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2020年12月31日 [その他(雑感・私生活など)]

うかうかしているうちに、2020年も最終日となってしまいました。先月もあれこれ忙しくて、ブログ更新の機会を逸しました。ということで、まず11月の出来事から。

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11月6日、「歴史群像」誌の12月号が発売されました。私の担当記事は「フランス領インドシナの第二次大戦」で、日本軍関係の戦史や昭和史の本にも「仏印」という名称で断片的に登場する、東南アジアのフランス植民地(現在のベトナム・ラオス・カンボジア)の第二次大戦(特に日本軍の軍事行動)との関わりを概説しています。

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1933年に始まった、日本とフランスの南沙諸島(現在、中国と周辺諸国およびアメリカとの間で紛糾の的となっている領域)の領有権争い等にも触れています。

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1941年12月に米英と戦争を始める際、東條首相は「アジア植民地の解放」を大義名分としましたが、1940年6月に本国政府がドイツへ降伏したあと枢軸国寄りの立場をとるフランスの植民地統治はそのまま尊重し、協力関係を築いて仏印の領土を兵站と航空機の基地として利用しました。つまり、ベトナム人等の独立運動を支援せず、逆に弾圧する側に立っていました。

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歴史群像」誌12月号の読者コーナーには、10月号に寄稿した「済州島4・3事件」と「歴史ボードゲームの楽しみ方」の記事への感想が寄せられていました。伝えたいことが読者にちゃんと伝わっている事実を知る時、筆者として大変うれしく思います。


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11月15日には、晶文社から内田樹さん編のアンソロジー本『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』が刊行されました。既存の社会システムの枠組みがあちこちで崩れて不安な気持ちになっているかもしれない中高生向けのメッセージ、という企画で、以前から若い世代に伝えたいと思っていたことを書きました。

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本の企画は「中高生向け」ですが、私はほとんど「いまの中学生」を念頭に置いて書きました。私が中学生だった頃、教師の振りかざす「内申書という脅しの武器」に萎縮して、振る舞いが縮こまっていった友人たちを思い出しながら。当時のそんな教育が、いまの日本社会の「あれやこれや」の原因でしょう。

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もちろん、一般の書店に並ぶ本ですから、同年代を含む「大人」の方々にも読んでいただきたいと思いつつ、今後の社会で必要になる「能力」を自分でみがく必要性についても論じました。これが正解だ、というような、マニュアル的な「答え」は何も用意していませんが、ぜひご覧いただければと思います。

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この本に関連して、私と同じく寄稿者の一人である青木真兵さん、奥さんの海青子さんのお宅(奈良県東吉野村にある人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」)で11月29日に収録した1時間ほどの鼎談が、以下のサイトで公開されています。

【ポスコロ期】いつも心に反抗を

過去にも何度か、同ネットラジオに出演していますが、今回は『ポスト・コロナ期を生きるきみたちへ』に寄稿した内容を軸に、自由や教育、批判や反抗が必要な理由などについて話しました。

私の担当記事のタイトルにある「図太く、しぶとく」という言葉は、私の心構えであるのと共に、新聞記者や教師を含む友人を励ます時にもよく使っている言葉です。理不尽や不条理と対峙し続けるのは大変ですが、ただ「お互い頑張りましょう」でなく「図太く、しぶとくでいきましょう」と。

「図太く、しぶとく」という言葉は、ちょっとワイルドな感じの表現ですが、この後に「礼儀正しく」を付け加えると、より私の真意が伝わるかと思います。「図太く、しぶとく」と「礼儀正しく」は両立可能で、後者が前者の説得力を増すはず。人は本来、もっと図太く、しぶとく生きていいはずなんです。

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12月に入ると、以前にインタビューを受けたことのある「Wezzy(ウェジー)」というネット媒体で「詭弁ハンター」という連載コラムがスタートしました。

日本の社会を徘徊して、いろいろなものを破壊する「詭弁」という怪物に光を当て、その構造を解剖して読み解き、だまされないような免疫を皆で共有するのが趣旨です。昔は、ジャーナリズムがこうした「人の認識を歪ませる権力者の詭弁」を見抜く役割を果たしていたはずですが、最近はもう期待できないので、市民側が自衛するしかありません。

12月5日に公開した第1回の記事は、「菅首相の国会答弁に隠された『5つの詭弁』を読み解く」というもので、日本学術会議の任命拒否に関連して、菅義偉首相が2020年11月25日の参院予算委員会で述べた、短い答弁に仕込まれた「5重の詭弁」を読み解く内容です。

菅首相の国会答弁に隠された『5つの詭弁』を読み解く

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12月30日に公開した第2回の記事も、「日本学術会議問題を『首相機関説』で読み解く」というテーマで、過去の「天皇機関説」を踏まえた「首相機関説」という観点から、任命拒否を正当化する菅首相の詭弁を読み解きます。

日本学術会議問題を『首相機関説』で読み解く

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12月28日には、22日に東京の隣町珈琲で収録した平川克美さんとの「ラジオデイズ」の対談「政治家とメディアのレゾンデートル」の音源がリリースされました。

特別対談「政治家とメディアのレゾンデートル」

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冒頭で、平川さんとの対談が3回目か4回目と言いましたが、7回目でした(うち1回は想田和弘さんを交えての鼎談)。今の報道メディア、特に政治部の問題点についても、率直に思うところを述べました。

今回を含めた7回の対談音源は、下のページで一覧できます。

ラジオデイズ 山崎雅弘(1〜7)

タイトルを見ると、メディアやジャーナリズムの話題が多いですが、過去の歴史を振り返ると、政治の腐敗と暴走は「報道メディア/ジャーナリズムの弱体化」が原因で起きる場合が多く、メディアの社会的責任は重いです。

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2020年は、公私共にいろいろな出来事があった年で、予定していた外国旅行(6月のイタリア、10月の台湾、11月の韓国)のキャンセルを強いられたのは残念でしたが、過去にデザインした歴史ボードゲームがアメリカと中国のメーカーから出版されたり、さまざまな面での収穫も多い一年でした。

来年も、仕事やそれ以外の活動で、今の自分にできることを考えながら、ベストを尽くす所存です。どうかご支援のほど、よろしくお願いいたします。

それでは、皆様も、よいお年を!

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(2020年12月21日に新幹線の車窓から撮影した富士山。この時は、まだ冠雪がありませんでした。)
 
 
 




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