本版にも翻訳を収録)によると、ヒュルトゲンの戦いは「秋の深まりと共に、午後遅くになると森には深い霧ともやが立ち込めるようになり、すべてのものを覆い隠してしまった」という天候下で行われており、ノルマンディにおいて見られたような圧倒的な「ヤーボの猛威」は、この戦場には事実上存在していませんでした。

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そこで、日本版選択ルールとして、英文の専用ルール11.2項と11.4項を、次のように変更してみました。

  1. アメリカ軍は、個々の戦闘ではなく、自軍の戦闘フェイズ全体で、計4個まで砲兵ユニットを使用可。
  2. アメリカ軍は、個々の戦闘ではなく、敵軍の戦闘フェイズ全体で、計3個まで砲兵ユニットを使用可。
  3. ドイツ軍の砲兵については、11.3項をそのまま使用。
  4. アメリカ軍は、ゲーム全体を通じて、計20ポイントの航空支援ポイントを使用可。
  5. アメリカ軍は、1回の自軍戦闘フェイズで(つまり1ターンに)、5ポイントまで航空支援ポイントを使用可。敵軍戦闘フェイズでは使用不可。

あと、11.12項も「隣接して直接戦闘に参加する砲兵ユニットは、計算に含めない」という風に変更する必要があるようです(ドイツ軍の砲兵ユニット5個がそれぞれ米軍ユニットと隣接していたら、等の状況が考えられます)。

試しにこの修正ルールでプレイしたところ、米軍の攻撃力が大きく抑制されて、進撃速度がほぼ史実通りとなった上、両プレイヤーとも考える要素が増えて(特に米軍プレイヤーは航空支援ポイントの配分を慎重に考えないといけなくなり)、ゲームとしてかなり面白くなったと思います。米軍の損害も、低比率戦闘の強制によって必然的に生じるようになり、勝利得点のバランスも好転したように思います。

今週末は、「レマーゲン」の検証プレイを行う予定です。
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