2017年6月11日 [その他(ウォーゲーム関係)]
5月28日から6月5日まで、アメリカのアリゾナとハワイに行ってきました。アリゾナのテンピで開催されたシミュレーション・ゲームのコンベンション「ConsimWorld Expo 2017」への参加が直接の目的でしたが、帰りにハワイで戦史関連の博物館をいろいろ取材しました。
写真は、行き帰りで経由したホノルルのダニエル・イノウエ国際空港。イノウエ氏は、ハワイ生まれの日系二世で、戦中はアメリカ軍第442連隊戦闘団の一員としてヨーロッパでドイツ軍と戦った経歴を持ち、戦後は政界に入って上院議員や上院仮議長として活躍した人物です。2017年4月27日、ホノルル国際空港の正式名称が「ダニエル・K・イノウエ国際空港」に改称されました。
手前の四角い建物が、「ConsimWorld Expo 2017」が開催された、テンピの「ミッション・パームズ」というホテル。今回、私は「ゲスト・オブ・オナー(主賓)」という形で招待され、初日夜の開会式では私も少し話をしました。
英語でのスピーチは初体験だったので少し緊張しましたが、iPadに英文で書いた原稿を、古い友人で主催者のジョン・クランツ氏が添削してくれ、なんとかクリアできました。
ジョン・クランツ氏と。とても面倒見のいい人で、みんなから慕われていました。このイベントが毎年盛り上がっているのも、彼の人望だと思います。10数年前には、フェニックスの自宅に泊めてもらったこともあり、久々に会って個人的な話もいろいろしました。
1993年に米国ダラスで開催されたコンベンションに参加して以来、米国には10回ほど訪れていますが、2001年の9.11以降は行くのをやめていました。米国ゲーム業界のデザイナーやアートワーカーの友人とは16年ぶりの再会でしたが、ブランクは一瞬で解消し、最近の仕事(私が戦史関係だけでなく、政治関係の本や新聞記事を書いていることはフェイスブックの投稿で先方にも知られている)についても話しました。
ゲーム・デザイナー兼グラフィック・デザイナーのマーク・シモニッチ氏と。私はこのイベントに、同氏のデザインした『ウクライナ'43(第二版)』を持参して会場で二人の米国人とプレイし、シモニッチ氏と夕食を食べたあと、箱にサインをしてもらいました。ゲームデザインでもアートワークでも、参考になることが多いので、特に尊敬している人物です。
こちらもゲーム・デザイナー兼グラフィック・デザイナーのジョー・ユースト氏と。ゲームの話、アートワークの話に加えて、政治の話でも盛り上がりました。日本では「旅先では政治と宗教の話は禁物」みたいな話がもっともらしく語られていますが、私はアメリカでもヨーロッパでもアジアでも、友人と政治や宗教の意見交換をよくやります。むしろ、同国人の間ですらこれらに触れたがらない日本人の方が、世界では珍しいような気がします。
ランディ・ヘラー氏(真ん中、アバロンヒル『ビター・ウッズ』のデザイナー)、ポール・ケーニグ氏(右)と。ヘラー氏は米海軍の退役軍人ですが、医療関係の任務に就いていたとのこと。
ジャック・グリーン氏(右奥、ホビージャパン『アイアンボトム・サウンド』等のデザイナー)、デーナ・ロンバーディ氏(右手前、L2『ストリーツ・オブ・スターリングラード』等のデザイナー)と。お二人とも、とてもやさしいおじさんです。グリーン氏は1980年代に日本のホビージャパンがゲームを出版していた頃、さまざまな形で関わっておられたので、日本のゲーマーにもなじみ深い人物。
プレイ会場のようす。主にビッグゲームをプレイしている人が多いですが、あちこちでデザイナーとスタッフが新作ゲームのプレイテストを行っていました。貴重な機会ということで、深夜までプレイに熱中している人も。
私が一番注目したのがこれ。シモニッチ氏が仲間とテスト中の新作『スターリングラード'42』(たぶんGMT社)。フルマップ2枚で、青作戦の始まり(1942年6月)から1943年1月初めまでをカバーする作戦級で、システムは『ウクライナ'43(第二版)』とほぼ共通。先に完成した、マーケット・ガーデン作戦を扱う『オランダ'44』は、GMT社から8月か9月頃発送とのこと。
デーナ・ロンバーディ氏の『ストリーツ・オブ・スターリングラード』は、第四版のテストが行われていました。ヴォルゴグラードの公文書館で詳細な新史料が見つかり、独ソの地上部隊はもちろん、河川小艦隊や航空戦力などの編制もより正確になるとのことでした。
GMT社で企画中の『ア・タイム・フォー・トランペッツ』。大隊レベルのバルジゲーム(タイトルはチャールズ・マクドナルドのバルジ戦本と同じ)で、デザイナーはアバロンヒル『シージ・オブ・エルサレム』などを手かげたブルーノ・シニガーリョ氏。ランディ・ヘラー氏らと夕食を食べた時に同席され、いろいろ昔の話を聞けました。
MMP社のスタッフがテストしていたOCSの新作『サード・ウインター』。1944年初頭の東部戦線ウクライナでの激闘を、複数のシナリオで再現。マップにはキエフからオデッサまで、リヴォフからニコポリまでが含まれています。
こちらではMMP社のGTSの新作『ザ・グレイテスト・デイ:ユタ・ビーチ』がテスト中でした。1944年のノルマンディー上陸作戦で、オマハ・ビーチの西に位置する戦域での戦いがテーマ。
ロジャー・マクゴワン氏とデーナ・ロンバーディ氏がタッグを組んで制作・テスト中の新作『ザ・グレート・ウォー』。第一次大戦がテーマのカードゲームで、マクゴワン氏のおなじみのイラストもふんだんに使われています。
ニュー・イングランド・シミュレーションズ(NES)でテスト中の新作『ジョーズ・オブ・ビクトリー』。1944年初頭の東部戦線コルスン包囲戦がテーマで、『キリング・グラウンド』同様に戦力チットを併用しています。
コンシム・プレスで何年も前からテストを重ねているという新作『ベネス・ザ・サザン・クロス』。南太平洋を舞台にした、太平洋戦争期の空母戦ゲームで、艦艇を艦隊に編成して運用するヘビーなゲーム。
こちらもコンシム・プレスでテスト中の『ザ・ウォー:パシフィック 1941-1945』。フルマップ二枚で太平洋戦争全体を扱う戦略級ゲーム。
クレイグ・ニニッチという人がテストしていた『オストフロント』。師団レベルで独ソ戦全体をプレイするモンスターゲームで、生産ルールなども凝っています。マップにはムルマンスクやバクーも含まれています。
グロニャール・シミュレーションズのチームがテストしていた『デス・ライド・クルスク』というモンスターゲーム。1943年のクルスク戦の南部戦域、第3装甲軍団戦区の戦いを、小隊レベルのユニットで再現する野心作です。
ゲーム紹介の写真点数がかなり多くなったので、ハワイでの話は次回に紹介します。
写真は、行き帰りで経由したホノルルのダニエル・イノウエ国際空港。イノウエ氏は、ハワイ生まれの日系二世で、戦中はアメリカ軍第442連隊戦闘団の一員としてヨーロッパでドイツ軍と戦った経歴を持ち、戦後は政界に入って上院議員や上院仮議長として活躍した人物です。2017年4月27日、ホノルル国際空港の正式名称が「ダニエル・K・イノウエ国際空港」に改称されました。
手前の四角い建物が、「ConsimWorld Expo 2017」が開催された、テンピの「ミッション・パームズ」というホテル。今回、私は「ゲスト・オブ・オナー(主賓)」という形で招待され、初日夜の開会式では私も少し話をしました。
英語でのスピーチは初体験だったので少し緊張しましたが、iPadに英文で書いた原稿を、古い友人で主催者のジョン・クランツ氏が添削してくれ、なんとかクリアできました。
ジョン・クランツ氏と。とても面倒見のいい人で、みんなから慕われていました。このイベントが毎年盛り上がっているのも、彼の人望だと思います。10数年前には、フェニックスの自宅に泊めてもらったこともあり、久々に会って個人的な話もいろいろしました。
1993年に米国ダラスで開催されたコンベンションに参加して以来、米国には10回ほど訪れていますが、2001年の9.11以降は行くのをやめていました。米国ゲーム業界のデザイナーやアートワーカーの友人とは16年ぶりの再会でしたが、ブランクは一瞬で解消し、最近の仕事(私が戦史関係だけでなく、政治関係の本や新聞記事を書いていることはフェイスブックの投稿で先方にも知られている)についても話しました。
ゲーム・デザイナー兼グラフィック・デザイナーのマーク・シモニッチ氏と。私はこのイベントに、同氏のデザインした『ウクライナ'43(第二版)』を持参して会場で二人の米国人とプレイし、シモニッチ氏と夕食を食べたあと、箱にサインをしてもらいました。ゲームデザインでもアートワークでも、参考になることが多いので、特に尊敬している人物です。
こちらもゲーム・デザイナー兼グラフィック・デザイナーのジョー・ユースト氏と。ゲームの話、アートワークの話に加えて、政治の話でも盛り上がりました。日本では「旅先では政治と宗教の話は禁物」みたいな話がもっともらしく語られていますが、私はアメリカでもヨーロッパでもアジアでも、友人と政治や宗教の意見交換をよくやります。むしろ、同国人の間ですらこれらに触れたがらない日本人の方が、世界では珍しいような気がします。
ランディ・ヘラー氏(真ん中、アバロンヒル『ビター・ウッズ』のデザイナー)、ポール・ケーニグ氏(右)と。ヘラー氏は米海軍の退役軍人ですが、医療関係の任務に就いていたとのこと。
ジャック・グリーン氏(右奥、ホビージャパン『アイアンボトム・サウンド』等のデザイナー)、デーナ・ロンバーディ氏(右手前、L2『ストリーツ・オブ・スターリングラード』等のデザイナー)と。お二人とも、とてもやさしいおじさんです。グリーン氏は1980年代に日本のホビージャパンがゲームを出版していた頃、さまざまな形で関わっておられたので、日本のゲーマーにもなじみ深い人物。
プレイ会場のようす。主にビッグゲームをプレイしている人が多いですが、あちこちでデザイナーとスタッフが新作ゲームのプレイテストを行っていました。貴重な機会ということで、深夜までプレイに熱中している人も。
私が一番注目したのがこれ。シモニッチ氏が仲間とテスト中の新作『スターリングラード'42』(たぶんGMT社)。フルマップ2枚で、青作戦の始まり(1942年6月)から1943年1月初めまでをカバーする作戦級で、システムは『ウクライナ'43(第二版)』とほぼ共通。先に完成した、マーケット・ガーデン作戦を扱う『オランダ'44』は、GMT社から8月か9月頃発送とのこと。
デーナ・ロンバーディ氏の『ストリーツ・オブ・スターリングラード』は、第四版のテストが行われていました。ヴォルゴグラードの公文書館で詳細な新史料が見つかり、独ソの地上部隊はもちろん、河川小艦隊や航空戦力などの編制もより正確になるとのことでした。
GMT社で企画中の『ア・タイム・フォー・トランペッツ』。大隊レベルのバルジゲーム(タイトルはチャールズ・マクドナルドのバルジ戦本と同じ)で、デザイナーはアバロンヒル『シージ・オブ・エルサレム』などを手かげたブルーノ・シニガーリョ氏。ランディ・ヘラー氏らと夕食を食べた時に同席され、いろいろ昔の話を聞けました。
MMP社のスタッフがテストしていたOCSの新作『サード・ウインター』。1944年初頭の東部戦線ウクライナでの激闘を、複数のシナリオで再現。マップにはキエフからオデッサまで、リヴォフからニコポリまでが含まれています。
こちらではMMP社のGTSの新作『ザ・グレイテスト・デイ:ユタ・ビーチ』がテスト中でした。1944年のノルマンディー上陸作戦で、オマハ・ビーチの西に位置する戦域での戦いがテーマ。
ロジャー・マクゴワン氏とデーナ・ロンバーディ氏がタッグを組んで制作・テスト中の新作『ザ・グレート・ウォー』。第一次大戦がテーマのカードゲームで、マクゴワン氏のおなじみのイラストもふんだんに使われています。
ニュー・イングランド・シミュレーションズ(NES)でテスト中の新作『ジョーズ・オブ・ビクトリー』。1944年初頭の東部戦線コルスン包囲戦がテーマで、『キリング・グラウンド』同様に戦力チットを併用しています。
コンシム・プレスで何年も前からテストを重ねているという新作『ベネス・ザ・サザン・クロス』。南太平洋を舞台にした、太平洋戦争期の空母戦ゲームで、艦艇を艦隊に編成して運用するヘビーなゲーム。
こちらもコンシム・プレスでテスト中の『ザ・ウォー:パシフィック 1941-1945』。フルマップ二枚で太平洋戦争全体を扱う戦略級ゲーム。
クレイグ・ニニッチという人がテストしていた『オストフロント』。師団レベルで独ソ戦全体をプレイするモンスターゲームで、生産ルールなども凝っています。マップにはムルマンスクやバクーも含まれています。
グロニャール・シミュレーションズのチームがテストしていた『デス・ライド・クルスク』というモンスターゲーム。1943年のクルスク戦の南部戦域、第3装甲軍団戦区の戦いを、小隊レベルのユニットで再現する野心作です。
ゲーム紹介の写真点数がかなり多くなったので、ハワイでの話は次回に紹介します。
2017-06-11 01:40
nice!(1)
コメント(0)
コメント 0