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2012年6月17日 [バルバロッサ&ゼーロフ]

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昨日(6月16日)とその前の日曜日(6月10日)、石田さんがうちに来られ、シックス・アングルズ第15号付録ゲームのひとつ『バルバロッサの場合』の確認プレイテストを行いました。

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以前の記事で少しだけご紹介しましたが、このゲームは私が21歳の時にデザインした最初のシミュレーション・ゲームで、ホビージャパン社のシミュレーション・ゲーム雑誌『タクテクス』の第2回オリジナルゲーム・コンテストに応募して入選し、同誌第65号の付録として1989年に出版されました。テーマは、1941年6月から11月までの、ドイツ軍のソ連侵攻作戦「バルバロッサの場合(Fall Barbarossa)」ですが、A3サイズの地図をそれぞれ1枚ずつ使用し、間に「つい立て」を置いて互いの情報を制限しながらプレイする方式をとっています。

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こう書くと、ベテランのゲーマーなら「ああ、ダブルブラインド方式か」と思われるかもしれませんが、このゲームではドイツ軍の部隊(軍規模)と司令部の位置は、全てソ連側に筒抜けとなっており、ソ連軍プレイヤーはドイツ軍の展開状況を常に把握しながら、自軍の行動を行えるという「シングル・ブラインド方式」を採用しています。実際に、当時のソ連側は情報面でかなりドイツ軍に対して優位に立っており、ドイツ軍プレイヤーは自軍部隊と隣接している(つまり交戦している)ソ連軍ユニット(軍規模)のみを、確認することができます。言い換えれば、ドイツ軍プレイヤーは、ソ連側が各正面の後方にどれだけの部隊を展開しているか、わからないまま前進しなくてはなりません。

ただし、ソ連軍ユニットの行動能力はきわめて低いため、敵軍の位置に関する正確な情報を得ていても、それを完全に封じる行動をとることは困難です。いったん投入した戦略予備のユニットを、別の戦域に再配置することは事実上不可能であるため、1ターンに最大9へクス移動できるドイツ軍の装甲軍(装甲集団)に、最大3へクスしか移動できないソ連軍の軍ユニットで対抗するには、次のターンにドイツ軍がどの方角に攻勢の重点を置くのかを予測し、その矛先に予備部隊を投入しておかなくてはなりません。

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一方のドイツ軍は、奥地に前進するたびに新たなソ連軍ユニットを確認し、戦闘で撃破しながら攻勢を継続することになりますが、戦闘でソ連軍ユニットをあるヘクスから排除しても、その敵ユニットが全滅したのか、あるいは奥地に1へクス退却しただけなのかを知ることができません。従って、その空白へクスに入った時に新たな敵ユニットを確認した場合、それが最初から第二線に配置されていた部隊なのか、それとも退却したユニットなのかわからず、ドイツ軍プレイヤーは疑心暗鬼と不安に苛まれることになります。

ドイツ軍の各軍が持つ戦闘力は、保有する師団数によって規定されますが、それぞれの軍が現在どれだけの師団を保有しているかについての情報は、ソ連軍プレイヤーも見ることができません。そして、ドイツ軍プレイヤーは状況に応じて、戦略予備師団を各軍集団司令部に配備し、各軍集団は所属する各軍に、それらの師団を配備することができます。

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ソ連軍の「軍」ユニットは、全て一律の扱いで、固有の「保有師団数」は持ちませんが、初版のシステムではサイコロで判定された動員師団数に基づいて編成する方式でした。1個軍は、9個師団または6個師団プラス1生産ポイントで編成することができ、生産ポイントは稼働中の工場の数に応じて発生します。地図上の工場は、解体した上で地図外に疎開させれば、ドイツ軍の破壊によるポイント喪失を回避できますが、解体してしまうと生産ポイントの判定には使えなくなるため、疎開のタイミングはソ連側にとって重要な意味を持ちます。

ただし、実際にプレイしてみると、ソ連全土の軍管区を7つのグループに分けてサイコロを(計7回)振り、動員師団総数を判定した上で、それを軍に編成という手順は、やや煩雑である上にサイの目の偏りによる変動が大きくなり、そのまま使うのは問題ありということで、最初から軍単位で動員の結果を判定する、より簡略化された方式に変更することに決定しました。初版では、生産ポイントと動員で計8回サイコロを振る上、それぞれの結果を計5個のマーカーで記録していましたが、第2版ではサイコロ判定は計2回(通常動員の編成と工場生産による追加編成)で、記録用のマーカーも不要となりました。

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また、1941年11月でゲームを終了するというオリジナル版の仕様は、ソ連軍プレイヤーに不満が残る可能性が高いということで、ソ連軍が冬季反攻を行えるよう2か月(2ターン)追加して、1942年1月までの計8ターンとすることにしました。実は、ホビージャパンに送った初版をデザインした際、選択ルールとして1942年1月までを扱う追加規定を用意しており(当時の別売りカウンターに標準ゲームでは使用しない打撃軍等のコマが含まれていたことをご記憶の方もおられるかと思います)、今回の第2版ではその選択ルールを標準ルールに組み込む形で製品化することにしました。

初版のルールでは、ソ連軍の攻撃が非力すぎて、ほとんどやる価値の無いものになってしまっていましたが、第2版ではある程度兵力を集中して反撃すれば、ドイツ軍も師団の損失に加えて退却する可能性が生じるよう、ルール修正を行います。特にソ連軍の冬季反攻は、拙著『宿命の「バルバロッサ作戦」』(学研パブリッシング)で描き出したような両軍指導部のジレンマを、プレイヤーが味わえるようなルール設定にするつもりです。

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さらに、今回のテストでは独ソ双方を交代で担当してプレイしていますが、ドイツ軍を担当している時、少しルールを追加すれば、ドイツ軍側でプレイする「バルバロッサ作戦のソリテア(一人用)ゲーム」にもなることに気づいたので、ソリテア用の追加ルールを用意することにしました。ブラインドシステムのゲームは基本的に「ソリテアプレイ不可能」という弱点を抱えていますが、このソリテア用ルール導入により、この弱点は取り除けるのでは、と思います。

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発売は8月末か9月を予定していますが、もう少し作業が進んでから、プレオーダーの募集を開始します。23年前に発売されたゲームですが、今プレイしても全然古さを感じさせない内容ではないかと思います。興味のある方は、ぜひご期待ください。

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追記石田さんのブログでもテスト中の写真や感想など紹介されています。

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