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2019年10月31日 [その他(戦史研究関係)]

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まずは告知から。『歴史戦と思想戦』(集英社新書)のさらなる増刷が決定しました。これで六刷、三万部です。買って下さった皆様、ありがとうございます。

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歴史戦と思想戦』に関連する形で催された、今年6月の大阪・隆祥館書店での内田樹さんとの対談と、今月10日の東京・神楽坂モノガタリでの望月衣塑子さんとの対談は、近いうちに集英社のネット媒体で記事化される予定です。

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東京新聞記者として活躍されている望月衣塑子さんとの対談イベントは、早々にチケットが完売し、何人かの友人知人から「行けなくて残念」との声を聞きましたが、盛況のうちに終わりました。その前後の時間には、驚くような裏話もいろいろお聞きでき、大変楽しく充実した時間でした。

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また、今月1日に大阪・ロフトプラスワン・ウエストで催された、『TRICK』著者の加藤直樹さんとのトークイベントも、幅広い話題で盛り上がりました。想定以上に話の幅が広がり、韓国映画の話では危うく「工作」のネタばらしをしそうになって加藤さんに止められました。

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さて、今月5日から7日まで、台湾に行ってきました。11月と12月に出る本(後述)の校正や地図制作などの仕事が詰まっていることもあり、二泊三日という短期のステイでしたが、ゲーム関係の仕事で知り合った台湾人の友人たちが、台北市内と猫空、新竹、日本統治時代に作られた古い製茶工場などに連れて行ってくれ、気分をリフレッシュできました。

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また、今月21日から24日には鹿児島へ旅行してきました。前から興味があった特攻隊の出撃基地三か所(知覧、万世、鹿屋)を見学するのがメインの用事でしたが、歴史ボードゲームの個人出版「シックス・アングルズ」の印刷や製本を20年近く前からお願いしている鹿児島の印刷屋さんにご挨拶し、枕崎のカツオなどの地元料理もたっぷり堪能しました。

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知覧の特攻平和会館。鹿児島訪問は今回が初めてで、特に特攻に関する原稿を書く予定はなかったのですが、3つの博物館の説明すべてに共通する「受け手の心理を誘導するトリック」に強烈な違和感を覚え、来年書く予定の本の内容とも重なることが判明したので、その本の中で書くことにしました。そのトリックとは、「特攻の延長線上に戦後の平和と繁栄がある」という説明のことで、受け手の心情を揺さぶる一方、歴史的事実には反する情緒的な現実解釈です。

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このトリックを「トリックだ」と認識できなければ、何度でも同じことが繰り返される可能性がありますが、特攻で死んだ若者がそれを望むとは思えません。上の写真の特攻兵は、17歳と18歳。現代の日本に生まれていたなら、高校野球や高校サッカーをしている年齢です。何らかの大義名分を信じて出撃したとしても、それは人生経験に基づく確信ではあり得ないでしょう。

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知覧特攻平和会館から1.6キロほど北北東にある富屋食堂。戦時中は軍の指定食堂で、経営者の鳥浜トメさんは、特攻出撃で命を失った若い日本兵を息子のように面倒を見て、兵士からも母親のように慕われました。その日本兵の中には朝鮮の出身者もいました。今は一階と二階が特攻関連の展示室になっています。

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万世の特攻平和祈念館。特攻関連の博物館では、特攻の原因を「戦争」という漠然とした一般論に求め、戦争はしてはなりませんと説明しますが、では誰がどんな経緯でその「戦争」を始めたかには全然触れません。また、特攻で死んだ若者に涙を流す人は多いですが、彼らを死なせたのは「戦争」ではありません。もし「戦争」が特攻の原因なら、第二次大戦に参戦した国の多くが、同じような「体当たり攻撃」をしていないとおかしいですが、実際には組織的に「体当たり攻撃」を繰り返し自国の兵士に行わせたのは、大日本帝国ただ一国でした。

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鹿屋の航空基地史料館にある特攻関連展示。近くには、体当たり用に設計された人間爆弾「桜花」の記念碑や、公園の高台に立つ特攻戦没者の慰霊碑があります。

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鹿児島南部の薩摩半島・指宿から大隅半島・根占に渡るフェリーの根占側の港のそばに、小型ボートで体当たり攻撃をした「海上挺進戦隊」の記念碑があります。

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鹿児島で買った本。特攻については『戦前回帰』で少し触れましたが、やはりあれだけでは不十分だと痛感しました。大勢の観光客で溢れた知覧とは対照的に、万世の特攻平和祈念館はほとんど貸し切り状態だったので、遺書などの展示物と遺影を計三回見て、来年書く本でどこに光をあてるべきかを、ソファで考えました。

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鹿児島からの帰りは、飛行機でなく新幹線を選択(西の新幹線は普通車でも二席二席でゆったりして快適)し、下関で途中下車して唐戸市場の近くで昼食を食べました(ふぐの刺身など)。

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下関にある日清講和記念館。春帆楼という割烹旅館の一室で1895年に行われた日清戦争の講和会議(下関条約)を、同地の敷地内で再現したミニ博物館で、本館は空襲で消失して戦後に再建されたが、1937年に建てられた記念館は無事でした。机や椅子は、伊藤博文や陸奥宗光、李鴻章らが使用したもの。


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さて、来月は朝日新書から新刊『中国共産党と人民解放軍』が刊行されます。20世紀初頭の中国共産党と工農紅軍(のちの中国人民解放軍)創設から現代までの、表題の2つの組織の足跡を追う内容で、二度にわたる国民党との内戦と、第二次大戦中の抗日戦争、台湾との争い、朝鮮戦争への「義勇軍」名目での軍事介入、ソ連やインドとの国境紛争、チベット問題と新疆ウイグル問題、文化大革命、中越戦争、天安門事件、尖閣諸島問題、南沙諸島問題、中国人民解放軍の組織と編制の変遷などを扱っています。この本の詳しい内容については、次回の更新でご紹介します。

また、12月には単行本『二つに分断された世界』(アルタープレス)が刊行されます。こちらは、副題の「東西冷戦史(一)」が示すように、20世紀後半の東西冷戦体制の始まりとアジアにおける東西冷戦の代理戦争を、政治や軍事、民族などの視点で読み解く内容です。各章では、国連の創設、ベルリン封鎖(1948年)、朝鮮戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争、ラオス・カンボジア紛争をカバーします。この単行本は、「戦史・紛争史叢書」というシリーズの第一巻で、第二巻は『終わらない中東の戦乱(仮)』、第三巻は『東西冷戦史(二) 憎しみの壁の崩壊(仮)』となる予定です。


【おまけ】

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台湾でいただいた美味いもの。羊の鍋、新竹のビーフン、モツの酢煮込み、その他。やっぱり台湾の食は外れなしです(唯一の例外は臭豆腐)。

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鹿児島でいただいた美味いもの。特に印象に残ったのは、枕崎で食べたカツオ料理でした。ぶえん鰹の刺身は、一本釣りした直後に急速冷凍したもので、想像を超える旨さ。鰹の頭(ビンタ)も結構サイズが大きくて、解体しながら鰹の香りが濃厚な身を味わいました。三重県も海の幸が豊富な県ですが、この絶品のカツオ料理はやはり産地に行かないと味わえません。

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地元産の豚肉を使用したとんかつは、指宿と鹿屋で2回食しました。

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鹿児島の印刷会社の人に「お薦めの名物料理は何ですか?」と聞いたら、鳥刺しという答えが返ってきましたが、確かに歯ごたえと味わいが絶品でした。

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九州名物のとんこつラーメン。いずれまた鹿児島に行きたいです。
 
 
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