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ベアズ・クロウ(熊の爪) ブログトップ
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2012年2月4日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今日は石田さんと、シックス・アングルズ第14号付録『ベアズ・クロウ』「スモレンスク」のリプレイ記事用対戦兼最終プレイテストを行いました。

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上は、第1ターンの最初のドイツ軍移動・戦闘フェイズ終了時の光景。リプレイ記事用の対戦ではいつも、ワンサイドな展開にならないよう祈りつつプレイを行うのですが、今回は幸いにも両軍とも拮抗した戦いとなり、最終的な勝利得点の差もわずかでした。

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最終的なルールの確認作業も完了し、これで「スモレンスク」は完成です。ゲームの仕上がりには、かなり満足しています。

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次回は「キエフ=ウマーニ」のリプレイ記事用対戦を近日中に行う予定。今回はリプレイ記事を2本掲載します。

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2012年1月28日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今週は、月曜日に『歴史群像』誌次号の担当記事「キューバ危機」の原稿を書き上げた後、シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』の製作関連作業で一週間を過ごしました。ようやく「スモレンスク」と「キエフ=ウマーニ」の2ゲームについて、完成の目処が立ちましたので、プレオーダーの正式な募集を開始いたします。

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シックス・アングルズ第14号
ベアズ・クロウ
3月20日プレオーダー発送予定
3月25日店頭発売予定

限定600部
小売価格 5460円(本体5200円)
プレオーダー価格 4935円(本体4700円)


シックス・アングルズ第14号の内容紹介ページ
※マップやユニット、チャート類の見本をご覧いただけます。

「ベアズ・クロウ」最新版ルール(2012年1月28日版)

ルール内容については、横浜でこのゲームのプレイテストをしていただいている堀場さんからのフィードバックも参考にした上で、いくつか追加の変更を加えました。ランダムチットで決定していた、両軍混合のフェイズ手順を廃止し、「スモレンスク」と「キエフ=ウマーニ」で固定したこともその一つです。

ランダムチットによる手順の判定は、遭遇戦特有の緊張感を出したいという意図で導入したものですが、ターン数が短いこのゲームでは、ちょっとした偏りがゲーム全体に及ぼす影響が大きく、またチットの偏りに起因するバランスを調整するための追加の制約が必要になります。その結果、付加的制約のルールが次々と生まれましたが、それによってゲームシステムのシンプルさが失われ、手順判定に伴う「手間」の割には、それに見合う効果が得られないということで、思い切ってランダムチットの要素を排除することにしました。

実を言うと、私の方での最終段階における確認テストの一部は、「チットによるバランス変動を避ける」目的で、最終的に決めたのと同じ手順で固定して行っていたので、固定した場合のメリットとデメリットも既にある程度確認済みでした。

このゲームの主題(テーマ)は、周到な連携を欠いた「場当たり的」行動ではあるものの、直撃を食らえばドイツ軍も無傷では済まないという、バルバロッサ作戦初期におけるソ連赤軍の反撃戦力の(熊の爪にも似た)「凶暴さと脆さ」を、シンプルな形でゲーム化することにありました。「スモレンスク」も「キエフ=ウマーニ」も、当初の企画どおり、全てのターンにおいて独ソ両軍が「攻撃と防御」を行えるゲームに仕上がっており、この最優先課題をより明瞭に浮かび上がらせる意味でも、それ以外の要素には煩雑さが生じないような(つまり可能な限り簡潔な)処理にすべきかと考えました。

商品の価格については、以前の告知では「4500円で800部発行」とお知らせしていましたが、印刷コスト等の諸事情により、そこまで価格を下げることはできませんでした。なにとぞ、ご了承ください。

なお、以前にこの製品のプレオーダーをメールで下さった方が何人かおられましたが、その時にメール送受信に使っていたマシンが昨年夏に突然壊れてしまったため、データを読み取ることができなくなってしまいました。そのため、今回はいったん過去の記録をリセットさせていただき、今回は最初の桁が「5」で始まる3桁のご予約番号(例えば501など)を、プレオーダーメールの返信でお送りいたしますので、もし以前にプレオーダーのメールを下さった方で、まだ「5」で始まる3桁のご予約番号をお持ちでない方がおられましたら、お手数ですが再度、メールをいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

シックス・アングルズ公式ページ



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2012年1月10日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

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昨日、シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』の「スモレンスク」と「キエフ=ウマーニ」のプレイテストを、石田さんと行いました。

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「スモレンスク」終了時の状況。ドイツ軍はかろうじてスモレンスクとエリニャを占領したものの、ソ連軍が果敢に実行した反撃によるVP獲得が奏功し、ぎりぎりでソ連軍の勝利。

スモレンスク」の方は、特に問題も見つからずに白熱したプレイとなり、結果はソ連軍39VP対ドイツ軍38VPで、ソ連軍の辛勝となりました。一方、「キエフ=ウマーニ」の方は、だいぶ仕上がってきたと思いますが、ルールとソ連軍ユニットにいくつか修正すべき点が見つかり、訂正版のコンポーネントを今日作成しました。

ルールの方は、ほぼ固まってきた感じで、大きな変更はもう生じないと思われるので、プレオーダーの判断材料にしていただければと思い、PDF版をネットで公開いたします。

『ベアズ・クロウ』ルールPDF(1.1MB)

スモレンスク」も「キエフ=ウマーニ」も、慣れれば1回のプレイを2時間30分から3時間くらいで終わらせられ、ドイツ軍だけでなくソ連軍プレイヤーも積極的な攻撃を仕掛けられるゲームに仕上がっています。プレイテストを重ねることで、極端なチット引きの偏りに対しても対策のルールをいろいろと講じているので、チットの順番で勝敗が左右されるような心配は無くなったと思います。

もう少ししたら、正式なプレオーダーの募集も開始します。プレオーダーの発送は、予定より1か月遅らせて、3月20日前後にしようかと検討中です。興味のある方は、ぜひ楽しみにしていてください。
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2011年12月23日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今週は、シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』の「スモレンスク」と「キエフ=ウマーニ」のプレイテストとディヴェロップ作業を精力的に行っています。今日は、石田さんと「キエフ=ウマーニ」の対戦テストでした。担当を入れ替えて、最終ターンまでを計3回プレイしました。1回のプレイ時間は、2時間15分から30分くらいです。

両ゲームとも、問題点の洗い出しも進み、かなり展開が安定してきた印象です。来年初頭には、完成させてお手元に届けることができれば、と考えています。

《スモレンスク》
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《キエフ=ウマーニ》
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エクスキャリバー社の『バトル・フォー・スターリングラード』は、いまだ商品が到着しておりません。引き続き、炒り豆をかじりつつ、対馬海峡で商品の到着を待ち続けます。

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2011年11月27日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今日は東京からお仕事で名古屋に出張されていた某議員秘書のケン先生と、自宅で『ベアズ・クロウ』の一作「キエフ=ウマーニ」のプレイテストを行いました。当初は石田さんも来られる予定でしたが、こちらはお仕事の都合で見送りに。残念。

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ゲームは、ソ連赤軍のルーツクとドゥブノでの反撃が開始された1941年6月26日(独ソ開戦から5日目)から始まり、第1ターンの最初の手順は自動的にソ連側となります。立場を入れ替えて2回プレイしましたが、問題点の洗い出しやゲームバランスの調整、そして「より面白くするための工夫」に関して、非常に有益なフィードバックを得ることができました。ケン先生、ご多忙のところ名張までお越しいただき、また参考になるご意見を多々いただき、ありがとうございました。

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南部戦域では、ドイツ軍は相対的な戦車(機械化)戦力において「スモレンスク」ほどの優位を得ておらず、逆にソ連軍の機械化軍団の強力な波状反撃と共にゲームがスタートするので、枢軸軍プレイヤーの心理的なショックは結構大きいです。ただ、ソ連軍の狙撃兵ユニットが基本的に2個狙撃兵師団の「スモレンスク」とは異なり、「キエフ=ウマーニ」では1個狙撃兵軍団(3個師団)となっており、ユニットの密度が薄いため、ドイツ軍は浸透移動を駆使して敵陣を崩すことに成功すれば、史実のウマーニ包囲戦のような包囲殲滅や大突破も不可能ではありません。

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私のところでの「キエフ=ウマーニ」のテストと並行して、「スモレンスク」のテストも横浜の堀場さんと名古屋のKMTさんにお願いしており、ゲームの開発は着々と進行中です。興味のある方は、ぜひ来年に予定している発売を楽しみにしていてください。

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2010年9月7日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今日は、ひさしぶりにゲームデザインの話題です。現在執筆中のハードカバー本は、以前の記事でお伝えしましたように、1920年代の独ソ軍事協力から書き起こし、作戦の失敗が明白となる1942年初頭までの「バルバロッサ作戦」の推移をメインに描いているのですが、執筆に際しての事実関係の再調査と分析の過程で、現在製作中のゲーム『ベアズ・クロウ』の仕様を、大幅に見直した方がよいという考えに至りました。

当初の企画では、ハーフサイズの「スモレンスク」と「ルーツク=ドゥブノ」、そしてクォーターサイズの「ドヴィンスク」の3ゲームセットという仕様にするつもりでした。そして、「スモレンスク」は7月11日から8月9日までのスモレンスク会戦を扱い、「ルーツク=ドゥブノ」は6月22日の独ソ開戦から7月12日までの「ルーツク=ドゥブノ戦車戦とそれに続くスターリン線の突破」をカバーしたゲームとし、最後の「ドヴィンスク」は上記2ゲームと共通するシステムを使用して、開戦からドヴィンスクの渡河点確保、ソ連軍の反撃の撃退までを扱う、練習用のミニゲームという位置づけで考えていました。

しかし、当時の作戦経過とそれが両軍の指導部に及ぼした影響を改めて調査・分析し直した結果、「スモレンスク」については現在の仕様でほぼ問題ないと思われるものの、残りの2つについては、テーマの修正をすべきだという認識に至りました。具体的に言うと、「ルーツク=ドゥブノ」は国境からスターリン線という当初の構図ではなく、6月26日の「ルーツク=ドゥブノ戦車戦」開始から、スターリン線の攻防を経て、いわゆる「ジトミール回廊」におけるソ連軍の第二次反撃と、それに起因するドイツ軍の方針変更(7月19日の「総統訓令第33号」)までを、ゲームの「テーマ」とするべきかと思いました。

そして、ゲームマップの領域は全体的に東へとずらして、地図の北東端と南東端附近にキエフとウマーニの両都市を含め、ドイツ軍プレイヤーが最終的な戦略目標として「リスクの高いキエフへの直接攻撃」か、または「敵兵力の撃滅を優先する(堅実な)ウマーニ包囲戦」を自分で決断できるようにしようと考えています。6月26日からの「ルーツク=ドゥブノ戦車戦」と、7月10日からの「ジトミール回廊での反撃」により、ドイツ第1装甲集団は南北からの挟撃を受けて二度危機的な状況に陥り、このまま側面の敵兵力を放置してキエフへと楔状に突進したのでは、今度こそ先陣の装甲師団が包囲殲滅されるとの懸念が、ヒトラーと南方軍集団司令官ルントシュテットの共通認識となりました。

その結果、7月19日の「総統訓令第33号」では、キエフ市の早期占領ではなく、第1装甲集団の南に展開する敵兵力の包囲殲滅が先決だとする方針が明確化され、第1装甲集団は南に旋回して、ウマーニで敵の退路を断つという作戦へと移行することになりました。こうした経緯を考慮すれば、以前の記事でご紹介しました『ベアズ・クロウ』の基本コンセプトである「ソ連軍の稚拙ではあるが絶え間ない反撃の繰り返しが、ドイツ軍に少しずつ衝撃を与え、最終的には基本戦略を歪める効果をもたらした」というテーマをより的確に表現するためには、地図の東端をスターリン線ではなくキエフとウマーニにした方が望ましいという風に考えた次第です。この変更に伴って、ゲーム名も「キエフ」へと改名します。

一方、北方軍集団の戦区でも、ほぼ同時期に同様な事情で、ドイツ軍は7月19日の「総統訓令第33号」により、第4装甲集団のレニングラードへの攻勢は、ソ連軍の抵抗の強さに鑑み、後続の歩兵が到着する8月初頭まで延期するとの決定が下されていました。独ソ戦史に詳しい方ならご存知のとおり、第4装甲集団は第41と第56の二個装甲軍団しか持たず、中央軍集団戦区で見られたような「大包囲による敵部隊の殲滅」という作戦はとれない状況にありました。そして、ドヴィンスクで西ドヴィナ川を渡河した後、第4装甲集団は、両装甲軍団を集中して運用すべきか、それとも左右から敵の防御を突き崩すべきかという選択を何度も迫られ、結局後者の方針を採用して、第41装甲軍団は左翼へ、第56装甲軍団には右翼への突進が命じられることとなりました。

しかし、ソ連軍は限られた兵力をこの二本の槍の「矛先」に向けて、石つぶてを投げるようにして叩きつけ、第56装甲軍団はソリツィで包囲殲滅の危機に直面することになります(この辺りの戦いをカバーしているのが、GMT社の『ロード・トゥ・レニングラード』です)。一方、ルガ川の下流に位置するサブスクとポレチェでも、ソ連側は老元帥ヴォロシーロフの陣頭指揮により、第41装甲軍団がルガ川に築いた橋頭堡に対して、自軍の損害度外視で反撃を繰り返し、ヒトラーと北方軍集団司令官レープに大きな衝撃を与えました。そして、この衝撃こそが、先に述べた「総統訓令第33号」による、レニングラードへの進撃停止という「ドイツ軍の方針転換」を引き起こす結果となります。

こうした史実を考えれば、北方軍集団の戦区に関しても、練習用のオマケのミニゲームとしての(つまり作戦上の選択の幅がきわめて少ない)「ドヴィンスク」よりも、ドイツ軍プレイヤーが第4装甲集団の貴重な装甲師団(第1、第6、第8)と自動車化歩兵師団群をどのように運用し、作戦の重点をどこに向けるかを自分で決断できるゲームに仕上げた方が、ユーザーの方にも喜ばれるのではないかという気がしてきました。そこで、ミニゲーム「ドヴィンスク」の企画はいったんキャンセルし、プスコフとオストロフ周辺のスターリン線から、レニングラードおよびヴォルホフまでをマップに収める、ハーフサイズのゲーム「レニングラード」を新たにデザインすることにしました。

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上は、『マザーランド』のマップ上で見た、『ベアズ・クロウ』3ゲームの地図領域です(この領域をハーフサイズに拡大するので、ヘクスのサイズは全く異なります)。「スモレンスク」(青)は同じですが(以前の記事を参照)、北部は「国境からドヴィンスク」ではなく「オストロフからレニングラード」を収める黄色い領域となります。また、南部でも「国境からスターリン線(ジトミール、ベルディチェフ)」ではなく「ルーツクからキエフ」を収めた形のマップに作り直します(ピンク色の領域)。

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実際のデザイン作業は、早くても11月頃になりますが、テストの報告なども随時ご紹介していきますので、興味のある方はぜひご期待ください。
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2010年4月5日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

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昨日は、自宅で石田さんと『ベアズ・クロウ』の「スモレンスク」を2回テストしました。戦闘結果表を含め、基本システムの骨格部分は『モスクワ攻防戦』と同じルールを使っていることもあり、テストは予想以上にいい具合で進み、2人ともゲームをたっぷり楽しめました。ちなみに、プレイに要した時間は、両軍ともそれなりにじっくり考えながらプレイして、1回目が3時間、2回目が3時間と5分で、想定目標の1つである「1日で表裏をプレイできるゲーム」というハードルはクリアできたようです。

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初期配置。

以前の記事でお知らせした点(チットによるゲーム手順の流動化、ソ連軍の反撃義務など)に加えて、この『ベアズ・クロウ』システムの特徴的なルールを少し列挙すると、まず「ソ連軍が複数ユニットで攻撃を実行する場合、攻撃力をフルに使用できるのは(戦力確認などを行う前にソ連軍プレイヤーが宣言した)1ユニットのみで、残りのユニットは攻撃力の半分(端数はユニットごとに切り上げ)しか使えない」というものがあります。

これは、先日の記事で触れた通り、文庫本『ポーランド電撃戦』の執筆中に思いついたルールで、第二次世界大戦序盤のポーランド軍やフランス軍、独ソ戦初期のソ連軍など、部隊間の通信や連携でドイツ軍と比較して大きく劣っていた側に適用することで、豊富な戦力を有していながら、それを有効に活用できず、ドイツ軍に対して(相対的に)稚拙な戦い方しかできなかった様子を表現するルールです。昨日のテストでも、このルールはシンプルでありながらかなり有効に機能していることが確認できました。

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第1ターン終了時。

また、両軍ともスタック禁止(ソ連軍司令部のみ味方戦闘ユニットとスタック可)なので、ドイツ軍は1ユニットずつで前線を形成しなくてはならず、ソ連軍の反撃にはきわめて脆弱な態勢です。1941年6月から7月のドイツ軍は「攻勢」と「前進」を優先する態勢にあり、防御陣地の構築などは行っていなかったので、ドイツ軍は戦争序盤に大きく前進できた半面、ソ連軍の反撃によって少なくない人的損害を被っています(空軍のシュトゥーカがソ連軍の攻勢を挫折させたお陰で大敗の危機を脱した事例も、数多くありました)。

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第2ターン終了時。

ちなみに、「スモレンスク」におけるドイツ軍の初期配置ユニットは、計14個ですが、1個騎兵師団を除いて装甲師団と自動車化師団です。こう書くと、ドイツ軍はかなり有利な展開のようですが、実際にはソ連軍機械化軍団の反撃力が強力なので、うかつに敵陣への突破や浸透などは行えず、増援として歩兵師団が大量に出てくるまでは、限定的な「小規模包囲」しかできません。そして、歩兵師団が側面と後方を守れるような態勢ができた段階で、ようやくドイツ軍は大規模包囲を念頭に置いた「電撃戦」を展開することができるようになります。このゲームをプレイされれば、華やかな装甲部隊や自動車化部隊の陰に隠れた、電撃戦を影で支えた「縁の下の力持ち的」な存在である歩兵部隊の重要性を、改めて認識できるかもしれません。

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第3ターン終了時。

私と石田さんが以前にソロでテストした結果を踏まえて、ソ連軍の機械化軍団の攻撃力を思い切って増強してみた(最初に作ったバージョンでは、ソ連軍機械化軍団の攻撃力は9前後でした)のですが、これが正解だったようで、ソ連軍プレイヤーは「反撃義務」というルールが無くても、ゲームに勝つために、積極的に(中身を伴った)反撃を各地で敢行するという展開になりました。『モスクワ攻防戦』では、序盤のソ連軍はひたすら耐えるしかありませんでしたが、「スモレンスク」のソ連軍は、第1ターンの最初の自軍フェイズからドイツ軍を「殴る」ことができ、プレイ中は独ソ両軍が壮絶な「殴り合い」を行えるゲームになっています。

1回目のテストでは、ドイツ軍は『モスクワ攻防戦』の感覚で装甲部隊や自動車化部隊をどんどん戦線の背後に浸透させたところ、攻撃力20前後という恐ろしい機械化軍団の猛反撃により、各個撃破されてソ連軍の勝利に終わりました。赤い熊の鋭い爪を甘く見ていると、痛い目に遭うという反省から、2回目のテストでは「熊」の足を止めたり背後から叩いたり、という間接的手段で牽制した後、第2ターン終盤に一瞬のチャンスを活かして、敵主力後方の補給線を断つことで弱らせるという戦法が幸いにも成功し(手順がチット次第なので毎回うまくいくとは限りませんが)、最終的にドイツ軍の勝利となりました。

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ユニットの見本。

勝利得点のルールは、以前の記事でもご紹介した通り、第2ターン終了時にチットで判明する「戦略目標」によって、終了時に計算するポイントの数値が多少変動します。基本的には、自軍が占領下に置いている(ドイツ軍の場合は自軍補給源まで連絡線を設定できる必要あり)地図上の勝利得点ヘクスごとに、印刷された丸数字のVPを獲得できますが、「戦略目標(A、B、C)」と同じ記号の勝利得点ヘクスは、VPの数値が2倍になります。この「戦略目標」とは、このゲームが終わった後に中央軍集団が進撃する、ヒトラーによって決定された方向性を示しており、ドイツ軍プレイヤーは全3ターン中の2ターンが終わった時点でようやく、この戦略方針の情報を知ることができます(ソ連軍プレイヤーはゲーム終了まで知ることができません)。「スモレンスク」の場合、Aはモスクワ直進、Bはキエフ転進、Cはレニングラード転進を、それぞれ表しています。

もちろん、まだ対戦テストが2回だけの状態で結論を出すのは尚早ですし、「ルーツク=ドゥブノ」や「ドヴィンスク」の内容も確かめないといけませんが、1日に2回以上プレイできるサイズということもあり、年内発売に向けてさらに精力的に、プレイテストを継続していきます。興味のある方は、ぜひ楽しみにしていてください。
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2009年12月9日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

文庫本「ポーランド1939」の執筆に全力投球の日々ですが、今日はひさびさに「ベアズ・クロウ」の話題など。うまく行けば、来年後半に発売できるかと想定しています「ベアズ・クロウ」ですが、今日の朝目覚めた時、ぼんやりとした頭でふと「値段を下げてみようか」と思いました。

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これまでのシックス・アングルズ製品は、私のオリジナル作品も、SPIなどの「レトロスペクティブ・シリーズ」も、同じ基準、つまり「フルサイズのマップ1枚なら5800円+税、2枚なら6800円+税」という価格設定で、販売してきました(「クルスク大戦車戦」のみ、ユニットとチャートが多いためマップ1枚ですが後者です)。この設定を考案した当初は、自分が出すゲームの「適正価格」がどのくらいなのかという確信が持てなかったため、事業失敗のリスクを極力減らせるような基準にして、とりあえず少し続けてみようと思いました。

「レトロスペクティブ・シリーズ」については、版権(ライセンス版の日本での製造販売権)取得契約時の条件である「上限800冊」を製造し、それが1年前後で完売する(別冊第4号「砂漠のキツネ」もあと少しなんですが、最後の伸びが足りません)という、ほぼ私の想定した通りの展開になっています。しかし、私のオリジナル・デザインのゲームが付いた号については、部数を1300冊(第9号)から1000冊(第10号)、800冊(第11号と第12号)、そして600冊(第13号)に縮小してもなお、なかなか完売には至っていない状況です。

こうなっている原因は、シックス・アングルズ製品を買って下さっているお客さんの一部が、「レトロスペクティブ・シリーズ」の製品と比較して、私のオリジナル作品に「同等のお金を支払う価値がある」とは考えておられないからだろうと思います。旧SPIのゲームには、ブランド価値に加えて、やはり他の類似品にはない「付加価値」があるからこそ、現在の価格でバランスよく売れているわけですが、私の作ったゲームには、「フルサイズのマップ1枚なら5800円+税、2枚なら6800円+税」という価値はない、と見なす方が少なからずおられるというのが、厳然とした「市場」の評価であるようです。

そうなると、今後の事業展開をどうするかという問題になるわけですが、1冊を制作するのに要するコストは、部数を減らせば減らすほどアップしてしまうので、600冊からさらに500冊へと減らすと言う「後退戦略」では、事態の打開にはつながらないことは明白です。

そこで、第14号では実験的に、価格を「税込み4500円(本体4286円)」にして、部数を800冊に戻してみようかと考えています(まだ最終決定ではありませんが)。計算してみると、本体5800円で500冊売れた場合よりも、税込み4500円で700冊売れた場合の方が、売上げの金額は少しだけ多くなります。なので、製造時に600冊と800冊で見積もりをとって、両者の差がそれほど大きくなければ、後者の設定でいこうかと考えたのです。

私は以前にも書きましたとおり、物の売り買いそのものよりも、物づくりに喜びを感じるタイプの人間です(もちろん、私の作った製品を買って下さる方が数百人もいてくださるというのは大きな喜びであり、感謝しています)。それゆえ、自分の作ったものに適正な価格をつけるという作業について、最初からズバリと「最適解」を見出すことはできないので、試行錯誤しながら修正していくしかないわけですが、そろそろ今までの経験とデータの蓄積を活かして、事業の全体や細部について「見直し」をする時期かとも思いますし、価格の高さがネックになって購入を控えられていた方にも私の作ったゲームを楽しんでもらえるようになれば、誰にとっても望ましい方向へと状況を変えられるのではないかと思います。

コマンドさんやゲームジャーナルさんと比較すると、これでもまだ少し高いですが、あとは「品質の高さ」や「内容の濃さ」でお客さんの評価を仰ぐ努力をしていきたいと思います。

それから、明日の10日から16日までの一週間、ドイツのベルリンとポーランドのワルシャワへと出かけてきます。この間、ネットには接続せず、メールチェックも行いませんので、いただいたメールへの対応などができなくなりますことを、ご了承いただければ幸いです。「マザーランド」のマップでは、ヘルシンキとタリンに続いて3ヘクス目の探索となりますが、さっき海外天気予報を見たら、私が訪問する日のワルシャワの予想気温は最高1度、最低マイナス6度とか。う~ん、ついに、ウォトカの出番か…。
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2009年11月9日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

昨日、原稿執筆の休憩時間に、「ベアズ・クロウ」のシェイクダウン・テストを少しやってみました。まだ開発の初期段階なので、プレイごとに修正点がいろいろ見つかり、ルールも流動的ですが、感触は悪くない感じです。

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ソロでプレイしてみたところ、「スモレンスク」のプレイ時間は1時間30分ほどでした。短ければよいというわけではなく、作戦や戦略を考える「面白さ」がないと意味がないわけですが、ルールを削るよりも追加する方がシステム的には無理がないので、年明けに本格的なテストを開始する段階では、そういった「クローム(特色)」の追求にも力を入れるつもりです。

ところで、もうご覧になった方も多いかと思いますが、国際通信社さんの「日露戦争」の動画がなかなかすごい。音楽もそれっぽい(「それ」って何?)し、映画風にスクラッチが入っているのも泣かせます。

http://a-gameshop.com/index.html

こちらは「関ケ原戦役」の動画群。ルール説明の動画が秀逸です。

http://wargamejapan.jp/contents/003/index.html#movie

私もこの業界はかなり長い方ですが、これほどインパクトのある「(紙製)シミュレーション・ゲームの広告」を観たのは初めてです。これを制作された方は、よい仕事をされていると思いました。
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2009年10月31日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

昨日は、シックス・アングルズ製品の校正ボランティアをいつもお願いしている興津雅治さんとなんばでお会いして、呑みながらいろいろお話しました。興津さんも私と同年代で、ゲーム歴や「始めた頃のエピソード」をうかがったところ似通っている部分が多々あり、やっぱり今この業界に残っている人間の大半は、「われわれ世代」なんだろうかと実感しました。

千日前の(いつもの)鶏居酒屋で飲み食いした後、第2ターンは周防町にある興津さんのなじみのショットバーに行きましたが、そこのバーテンダーさん(私より5歳ほど若い)は、大昔に「関ケ原」の(紙製)シミュレーション・ゲームをやったことがあるというのでびっくり。けれども結局「手間がかからず」「時間の融通もつけやすい」コンピュータのゲームに移行したそうで。私も生まれるのが5年遅かったら、今こうやってシックス・アングルズを自費で出したりしていたかどうか、かなり疑わしい部分があります。

興津さんは、ゲーム以外にもダーツなどの趣味をお持ちとのことで、ダーツ大会のお話などうかがっているうちに、私もやってみたくなりました。そういえば最近、名張駅前にダーツバーができたようなので、一度妻と行ってみます。

ベアズ・クロウ」の制作は、地図と駒、ルールの初版が完成し、あとはチャートを整理すればテストを開始できます。下は、マップの見本画像。「スモレンスク」も「ルーツク=ドゥブノ」もハーフサイズで、プレイしやすいよう、ヘクスは大き目に作っています(対辺間が2センチ、ユニットの1辺は1.25センチ)。

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スモレンスク。北はヴェリキエ・ルキ、南はゴメリまで入っています。東はイェリニャの少し先まで。黄色囲みのヘクスが「勝利得点ヘクス」(A、B、Cの記号つき)で、赤色囲みのヘクスは「重要目標ヘクス」です(これらの位置は、テストの結果を見て修正する可能性があります)。

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ルーツク=ドゥブノ。この画像の「上」は東ですが、ダウンロードしていただいて、時計回りに90度回転させると、北が上になります。東西は、リヴォフからジトミールまで。地図上の陣地線は「モロトフ・ライン」(新国境)と「スターリン・ライン」(旧国境)です。
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