2014年10月8日 [パンツァークリーク]
今日は、シックス・アングルズ関連で告知が2つあります。
まず一つ目は、別冊第10号『パンツァークリーク』の正誤表です。これは、9月18日にサイトの商品ページには反映していたのですが、うっかりしてブログでの告知を失念していました。ゲームをお持ちの方は、参考にしてください。今回も間違いを出してしまい、大変申し訳ありません。
《訂正》
1)シナリオ1用シナリオ展開表のソ連軍ユニットの初期配置で、配置ヘクス「F」に3つの戦闘が指定されていますが、5-7狙撃兵の下にある(F:1)は誤りで、削除してください。AからEまでは、そのままです。
《Q&A》
Q1 10.1項 ある攻撃に参加する複数の攻撃側ユニットは、すべて同一の司令部に統制されていなくてはならないのか? あるいは、複数の司令部に統制されていても一緒に攻撃を行えるのか?
A1 後者が正解です。一つの攻撃に参加する複数の攻撃側ユニットは、異なる司令部に統制されていてもかまいません。
Q2 10.46項 ルールには「実際に使用した(つまり修正後の)『追加戦闘力』値を、ユニットの戦闘力として計算」とあるが、Q&AのA12では「印刷された(各種修整が適用される前の)戦闘力」となっていて、矛盾しているように見えるが?
A2 A12の説明は、戦闘ユニットの戦闘力計算についての説明で、地形や補給切れなどの「修正」が適用される前の数字を使用します。一方、10.46項の将軍や砲兵については、一緒にスタックしている戦闘ユニットの戦闘力を上限とする「制限」があるので、「制限」が適用された後の数字を使用します。
Q3 11.13項 ルールには「修正後の戦闘力合計を上限として」とあるが、Q&AのA16では「印刷された戦闘力が6なので、加算の上限は6となり」となっていて、矛盾しているように見えるが?
A3 これはQ&AのA16が正解です。指揮官の追加戦闘力は、1)一緒にスタックしている戦闘ユニットの『印刷された』戦闘力値を超えることができず、2)もし一緒にスタックしている戦闘ユニットの戦闘力値が地形などの修正により『印刷された』数値より低くなれば、その修正後の数値を上限として適用されます。
次に二つ目ですが、シックス・アングルズ製品の「メーカー」について。勘違いされている方が、結構多いようなのですが、シックス・アングルズ製品の出版社/メーカーは「山崎雅弘」個人であり、サンセットゲームズではありません。サンセットゲームズさんには、出来上がった商品を卸価格で販売していますが、編集・制作・出版には一切関与しておらず、出資等も受けていません。
最近、シックス・アングルズ製品を販売していただいているネット通販のサイト(私が直接出荷していないお店)をいくつか見つけたのですが、どこも「メーカー名」のところになぜか「サンセットゲームズ」と記載されていました。一般ユーザーだけでなく、ボードゲームの業界で名の通った大手メーカーの社長さんまでが、同様の勘違いをされていたことを少し前に知って、ショックを受けていたところでした。件のネット小売店(複数)には、表記の訂正をお願いするメールを送信し、そのうちのイエローサブマリンさんには即座に修正していただきました。
私は「出版(パブリッシング)」という事業に愛情と熱意を注いでおり、私個人とシックス・アングルズのブランド価値を高めるために、これまで品質管理や付加価値追求の努力をコツコツと積み重ねてきました。単著の文庫本や単行本もそうですが、個人事業形態に移行した第9号以降のシックス・アングルズ製品(全てのレトロスペクティブ・シリーズを含む)は、私にとって大事な「子供」のような存在でもあります。
その努力の甲斐あってか、シックス・アングルズの出版事業も大勢のリピーターのお客さんを獲得でき、今では新作を出すごとに、毎回一定数のプレオーダーを得られるようになりました。プレオーダーのメールに「いつも高い品質で満足しています」と書いて下さる方も増えてきました。
それらの「子供」の「親」を表すメーカー名に、私とは違う会社の名前が入り、狭い業界とはいえ、その間違った認識が社会に広がっていることを、本当に悲しく思います。もしどこかのお店などで、そのような誤表記があるのを見つけられたら、ぜひ教えていただければ幸いです。
まず一つ目は、別冊第10号『パンツァークリーク』の正誤表です。これは、9月18日にサイトの商品ページには反映していたのですが、うっかりしてブログでの告知を失念していました。ゲームをお持ちの方は、参考にしてください。今回も間違いを出してしまい、大変申し訳ありません。
《訂正》
1)シナリオ1用シナリオ展開表のソ連軍ユニットの初期配置で、配置ヘクス「F」に3つの戦闘が指定されていますが、5-7狙撃兵の下にある(F:1)は誤りで、削除してください。AからEまでは、そのままです。
《Q&A》
Q1 10.1項 ある攻撃に参加する複数の攻撃側ユニットは、すべて同一の司令部に統制されていなくてはならないのか? あるいは、複数の司令部に統制されていても一緒に攻撃を行えるのか?
A1 後者が正解です。一つの攻撃に参加する複数の攻撃側ユニットは、異なる司令部に統制されていてもかまいません。
Q2 10.46項 ルールには「実際に使用した(つまり修正後の)『追加戦闘力』値を、ユニットの戦闘力として計算」とあるが、Q&AのA12では「印刷された(各種修整が適用される前の)戦闘力」となっていて、矛盾しているように見えるが?
A2 A12の説明は、戦闘ユニットの戦闘力計算についての説明で、地形や補給切れなどの「修正」が適用される前の数字を使用します。一方、10.46項の将軍や砲兵については、一緒にスタックしている戦闘ユニットの戦闘力を上限とする「制限」があるので、「制限」が適用された後の数字を使用します。
Q3 11.13項 ルールには「修正後の戦闘力合計を上限として」とあるが、Q&AのA16では「印刷された戦闘力が6なので、加算の上限は6となり」となっていて、矛盾しているように見えるが?
A3 これはQ&AのA16が正解です。指揮官の追加戦闘力は、1)一緒にスタックしている戦闘ユニットの『印刷された』戦闘力値を超えることができず、2)もし一緒にスタックしている戦闘ユニットの戦闘力値が地形などの修正により『印刷された』数値より低くなれば、その修正後の数値を上限として適用されます。
次に二つ目ですが、シックス・アングルズ製品の「メーカー」について。勘違いされている方が、結構多いようなのですが、シックス・アングルズ製品の出版社/メーカーは「山崎雅弘」個人であり、サンセットゲームズではありません。サンセットゲームズさんには、出来上がった商品を卸価格で販売していますが、編集・制作・出版には一切関与しておらず、出資等も受けていません。
最近、シックス・アングルズ製品を販売していただいているネット通販のサイト(私が直接出荷していないお店)をいくつか見つけたのですが、どこも「メーカー名」のところになぜか「サンセットゲームズ」と記載されていました。一般ユーザーだけでなく、ボードゲームの業界で名の通った大手メーカーの社長さんまでが、同様の勘違いをされていたことを少し前に知って、ショックを受けていたところでした。件のネット小売店(複数)には、表記の訂正をお願いするメールを送信し、そのうちのイエローサブマリンさんには即座に修正していただきました。
私は「出版(パブリッシング)」という事業に愛情と熱意を注いでおり、私個人とシックス・アングルズのブランド価値を高めるために、これまで品質管理や付加価値追求の努力をコツコツと積み重ねてきました。単著の文庫本や単行本もそうですが、個人事業形態に移行した第9号以降のシックス・アングルズ製品(全てのレトロスペクティブ・シリーズを含む)は、私にとって大事な「子供」のような存在でもあります。
その努力の甲斐あってか、シックス・アングルズの出版事業も大勢のリピーターのお客さんを獲得でき、今では新作を出すごとに、毎回一定数のプレオーダーを得られるようになりました。プレオーダーのメールに「いつも高い品質で満足しています」と書いて下さる方も増えてきました。
それらの「子供」の「親」を表すメーカー名に、私とは違う会社の名前が入り、狭い業界とはいえ、その間違った認識が社会に広がっていることを、本当に悲しく思います。もしどこかのお店などで、そのような誤表記があるのを見つけられたら、ぜひ教えていただければ幸いです。
2013年12月20日 [パンツァークリーク]
昨日の記事を書いたあと、台湾からの荷物が15箱で大挙して押し寄せてきました。改善版段ボールのお陰か、箱の破損は皆無。ということで、シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』のプレオーダー分を、本日無事に発送しました。宅急便40個、メール便120通。
一見すると、特に変わったところはないように見えますが、実はマップの寸法が通常の「フルサイズ」とは違っています。フルサイズ=A1は、841ミリx594ミリですが、今回のマップはヘクスのサイズを限界まで大きくするため、866ミリx594ミリとなっています。つまり、長い方の辺が25ミリ長くなっています。A4用ジップロック袋に入るギリギリのサイズ。
マップに将軍ユニットを並べてみたところ。ご覧のとおり、隣のへクスのユニットとぶつかることはありません。
駒シート。OSG社版やアバロンヒル社版よりも色分けを増やして機能面の向上をはかっています。
今日の午前中、名張は雪でした。このまま積もると輸送に影響が出るかも、と思いましたが、午後には小雨になって雪は消えました。
プレオーダーの募集は、12月24日(クリスマスイブ)の午後11時59分まで受け付けています。
シックス・アングルズ別冊第10号
パンツァークリーク
2013年12月20日プレオーダー発送
2013年12月25日店頭発売予定
小売価格 7140円(本体6800円)
プレオーダー価格 6615円(本体6300円)
シックス・アングルズ別冊第10号の内容紹介ページ
※マップやユニットの見本をご覧いただけます。
《プレオーダー特典》
◆本体価格約500円割引
◆店頭発売5日前に発送
◆送料無料(ヤマト運輸メール便にて発送)
◆二冊以上ご注文の場合は宅急便にて翌日配達指定
◆ドイツ陸軍参謀本部作成の戦況報告用地図
「Lage Ost(ラーゲ・オスト)」南方軍集団戦区
のコピー(A3判白黒)を添付
◆希望される方のみ、日本版発行人のサインを製品にお入れします。
《プレオーダー同時注文特典》
◆「独ソ戦コレクション」のプレオーダーと同時に、
第14号「ベアズ・クロウ」(通常価格5460円)
別冊第7号「ウエストウォール」(通常価格7140円)
別冊第8号「東方への突撃」 (通常価格6090円)を
ご注文いただいた場合に限り、それぞれ3割引の価格
でご提供いたします。商品は、別冊第9号と同梱して
発送いたします。
今回も、従来のプレオーダー特典に加えて「プレオーダー同時注文特典」をご用意いたしました。「ベアズ・クロウ」「ウエストウォール」「東方への突撃」共に数量限定生産ですので、品切れとなり次第、特典販売も締め切りとさせていただきます。
2013年12月19日 [パンツァークリーク]
シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』が、12月17日夜に台湾の印刷所を発送されたとの連絡がありました。下は、メールに添付されていた、パッキング後の段ボール箱の写真。前回と前々回はショボい段ボールで、到着時に角が裂けているものが結構あったので、その事実を伝えたら段ボールの品質を改善してくれた模様です。
台湾の印刷所に仕事をお願いするのは、今回で3度目となり、台北での打ち合わせも3回以上(1回の訪台で2回やったことも)ということで、お互い気心の知れた感じでスムーズに仕事ができました。ジップロック袋への詰め方も、以下のような「指示書」を送ったら即座に「了解!」との返事がありました。
そして今日、印刷所のスタッフから次のようなメールが。「輸送中に万が一ダメージが生じた場合に備えて、個々のパーツを余分に入れた箱を一箱追加したから。」こういう心配りに触れると、今まで以上に台湾への親近感を覚えます。
日本の印刷所でも、以前に同様のことをしてくれた会社はありましたが、最近は見かけなくなってしまいました。理由はおそらく「コスト削減」でしょう。本当の「豊かさ」とは何だろう、と改めて考えさせられます。もっとも私自身、シックス・アングルズの印刷を台湾にシフトした背景には「コスト」の問題があるので、あまり偉そうなことも言えないのですが。しかし、お客さんへの気配りという面での「豊かさ」は、これからも失わないように心掛けたいものです。
上は、今回のオマケとして封入する「1942年6月27日のラーゲ・オスト地図」。ラーゲ・オスト地図とは、総統ヒトラーへの戦況報告のために陸軍参謀本部が作成した特製戦況図ですが、ドイツ軍が「ブラウ(青)作戦」を開始したのは1942年6月28日で、その開始直前のドイツ軍各部隊(軍から師団まで)の配置と、ドイツ側が確認した範囲でのソ連軍の部隊配置(あまり正確とは言えない)を記しています。『パンツァークリーク』でも独ソ両軍の激戦地となる、クルスク、ヴォロネジ、ハリコフ、イジュム、ポルタヴァ、ドニエプロペトロフスク、ザポロジエ、スターリノ、タガンログ、ロストフなどが収まるようトリミングしています。「CHARKOW」とあるのがハリコフです(ドイツ語表記だとChが頭になる)。
商品の発送日についてですが、税関通過の日数が不明とはいえ、週末までにはプレオーダー分を発送できるのではないかと思います。正式な日付はまだ何とも言えませんが、もし今日中に商品が到着すれば、12月20日プレオーダー発送、12月25日店頭発売という形にできるかと思います。ただし、これはあくまで楽観的な予測なので、もしかしたら数日延びるかもしれません。
シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』プレオーダーの募集は、店頭発売日前日の午後11時59分まで受け付けています。
シックス・アングルズ別冊第10号
パンツァークリーク
2013年12月プレオーダー発送予定
2013年12月店頭発売予定
小売価格 7140円(本体6800円)
プレオーダー価格 6615円(本体6300円)
シックス・アングルズ別冊第10号の内容紹介ページ
※マップやユニットの見本をご覧いただけます。
《プレオーダー特典》
◆本体価格約500円割引
◆店頭発売5日前に発送
◆送料無料(ヤマト運輸メール便にて発送)
◆二冊以上ご注文の場合は宅急便にて翌日配達指定
◆ドイツ陸軍参謀本部作成の戦況報告用地図
「Lage Ost(ラーゲ・オスト)」南方軍集団戦区
のコピー(A3判白黒)を添付
◆希望される方のみ、日本版発行人のサインを製品にお入れします。
《プレオーダー同時注文特典》
◆「独ソ戦コレクション」のプレオーダーと同時に、
第14号「ベアズ・クロウ」(通常価格5460円)
別冊第7号「ウエストウォール」(通常価格7140円)
別冊第8号「東方への突撃」 (通常価格6090円)を
ご注文いただいた場合に限り、それぞれ3割引の価格
でご提供いたします。商品は、別冊第9号と同梱して
発送いたします。
今回も、従来のプレオーダー特典に加えて「プレオーダー同時注文特典」をご用意いたしました。「ベアズ・クロウ」「ウエストウォール」「東方への突撃」共に数量限定生産ですので、品切れとなり次第、特典販売も締め切りとさせていただきます。
台湾の印刷所に仕事をお願いするのは、今回で3度目となり、台北での打ち合わせも3回以上(1回の訪台で2回やったことも)ということで、お互い気心の知れた感じでスムーズに仕事ができました。ジップロック袋への詰め方も、以下のような「指示書」を送ったら即座に「了解!」との返事がありました。
そして今日、印刷所のスタッフから次のようなメールが。「輸送中に万が一ダメージが生じた場合に備えて、個々のパーツを余分に入れた箱を一箱追加したから。」こういう心配りに触れると、今まで以上に台湾への親近感を覚えます。
日本の印刷所でも、以前に同様のことをしてくれた会社はありましたが、最近は見かけなくなってしまいました。理由はおそらく「コスト削減」でしょう。本当の「豊かさ」とは何だろう、と改めて考えさせられます。もっとも私自身、シックス・アングルズの印刷を台湾にシフトした背景には「コスト」の問題があるので、あまり偉そうなことも言えないのですが。しかし、お客さんへの気配りという面での「豊かさ」は、これからも失わないように心掛けたいものです。
上は、今回のオマケとして封入する「1942年6月27日のラーゲ・オスト地図」。ラーゲ・オスト地図とは、総統ヒトラーへの戦況報告のために陸軍参謀本部が作成した特製戦況図ですが、ドイツ軍が「ブラウ(青)作戦」を開始したのは1942年6月28日で、その開始直前のドイツ軍各部隊(軍から師団まで)の配置と、ドイツ側が確認した範囲でのソ連軍の部隊配置(あまり正確とは言えない)を記しています。『パンツァークリーク』でも独ソ両軍の激戦地となる、クルスク、ヴォロネジ、ハリコフ、イジュム、ポルタヴァ、ドニエプロペトロフスク、ザポロジエ、スターリノ、タガンログ、ロストフなどが収まるようトリミングしています。「CHARKOW」とあるのがハリコフです(ドイツ語表記だとChが頭になる)。
商品の発送日についてですが、税関通過の日数が不明とはいえ、週末までにはプレオーダー分を発送できるのではないかと思います。正式な日付はまだ何とも言えませんが、もし今日中に商品が到着すれば、12月20日プレオーダー発送、12月25日店頭発売という形にできるかと思います。ただし、これはあくまで楽観的な予測なので、もしかしたら数日延びるかもしれません。
シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』プレオーダーの募集は、店頭発売日前日の午後11時59分まで受け付けています。
シックス・アングルズ別冊第10号
パンツァークリーク
2013年12月プレオーダー発送予定
2013年12月店頭発売予定
小売価格 7140円(本体6800円)
プレオーダー価格 6615円(本体6300円)
シックス・アングルズ別冊第10号の内容紹介ページ
※マップやユニットの見本をご覧いただけます。
《プレオーダー特典》
◆本体価格約500円割引
◆店頭発売5日前に発送
◆送料無料(ヤマト運輸メール便にて発送)
◆二冊以上ご注文の場合は宅急便にて翌日配達指定
◆ドイツ陸軍参謀本部作成の戦況報告用地図
「Lage Ost(ラーゲ・オスト)」南方軍集団戦区
のコピー(A3判白黒)を添付
◆希望される方のみ、日本版発行人のサインを製品にお入れします。
《プレオーダー同時注文特典》
◆「独ソ戦コレクション」のプレオーダーと同時に、
第14号「ベアズ・クロウ」(通常価格5460円)
別冊第7号「ウエストウォール」(通常価格7140円)
別冊第8号「東方への突撃」 (通常価格6090円)を
ご注文いただいた場合に限り、それぞれ3割引の価格
でご提供いたします。商品は、別冊第9号と同梱して
発送いたします。
今回も、従来のプレオーダー特典に加えて「プレオーダー同時注文特典」をご用意いたしました。「ベアズ・クロウ」「ウエストウォール」「東方への突撃」共に数量限定生産ですので、品切れとなり次第、特典販売も締め切りとさせていただきます。
2013年12月10日 [パンツァークリーク]
今日は、シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』の進行状況についてのご報告です。予定より少しずれ込んでしまいましたが、現在台湾の印刷所で印刷と製本、パッキングの最終作業が進んでおり、今週末か来週頭には現地を発送されるものと思います。
地図・駒・チャートは、ほとんど問題無く印刷に進んだのですが、本誌の日本語フォントに原因不明のトラブルが発生したため、その対処に日数を費やしてしまいました。別冊第9号『突撃レニングラード/スターリングラード』の時と同じフォントを使っていて、前回は正しく出力されましたが、今回はなぜか別のフォントに差し替えられてしまう現象が発生するという異常事態に。
台湾の印刷所のスタッフと意見交換しながら、いろいろ試行錯誤したものの、結局正しいフォントは出ず、一番近いフォントで妥協することになりました。先週の金曜日、「これ以上出版を遅らせることはできないから、今週中に仕上げたい」と伝えたら、フォントを置き換えた本誌データを1ページずつJPEGに変換して(PDFのフォントはマシンに影響されるため)最終確認のためメールで送ってくれました。それをブログ用に縮小したのが、下の画像です。
ルールのページ。厳密には違うフォントですが、実用には差し支えないと思います。
ジョン・プラドス氏のデザイナーズ・ノート。ゲームのデザインコンセプトなどについて語っています。
同じくジョン・プラドス氏によるヒストリカル・ノート。私の作った戦況図8点を含め、12ページの記事です。
こちらはリプレイ記事の見本。
作業を担当してくれているのは、何度か台北で直接会って打ち合わせをした相手。メールの文面を見ながら、真面目そうな彼の顔を思い浮かべます。向こうが深夜まで仕事してくれているのに、こちらが先に寝るわけにはいかないので、私もマシンに座ってデータが東シナ海を渡ってくるのを待っていました。データにいくつかエラーを発見して、見本画像にフォトショップで赤のマーキングを入れて返送。修正後のデータを再送信。OK。というようなやりとりを何度か繰り返し、全ての確認作業が終わったのは午前2時30分頃でした。
台湾とは時差があると言っても1時間で、向こうも午前1時30分。完全な深夜作業です。全ての確認が終わった後「お互い今日はよく働いたね。おやすみ」と伝え合って眠りにつきました。
ということで、お待たせして誠に申し訳ありませんが、今しばらくお待ちいただければ幸いです。プレオーダーは、引き続き募集していますので、よろしくお願いいたします。
シックス・アングルズ別冊第10号
パンツァークリーク
2013年12月プレオーダー発送予定
2013年12月店頭発売予定
小売価格 7140円(本体6800円)
プレオーダー価格 6615円(本体6300円)
シックス・アングルズ別冊第10号の内容紹介ページ
※マップやユニットの見本をご覧いただけます。
《プレオーダー特典》
◆本体価格約500円割引
◆店頭発売5日前に発送
◆送料無料(ヤマト運輸メール便にて発送)
◆二冊以上ご注文の場合は宅急便にて翌日配達指定
◆ドイツ陸軍参謀本部作成の戦況報告用地図
「Lage Ost(ラーゲ・オスト)」南方軍集団戦区
のコピー(A3判白黒)を添付
◆希望される方のみ、日本版発行人のサインを製品にお入れします。
《プレオーダー同時注文特典》
◆「独ソ戦コレクション」のプレオーダーと同時に、
第14号「ベアズ・クロウ」(通常価格5460円)
別冊第7号「ウエストウォール」(通常価格7140円)
別冊第8号「東方への突撃」 (通常価格6090円)を
ご注文いただいた場合に限り、それぞれ3割引の価格
でご提供いたします。商品は、別冊第9号と同梱して
発送いたします。
今回も、従来のプレオーダー特典に加えて「プレオーダー同時注文特典」をご用意いたしました。「ベアズ・クロウ」「ウエストウォール」「東方への突撃」共に数量限定生産ですので、品切れとなり次第、特典販売も締め切りとさせていただきます。
2013年11月15日 [パンツァークリーク]
シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』の制作が、ようやく完了しました。本日、マップやユニット、チャート、本誌などの各種データを、サーバ経由で台湾の印刷所に入稿しました。正式な発売日は、印刷所からの返答を得た後、近日中に発表しますが、プレオーダー分の発送は12月上旬となる予定です。
別冊第10号『パンツァークリーク』プレオーダーページ
過去の「ウォーゲーム・レトロスペクティブ」シリーズの製品と同様、今回の日本版も、原版や過去の復刻版にさまざまな付加価値を加えた形で出版します。具体的には、コンポーネントの改良やルールの明確化、正誤表の反映などですが、購入された方がスムーズに「最初のプレイ」を行えるよう、練習用のミニシナリオを追加することも、シックス・アングルズの製品ならではの特徴だと思います。
別冊第3号『クルスク大戦車戦』と、別冊第4号『砂漠のキツネ』、別冊第5号『戦略級 日露戦争』でも、練習用のミニシナリオと専用マップを製品に同梱し、好評を博しました。これらはいずれも、ゲームシステムが特徴的である反面、プレイヤーの裁量の幅が大きいため、初めてプレイする際には、どこに重点を置いて何をすればよいのか、困惑することも多いのでは、との配慮から、フルマップを広げなくても手軽にプレイできる、オリジナルの「ゲームシステム練習用」ミニシナリオを制作しました。
今回の『パンツァークリーク』でも、練習用ミニシナリオを追加した理由はほぼ同じですが、さらに今までとは違う「ある試み」も織り込んでみました。それは、本誌に収録した「リプレイ記事」との連動、という形式にすることで、記事の「結末」をプレイヤーが自らの手で確かめられるようにする、というものです。
今号に収録したリプレイ記事は、シナリオ7「ドニエプル渡河作戦」の対戦リポートで、1943年10月2日から12月21日までの、ソ連軍のドニエプル川西方への攻勢と、ドイツ軍の機動防御がテーマです。しかし、実際に記事で紹介しているのは、全11ターンのうちの7ターンまでで、第7ターン終了時の両軍の配置を記録にとり、この続きの第8ターンから第11ターンの4ターンを「練習用ミニシナリオ」という形式にしたわけです。
ご存知の方も多いかと思いますが、『パンツァークリーク』の初期配置は、両軍ともかなり自由度が高く、一部の例外を除けば、開始線より自軍側では好きなようにユニットを配置できます。これは、逆に言えば、ゲームシステムに習熟するまでは、何が最善なのかわからず、ユニットを並べる作業における心理的な負担というか「敷居」が高いという問題を意味しています。しかし、練習用ミニシナリオは、両軍ともユニットの配置へクスが決められた固定式で、しかもゲームマップを2つに折り畳んで、ハーフサイズのマップでプレイできる形式になっています。
上は、ミニシナリオを説明する本誌のページ。まず右下のチャートに従って必要なユニットを用意し、それを指定されたヘクスに配置します。
シックス・アングルズの「ウォーゲーム・レトロスペクティブ」シリーズは、単に希少価値のある「コレクターズ・アイテム」を再版するだけでなく、希少価値ゆえにプレイされる機会が少なかったと思われるこれらのゲームを、実際にプレイしていただき、ゲームシステムやそこでプレイヤーの心理に投影される「映像」が、よりクリアに描き出されるようにする、ということを目標にしています。
別冊第10号『パンツァークリーク』も、東部戦線南部という魅力的なテーマを題材としたマルチシナリオのゲームで、一度システムをマスターすれば、かなり長い時間にわたって楽しんでいただける作品だと思います。しかし、原版の『フォン・マンシュタイン』が1975年にランド社から発売された後、OSG社とアバロン・ヒル社、CoSi社から復刻再版されたものの、それぞれのバージョンでルールやコンポーネント上の問題点を抱えていました。
今回のシックス・アングルズ版は、これらのバージョンの問題点を全て解消した上、さらにプレイヤーの利便性を高める工夫を凝らした「決定版」とも言える自信作です。この機会にぜひ、ジョン・プラドスの傑作を楽しんでいただければと思います。
シックス・アングルズ別冊第10号
パンツァークリーク
2013年12月上旬プレオーダー発送予定
2013年12月店頭発売予定
限定600部
小売価格 7140円(本体6800円)
プレオーダー価格 6615円(本体6300円)
シックス・アングルズ別冊第10号の内容紹介ページ
※マップやユニットの見本をご覧いただけます。
《プレオーダー特典》
◆本体価格約500円割引
◆店頭発売5日前に発送
◆送料無料(ヤマト運輸メール便にて発送)
◆二冊以上ご注文の場合は宅急便にて翌日配達指定
◆ドイツ陸軍参謀本部作成の戦況報告用地図
「Lage Ost(ラーゲ・オスト)」南方軍集団戦区
のコピー(A3判白黒)を添付
◆希望される方のみ、日本版発行人のサインを製品にお入れします。
《プレオーダー同時注文特典》
◆「独ソ戦コレクション」のプレオーダーと同時に、
第14号「ベアズ・クロウ」(通常価格5460円)
別冊第7号「ウエストウォール」(通常価格7140円)
別冊第8号「東方への突撃」 (通常価格6090円)を
ご注文いただいた場合に限り、それぞれ3割引の価格
でご提供いたします。商品は、別冊第9号と同梱して
発送いたします。
今回も、従来のプレオーダー特典に加えて「プレオーダー同時注文特典」をご用意いたしました。「ベアズ・クロウ」「ウエストウォール」「東方への突撃」共に数量限定生産ですので、品切れとなり次第、特典販売も締め切りとさせていただきます。
2013年9月15日 [パンツァークリーク]
シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』のプレオーダー募集を開始しました。発売は10月下旬の予定です。
別冊第10号『パンツァークリーク』プレオーダーページ
表紙画像。ティーガーI型は、久々にモノクロ写真をフォトショップで彩色してカラーにしました。スカッと青い空と白い入道雲に重戦車と搭乗員、何かどこかで見たような構図ですが(笑)。背景に敷いてあるのは、1942年6月27日(青作戦開始前日)の「Lage Ost(ラーゲ・オスト)」地図(ドイツ陸軍参謀本部制作の戦況報告用地図)のハリコフからニコポリ辺り。両軍の部隊配置が描き込まれています。
価格は、別冊第3号『クルスク大戦車戦(Eric Goldberg's Kursk)』と同じく税込で7140円となりました。いろいろ努力してみたのですが、シナリオ用のA3両面チャート5枚(うち1枚の裏面はゲームマップのカラー縮小版)がけっこう高くなってしまいました。原版のような冊子にすれば、コストも削減できるのですが、プレイの利便性を考えると冊子方式は非常に不便なので、別紙チャートで「考えうる限り最善」の形式をとることにしました。
ユニットの見本画像。将軍ユニットの裏面は、写真無しで名前を読みやすくしたバージョンになります。
今回の日本版では、本誌のリプレイ記事と連動する形で、追加の練習用ショートシナリオを1本追加して、計10本のシナリオで発売します。これについては、次回の記事で詳しくご紹介します。
シックス・アングルズ別冊第10号
パンツァークリーク
2013年10月下旬プレオーダー発送予定
2013年10月下旬店頭発売予定
限定600部
小売価格 7140円(本体6800円)
プレオーダー価格 6615円(本体6300円)
シックス・アングルズ別冊第10号の内容紹介ページ
※マップやユニットの見本をご覧いただけます。
《プレオーダー特典》
◆本体価格約500円割引
◆店頭発売5日前に発送
◆送料無料(ヤマト運輸メール便にて発送)
◆二冊以上ご注文の場合は宅急便にて翌日配達指定
◆ドイツ陸軍参謀本部作成の戦況報告用地図
「Lage Ost(ラーゲ・オスト)」南方軍集団戦区
のコピー(A3判白黒)を添付
◆希望される方のみ、日本版発行人のサインを製品にお入れします。
《プレオーダー同時注文特典》
◆「独ソ戦コレクション」のプレオーダーと同時に、
第14号「ベアズ・クロウ」(通常価格5460円)
別冊第7号「ウエストウォール」(通常価格7140円)
別冊第8号「東方への突撃」 (通常価格6090円)を
ご注文いただいた場合に限り、それぞれ3割引の価格
でご提供いたします。商品は、別冊第9号と同梱して
発送いたします。
今回も、従来のプレオーダー特典に加えて「プレオーダー同時注文特典」をご用意いたしました。「ベアズ・クロウ」「ウエストウォール」「東方への突撃」共に数量限定生産ですので、品切れとなり次第、特典販売も締め切りとさせていただきます。
2013年9月2日 [パンツァークリーク]
昨日、石田さんとシックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』の検証テストを行いました。今日は、その報告です。
『パンツァークリーク(Panzerkrieg)』は、第二次世界大戦期の東部戦線(独ソ戦)における南方戦域の攻防を、特徴的なシステムと豊富なシナリオで再現する作戦級ゲームです。デザイナーは、アバロンヒル社(後にアヴァランチ・プレス社が再版)の『第三帝国(The Third Reich)』やピープルズ・ウォー社(後にStrategy & Tactics誌と日本のタクテクス誌で再版)の『カニェフ(Kanev)』などで知られるジョン・プラドス氏。初版は米国OSG社から1978年に出版され、アバロンヒル社が版権を買い取って1983年に再版されました。
収録されているシナリオは、全部で9本あり、シナリオ1は「キエフ包囲戦(1941年8月27日〜10月8日)」、シナリオ2は「ソ連軍冬季反攻(1942年1月14日〜3月31日)」、シナリオ3は「青作戦(1942年6月28日〜9月13日)」、シナリオ4は「スターリングラード包囲戦(1942年11月19日〜1943年2月18日)」、シナリオ5は「後手からの一撃(1943年2月19日〜3月29日)」、シナリオ6は「ツィタデレ作戦の後(1943年8月2日〜10月2日)」、シナリオ7は「ドニエプル渡河作戦(1943年10月2日〜12月21日)」、シナリオ8は「コルスン包囲戦(1944年2月1日〜3月28日)」です。最後のシナリオ9は、もしドイツ軍が1943年夏にクルスク突出部に対する攻勢「ツィタデレ作戦」を行わずに、ソ連軍の攻勢を待ち受けていたら、という仮想シナリオ「マンシュタインの選択」で、シナリオ6の「ツィタデレ作戦の後」と同じ開始線でスタートします。
上はシナリオ9の検証テストの様子。ドイツ軍は第4装甲軍の強力な装甲部隊が温存された状態でゲームを開始できるので、ソ連軍の攻勢は史実のようなペースでは進展せず、各所でドイツ軍の限定的な反撃が繰り広げられます。
フルサイズ1枚のゲームマップには、プリピャチ沼沢地からクルスクに至る線よりも南の東部戦線が収録されており、西端はルーツクとドゥブノおよびルーマニア領、東端はスターリングラードとヴォルガ川となっています。1ヘクスのサイズは、25.8キロメートルで、1ターンは実際の一週間、1ユニットはドイツ軍が師団、ソ連軍が軍団となっています。ただし、砲兵や対戦車砲、司令部、将軍ユニットなどもあり、砲兵は攻撃時に戦闘力を加算、対戦車砲は敵戦車の攻撃を受けた場合の防御時に戦闘力を加算できます。
司令部ユニット(ドイツ軍は軍、ソ連軍は方面軍)は、このゲームを特徴づける重要なユニットの一つです。ゲームの手順は、補給判定、移動、戦闘、突破移動というオーソドックスなものですが、個々の戦闘を解決する際、非フェイズプレイヤーは自軍の「予備部隊」を急派して、戦力比を防御側に有利な方向へと引き下げることができます。
急派されることのできる予備部隊は、その戦闘の防御側ヘクスから5ヘクス以内の大都市または小都市ヘクスで、自軍の司令部とスタックしている戦闘ユニットです。このシステムが物語るように、『パンツァークリーク』は機動防御の有効性が地図上で再現されるゲームとなっており、ほとんどのシナリオでドイツ軍がより多くの司令部ユニットを持っています。
予備部隊の使用例。歩兵師団と狙撃兵師団はZOCなし、装甲師団と戦車軍団はZOCありです。一般的なゲームだと、ドイツ軍は左のような戦線を張ってソ連軍を待ち受けますが、これだとソ連軍は防備の弱いヘクス(3-7歩兵師団が単独で守るヘクス)に戦闘力を集中して、戦闘後前進で敵陣への浸透を図ることになります。しかし『パンツァークリーク』では、ドイツ軍の装甲師団を司令部と共に後方の町で待機させておき、敵が兵力を集めて攻撃を宣言したヘクスに対して急派できるので、ソ連軍は迂闊に攻撃を行うことができなくなります。
この予備の威力を無力化するには、時間をかけてさらに多くの部隊(特に強大な火力を持つ砲兵)を集中し、全正面で一斉に攻撃を仕掛けるしかありません。ソ連軍は、司令部(=予備運用)の能力では劣りますが、砲兵ユニットの数ではドイツ軍を凌駕しています。
実は、このゲームの原版は、ジョン・プラドス、アルバート・ノフィ、ヴィンセント・カンボの3人が「モーニングサイド・ゲーム・プロジェクト」というチームでデザインし、1975年に米国ランド・ゲーム・アソシエーツから出版された『フォン・マンシュタイン』という作品で、後にプラドスが一人でユニット規模を変更するなどのディヴェロップを行って、『パンツァークリーク』という作品に生まれ変わらせました。下の写真は、ランド版の『フォン・マンシュタイン』のコンポーネントです。
将軍ユニットについては、以前の記事でも紹介しましたが、マンシュタインやヴァトゥーティンなど、両軍の有名な将軍を表してしており、戦闘解決時にボーナスの戦闘力加算やサイの目修整(またはその打ち消し)を行えます。特に後者は、攻撃側で参加していれば「突破(BkTh)」の戦闘結果が出やすくなり、防御側で参加していれば逆に出にくくする効果を持ちます。この突破については、日を改めて詳しくご紹介しますが、これも『パンツァークリーク』を特徴づける、興味深いルールの一つです。
アバロンヒル社版は、同社のブックケース型のボックスに収めるために地図のサイズを縮小した影響で、ヘクスのサイズも小さくなり、ユニット同士が地図上でぶつかり合うなどプレイに支障が生じていました。今回発売する日本版では、OSG版とほぼ同様のサイズで地図を作製するほか、さまざまな点でプレイの利便性を向上させたバージョンとなります。
独ソ戦に関心のある方は、ぜひ新版の『パンツァークリーク』にご期待下さい。
『パンツァークリーク(Panzerkrieg)』は、第二次世界大戦期の東部戦線(独ソ戦)における南方戦域の攻防を、特徴的なシステムと豊富なシナリオで再現する作戦級ゲームです。デザイナーは、アバロンヒル社(後にアヴァランチ・プレス社が再版)の『第三帝国(The Third Reich)』やピープルズ・ウォー社(後にStrategy & Tactics誌と日本のタクテクス誌で再版)の『カニェフ(Kanev)』などで知られるジョン・プラドス氏。初版は米国OSG社から1978年に出版され、アバロンヒル社が版権を買い取って1983年に再版されました。
収録されているシナリオは、全部で9本あり、シナリオ1は「キエフ包囲戦(1941年8月27日〜10月8日)」、シナリオ2は「ソ連軍冬季反攻(1942年1月14日〜3月31日)」、シナリオ3は「青作戦(1942年6月28日〜9月13日)」、シナリオ4は「スターリングラード包囲戦(1942年11月19日〜1943年2月18日)」、シナリオ5は「後手からの一撃(1943年2月19日〜3月29日)」、シナリオ6は「ツィタデレ作戦の後(1943年8月2日〜10月2日)」、シナリオ7は「ドニエプル渡河作戦(1943年10月2日〜12月21日)」、シナリオ8は「コルスン包囲戦(1944年2月1日〜3月28日)」です。最後のシナリオ9は、もしドイツ軍が1943年夏にクルスク突出部に対する攻勢「ツィタデレ作戦」を行わずに、ソ連軍の攻勢を待ち受けていたら、という仮想シナリオ「マンシュタインの選択」で、シナリオ6の「ツィタデレ作戦の後」と同じ開始線でスタートします。
上はシナリオ9の検証テストの様子。ドイツ軍は第4装甲軍の強力な装甲部隊が温存された状態でゲームを開始できるので、ソ連軍の攻勢は史実のようなペースでは進展せず、各所でドイツ軍の限定的な反撃が繰り広げられます。
フルサイズ1枚のゲームマップには、プリピャチ沼沢地からクルスクに至る線よりも南の東部戦線が収録されており、西端はルーツクとドゥブノおよびルーマニア領、東端はスターリングラードとヴォルガ川となっています。1ヘクスのサイズは、25.8キロメートルで、1ターンは実際の一週間、1ユニットはドイツ軍が師団、ソ連軍が軍団となっています。ただし、砲兵や対戦車砲、司令部、将軍ユニットなどもあり、砲兵は攻撃時に戦闘力を加算、対戦車砲は敵戦車の攻撃を受けた場合の防御時に戦闘力を加算できます。
司令部ユニット(ドイツ軍は軍、ソ連軍は方面軍)は、このゲームを特徴づける重要なユニットの一つです。ゲームの手順は、補給判定、移動、戦闘、突破移動というオーソドックスなものですが、個々の戦闘を解決する際、非フェイズプレイヤーは自軍の「予備部隊」を急派して、戦力比を防御側に有利な方向へと引き下げることができます。
急派されることのできる予備部隊は、その戦闘の防御側ヘクスから5ヘクス以内の大都市または小都市ヘクスで、自軍の司令部とスタックしている戦闘ユニットです。このシステムが物語るように、『パンツァークリーク』は機動防御の有効性が地図上で再現されるゲームとなっており、ほとんどのシナリオでドイツ軍がより多くの司令部ユニットを持っています。
予備部隊の使用例。歩兵師団と狙撃兵師団はZOCなし、装甲師団と戦車軍団はZOCありです。一般的なゲームだと、ドイツ軍は左のような戦線を張ってソ連軍を待ち受けますが、これだとソ連軍は防備の弱いヘクス(3-7歩兵師団が単独で守るヘクス)に戦闘力を集中して、戦闘後前進で敵陣への浸透を図ることになります。しかし『パンツァークリーク』では、ドイツ軍の装甲師団を司令部と共に後方の町で待機させておき、敵が兵力を集めて攻撃を宣言したヘクスに対して急派できるので、ソ連軍は迂闊に攻撃を行うことができなくなります。
この予備の威力を無力化するには、時間をかけてさらに多くの部隊(特に強大な火力を持つ砲兵)を集中し、全正面で一斉に攻撃を仕掛けるしかありません。ソ連軍は、司令部(=予備運用)の能力では劣りますが、砲兵ユニットの数ではドイツ軍を凌駕しています。
実は、このゲームの原版は、ジョン・プラドス、アルバート・ノフィ、ヴィンセント・カンボの3人が「モーニングサイド・ゲーム・プロジェクト」というチームでデザインし、1975年に米国ランド・ゲーム・アソシエーツから出版された『フォン・マンシュタイン』という作品で、後にプラドスが一人でユニット規模を変更するなどのディヴェロップを行って、『パンツァークリーク』という作品に生まれ変わらせました。下の写真は、ランド版の『フォン・マンシュタイン』のコンポーネントです。
将軍ユニットについては、以前の記事でも紹介しましたが、マンシュタインやヴァトゥーティンなど、両軍の有名な将軍を表してしており、戦闘解決時にボーナスの戦闘力加算やサイの目修整(またはその打ち消し)を行えます。特に後者は、攻撃側で参加していれば「突破(BkTh)」の戦闘結果が出やすくなり、防御側で参加していれば逆に出にくくする効果を持ちます。この突破については、日を改めて詳しくご紹介しますが、これも『パンツァークリーク』を特徴づける、興味深いルールの一つです。
アバロンヒル社版は、同社のブックケース型のボックスに収めるために地図のサイズを縮小した影響で、ヘクスのサイズも小さくなり、ユニット同士が地図上でぶつかり合うなどプレイに支障が生じていました。今回発売する日本版では、OSG版とほぼ同様のサイズで地図を作製するほか、さまざまな点でプレイの利便性を向上させたバージョンとなります。
独ソ戦に関心のある方は、ぜひ新版の『パンツァークリーク』にご期待下さい。
2013年8月17日 [パンツァークリーク]
今回もシックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』の制作作業についての情報です。今週月曜日に石田さんがお見えになり、自宅の表札取り付け作業(セメントを削り取る必要が生じたのでヘルプをお願いしました)を手伝ってもらった後、シナリオ7「ドニエプル川の戦い」のテストを行いました。
今回の日本版では、マップとユニットのグラフィックを一新していますが、OSG版やAH版ではブック形式だったシナリオ情報を、別紙のシナリオカードにしてみました。旧版は、ユニットを探したり配置制限を読み取るのがけっこう面倒で、しかも添付されている配置図が非常にみづらく、これもプレイを阻害する要因となっていたように思います。そこで、シナリオに使うユニットを並べることができ、また配置図も見やすくして、プレイの利便性向上を図ることにした次第です。
シナリオ7「ドニエプル川の戦い」用シナリオカード。A3判(A4x2の見開き)モノクロ両面のチャートです。
シナリオカードを実際に使用してみたところ。シナリオで使うユニットを、まず種類ごとに必要数だけボックスに置き、そこから順番に地図上へと配置していきます。将軍(リーダー)ユニットも探しやすくなったと思います。
シナリオ7のソ連軍初期配置の例。押し寄せる赤いスチームローラー。
そこに枢軸軍のユニットを配置したところ。足りるか足りないか、ぎりぎりの兵力で戦線を守る緊張感は、まさにマンシュタインのロールプレイ。
明日、もう一度このシナリオを石田さんとテストする予定です。
今回の日本版では、マップとユニットのグラフィックを一新していますが、OSG版やAH版ではブック形式だったシナリオ情報を、別紙のシナリオカードにしてみました。旧版は、ユニットを探したり配置制限を読み取るのがけっこう面倒で、しかも添付されている配置図が非常にみづらく、これもプレイを阻害する要因となっていたように思います。そこで、シナリオに使うユニットを並べることができ、また配置図も見やすくして、プレイの利便性向上を図ることにした次第です。
シナリオ7「ドニエプル川の戦い」用シナリオカード。A3判(A4x2の見開き)モノクロ両面のチャートです。
シナリオカードを実際に使用してみたところ。シナリオで使うユニットを、まず種類ごとに必要数だけボックスに置き、そこから順番に地図上へと配置していきます。将軍(リーダー)ユニットも探しやすくなったと思います。
シナリオ7のソ連軍初期配置の例。押し寄せる赤いスチームローラー。
そこに枢軸軍のユニットを配置したところ。足りるか足りないか、ぎりぎりの兵力で戦線を守る緊張感は、まさにマンシュタインのロールプレイ。
明日、もう一度このシナリオを石田さんとテストする予定です。
2013年8月9日 [パンツァークリーク]
久々の更新です。このところ尋常でない猛暑が続いていますが、シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』の制作作業は、比較的順調に進んでいます。今日は、このゲームで重要な役割を演じる将軍(リーダー)ユニットの見本画像をご紹介します。
『パンツァークリーク』に登場する将軍は、ドイツ軍が18人、ルーマニア軍が1人、イタリア軍が1人、ソ連軍が22人で、ユニットには将軍の名前と顔写真、指揮能力(追加戦闘力)、許容移動力および「ZOCなし」を示す三角印が印刷されています。追加戦闘力は、味方ユニットとスタックして戦闘に参加する際に、自軍の戦闘力合計に加算することのできる数値です。
ちなみに、ドイツ国防軍の装甲師団は最強で戦闘力13(SS装甲師団は16)、ソ連軍は親衛機械化軍団が戦闘力10ですが、将軍が加算できるのは「スタックしている味方戦闘ユニットの戦闘力合計」が上限となっています。例えば、指揮能力13のマンシュタインが、戦闘力5の歩兵師団とスタックしている場合、13+5で18ではなく、5+5で10戦闘力となります。従って、有能な将軍は必然的に、戦闘力の高い精鋭部隊とスタックして作戦を行うことになります。
また、将軍ユニットが戦闘に参加していれば、解決時のサイの目に修正を適用できます。この修正が実は重要で、サイの目にプラスの修正が適用された攻撃では、そうでない場合よりも「突破(ブレイクスルー)」の戦闘結果が出やすくなります。
突破とは、その攻撃に参加した味方の機械化ユニットに隣接する別の機械化ユニットが、臨時の予備兵力として移動と戦闘を行えるというもので、これを上手く使えば敵の縦深防御を1回の戦闘フェイズで突破することも可能になります。逆に言えば、将軍が少ない戦域では、あまり突破の戦闘結果が発生しないので、ゲームマップ全体を見渡した時に、両軍の将軍ユニットが集まっている場所が、勝敗の鍵を握る激戦地ということになります。
ドイツ軍で最も優秀な将軍は、マンシュタインとグデーリアン、ホート、ハウサー、バルクの5人(いずれも指揮能力13)で、ソ連側はヴァトゥーティンの指揮能力9が最優秀です。OSG版もアバロンヒル版も、将軍ユニットは数字と名前だけの味気ないデザインでしたが、今回のシックス・アングルズ版では『パンツァークリーク』の華とも言うべき将軍ユニットの見栄えを良くすべく、それぞれの将軍の「いい顔の写真」を探してあしらってみました。
お盆休みに、石田さんと次のテストを行う予定です。次回は、ドニエプル川の戦いカ、コルスン包囲戦のシナリオで展開を確認しつつ、ルールの不備な点の洗い出しと明確化/補足を追加していきます。発売は、9月下旬または10月上旬の予定です。興味のある方は、ぜひお楽しみに。
『パンツァークリーク』に登場する将軍は、ドイツ軍が18人、ルーマニア軍が1人、イタリア軍が1人、ソ連軍が22人で、ユニットには将軍の名前と顔写真、指揮能力(追加戦闘力)、許容移動力および「ZOCなし」を示す三角印が印刷されています。追加戦闘力は、味方ユニットとスタックして戦闘に参加する際に、自軍の戦闘力合計に加算することのできる数値です。
ちなみに、ドイツ国防軍の装甲師団は最強で戦闘力13(SS装甲師団は16)、ソ連軍は親衛機械化軍団が戦闘力10ですが、将軍が加算できるのは「スタックしている味方戦闘ユニットの戦闘力合計」が上限となっています。例えば、指揮能力13のマンシュタインが、戦闘力5の歩兵師団とスタックしている場合、13+5で18ではなく、5+5で10戦闘力となります。従って、有能な将軍は必然的に、戦闘力の高い精鋭部隊とスタックして作戦を行うことになります。
また、将軍ユニットが戦闘に参加していれば、解決時のサイの目に修正を適用できます。この修正が実は重要で、サイの目にプラスの修正が適用された攻撃では、そうでない場合よりも「突破(ブレイクスルー)」の戦闘結果が出やすくなります。
突破とは、その攻撃に参加した味方の機械化ユニットに隣接する別の機械化ユニットが、臨時の予備兵力として移動と戦闘を行えるというもので、これを上手く使えば敵の縦深防御を1回の戦闘フェイズで突破することも可能になります。逆に言えば、将軍が少ない戦域では、あまり突破の戦闘結果が発生しないので、ゲームマップ全体を見渡した時に、両軍の将軍ユニットが集まっている場所が、勝敗の鍵を握る激戦地ということになります。
ドイツ軍で最も優秀な将軍は、マンシュタインとグデーリアン、ホート、ハウサー、バルクの5人(いずれも指揮能力13)で、ソ連側はヴァトゥーティンの指揮能力9が最優秀です。OSG版もアバロンヒル版も、将軍ユニットは数字と名前だけの味気ないデザインでしたが、今回のシックス・アングルズ版では『パンツァークリーク』の華とも言うべき将軍ユニットの見栄えを良くすべく、それぞれの将軍の「いい顔の写真」を探してあしらってみました。
お盆休みに、石田さんと次のテストを行う予定です。次回は、ドニエプル川の戦いカ、コルスン包囲戦のシナリオで展開を確認しつつ、ルールの不備な点の洗い出しと明確化/補足を追加していきます。発売は、9月下旬または10月上旬の予定です。興味のある方は、ぜひお楽しみに。
2013年7月17日 [パンツァークリーク]
この前の日曜日(7月15日)は、久々に石田さんがお見えになり、シックス・アングルズ別冊第10号『パンツァークリーク』のルール検証プレイを行いました。今日はその話題です。ちなみに、プレイしたシナリオは「後手からの一撃(バックハンドブロウ)」で、1943年2月の第三次ハリコフ戦におけるドイツ軍の反撃がテーマです。
今回のプレイでは、マップはシックス・アングルズ版を、ユニットはOSG版のものを使いました。ユニットの方は、まだデータが完成していない(仕様を検討中)のに加え、旧版でもさほど問題なくプレイできるデザインということで流用しましたが、ゲームマップについてはOSG版もAH版も、はっきり言ってしまえば「手抜き」としか思えないような、実用性に問題のある仕上がりなので、内容の校正チェックも兼ねてシックス・アングルズ版を使いました。
ちなみに、下の写真はOSG版とAH版のゲームマップとユニット。左がOSG版で、ヘクスの径はギリギリ標準サイズですが、右のAH版は同社のブックケースサイズの箱に収めるためにマップ全体をさらに縮小しており、ユニットの角を奇麗にトリミングしなければ事実上「プレイ不可能」とすら思えるほど窮屈なヘクス径でした。
また、現物をお持ちの方なら、おそらく実感として同意していただけるかと思いますが、OSG版もAH版も、ゲームマップにはシナリオごとの区別が何もない「ただの太い線」が何本も無造作に(それも両軍を分けるヘクスサイドではなく一方の開始線であるヘクスの中に)引いてあるだけで、初期配置の時にどの線をどんな風に使う必要があるのか、いちいちシナリオカードのモノクロ縮小地図と照らし合わせて判断しなくてはなりませんでした。これは、SPI版の『クルスク大戦車戦』のシナリオごとの使用ユニット判別と同じくらいに面倒な作業(日本版として出版したSA別冊第3号ではこの問題点を解消しました)なので、新版ではもっとスムーズにシナリオのセットアップができるよう、地図上での開始線をシナリオごとに区別して表示しました。
さらに、このゲームでは予備ユニットや航空基地を配置する関係で、都市や町の位置が非常に重要な意味を持つのですが、OSG版もAH版も、都市ヘクスや町へクスの場所を一目で判別できず、特にユニットが密集している場所ではいちいち駒をどけて確認する必要がありました。そこで、原版では「大河の渡河点」を示すために使われていた「黄色いヘクス」を、町や都市の表示に使うことにしました。これだと、ユニットが置かれていてもそこが「町または都市」であることがわかり、実用面で大きな効果を発揮することを確認しました。渡河点は、双方向の赤矢印で代用しましたが、機能的にはこれで充分だと思います。
下は、完成一歩手前の段階でのシックス・アングルズ版ゲームマップです。それぞれの画像をクリックすると、大きな画像を見ることができます。
ユニットについては、近々見本画像を公開する予定ですが、こちらもZOCの有り・無しを一目で判別できる処理など、いろいろな工夫を施しています。興味のある方は、ぜひ楽しみにしていてください。日本国内でも一定数が売られていた(月刊時代の『タクテクス』誌に和訳が掲載されていました)AH版を買って「ルールの不明瞭さやコンポーネントの不備でプレイ意欲を失った」という「挫折組」の方々にも、そうした問題点を全て解消した(…の予定です)今回の日本版で、このゲームの真価を確かめていただければ、と思います。
追記
現在書店で発売中の『歴史群像』誌第120号(2013年8月号)に、私の執筆した記事「樺太の戦い 1945」が掲載されています。シックス・アングルズ第3号に掲載した『サハリン1945』のヒストリカル・ノートに加筆修正したものですが、テーマに関心のある方はぜひご覧ください。
今回のプレイでは、マップはシックス・アングルズ版を、ユニットはOSG版のものを使いました。ユニットの方は、まだデータが完成していない(仕様を検討中)のに加え、旧版でもさほど問題なくプレイできるデザインということで流用しましたが、ゲームマップについてはOSG版もAH版も、はっきり言ってしまえば「手抜き」としか思えないような、実用性に問題のある仕上がりなので、内容の校正チェックも兼ねてシックス・アングルズ版を使いました。
ちなみに、下の写真はOSG版とAH版のゲームマップとユニット。左がOSG版で、ヘクスの径はギリギリ標準サイズですが、右のAH版は同社のブックケースサイズの箱に収めるためにマップ全体をさらに縮小しており、ユニットの角を奇麗にトリミングしなければ事実上「プレイ不可能」とすら思えるほど窮屈なヘクス径でした。
また、現物をお持ちの方なら、おそらく実感として同意していただけるかと思いますが、OSG版もAH版も、ゲームマップにはシナリオごとの区別が何もない「ただの太い線」が何本も無造作に(それも両軍を分けるヘクスサイドではなく一方の開始線であるヘクスの中に)引いてあるだけで、初期配置の時にどの線をどんな風に使う必要があるのか、いちいちシナリオカードのモノクロ縮小地図と照らし合わせて判断しなくてはなりませんでした。これは、SPI版の『クルスク大戦車戦』のシナリオごとの使用ユニット判別と同じくらいに面倒な作業(日本版として出版したSA別冊第3号ではこの問題点を解消しました)なので、新版ではもっとスムーズにシナリオのセットアップができるよう、地図上での開始線をシナリオごとに区別して表示しました。
さらに、このゲームでは予備ユニットや航空基地を配置する関係で、都市や町の位置が非常に重要な意味を持つのですが、OSG版もAH版も、都市ヘクスや町へクスの場所を一目で判別できず、特にユニットが密集している場所ではいちいち駒をどけて確認する必要がありました。そこで、原版では「大河の渡河点」を示すために使われていた「黄色いヘクス」を、町や都市の表示に使うことにしました。これだと、ユニットが置かれていてもそこが「町または都市」であることがわかり、実用面で大きな効果を発揮することを確認しました。渡河点は、双方向の赤矢印で代用しましたが、機能的にはこれで充分だと思います。
下は、完成一歩手前の段階でのシックス・アングルズ版ゲームマップです。それぞれの画像をクリックすると、大きな画像を見ることができます。
ユニットについては、近々見本画像を公開する予定ですが、こちらもZOCの有り・無しを一目で判別できる処理など、いろいろな工夫を施しています。興味のある方は、ぜひ楽しみにしていてください。日本国内でも一定数が売られていた(月刊時代の『タクテクス』誌に和訳が掲載されていました)AH版を買って「ルールの不明瞭さやコンポーネントの不備でプレイ意欲を失った」という「挫折組」の方々にも、そうした問題点を全て解消した(…の予定です)今回の日本版で、このゲームの真価を確かめていただければ、と思います。
追記
現在書店で発売中の『歴史群像』誌第120号(2013年8月号)に、私の執筆した記事「樺太の戦い 1945」が掲載されています。シックス・アングルズ第3号に掲載した『サハリン1945』のヒストリカル・ノートに加筆修正したものですが、テーマに関心のある方はぜひご覧ください。