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2022年5月31日 [仕事関係のおさらい]

2か月ぶりの更新です。まずは、今年二冊目の新刊のご紹介から。

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5月17日に『未完の敗戦』(集英社新書)が刊行されました。この国は、なぜ人を粗末に扱うのか、という社会問題の根源を多角的に検証すると、1945年の敗戦で社会から除去されたはずの「大日本帝国型の精神文化」があちこちに残っているからだという結論に至りました。

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タイトルの『未完の敗戦』とは、1945年の「敗戦」を日本はきちんと「完結」しなかった、つまり問題の根源である「大日本帝国型の精神文化」を社会から一掃できなかったがために、今また当時と同じ過ちを繰り返しているという意味です。

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その象徴が2021年夏の東京五輪(オリンピック・パラリンピック)の開催強行で、自民党の菅政権による、コロナ感染拡大中の東京五輪開催強行が、いかに人命を軽視した異常な暴挙であったか、NHKなどの大手メディアはそれにどう加担したかを、大量の資料に基づいて批判的に検証しています。

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帯に書かれているような日本社会の問題について「こういう問題がある」という指摘や批判は多いですが、それらに共通する根源的な原因を探る分析は、あるようで実は見当たらないように思います。本書は問題点の批判だけでなく、どうすればそこから脱却できるかという前向きな提言もしています。今ならまだ、前回「大日本帝国がたどった道」から市民が降りられる段階です。さらに加速すれば降りられない。人が粗末に扱われる精神文化は、もう止めにしましょう。

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5月17日の朝日新聞朝刊に掲載された『未完の敗戦』(集英社新書)の広告。隣の『フィンランド 幸せのメソッド』との対比がすごい。

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3年前の5月17日の朝日新聞朝刊に掲載された『歴史戦と思想戦』(集英社新書)の広告。『未完の敗戦』の中でも、大日本帝国を擁護する「歴史戦」について触れた箇所がありますが、重複を避けるため、要点のみに絞り込んでいます。併せて読んでいただければ、その箇所の理解がより深まるかと思います。

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集英社の情報誌『青春と読書』6月号には、私のインタビュー記事(6ページ)が掲載されています。主な内容は『未完の敗戦』の執筆意図ですが、プーチン大統領のウクライナ侵攻での思考や行動が、大日本帝国のそれと似通っている理由などの話題にも言及しました。一冊91円で、書店で注文できると思います。

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この『青春と読書』6月号に掲載された私のインタビュー記事は、ネット版で全文読める模様です。歴史の話が多いですが、どれも今の日本社会の問題点と繋がります。

『未完の敗戦』山崎雅弘さんに聞く「過去の誤った道を再び歩まないために──」(集英社 青春と読書)



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5月6日には、「歴史群像」誌の6月号(第173号)が発売されました。私の担当記事は「キエフ包囲戦」で、独ソ戦初期の1941年6月〜9月のウクライナ方面での戦いがメインですが、前史の部分ではキエフ(現キーウ)の町の起こりや、ロシア内戦期のウクライナが置かれた複雑な立場にも触れています。諸々の背景を知る参考になれば幸いです。

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歴史群像」誌の6月号(第173号)は、創刊30周年記念号でもありました。私が最初に同誌へ寄稿したのは1999年の第38号で、当時は季刊でしたが、第45号から隔月刊になりました。1999年から数えて23年間で、一度だけ寄稿をお休みしましたが、それ以外の計135号には毎号(時には2本)原稿を寄稿してきました。付録のボードゲームを計4回、グラフィックも含めてデザインしたこともあります。

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雑誌業界の栄華盛衰もある中で、同一誌に23年間も寄稿を続けてこられたのは、筆者としても感慨深いものがあります。ちなみに、それらの原稿の一部は、アマゾンkindleの電子書籍で個人出版していますので、興味のある方はご参照ください。近々、電子書籍の新刊も何冊か出します。

六角堂出版 電子書籍カタログ

ちなみに、7月発売予定の「歴史群像」誌次号の担当記事は「シリア内戦とロシア軍」です。対立の構図が複雑で全体像を把握しにくいシリア内戦ですが、ロシアの介入(前半は政治、後半は軍事)を軸に光を当てれば流れが読み取れると思います。ウクライナでのロシア軍の動きと重なる部分も多々あります。



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さて、4月13日、竹田恒泰氏が私に対して起こした裁判での最高裁判所の決定が下されました。

【竹田恒泰氏の上告は棄却、上告受理申立は不受理】

つまり、東京地裁での一審、東京高裁での二審に続き、こちら側の全面勝訴でした。ご支援いただいた皆様、ありがとうございました。

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この最高裁の決定を受けて、内田樹さんが総括するコメントを「裁判を支援する会」のサイトに寄せて下さいました。ありがとうございます。この「支援する会」のサイトでは、裁判の関連資料もいろいろ公開しています。

裁判を終えて(内田樹)

私も、「支援する会」のサイトにコメントを寄せました。裁判そのものは、こちら側の完全勝訴で終結しましたが、この裁判とその発端のツイートが示す日本社会の問題は、今もそのまま残っています。

最高裁判所の決定に関するご報告と、これからの行動計画について(山崎雅弘)

最高裁の決定書類は、以下のサイトでご覧いただけます。

2022年4月13日 最高裁決定資料

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4月21日の夕方、最高の弁護をしてくださった佃克彦さん、絶大なサポートをしてくださった内田樹さんと、全面勝訴を振り返る記者会見を行いました。その記者会見は、40分近くになりましたが、東京新聞の記事にある動画でノーカットでご覧頂けます。差別問題に関心のある方は、ぜひ最後までご覧ください。「裁判で私は被告の立場だったが、判決を読むと、原告の竹田氏を裁いたように感じた」という私の言葉も、記事中で紹介されています。

竹田恒泰氏の敗訴確定を受け、山崎雅弘氏らが会見「『日本は素晴らしい』も差別につながる」(東京新聞)


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弁護士ドットコムのサイトでも、一審勝訴、二審勝訴の会見と同様、最高裁勝訴の会見も丁寧に記事で紹介して下さいました。「明治天皇の玄孫」という枕詞(?)は、竹田恒泰氏本人が訴状に書いたことなので、こんな風に不名誉な形で使われても、すべて竹田恒泰氏の責任です。

竹田恒泰さんの敗訴確定 「差別主義者」ツイート訴訟 「裁かれたのは彼のほう」(弁護士ドットコム)


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日刊スポーツも、記者会見の内容を記事で紹介して下さいました。「人権侵害常習犯の差別主義者」という言葉を、私は他で使ったことはありませんが、東京地裁と東京高裁は、竹田恒泰氏の過去の言動を確認した上で、これは公正な論評であるとの判決を下し、最高裁判所もそれを支持しました。



この記者会見の翌日、東京の隣町珈琲で収録した、平川克美さんとの対談音源がリリースされました。

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ウクライナ情勢とスラップ訴訟について」というのは、他ではあまり見かけないタイトルですね。竹田裁判における完全勝訴の報告のあと、ロシア・ウクライナ戦争について所見を述べました。

【特別対談】山崎雅弘×平川克美「ウクライナ情勢とスラップ訴訟について」(ラジオデイズ)



ここからは告知です。

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6月19日(日)の午後、「ホロコースト教育資料センター」の主催で、ドイツ在住の中村美耶さんと「日本とドイツ それぞれの戦後」というテーマでZoom対談をします。中村さんは『未完の敗戦』第五章の259ページで書いた「ザクセンハウゼン強制収容所跡で仕事をする人」です。

対談では『未完の敗戦』第五章で触れた、戦後ドイツと戦後日本の「第二次大戦との向き合い方の違い」などについて、両国の実例を交えながら話す予定です。本の中で触れた、ドイツの戦争関連博物館で感じたことと、日本の戦争関連博物館で感じたことの大きな違いなども、より詳しく説明します。

先の戦争との向き合い方について「ドイツから学ぶ」と言うと、すぐに「ドイツを理想化する考えは」と論点をすり替える人がいますが、「学ぶ」とはドイツが理想だという意味ではなく、日本ができていないことをドイツはしているという程度の話です。日本はまだ、敗戦を「完結」させる作業において、スタートラインにも立っていないのでは、と思います。

日本とドイツ それぞれの戦後(詳細情報)



【おまけ】

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5月24日に伊勢志摩へ行きました。

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竹田裁判における完全勝訴や、今年刊行された新書二冊の売れ行き好調などのお礼の意味もあり、伊勢神宮の外宮と内宮へ。コロナの行動規制も徐々に緩んでいますが、この日はまだ人が少なく、静かな環境でした。

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内宮そばのお店でいただいた、地魚の手こね寿司。
 
 
 

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