2020年4月30日 [その他(戦史研究関係)]
新型コロナウイルスの感染拡大で、日本でも生活環境が変わった方が多いかと思います。いろいろと不便なことも多いですが、注意すべき問題を見極めながら、しぶとく生き延びていきましょう。
さて、まずは告知から。今月、晶文社より『街場の日韓論』という本が刊行されました。内田樹さんを中心に、私を含め11人の筆者が現下の日韓関係や両国間に存在する問題を読み解き、これからの道筋を模索する、という内容です。
私の担当章は「韓国のことを知らない日本人とその理由」。と言っても難しい話ではなく、私が中学生の頃から実際に経験した「韓国にまつわる話」を繋げて、なぜ知らないのか、一部の日本人はなぜ「知らせない努力」をするのかについて、考えを巡らせています。ある事実を主体的に「知ろうとする努力」の意味と共に、その事実を「知らせない努力」をして「隠す」人間が日本の一部にいるのはなぜか、という話も書きました。韓国人が自国の「不都合な事実」と対峙している事例も紹介。新型コロナ対応にも通じる話かも。
また、私個人が歩んできた足跡の「一端」も、今回初めて開示しました。他の寄稿者の方々の原稿も、とても興味深いので、幅広い読者の方々にお勧めします。
次に、先月初めに学研から「歴史群像」誌の4月号が刊行されました。私の担当記事「中南米諸国の第二次大戦」は、第二次大戦に関するほとんどの文献で無視されている(それゆえ参考文献は全部英語)、戦前と戦中における中米と南米の国々の立ち位置や動きを、政治と軍事の両面から解説する内容です。
南米諸国と良い関係を築いていた戦前のドイツ、真珠湾攻撃直後に対日宣戦布告した中米諸国としなかった南米諸国、戦闘部隊を連合軍に参加させたメキシコとブラジル、最後まで親ドイツ的姿勢だったアルゼンチンなど、幅広い内容をカバーしています。戦後、なぜナチの戦犯が逃亡先にアルゼンチンを選んだのかも、戦前と戦中からの流れを見れば腑に落ちます。
続いて、ネット記事も紹介。昨年、大阪・谷町六丁目の隆祥館書店で行った『歴史戦と思想戦』(集英社新書)刊行記念の内田樹さんとの対談が記事化されました。前編と後編の二つに分かれています。
「歴史戦」と「思想戦」の驚くべき共通点とは? 山崎雅弘×内田樹対談<前編>(週プレ)
「歴史戦」と「思想戦」の驚くべき共通点とは? 山崎雅弘×内田樹対談<後編>(週プレ)
また、昨年10月に東京・神楽坂の「神楽坂モノガタリ」で行った『歴史戦と思想戦』に関連する、ジャーナリストの望月衣塑子さんとの対談イベントの内容も、記事化されました。歴史修正の文脈で使われるトリックと、現在の政治問題で使われるトリックの類似性などについて説明しています。
政治家が使う言葉のトリックの見抜き方(集英社新書)
望月衣塑子さんとの対談より一部抜粋。
「日本人は、政府が何か言った際、善意で好意的に解釈してしまう人が多いように思います。でも、多くの民主主義国でメディアの情報に国民がどう接しているか、あるいはメディアが権力者にどう接しているかというと、『悪意があるかもしれない』と警戒し、決して言うことを鵜呑みにはしないのですね。特にジャーナリズムは、性善説的に権力者の言葉を紹介することは、まずない。『本当は裏があるのではないか』と常に警戒する。そこが今の日本のメディアと違うところです」
それから、毎日新聞ネット版の4月10日の記事「『国難だから政権批判するな』が生み出す『本当の国難』」に、私の電話インタビューの内容が引用されています。私の発言部分を一部抜粋します。
「『批判するな』という声には2種類あります。一つは権威主義者。『政府のやることなのだから正しいんだ。だからお上の邪魔をするな』という人ですね。もう一つは、政権擁護のため、批判を封じようとする人です。共通するのは、(略)政府に従い、『一丸』となるほうが良い結果を生む、という暗黙の前提です」「この前提は歴史的にも、論理的にも間違っています」「軍事の世界では、戦略を立て、これに当てはまるように戦術を組み立てます。(諸外国では)感染拡大を防ぎ、国民の命と生活を守る、という戦略と、個別政策である戦術がかみ合っている。筋が通っています」「(安倍政権は)支離滅裂です。戦略と戦術がかみ合っていない。端的に言えば、今の政府は先の戦争と同じように、戦略なしに決定を下しているようです」
さて、ツイッターでフォローされている方は既にご存知かもしれませんが、私は現在、ある裁判で当事者となっています。
その裁判がどのようにして提起されたかについては、以下の「ツイートまとめ」でご確認いただけます。
竹田恒泰氏の朝日町教育委員会主催の講演を批判したツイートについて
その後、内田樹さんが呼びかけ人となって、私の裁判を支援する「会」を起ち上げ、裁判費用の募金を集めてくださいました。
山崎雅弘さんの裁判を支援する会〈代表呼びかけ人・内田樹〉
4月30日現在、1200人を上回る賛同者の方々から、1100万円を超える寄付をお寄せいただきました。本当にありがたく、また心強く思っています。
私はこの件で人間として恥ずべきことは何もしておらず、裁判で負ける要素も見当たらないと理解していますので、毅然とした姿勢で対処していきます。特定の事柄を単に立証するだけでなく、その背景や構造も含む形で「徹底的に立証」する作業を、本を書く時と同じ手法と熱量で進めています。その成果は、代理人弁護士とも相談の上、いずれ何らかの形式で、全て公表いたします。
《おまけ》
4月5日に近所を散歩した時、通りすがりに撮った桜の写真(周囲は無人)。
新型ウイルスのせいで、お花見できなかった方々にもお裾分けです。
さて、まずは告知から。今月、晶文社より『街場の日韓論』という本が刊行されました。内田樹さんを中心に、私を含め11人の筆者が現下の日韓関係や両国間に存在する問題を読み解き、これからの道筋を模索する、という内容です。
私の担当章は「韓国のことを知らない日本人とその理由」。と言っても難しい話ではなく、私が中学生の頃から実際に経験した「韓国にまつわる話」を繋げて、なぜ知らないのか、一部の日本人はなぜ「知らせない努力」をするのかについて、考えを巡らせています。ある事実を主体的に「知ろうとする努力」の意味と共に、その事実を「知らせない努力」をして「隠す」人間が日本の一部にいるのはなぜか、という話も書きました。韓国人が自国の「不都合な事実」と対峙している事例も紹介。新型コロナ対応にも通じる話かも。
また、私個人が歩んできた足跡の「一端」も、今回初めて開示しました。他の寄稿者の方々の原稿も、とても興味深いので、幅広い読者の方々にお勧めします。
次に、先月初めに学研から「歴史群像」誌の4月号が刊行されました。私の担当記事「中南米諸国の第二次大戦」は、第二次大戦に関するほとんどの文献で無視されている(それゆえ参考文献は全部英語)、戦前と戦中における中米と南米の国々の立ち位置や動きを、政治と軍事の両面から解説する内容です。
南米諸国と良い関係を築いていた戦前のドイツ、真珠湾攻撃直後に対日宣戦布告した中米諸国としなかった南米諸国、戦闘部隊を連合軍に参加させたメキシコとブラジル、最後まで親ドイツ的姿勢だったアルゼンチンなど、幅広い内容をカバーしています。戦後、なぜナチの戦犯が逃亡先にアルゼンチンを選んだのかも、戦前と戦中からの流れを見れば腑に落ちます。
続いて、ネット記事も紹介。昨年、大阪・谷町六丁目の隆祥館書店で行った『歴史戦と思想戦』(集英社新書)刊行記念の内田樹さんとの対談が記事化されました。前編と後編の二つに分かれています。
「歴史戦」と「思想戦」の驚くべき共通点とは? 山崎雅弘×内田樹対談<前編>(週プレ)
「歴史戦」と「思想戦」の驚くべき共通点とは? 山崎雅弘×内田樹対談<後編>(週プレ)
また、昨年10月に東京・神楽坂の「神楽坂モノガタリ」で行った『歴史戦と思想戦』に関連する、ジャーナリストの望月衣塑子さんとの対談イベントの内容も、記事化されました。歴史修正の文脈で使われるトリックと、現在の政治問題で使われるトリックの類似性などについて説明しています。
政治家が使う言葉のトリックの見抜き方(集英社新書)
望月衣塑子さんとの対談より一部抜粋。
「日本人は、政府が何か言った際、善意で好意的に解釈してしまう人が多いように思います。でも、多くの民主主義国でメディアの情報に国民がどう接しているか、あるいはメディアが権力者にどう接しているかというと、『悪意があるかもしれない』と警戒し、決して言うことを鵜呑みにはしないのですね。特にジャーナリズムは、性善説的に権力者の言葉を紹介することは、まずない。『本当は裏があるのではないか』と常に警戒する。そこが今の日本のメディアと違うところです」
それから、毎日新聞ネット版の4月10日の記事「『国難だから政権批判するな』が生み出す『本当の国難』」に、私の電話インタビューの内容が引用されています。私の発言部分を一部抜粋します。
「『批判するな』という声には2種類あります。一つは権威主義者。『政府のやることなのだから正しいんだ。だからお上の邪魔をするな』という人ですね。もう一つは、政権擁護のため、批判を封じようとする人です。共通するのは、(略)政府に従い、『一丸』となるほうが良い結果を生む、という暗黙の前提です」「この前提は歴史的にも、論理的にも間違っています」「軍事の世界では、戦略を立て、これに当てはまるように戦術を組み立てます。(諸外国では)感染拡大を防ぎ、国民の命と生活を守る、という戦略と、個別政策である戦術がかみ合っている。筋が通っています」「(安倍政権は)支離滅裂です。戦略と戦術がかみ合っていない。端的に言えば、今の政府は先の戦争と同じように、戦略なしに決定を下しているようです」
さて、ツイッターでフォローされている方は既にご存知かもしれませんが、私は現在、ある裁判で当事者となっています。
その裁判がどのようにして提起されたかについては、以下の「ツイートまとめ」でご確認いただけます。
竹田恒泰氏の朝日町教育委員会主催の講演を批判したツイートについて
その後、内田樹さんが呼びかけ人となって、私の裁判を支援する「会」を起ち上げ、裁判費用の募金を集めてくださいました。
山崎雅弘さんの裁判を支援する会〈代表呼びかけ人・内田樹〉
4月30日現在、1200人を上回る賛同者の方々から、1100万円を超える寄付をお寄せいただきました。本当にありがたく、また心強く思っています。
私はこの件で人間として恥ずべきことは何もしておらず、裁判で負ける要素も見当たらないと理解していますので、毅然とした姿勢で対処していきます。特定の事柄を単に立証するだけでなく、その背景や構造も含む形で「徹底的に立証」する作業を、本を書く時と同じ手法と熱量で進めています。その成果は、代理人弁護士とも相談の上、いずれ何らかの形式で、全て公表いたします。
《おまけ》
4月5日に近所を散歩した時、通りすがりに撮った桜の写真(周囲は無人)。
新型ウイルスのせいで、お花見できなかった方々にもお裾分けです。
2020-04-30 23:58
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