2022年3月31日 [仕事関係のおさらい]
2月と3月に形となった仕事のおさらいです。
まず、3月発売の『歴史群像』最新号。今回の担当記事は、第二次大戦末期の東部戦線で繰り広げられた、東プロイセンとケーニヒスベルクの戦いを、独ソ双方の視点で詳述します。どちらも今の地図には存在しない地名ですが、そうなった理由についても最後で説明しています。
1945年のケーニヒスベルク攻略戦では、ソ連軍の方面軍司令官(上級大将)が前線視察中に戦死しましたが、普通は攻勢を仕掛ける側の将軍が戦死することは滅多にありません。しかし、今年2月24日に開始されたロシア軍のウクライナ侵攻では、ロシア軍の将軍や精鋭部隊指揮官がすでに6〜7人死んでいるとの情報です。近年の戦争では他に例がない、異様な展開になっている模様です。
次に、前回の投稿で紹介した2月10日発売の新刊『第二次世界大戦秘史』(朝日新書)ですが、発売一週間で重版、発売から三週間後の3月3日にはさらに重版(三刷)が決まりました。買って下さった皆様、ありがとうございます。この本で提示した「大国対周辺国」の図式は、現在のロシア・ウクライナ戦争の構図を考えるヒントにもなるのでは、と思います。一日も早く停戦が成立することを祈ります。
ネット媒体「プレジデントオンライン」に、『第二次世界大戦秘史』のあとがき(プーチンのソ連回帰志向などに言及)と同書で提示した「大国と周辺国」の図式でウクライナ危機を読み解く原稿を寄稿しました。これを書いたのは、ロシア軍の侵攻開始前日の2月23日で、最後に少し追記しました。
大国のパワーゲームではない…ロシアのウクライナ侵攻を報じる日本のメディアに欠けた視点
以下は、プレジデントオンラインの記事より。
雑誌「AERA」のネット媒体でも、『第二次世界大戦秘史』で取り上げた周辺国の大国への抵抗事例からロシア・ウクライナ戦争の構図を読むネット記事が公開されました。
過去の出来事が全てそのまま繰り返されることはありませんが、不透明な未来の道を探る手がかりとなる材料は、目を凝らせば見つかるはず。
「第二次世界大戦」中の和平交渉から学ぶ ロシアとウクライナの“妥結点”
また、6月25日に朝日カルチャーセンターで【大国とは別の視点から第二次世界大戦を読む 『第二次世界大戦秘史』で光を当てた20か国の事例】というオンライン講座を行う予定です。
ヨーロッパの「周辺国」が、いかにして「大国」の横暴に立ち向かったかという事例を紹介します。
大国とは別の視点から第二次世界大戦を読む
2月10日付の神奈川新聞朝刊に、私のインタビュー記事が掲載されました。テーマは、自民党政権が最近言及した「歴史戦」についてで、三年前に上梓した『歴史戦と思想戦』(集英社新書)で指摘した話を絡めて、その本質と目的を論じています。
紙面のスペースをしっかりとっていただき、また重要なポイントを漏らさず記事に含めた構成で、読者や社内からの反応も良かったとのこと。しばらくしたら、政府はまた「歴史戦」という言葉を持ち出し、政策の既成事実化を図るでしょう。
歴史問題を「日韓戦」や「日中戦」にすり替えて、日本人なら「日本政府側」に立つのが当然、そうしない奴は「反日」。冷静に考えれば、頭がどうかしていると気づくでしょうが、大声で威圧的に、集団の大合唱でこの妄言を繰り返せば、メディアも腰が引けて従います。けれども、歴史認識が政府の支配下に入ってどうなるかは、かつての大日本帝国や今のロシアが我々に教えるところです。
その『歴史戦と思想戦』について、Zoomで収録した解説動画が、ネット媒体「デモクラシータイムス」のYouTubeチャンネルで公開されました。44分ほどありますが、産経新聞と安倍晋三グループ(日本会議なども含む)が盛んに展開する「歴史戦」とは何かを解説しています。最後では『第二次世界大戦秘史』の話にも少し触れています。
山崎 雅弘 歴史戦と思想戦【著者に訊く!】20220223
上の画像は、デモクラシータイムスの『歴史戦と思想戦』動画で使うつもりで用意したものの、結局使わなかった説明画像3点。話した内容の一部を抜粋したものです。「歴史戦」の問題点、特に欺瞞のトリックと日本人および日本社会にとっての弊害の大きさを皆で理解するために、自由に拡散していただいて構いません。
さて、昨年刊行された『「自由」の危機』(集英社新書)に寄稿した「守るべきは自由」の文章が、本年度の某大学の入試問題で使われ、入試過去問題として大学ウェブサイトにも掲載したいとの依頼が。もちろん快諾しました。小学校から大学まで幅広く使っていただいて嬉しく思います。自由の価値を理解する人が増えて欲しい。
また、『歴史戦と思想戦』(集英社新書)の一部が某大学の入試問題に使用されたので、大学入試の過去問題集に収録したいという連絡もあり、もちろん快諾しました。既存秩序への無批判な服従を良しとする「権威主義」の風潮が広がる現状についても、若い人に考えていただけたら幸い。今の選択が将来を左右する。
それから、「週刊朝日」2月25日号の「『週刊朝日』が報じた大正・昭和・平成の大事件」に、私のコメントも少し掲載されています。「大日本帝国時代のもの」は「大日本帝国時代以前のもの」に修正し、「皇室を」の前に「天皇や皇族よりも」を挿入して読んで下さい。
今日はこのあと、8月に出す予定の新書の原稿を仕上げ、明日からは5月に出る別の新書の再校ゲラの仕事に取りかかります。
下は、先日車で訪れた鳥羽の海です。
まず、3月発売の『歴史群像』最新号。今回の担当記事は、第二次大戦末期の東部戦線で繰り広げられた、東プロイセンとケーニヒスベルクの戦いを、独ソ双方の視点で詳述します。どちらも今の地図には存在しない地名ですが、そうなった理由についても最後で説明しています。
1945年のケーニヒスベルク攻略戦では、ソ連軍の方面軍司令官(上級大将)が前線視察中に戦死しましたが、普通は攻勢を仕掛ける側の将軍が戦死することは滅多にありません。しかし、今年2月24日に開始されたロシア軍のウクライナ侵攻では、ロシア軍の将軍や精鋭部隊指揮官がすでに6〜7人死んでいるとの情報です。近年の戦争では他に例がない、異様な展開になっている模様です。
次に、前回の投稿で紹介した2月10日発売の新刊『第二次世界大戦秘史』(朝日新書)ですが、発売一週間で重版、発売から三週間後の3月3日にはさらに重版(三刷)が決まりました。買って下さった皆様、ありがとうございます。この本で提示した「大国対周辺国」の図式は、現在のロシア・ウクライナ戦争の構図を考えるヒントにもなるのでは、と思います。一日も早く停戦が成立することを祈ります。
ネット媒体「プレジデントオンライン」に、『第二次世界大戦秘史』のあとがき(プーチンのソ連回帰志向などに言及)と同書で提示した「大国と周辺国」の図式でウクライナ危機を読み解く原稿を寄稿しました。これを書いたのは、ロシア軍の侵攻開始前日の2月23日で、最後に少し追記しました。
大国のパワーゲームではない…ロシアのウクライナ侵攻を報じる日本のメディアに欠けた視点
以下は、プレジデントオンラインの記事より。
「戦争や紛争の発生を事前に回避するためには、それを引き起こす『力学』と『構造』を関係各国が理解し、軍事衝突を引き起こす『力点』と『作用点』を交渉で制御する必要があります。そこでは、特定の当事国から見た『善悪』や『正義』の概念は万能ではなく、それらの概念への過剰な固執は、逆に戦争や紛争の回避を妨げたり、勃発してしまった戦争や紛争の早期収束を阻む障害になることがあります」「ロシアとの戦争回避を意図したウクライナの『NATO加盟構想』が、逆にロシアとの戦争を引き寄せる効果を生み出しているのは、皮肉な展開だと言わざるを得ません」
雑誌「AERA」のネット媒体でも、『第二次世界大戦秘史』で取り上げた周辺国の大国への抵抗事例からロシア・ウクライナ戦争の構図を読むネット記事が公開されました。
過去の出来事が全てそのまま繰り返されることはありませんが、不透明な未来の道を探る手がかりとなる材料は、目を凝らせば見つかるはず。
「第二次世界大戦」中の和平交渉から学ぶ ロシアとウクライナの“妥結点”
また、6月25日に朝日カルチャーセンターで【大国とは別の視点から第二次世界大戦を読む 『第二次世界大戦秘史』で光を当てた20か国の事例】というオンライン講座を行う予定です。
ヨーロッパの「周辺国」が、いかにして「大国」の横暴に立ち向かったかという事例を紹介します。
大国とは別の視点から第二次世界大戦を読む
2月10日付の神奈川新聞朝刊に、私のインタビュー記事が掲載されました。テーマは、自民党政権が最近言及した「歴史戦」についてで、三年前に上梓した『歴史戦と思想戦』(集英社新書)で指摘した話を絡めて、その本質と目的を論じています。
紙面のスペースをしっかりとっていただき、また重要なポイントを漏らさず記事に含めた構成で、読者や社内からの反応も良かったとのこと。しばらくしたら、政府はまた「歴史戦」という言葉を持ち出し、政策の既成事実化を図るでしょう。
歴史問題を「日韓戦」や「日中戦」にすり替えて、日本人なら「日本政府側」に立つのが当然、そうしない奴は「反日」。冷静に考えれば、頭がどうかしていると気づくでしょうが、大声で威圧的に、集団の大合唱でこの妄言を繰り返せば、メディアも腰が引けて従います。けれども、歴史認識が政府の支配下に入ってどうなるかは、かつての大日本帝国や今のロシアが我々に教えるところです。
その『歴史戦と思想戦』について、Zoomで収録した解説動画が、ネット媒体「デモクラシータイムス」のYouTubeチャンネルで公開されました。44分ほどありますが、産経新聞と安倍晋三グループ(日本会議なども含む)が盛んに展開する「歴史戦」とは何かを解説しています。最後では『第二次世界大戦秘史』の話にも少し触れています。
山崎 雅弘 歴史戦と思想戦【著者に訊く!】20220223
上の画像は、デモクラシータイムスの『歴史戦と思想戦』動画で使うつもりで用意したものの、結局使わなかった説明画像3点。話した内容の一部を抜粋したものです。「歴史戦」の問題点、特に欺瞞のトリックと日本人および日本社会にとっての弊害の大きさを皆で理解するために、自由に拡散していただいて構いません。
さて、昨年刊行された『「自由」の危機』(集英社新書)に寄稿した「守るべきは自由」の文章が、本年度の某大学の入試問題で使われ、入試過去問題として大学ウェブサイトにも掲載したいとの依頼が。もちろん快諾しました。小学校から大学まで幅広く使っていただいて嬉しく思います。自由の価値を理解する人が増えて欲しい。
また、『歴史戦と思想戦』(集英社新書)の一部が某大学の入試問題に使用されたので、大学入試の過去問題集に収録したいという連絡もあり、もちろん快諾しました。既存秩序への無批判な服従を良しとする「権威主義」の風潮が広がる現状についても、若い人に考えていただけたら幸い。今の選択が将来を左右する。
それから、「週刊朝日」2月25日号の「『週刊朝日』が報じた大正・昭和・平成の大事件」に、私のコメントも少し掲載されています。「大日本帝国時代のもの」は「大日本帝国時代以前のもの」に修正し、「皇室を」の前に「天皇や皇族よりも」を挿入して読んで下さい。
今日はこのあと、8月に出す予定の新書の原稿を仕上げ、明日からは5月に出る別の新書の再校ゲラの仕事に取りかかります。
下は、先日車で訪れた鳥羽の海です。