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2011年6月13日 [その他(雑感・私生活など)]

昨日、買い物に出たついでに、今月10日に発売されたある雑誌を求めて本屋に行きました。今のご時世、そんなにバカ売れするとは思えないスタイルの雑誌(関係者の方、すいません)なのに、なぜか一軒目では見つからず(実は売れている?)、別の大きな本屋に出向いて、ようやく見つけました。その雑誌というのが、これ。

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ワイアード』vol.1。『GQ JAPAN』2011年7月号増刊という形式で刊行され、価格は税込み480円と比較的安価です。なぜ、わざわざ車で本屋を二軒も回ってまで買ったかと言えば、ずっと昔に同じ名前の雑誌を熱心に愛読していたからでした。

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ワイアード日本版』。こちらは現在『サイゾー』として刊行されている雑誌の事実上の前身で、日本版は1994年から1998年まで5年間刊行されていました。

この2つの雑誌の「本家」である『WIRED(米国版)』は、1993年に発刊された(精神的な)若者向けの雑誌で、当時既に普及し始めていたパソコンやインターネットなどのハイテク機器(テクノロジー)を駆使して、より自由で刺激的な生活環境を実現しようという方向性の媒体でした。

と言っても「この新製品を買えばバラ色の未来が待っている」という風な牧歌的なハイテク礼賛ではなく、テクノロジーによって「自由が阻害されるリスク(政府や企業による情報管理など)」にも積極的に光を当て、影の部分を抜け目なく注視しつつ光の部分を最大限に楽しもうという同誌のスタンスは、エディトリアル・デザイン(誌面構成と意匠)の端々に織り込まれたクールでドライなユーモアとも相まって、最高にカッコ良く思えたのを今でもはっきり覚えています。定期購読していた古い方の『ワイアード日本版』最新号が封筒で届くと、本当にワクワクしながらページを繰ったものです。

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上は、1998年1月号に掲載された主な記事。特集は「メイド・イン・ジャパンの終焉」という、今から思えばあまりにも予言的な内容でした。見出しの一部を抜粋すると「世界的な『技術立国』であるはずの日本には、結局独創的な技術はなかったのではないか、という疑念がある」「日本の製造業は成功を収めたが、量産できるもの、たくさん売れるものだけがよい製品だという『量産の呪縛』を生んだ」等々。そのほか、ゲーム業界の匿名座談会、民間スパイ衛星ビジネスの萌芽、トム・クランシーのインタビューなど。表紙はミラー調で、撮影している私の姿が下の方にぼんやり写っている(笑)。

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こちらは、1998年4月号。過去に予言された「未来予測の検証」をドライに行いつつ、テクノロジーや研究者の進む方向性を読み解くスリリングな内容。小松崎茂さんが「見てきたように未来の絵を描く奇才」という文脈で紹介されているのも面白い。このほか、マジェスティック12でもご活躍(笑)されたヴァネヴァー・ブッシュの足跡を追う記事とか、当時の言葉で言うところの「ニューメディア」が、政界と霞ヶ関の利権構造にどっぷり呑み込まれた経緯など、今読んでも鮮度が失われていないと思う記事が満載。


新しいバージョンの『ワイアード』は、古い『ワイアード日本版』が紆余曲折を経て『サイゾー』に変身した後、本家がコンデナストという大手の出版社に買収された兼ね合いで、同じ出版社の看板雑誌の一つ『GQ』日本版の側面展開媒体? として、完全に新しい形で創刊されたようです。ただし、古い『ワイアード日本版』の名物編集長だった小林弘人氏(こばへん)も、エディトリアル・アドバイサーとして参加されています。

新しい『ワイアード』は、店頭で販売中の雑誌ということもあり、表紙以外のページ画像をここで公開することは控えますが、こちらも興味深い記事が多く並んでいます。しかも、電子マネーの話やセキュリティの話など、古い『ワイアード日本版』の関連記事を踏まえて読むと、後者の特徴的な企画だった「リロード」(言うまでもなく「再読み込み」の意、過去の号で取り上げたテーマについてのその後の経過をフォローする)ページを読んでいるような錯覚すら覚えます。

個人的には、冒頭の数ページ目に出ている映画紹介で、大昔によく聴いていたスロッビング・グリッスル/サイキックTVのジェネシス・P・オリッジがその後に歩んだ波乱の人生について知った時点で、過去と現在の境界が溶けて入り交じったような錯覚に陥り、頭がくらくらしました。「ぼくのiPhoneが17人を殺したのか?」「『ソーシャル』という罠−−プライバシーが消えてゆく」「大野松雄−−『鉄腕アトム』の音をつくった電子音の怪人」「FBI暗号解読捜査官の憂鬱」などの記事タイトルを一瞥されて、興味のアンテナが反応した方はぜひ、書店で現物をご覧になってください。

ちなみに、同誌はネットでも雑誌とシンクロする形で情報発信を展開しており、ネットでしか読めない関連記事も興味深いです(雑誌記事の一部はネットで完全版が読める仕様になっています)。

WIRED.jp



【おまけ】

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一緒に書店で購入した『Pen』最新号。古い『ワイアード日本版』1998年4月号と並べると、年齢は離れているのにけっこうお似合いのカップルという印象(笑)。『Pen』の特集記事は、モチーフも写真もすごく綺麗で、切り取って壁に貼っておきたくなるほど。NHK『プロフェッショナル』に登場された回は残念ながらタイ旅行と重なったので観られませんでしたが、水戸岡鋭治さんがデザインされた九州新幹線「つばめ800」も大きく紹介されています(もちろん「あの」CM裏話も)。
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石田博

リバーナ店で買われたのですか?
by 石田博 (2011-06-20 21:02) 

Mas-Yamazaki

最初にリバーナ店へ行きましたが、置いていなかったので、名張川沿いのより大きな本屋へ向かいました。こういうローカルな話題は、ツイッターでやりましょう(笑)。
by Mas-Yamazaki (2011-06-20 23:37) 

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