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2012年8月30日 [ミッドウェー/日本海海戦]

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今日は『歴史群像』誌付録ゲーム「ミッドウェー海戦」についての話題です。このゲームのデザイン意図については、以前の記事でも少し書きましたが、ウォーゲーム/シミュレーション・ゲームをふだんプレイされている方には、物足りないと感じられる点もいくつかあるだろうな、ということは、制作途中から感じていました。

それで、ゲーム本編が発売されたあとで、ウォーゲーマー/シミュレーション・ゲーマー向けに追加ルールのモジュールを用意しようと考えており、実際にプレイされた方の意見をいろいろ聞きながら、最終的に採用するルールの内容を検討しているところです。

現在検討中の追加ルール(ルール修正)の一つは、航空隊と対空砲火に関するものです。標準ルールだと、対空砲火のサイコロを振る際、出た目がマスに表示された数値以下だと無条件で航空隊コマが撃墜されて全滅しますが、修正版では日本軍が攻撃側である場合のみ、コマを裏返しにして飛行を続けます(ウォーゲーム/シミュレーション・ゲーム的に言えば、表面が2ステップ、裏面が1ステップと考えてください)。アメリカ軍の航空隊については、標準ルール通りの扱いとします(迎撃のCAPを含む、パイロットの練度差を表すものと考えてください)。

そして、最終的に標的のボックス(ミッドウェー島または空母)に到達した日本軍の航空隊コマのうち、裏面の状態になっているものは「0.5コマ」と計算し、それを2つ組み合わせて「1コマ」と見なして、爆撃や雷撃を行えます。基本的には、爆撃機と雷撃機はそれぞれ同じタイプのコマと組み合わせますが、同種のコマが無い場合に限り、爆撃機0.5コマと雷撃機0.5コマを組み合わせて「爆撃機または雷撃機のどちらか一方(所有プレイヤーが選べます)のコマ」と見なして、爆撃や雷撃を行えます。端数の(最後に残った)0.5コマは、爆撃や雷撃を行えず、全滅したと見なされて除去されます。

空襲の解決後、日本軍の航空隊コマは、爆撃や雷撃を行った状況(つまり裏面のコマ2個が表面のコマ1個と置き換えられた状態)で、母艦に帰還します(追加のペナルティはありません)。例えば、裏面の爆撃機コマが4個あるなら、爆撃機コマ2個として空襲を解決した後、その爆撃機コマ2個のみ、母艦に帰還します。もし、裏面の状態で組み合わされた2個の航空隊コマが、異なる母艦の所属であれば、日本軍プレイヤーはどちらの母艦機1個を残すのかを選択できます。

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この修正により、日本軍航空隊コマの生還率が少し高まるので、ゲームの1回の対戦時間は標準ルールよりも少し長くなる可能性がありますが、日本軍が多数の航空隊コマを一度の出撃に投じる意味が、より強まることになり、「対空砲火で航空機があっという間に消耗してしまう」あるいは「対空砲火のサイの目が悪いと序盤でやることが無くなってしまう」という不満は、ある程度解消されるのではないかと思います。

私自身は、史実のミッドウェー海戦も全体として見れば「意外とあっさり決着がついてしまった」ように思えるので、残念な結果に終わった時には「もう一回やろう!」と最初から再戦するのが好きですが、ゲームをお持ちの方はぜひ一度、上記の修正ルールで試してみてください。ゲームバランスは、標準ルールでは史実で敗北した日本軍にやや厳しい目に設定してありますが、この修正ルールを採用すれば、戦術次第では日本軍の劣勢が多少補われるはずです。

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コメント 4

南雲

最初のミッドウェー空襲での日本軍機の消耗度合いでゲームの行方がかなり左右されると感じていたところでした。このルール修正でプレイバランスは拮抗すると思われます。
by 南雲 (2012-08-31 19:51) 

Mas-Yamazaki

南雲さま: コメントありがとうございます。デザイナーとしては、史実のミッドウェー海戦もかなり「運」に左右されたような印象を持っているのですが、運だけで勝敗が決まるようなゲームにはなっていないはずですし、ぜひこの修正を適用して一度プレイしてみてください。他にも、いくつかアイデアは出ていますので、後日ブログ記事でご紹介いたします。
by Mas-Yamazaki (2012-09-03 22:50) 

ソルフェリーノの夜明け

いつも拝見しています。「ミッドウェー海戦」ボードゲームを友人とよくプレーします。日本軍の航空機損耗を軽減する修正はうれしいルール改訂だと思いました。といいますのは我々のプレーでは史実どおりに米海軍が勝つことが多いので・・・

一手番ずつ交互に行うゲームは過去に何個かプレーしました(謙信vs信玄とか)。が、敵の艦上作業の動きと手持ちチットを見比べながら次の手を決断するときの、じりじりした緊迫感は他のゲームにはないものです。判断を間違って空母を沈められた時の悔しさは言葉では表現できません。

艦載機がまだ残っている空母をやられた時に、修理をやるかどうかも面白いポイントですね。時間のロスをしないために見捨てるべきか、わずかな可能性にかけて助けるべきか。きびしい決断ですが修理を命じて成功し艦載機がまた発艦できるようになった時の安堵感はサイコーです・・・
by ソルフェリーノの夜明け (2012-09-09 15:37) 

Mas-Yamazaki

ソルフェリーノの夜明けさま: コメントありがとうございます。「ミッドウェー海戦」のゲーム、楽しんでいただけていると知り、嬉しく思います。

『歴史群像』誌編集部に寄せられた読者の声や、アマゾンのカスタマーレビュー(http://amzn.to/RRmNus)に書かれている文面などを見ると、ゲーマー/非ゲーマーを問わず、おおむね反響は良好のようで、ホッとしています。気軽に始められ、プレイ時間も短いゲームですので、長く遊んでいただければと思います。
by Mas-Yamazaki (2012-09-12 22:59) 

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