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2019年12月31日 [その他(戦史研究関係)]

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今月も、新刊が出ました。単行本『東西冷戦史(一) 二つに分断された世界』(アルタープレス)がそれで、1945年の国連創設と1948年のベルリン封鎖から、20世紀後半の世界を文字通り分断した「東西冷戦」を、政治と軍事の両面から読み解きます。今回の(一)では、朝鮮戦争とインドシナ半島の戦乱に光を当てます。

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この本は、過去に雑誌「歴史群像」に寄稿した原稿の中から、テーマごとに抽出して加筆修正する「戦史・紛争史叢書」というシリーズの第一巻で、共通の執筆意図について書いた「はじめに」の一部を以下に再録します。

 戦争や紛争は常に、新たな形態で発生し、特に軍事面では過去の戦訓が役立たないことも多い。隣国ドイツからの侵入を防ぐ目的で、第一次世界大戦の戦訓に基づいて構築されたフランスの大要塞「マジノ線」が、戦車や航空機の発達で完全な「役立たず」となっていることに気づかれず、二〇年後に勃発した第二次世界大戦ではドイツの電撃的な侵攻をまったく防げなかったのも、そうした教訓の典型的な一例と言える。
 その一方で、戦争や紛争に至る「前段階」の政治的変化や国家間の対立がエスカレートするプロセスに目を向けると、軍事技術の変化とは別の次元で、過去から現在まで共通するパターンも数多く読み取ることができる。
 いったん戦争や紛争が始まってしまえば、主に「軍事」の出番となるが、その発生回避という段階では、さまざまな政治面の相互誤解や感情的な言動の応酬、国家指導部の面子や威信への固執など、昔も今も変わらない人間的要素と「理性の限界」が、その後の展開を大きく左右する。従って、戦争や紛争の勃発を回避するためには、その前段階にこそ目を向け、何が指導者や国民を狂わせるのかを理解しておく必要がある。

私の原稿を読まれた方には説明不要かもしれませんが、私は戦争や紛争についての分析原稿を書く時、その経過だけでなく、発生原因を含む「前史」にも重点を置いています。この本では、日本の敗戦に前後して進められた「国連=国際連合(United Nations、より原語に忠実な訳語は『連合国』)」の創設から、1948年のベルリン封鎖、1950年〜53年の朝鮮戦争、1946年〜54年のインドシナ戦争(フランス植民地からのベトナム独立戦争)、1965年〜75年のベトナム戦争、それに前後して隣国のラオスとカンボジアで発生した紛争について、東西冷戦という国際的な枠組みの形成と米ソ超大国の「代理戦争」という側面、そして個々の地域や民族、国家に起因する固有の事情に光を当てながら、全体像と発生原因、共通点を俯瞰的に読み解いています。

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東西冷戦の終結後に生まれた世代が社会に増えた今、冷戦時代の戦争や紛争も次第に風化しつつあるように見えますが、しかし個々の戦争や紛争に目を向ければ、そこに存在する力学や国民煽動の手法などは、今の世界で今なお生き続けていることがわかります。冷戦時代の「世界の分断」について、改めて「おさらい」できる一冊として、活用していただければ幸いです。


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次に、12月6日発売の集英社の季刊誌「kotoba」2020年冬号に、私のインタビュー記事(6ページ)が掲載されました。

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取材を受けたのは8月で、あいちトリエンナーレの展示中止とその背景にある歴史修正主義の思想、差別や憎悪を煽る言説が社会に及ぼす害毒、デマやフェイクを見破る方法などについて語りました。


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また、12月13日に平川克美さんと隣町珈琲で収録した「ラジオデイズ」の対談音源が、リリースされました。対談のテーマは、現在の日本における時事問題で、日本の若者の話もいろいろしましたが、若者を批判するという文脈では(もちろん)ありません。

山崎雅弘×平川克美「権力に抗えないメディアと不安な若者」


それから、今日の毎日新聞のネット記事に、私のコメントが紹介されています。

この1年を「日本が世界の真ん中で輝いた」と表現する安倍首相の世界観とは

以下は、私のコメントの抜粋です。

「『無意識なのかもしれませんが、図らずも安倍首相の頭の中にある『優先順位』を可視化しました』と、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘さんは指摘する」
「『世界の真ん中で日本が輝く』という概念は、米国のトランプ大統領のような『自国中心主義』と同じように捉えられるかもしれませんが、それは違うと思います。首相は今回、米大統領来日、G20、即位礼正殿の儀、ラグビー・ワールドカップに言及していますが、すべて外国からの来客のことばかりで、自国民について全く触れていないのです。自国民の現状に関心がない」
「一過性のイベントの成果ばかりを自慢し、苦しんでいる自国の被災者は眼中にない、と批判されても仕方ない」
「そもそも『世界の真ん中で輝く国』なんて現実の世界には存在しません。情緒的な宣伝用の言葉なのです。現実離れした幻想を国民に抱かせ、政府の失敗や不都合な現実から目をそらす。その姿勢は、太平洋戦争の後半、戦況悪化という事実を覆い隠した戦争指導者たちの言動を連想させます」



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さて、2019年も今日と明日で終わりです。今年は本を4冊上梓し、『歴史戦と思想戦』(集英社新書)は各方面で大きな反響を呼んで、六刷のベストセラーになりました。買って下さった方、ありがとうございました。来年執筆する予定の何冊かの本について、資料収集と内容構成の練り込みをすでに始めています。

また、雑誌記事執筆や講演イベント、メディア取材などの言論活動も、幅広い形で行い、多くの方と新たに知遇を得ることができました。2020年も、さまざまな分野の仕事や活動でベストを尽くす所存です。来年も、よろしくお願いいたします。

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それでは、皆様も良いお年を!


【おまけ】

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2008年にデザインして個人出版した歴史ボードゲーム「モスクワ攻防戦」の英語版「ラスト・スタンド」が、来年初めにアメリカのMMP社から出版予定。テーマは第二次世界大戦のモスクワ攻防戦(雑誌「歴史群像」の付録になったものとは別のフルサイズのゲーム)。

これ以外にも、アメリカのコンパス・ゲームズから新作「フォー・マザーランド!」英語版が、中国のメーカーから「ウォー・フォー・ザ・マザーランド」(シックス・アングルズ第9号版)中国語版が、それぞれ出版される予定です。
 
 
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2019年11月29日 [その他(雑感・私生活など)]

まず告知から。朝日新聞出版から新刊『中国共産党と人民解放軍』(朝日新書)が発売されました。

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中国人民解放軍が日本にとって「どの程度」脅威なのかを知るためには、同組織が過去にどんな思考原理でどんな行動をとってきたかという「実績」を踏まえる必要があります。その基本的な情報を読者に提供する1冊です。

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中国共産党と人民解放軍』は、20世紀初頭の中国共産党と工農紅軍(のちの中国人民解放軍)創設から現代までに、中国共産党勢力が行った全ての戦争や紛争を政治と軍事の両面から読み解き、思考形態や行動原理を探ります。香港で起きている最近の出来事を読み解く上でも参考になると思います(特に天安門事件の経緯との対比で)。



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今月初めには「歴史群像」誌12月号(第158号)が発売されました。今回の担当記事は、独ソ戦の知られざる、しかし戦略的には重要な17か月間の戦い「ルジェフ攻防戦」で、計6度にわたった独ソ両軍の死闘を、戦略と作戦の観点から読み解いています。

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開戦時の人口が五万人ほどのルジェフに、なぜ両軍首脳が着目し、激戦地となったのかを、俯瞰的に解説しています。 モスクワ戦はもちろん、スターリングラード戦やクルスク戦とも微妙にリンクする部分のある渋い攻防戦でした。



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今月中旬に発売された「週刊金曜日」11月15日号には、私のロングインタビューが4ページ記事で収録されています。

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歴史戦と思想戦』『沈黙の子どもたち』『1937年の日本人』などで書いた内容の深層や、執筆という仕事で私が特に留意していること、執筆を通じて読者に伝えたいと思うことなどを説明しています。



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月刊誌「サイゾー」のネット媒体「ウェジー」でも、私のインタビュー記事が公開されました。『歴史戦と思想戦』(集英社新書)で指摘した問題点の説明を軸に、日本での歴史修正主義の跋扈とその目的、最近の出来事との思想的な関連性、安倍政権が力を持ち続ける理由等を論じています。

歴史修正主義者が歴史を書き換える「本当の目的」
/山崎雅弘インタビュー



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また、東海大学関連の出版社である東海教育研究所の月刊誌「望星」12月号の映画特集に、私も学生時代に観た映画についての2ページ記事を寄稿しています。同号で他の方々が紹介されている映画タイトルを観ると、観るべき作品を私は皆目観ていないと痛感させられます。来年はもう少し古典映画を観ようと思います。



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さて、今月は4日から7日まで、三泊四日で韓国旅行に行ってきました。昨年に続き、凱風館修学旅行部の皆さんと一緒に、内田樹さんの韓国講演旅行に同行させていただきましたが、とても楽しく、学びと思索の機会が多い充実した旅でした。

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内田樹さんの講演は、ソウルと大田の二箇所で韓国の教師や教育関係者向けに行われましたが、どちらも盛況で、内田さんのサインを求める人が行列を作っていました。そのあと、韓国南部の済州島に行き、島の聖地や歴史関係の博物館を尋ねたり、美味しい郷土料理をたくさんいただきました。

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韓国南部の済州島にある「済州4・3平和記念館」。第二次大戦後の韓国成立過程で段階的に起きた、軍と警察による大規模な住民殺害を説明する施設で、韓国と朝鮮半島の現代史の複雑さを改めて教えられました。

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大国による信託統治や南北分裂を決定づける単独選挙に反対した済州島の市民を、当時の李承晩政権とその後援者であるアメリカ軍政当局は「秩序を乱す不穏分子」と見なし、警察と右翼団体を派遣して弾圧しました。それに対し、1948年4月3日に市民側の武装勢力が警察と右翼を襲撃すると、李承晩政権は軍を投入して武力鎮圧に乗り出し、武装勢力だけでなくそれを匿っていると疑われた大勢の市民を殺害しました。さらに、1950年に朝鮮戦争が勃発すると、李承晩政権に従順でない済州の人々は「アカ(共産主義者)」の疑いをかけられて弾圧や殺害の対象となり、済州島の人口の一割に相当する三万人の市民が殺害されましたが、その三分の一は女性と子ども、老人でした。一部の生存者は、難民として大阪などに逃れました。

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済州島で起きた「四・三事件」と呼ばれる韓国軍の市民殺害行動には、アメリカ軍も深く関与していました。当時の国際社会は東西冷戦の勃興期であり、米軍は共産主義勢力の拡大に神経を尖らせていたからです。展示の説明にあるスコーチド・アース(焦土)戦略とは、ゲリラの拠点になりうる民家などを焼き払う、住民無視の軍事的行動です。

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「済州4・3平和記念館」には、韓国軍が済州の市民に行った拷問を「大日本帝国の遺物」と表現する説明がありますが、これは歴史的事実に基づいています。建国時の韓国の軍と警察で上層部に登用されたのは、大日本帝国に奉仕した旧軍人と警察の幹部でした。日本軍の憲兵や特高警察が使用した、電気や水を使った拷問の手法も、そのまま韓国の軍と警察に継承されました。

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「済州4・3平和記念館」は「済州4・3平和公園」という広大な敷地の一部で、公園内には犠牲者となった市民のお墓と慰霊堂があります。韓国でもこの出来事の位置づけはまだ定まっておらず、犠牲者の調査や確認もいまだ不完全ですが、自国で起きた「負の歴史」を誠実に記録しようとする姿勢に敬意を表します。

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済州島南西部の慕瑟浦にいくつも残る旧日本軍の掩体(飛行機を隠すシェルター)。1930年代に「アルトゥル飛行場」という日本軍の飛行場が作られ、1937年に日中戦争が始まると、ここを出撃した日本海軍機が南京などを爆撃しました。掩体の建設工事には、地元住民が強制徴用されました。大日本帝国時代の負の遺産のひとつ。

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これも済州島南西端の松岳山に残る旧日本軍の陣地洞窟。日本軍は米軍が本土上陸に先立って済州島に侵攻することを想定し、7万人の兵力を駐留させていました。山中にはトンネルがあり、岸壁には体当たり攻撃に使う特攻艇「震洋」を隠す穴がいくつも開けられています。ドラマ「チャングムの誓い」のロケ地でもあります。

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済州島北部の東門橋にある韓国海兵隊の記念碑。四・三事件の後、李承晩政権に貼られた「アカの島」という汚名を払拭するため、済州島の若者の一部は韓国軍の精鋭部隊である海兵隊に志願し、朝鮮戦争で北朝鮮軍・中国軍と激戦を繰り広げて戦功を挙げました。名誉回復のための軍への志願という図式は、第二次大戦時の日系アメリカ人部隊を連想します。

ちなみに、2020年1月発売の「歴史群像」誌の次号の担当記事は「日系アメリカ人の第二次大戦」です。


【おまけ】

今回、韓国で食べた美味しいもの。

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最初に思い出すのは、やはり帰国日の昼食で堪能した済州島のアワビとお刺身。焼きアワビ、アワビ粥に加え、活きたアワビを一人一個、各自で殻から外していただいた。生け簀から出したばかりで、指にへばりつくほど元気なアワビと格闘し、感謝しつつ味わいました。

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帰国前日の夜にいただいた豚の焼肉も絶品でした。済州では、一般的な三枚肉(サムギョプサル)に皮と追加脂肪層を加えた五枚肉(オギョプサル)で、さらに豚肉の味わいが濃厚。味付けは、塩や特産品の小魚塩辛など。締めの冷麺も、麺の食感がよく出汁も旨味が満載でした。

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こちらは、若鶏でなくアヒルを使った参鶏湯。上に乗っているのは冬虫夏草という漢方薬局でよく見るキノコだが、虫から出てくる希少な天然ものでなく、舞茸のように土台で栽培したものを使用。あとは済州の郷土料理である豚モツとホンダワラのスープ、豚ソーセージも大変美味でした。

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済州島の地元ビール二種。火山島なので火山のイラストがトレードマークになっています。ウィートエールは島特産のミカンの香り。
 
 
 
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2019年10月31日 [その他(戦史研究関係)]

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まずは告知から。『歴史戦と思想戦』(集英社新書)のさらなる増刷が決定しました。これで六刷、三万部です。買って下さった皆様、ありがとうございます。

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歴史戦と思想戦』に関連する形で催された、今年6月の大阪・隆祥館書店での内田樹さんとの対談と、今月10日の東京・神楽坂モノガタリでの望月衣塑子さんとの対談は、近いうちに集英社のネット媒体で記事化される予定です。

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東京新聞記者として活躍されている望月衣塑子さんとの対談イベントは、早々にチケットが完売し、何人かの友人知人から「行けなくて残念」との声を聞きましたが、盛況のうちに終わりました。その前後の時間には、驚くような裏話もいろいろお聞きでき、大変楽しく充実した時間でした。

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また、今月1日に大阪・ロフトプラスワン・ウエストで催された、『TRICK』著者の加藤直樹さんとのトークイベントも、幅広い話題で盛り上がりました。想定以上に話の幅が広がり、韓国映画の話では危うく「工作」のネタばらしをしそうになって加藤さんに止められました。

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さて、今月5日から7日まで、台湾に行ってきました。11月と12月に出る本(後述)の校正や地図制作などの仕事が詰まっていることもあり、二泊三日という短期のステイでしたが、ゲーム関係の仕事で知り合った台湾人の友人たちが、台北市内と猫空、新竹、日本統治時代に作られた古い製茶工場などに連れて行ってくれ、気分をリフレッシュできました。

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また、今月21日から24日には鹿児島へ旅行してきました。前から興味があった特攻隊の出撃基地三か所(知覧、万世、鹿屋)を見学するのがメインの用事でしたが、歴史ボードゲームの個人出版「シックス・アングルズ」の印刷や製本を20年近く前からお願いしている鹿児島の印刷屋さんにご挨拶し、枕崎のカツオなどの地元料理もたっぷり堪能しました。

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知覧の特攻平和会館。鹿児島訪問は今回が初めてで、特に特攻に関する原稿を書く予定はなかったのですが、3つの博物館の説明すべてに共通する「受け手の心理を誘導するトリック」に強烈な違和感を覚え、来年書く予定の本の内容とも重なることが判明したので、その本の中で書くことにしました。そのトリックとは、「特攻の延長線上に戦後の平和と繁栄がある」という説明のことで、受け手の心情を揺さぶる一方、歴史的事実には反する情緒的な現実解釈です。

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このトリックを「トリックだ」と認識できなければ、何度でも同じことが繰り返される可能性がありますが、特攻で死んだ若者がそれを望むとは思えません。上の写真の特攻兵は、17歳と18歳。現代の日本に生まれていたなら、高校野球や高校サッカーをしている年齢です。何らかの大義名分を信じて出撃したとしても、それは人生経験に基づく確信ではあり得ないでしょう。

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知覧特攻平和会館から1.6キロほど北北東にある富屋食堂。戦時中は軍の指定食堂で、経営者の鳥浜トメさんは、特攻出撃で命を失った若い日本兵を息子のように面倒を見て、兵士からも母親のように慕われました。その日本兵の中には朝鮮の出身者もいました。今は一階と二階が特攻関連の展示室になっています。

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万世の特攻平和祈念館。特攻関連の博物館では、特攻の原因を「戦争」という漠然とした一般論に求め、戦争はしてはなりませんと説明しますが、では誰がどんな経緯でその「戦争」を始めたかには全然触れません。また、特攻で死んだ若者に涙を流す人は多いですが、彼らを死なせたのは「戦争」ではありません。もし「戦争」が特攻の原因なら、第二次大戦に参戦した国の多くが、同じような「体当たり攻撃」をしていないとおかしいですが、実際には組織的に「体当たり攻撃」を繰り返し自国の兵士に行わせたのは、大日本帝国ただ一国でした。

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鹿屋の航空基地史料館にある特攻関連展示。近くには、体当たり用に設計された人間爆弾「桜花」の記念碑や、公園の高台に立つ特攻戦没者の慰霊碑があります。

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鹿児島南部の薩摩半島・指宿から大隅半島・根占に渡るフェリーの根占側の港のそばに、小型ボートで体当たり攻撃をした「海上挺進戦隊」の記念碑があります。

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鹿児島で買った本。特攻については『戦前回帰』で少し触れましたが、やはりあれだけでは不十分だと痛感しました。大勢の観光客で溢れた知覧とは対照的に、万世の特攻平和祈念館はほとんど貸し切り状態だったので、遺書などの展示物と遺影を計三回見て、来年書く本でどこに光をあてるべきかを、ソファで考えました。

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鹿児島からの帰りは、飛行機でなく新幹線を選択(西の新幹線は普通車でも二席二席でゆったりして快適)し、下関で途中下車して唐戸市場の近くで昼食を食べました(ふぐの刺身など)。

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下関にある日清講和記念館。春帆楼という割烹旅館の一室で1895年に行われた日清戦争の講和会議(下関条約)を、同地の敷地内で再現したミニ博物館で、本館は空襲で消失して戦後に再建されたが、1937年に建てられた記念館は無事でした。机や椅子は、伊藤博文や陸奥宗光、李鴻章らが使用したもの。


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さて、来月は朝日新書から新刊『中国共産党と人民解放軍』が刊行されます。20世紀初頭の中国共産党と工農紅軍(のちの中国人民解放軍)創設から現代までの、表題の2つの組織の足跡を追う内容で、二度にわたる国民党との内戦と、第二次大戦中の抗日戦争、台湾との争い、朝鮮戦争への「義勇軍」名目での軍事介入、ソ連やインドとの国境紛争、チベット問題と新疆ウイグル問題、文化大革命、中越戦争、天安門事件、尖閣諸島問題、南沙諸島問題、中国人民解放軍の組織と編制の変遷などを扱っています。この本の詳しい内容については、次回の更新でご紹介します。

また、12月には単行本『二つに分断された世界』(アルタープレス)が刊行されます。こちらは、副題の「東西冷戦史(一)」が示すように、20世紀後半の東西冷戦体制の始まりとアジアにおける東西冷戦の代理戦争を、政治や軍事、民族などの視点で読み解く内容です。各章では、国連の創設、ベルリン封鎖(1948年)、朝鮮戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争、ラオス・カンボジア紛争をカバーします。この単行本は、「戦史・紛争史叢書」というシリーズの第一巻で、第二巻は『終わらない中東の戦乱(仮)』、第三巻は『東西冷戦史(二) 憎しみの壁の崩壊(仮)』となる予定です。


【おまけ】

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台湾でいただいた美味いもの。羊の鍋、新竹のビーフン、モツの酢煮込み、その他。やっぱり台湾の食は外れなしです(唯一の例外は臭豆腐)。

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鹿児島でいただいた美味いもの。特に印象に残ったのは、枕崎で食べたカツオ料理でした。ぶえん鰹の刺身は、一本釣りした直後に急速冷凍したもので、想像を超える旨さ。鰹の頭(ビンタ)も結構サイズが大きくて、解体しながら鰹の香りが濃厚な身を味わいました。三重県も海の幸が豊富な県ですが、この絶品のカツオ料理はやはり産地に行かないと味わえません。

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地元産の豚肉を使用したとんかつは、指宿と鹿屋で2回食しました。

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鹿児島の印刷会社の人に「お薦めの名物料理は何ですか?」と聞いたら、鳥刺しという答えが返ってきましたが、確かに歯ごたえと味わいが絶品でした。

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九州名物のとんこつラーメン。いずれまた鹿児島に行きたいです。
 
 
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2019年9月30日 [その他(戦史研究関係)]

8月は結局ブログを更新しそびれてしまいましたが、気がつくと9月も最終日になっていました。まずはこの間の仕事などの告知です。

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まず、「歴史群像」最新号(第157号)が9月初めに発売されました。今回の担当記事は「オランダとベルギーの第二次大戦」で、英仏独という三大国の狭間で翻弄され、望まずして第二次大戦に巻き込まれた両国の足跡を追っています。米中露の三大国の狭間にいる現在の日本と南北朝鮮も、パワーゲームではこれと近いポジションにいるという側面があります。

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オランダとベルギーは、第二次大戦史の記述では「とりあえずイギリスとフランスの側」として簡単に流されることが多いですが、それぞれ固有の政治的・軍事的問題を抱えて苦労していました。蘭印(オランダ領東インド、現インドネシア)の話やSS義勇兵の話なども書いています。そして、両国の太平洋戦争との関係も。オランダは「蘭印」が日本軍と戦いましたがベルギーは? 実は、ある兵器の開発に関連して、ベルギーが重要な役割を果たしていたのでした。



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それから、5月に刊行された『歴史戦と思想戦』(集英社新書)ですが、その後何度か増刷を重ね、現在までに五刷で累計2万5000部となりました。五刷では帯も一新され、内田樹さん、望月衣塑子さん、鴻上尚史さん、想田和弘さんのご推薦文が入りました。あいちトリエンナーレ事件の読み解きにも活用していただければ幸いです。

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この本の中で指摘したトリックや価値観を踏まえれば、今の日本社会のあちこちで起こる一見別々に見える出来事が、実は根底で同じ水脈に繋がっていることがわかると思います。



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8月の上京時は、平川克美さんの隣町珈琲にもお邪魔しました。そして、日本に一時帰国されていた想田和弘さんと「ラジオデイズ」の収録を行いました。

話題の中心は、7月の参院選でのれいわ新選組の躍進についての分析を軸に、野党側から見た現在の日本の政治状況でした。立憲民主党と枝野さんについても、平川さん・想田さんが少し引かれるくらい率直に意見を述べましたが、今でも応援しているからこその言葉です。他の話題も濃密で、とてもエキサイティングな時間でした。ぜひ御一聴を!

ラジオデイズ特別鼎談 「れいわ」の民主主義



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また、シンガポールのニュースTV局の番組「INSIGHT」8月30日放送回で、私のインタビューが少し使われました。

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テーマは「日本の再軍備」で、憲法学者の長谷部恭男さんや石破茂議員、元日本軍人を含む戦争経験者などの言葉を紹介しながら、安倍首相の軍備増強政策を読み解く内容です。

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先日東京某所で収録したインタビューは1時間くらいで、日本会議と安倍政権の関係なども話しましたが、私が特に重要と思う部分(日本国憲法の制定にどんな意図が込められていたのか)の発言を使ってもらえたので、特に不満はありません。安倍首相がなぜあれほど憲法変更に前のめりなのか、という理由は、もちろん党の悲願云々ではなく、戦前の精神文化に回帰する上で日本国憲法が最大の障害物だからです。下のリンク先で観られる、約48分の英語プログラムです(私のインタビューは日本語に英文字幕)。

Ep 18: Rearming Japan



さて、ここからは告知です。明日の10月1日は、大阪の「ロフト・プラスワン・ウエスト」で『TRICK』著者の加藤直樹さんとのトークイベントがあります。こちらは、いわゆる「歴史修正主義」に関する話がメインで、『歴史戦と思想戦』で「歴史修正主義」という言葉を極力使わなかった理由や、本の最後を「歴史戦という手法の全否定」にしなかった理由も語ります。

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登壇者もお酒を飲めるイベントは初めてですが、話がどんな方向に展開するのか、私も楽しみです。

ダブル出版記念! 歴史戦と思想戦のTRICK



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また、10月10日(来週木曜日)には、東京・神楽坂の書店「神楽坂モノガタリ」で、ジャーナリスト(東京新聞記者)の望月衣塑子さんとイベントをやります。既にお気づきの方も多い様子ですが、私が『歴史戦と思想戦』で紹介した論理のトリックは、実は安倍政権下の政治問題でもよく使われています。この東京のイベントでは、後者に重点を置いて語る予定です。

歴史と政治のトリックを『論理』で見破ろう


来月は、11月に朝日新書から刊行される新刊『中国共産党と人民解放軍』の校正および地図制作と、12月に別の出版社から刊行される単行本(タイトル未定)の校正および地図制作を中心に、他の仕事も並行して進めます。今年も残り3か月となりましたが、



【おまけ】

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9月28日、大阪谷六のビストロ「ギャロ」で、ラグビーW杯日本対アイルランド戦のパブリックビュー会に参加しました。ビールとワインと美味しい料理を味わいつつ、そして熱いラグビーファン諸氏の的確なコメントを聞きつつ観戦しましたが、まさか日本がアイルランドに勝つとは。

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皆さんおめでとう! ルールや戦術も少しずつわかってきました。

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2019年7月20日 [その他(ウォーゲーム関係)]

今日はゲーム関係の話題を三つほど。

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まず、前回の記事でも少し紹介しましたが、今月5日に出た「歴史群像」誌の8月号(156号)に、担当記事「ドニエプル攻防戦 1943」と付録のボードゲーム2点が収録されています。

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付録ボードゲームは、各方面で大好評のうちに完売した昨年8月号の「モスクワ攻防戦」&「バルジの戦い」に続いて一年ぶり(通算3回目)ですが、今回のテーマは日本海軍もので、2人用が「第二段作戦」、1人用が「マレー沖海戦」です。

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第二段作戦」は、英文タイトルの「Carrier War」が示すように、太平洋戦争の空母戦を扱うゲームで、日本軍にまだ勝ち目があった1942年の5月から6月、つまり珊瑚海開戦からミッドウェー海戦に至る時期を扱っています。空母のコマは、上面イラスト入りで、横長のダブルサイズになっています。

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また、当時の日本海軍の上層部(軍令部と連合艦隊司令部)で検討された「第二段作戦」のさまざまなオプション(MI=ミッドウェー作戦、FS=フィジー・サモア作戦、MO=ポートモレスビー作戦など)をマップ上で試すことができ、それぞれの策にどのようなメリットとデメリットがあったのかを、指揮官の立場で感じることができるようになっています。珊瑚海海戦がなぜ起きたのか、日本海軍がなぜあれほどポートモレスビー攻略に執着したのかも、ゲームのプレイを通じて理解できるかと思います。

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ゲーム自体は比較的シンプルな形ですが、隠密移動などのルールを使わない、未確認マーカーを併用するシステムなので、ソロプレイも可能です。また、空母同士の海戦の解決は、戦術色を出す形でルール設計を行っており、実際の空母戦と同様、人事を尽くして天命を待つという、緊迫感あふれる展開となるはずです。

ゲームのプレイ時間は、ウォーゲームに慣れた人なら30分前後、一般の人でも1時間ほどで、立場を入れ替えて再戦というのも十分可能でしょう。今回も、コマが擦り切れるくらいに繰り返しプレイしていただければと思います。

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マレー沖海戦」は、1941年12月に発生した日本海軍航空機によるイギリス海軍の戦艦プリンス・オブ・ウェールズと巡洋戦艦レパルスに対する航空攻撃を再現するソリテアゲームです。単に飛行機で攻撃するだけでなく、その前段階としての南遣艦隊による捜索と、その結果に基づく出撃タイミングの決定、そして航空攻撃の結果を踏まえた「結果判定」まで、一筋縄ではいかないシステムを考案しました。

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プレイヤーは、イギリス艦隊の位置に関する情報を集めてから、航空隊の出撃を行いますが、情報が少なすぎても、また十分な情報を得るために捜索段階に時間をかけ過ぎても、結果判定では不利になります。そのため、捜索結果の入電情報を見極めながら、ここぞというタイミングで出撃する必要があります。

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また、発見後にはマップ上に描かれたディスプレイ上で、九六式陸攻と一式陸攻で両艦を攻撃(飛行機のコマは飛行中隊単位)しますが、爆装機は「低高度」と「高高度」、雷装機は「近距離」と「遠距離」のオプションがあり、それぞれ一長一短ある選択で、飛行中隊に命令を下します。

帰還後の結果判定では、両艦の沈没だけでなく、捜索に費やした時間や自軍の被った損害なども考慮しながら、上層部による任務の評価を仰ぐことになります。時には、現場の苦労を理解しない上層部によって、予想外の低評価が下されることもありますが、それも現実の組織内における不条理を再現しています。

こちらのプレイ時間は、慣れれば15分か20分くらいで終わるはずです。この戦いを扱ったゲームは、他に無かったのでは、と思いますが、実際のマレー沖海戦が一般のイメージほど簡単な任務ではなかった事実を、プレイを通して実感していただければと思います。

なお、学研の公式サイトにある「制作こぼれ話」にも、デザイナーズ・ノート的な文章を寄せていますので、そちらも併せてご覧ください。

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付録ボードゲーム(2019)について(歴史群像156号)



二つ目の話題ですが、今から7年前の2012年にシックス・アングルズ第14号付録として刊行したゲーム『ベアズ・クロウ』の完全中国語版『赤熊之爪』が、中国のメーカー「戦旗工作室」からボックス版として出版されました。

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私の手許に見本が届きましたが、ルールブックはフルカラー、マップは日本版よりも分厚い紙(セミハードマップ)で、なかなか豪華な仕様。

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「スモレンスク」「ドニエプル川」「キエフ」って、漢字ではこう書くんですね。

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アメリカのメーカーからは、1990年代にWWWやゲーマーズなどから何個かゲームを出しましたが、まさか中国のメーカーから出す日が来るとは、1980年代にゲームを始めた頃には想像もしませんでした。

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上海などで何度か現地のゲーマーと会食などしましたが、平均年齢は日本よりだいぶ若い感じです。中国では、若者にお金と時間の余裕が出てきたこともあり、ボードゲームのプレイ人口も増えつつあるようで、うらやましいです。



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そして三つ目の話題ですが、上記二つの発売を記念して、というわけでもないですが、2014年にボックス仕様として発売したゲーム『騎士鉄十字章』の価格を、2019年8月1日以降、従来の「11000円+税」から、半額の「5500円+税」に値下げします。

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このボックスセットは、フルサイズの作戦級ゲーム『パウルス第6軍』と『ツィタデレ:クルスクの決戦』をセットにしたものです。

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歴史群像」誌の付録として付いた歴史ボードゲームからいきなりステップアップするのはさすがに難しいかもしれませんが、システムはオーソドックスなルールの組み合わせとなっているので、お手頃な価格で買っていただけるようにすることで、より多くのゲーマーにプレイしていただけるようになれば、と思います。


それから、先月「週刊プレイボーイ」誌に掲載された、映画「主戦場」のミキ・デザキ監督との対談記事が、ネットで公開されています。時たま私もRTしていますが、「主戦場」と私の『歴史戦と思想戦』(集英社新書)を相互補完的に観る/読むことで、より全体像の理解が進むと思います。

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炎上しつつ全国拡大上映中のドキュメンタリー映画『主戦場』監督と戦史研究家が対談

また、「週刊朝日」の書評欄「ベストセラー解読」というページに掲載された内容が、ネット版でも読めるようになっています。

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歴史戦と思想戦─歴史問題の読み解き方 山崎雅弘著

また、劇作家・演出家の鴻上尚史さんが「日刊SPA!」(扶桑社)というネット記事で『歴史戦と思想戦』を紹介して下さっています。読者に着目していただきたい本の中のポイントが、わかりやすく説明されています。

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「日本の悪口を言う奴は反日だ」と叫ぶ人たちが取り違えていること/鴻上尚史



このほか、近況としては、7月11日に大阪市立大学で伊地知紀子教授の授業に招かれて、「日韓関係と歴史問題の読み解き方」という講義をしました。『歴史戦と思想戦』の中で紹介したいくつかの「トリック」を実例に挙げ、言葉の使い方や「使われ方」に注意して下さいと、200人近い学生さんに話しました。

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今月の残りは、「歴史群像」誌次号の担当記事「オランダ・ベルギーの第二次大戦」の執筆と、次に出る文庫本の執筆に没頭します。


【追記】

明日は、第25回参議院議員通常選挙の投票日です。過去にネット媒体や新聞に寄せた原稿をいくつかご紹介しますので、投票行動の参考にしてください。

《1》首相が「どの論点を避けているか」にも目を向けてみる(ポリタス、2014年)

《2》日本社会が「ウソの氾濫」を許すか否かを問う選挙(ポリタス、2017年)

《3》投票所の「入り口」と「出口」から見える風景(東京新聞、2014年)

 
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料理で使ったニンジンのヘタを水に浸けておいたら、葉っぱがどんどん伸びてきました。
 
 
 
 
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2019年7月5日 [その他(戦史研究関係)]

先月に続いて、今月も新刊の告知から。6月25日に、単行本『沈黙の子どもたち』が晶文社より発売されました。

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この本のテーマは、第二次世界大戦期における、軍(またはそれに準ずる組織)による市民の大量殺害です。実質的に同大戦の前哨戦であったスペイン内戦と日中戦争も含み、ゲルニカ、上海・南京、アウシュヴィッツ、シンガポール、リディツェ、沖縄、広島・長崎の計七章と最終章(戦後の反省)から成ります。

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上に挙げた地名の多くは、歴史的によく知られていると思いますが、本書はそれらの場所での市民の大量殺害がなぜ起きたか、その原因と構造を「実行した側の『合理性』」から読み解こうとする試みです。それに加えて、個々の大量殺害を引き起こす直接的な動機となった「命令への絶対服従」という組織内の規範について、戦後のドイツと日本が違った対処法をしている事実についても終章で光を当てています。

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ドイツ連邦軍は過去の反省から「命令への絶対服従」に留保を付けた。では日本は? 大日本帝国時代の反省は制度に存在するか? 戦争という怪物の実相を理解する一助として、本書を活用していただければ幸いです。

その2日後の6月27日付毎日新聞夕刊に、先日上京した際に受けた『歴史戦と思想戦』(集英社新書)の著者インタビューが掲載されました。ネット版もありますが、会員限定のようです。記事のタイトルには「出版文化の健全さに訴え 『歴史戦と思想戦』で修正主義に一石」とあります。

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聞き手の栗原俊雄さんは、毎日新聞記者であるのと同時に『特攻 戦争と日本人』などの著作を持つ昭和史の研究家でもあり、同い年ということもあって様々な歴史上の論点について意見交換できました。

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7月1日発売の雑誌「ZAITEN」(財界展望新社)にも、『歴史戦と思想戦』を主題とする2ページの著者インタビュー記事が掲載されています。

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内容は、同書の執筆動機や、いわゆる「歴史修正主義」の思考形態をどう理解し、どのように対処すべきか等で、見城徹氏と幻冬舎、百田尚樹氏を扱った巻頭特集の内容ともリンクしています。

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雑誌「週刊金曜日」の6月14日号には、「新時代という虚構」という企画の第三回として「消えた『ニュースと政治プロパガンダの境界』」という2ページの記事を寄稿しました。

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特定の政治権力者による「宣伝(プロパガンダ)」にすぎない内容を、「ニュース」という体裁をとって国民の耳目に触れさせる手法が、最近の日本で増えているように思います。

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また、今日(7月5日)の朝日新聞朝刊にも、先日自宅で受けたインタビューの内容が「耕論」という企画の中で掲載されました。

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昨今の日本(および世界)で広がりつつある権威主義についての話がメインですが、国会議員だけでなく市民もそれと自覚しないまま、服従的な思考形態に適応しつつあるのは危険な兆候だと思います。

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私はいつも著作やSNSで権威主義を批判しているので、あらゆる権威を否定する「反権威主義者」のように思われているかもしれませんが、各分野の権威には一定の敬意を払っています。私が危ないと思うのは、特定権威の過剰な称揚と判断停止、権威を道具にした威圧や恫喝、権威への無条件服従などの心理です。



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この単行本発売に前後して、私は一週間ほどアメリカに滞在していました。今回は、昨年に続いてアリゾナ州テンピで開催されたボードゲームのコンベンション「コンシムワールド・エクスポ2019」に参加し、米国コンパス・ゲームズ社から発売予定の新作ゲーム『For Motherland !』のプレイテストを会場で行いました。

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テストを担当してくれたアメリカ人ゲーマーの1人は、旧版の『War for the Motherland』をプレイした経験もあるベテランで、共通する基本システムをすでに理解されていたので、英語でルール等を説明する際の負担がだいぶ軽減されました。

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ナポレオニック・ゲームの伝説的デザイナーであるケヴィン・ザッカー氏とも久しぶりに再会(20年くらい?)。私は前に、彼のゲーム出版社(OSG: Operational Studies Group)のためにグラフィックの仕事を何度かしたことがあり、シミュレーション・ゲーム業界における彼の功績を深く尊敬しています。

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また、アリゾナへの行きと帰りにサンフランシスコに立ち寄り、いくつかの場所を見学しました。

サンフランシスコ市内にあるオペラハウスの建物。朝鮮戦争が二年目に入った1951年9月8日、日本と主要連合国の間で先の戦争の講和条約(通称サンフランシスコ講和条約)が署名されました。この日はオペラの上演日だったので内部は見られませんでしたが、脇の車寄せから入る着飾った人々の姿から当時の光景を想像しました。

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オペラハウスからタクシーで15分くらいの場所にある、米陸軍プレシディオ基地内のゴールデン・ゲート・クラブの建物。ここは昔「下士官クラブ」として使われ、サンフランシスコ講和条約締結後に吉田茂首相が米政府代表者との間で最初の「日米安保条約」に署名した場所です。こんな小さい施設で署名したのかと改めて驚かされました。ここが戦後の日米軍事同盟の出発点です。

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サンフランシスコの名所、ゴールデン・ゲート・ブリッジ(金門橋)。出発前日に映画「007 美しき獲物たち」をBSで観て、ゾリンの飛行船が衝突した橋の上部を見るのを楽しみにしていたのですが、残念なことに同地名物の霧で上半分が隠されていました。たもとには橋の設計者ジョセフ・ストラウスの像が立ちます。遠くからだとわかりにくいですが、実はニューヨークのクライスラービルなどと同様、アールデコの装飾が橋のあちこちに施されています。

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さて、今日(7月5日)は雑誌「歴史群像」最新号の発売日です。今回は、本誌記事「ドニエプル攻防戦 1943」の執筆に加え、付録ボードゲーム2つのデザイン・制作・グラフィックを担当しました。プレイを通じて指揮官の決断を重さを体感できる、2人用(第二段作戦)と1人用(マレー沖海戦)のボードゲームが、打ち抜き駒と共にパッケージされています。これらについては、次回の投稿で詳しく書きます。

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アリゾナ州テンピのゲームコンベンション「コンシムワールド・エクスポ2019」で、「第二段作戦」をプレイする、アメリカ人のベテランゲーマー2人。

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2019年6月5日 [その他(雑感・私生活など)]

今日は久しぶりの新刊の告知です。5月17日に集英社新書から『歴史戦と思想戦』が発売になりました。

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どんな本なのか? それを説明する同書の「まえがき」の冒頭部分を、以下に転載します。

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 今、もし書店にいらっしゃるなら、店内を見回してみて下さい。
 売り場の一番目立つところに、こんなタイトルの本が並んでいないでしょうか。
「中国・韓国の反日攻勢」「南京虐殺の嘘」「慰安婦問題のデタラメ」「あの戦争は日本の侵略ではなかった」「自虐史観の洗脳からの脱却」……。
 あるいは、もう少しマイルドな「日本人が、自分の国を誇りに思える歴史の書」という体裁で、日本人読者の自尊心や優越感をくすぐるような歴史関連本。
 もう何年も前から、こうしたタイプの本を書店でよく見かけるようになりました。
 過去の歴史について、日本に不都合なことを「なかった」といい、日本は何も悪くないと語る本は、読んでいる間は日本人にとって心地いいものです。けれども、そんな安心感に身を委ねてしまうと、それと引き換えに大事なものを見失ってしまうのではないか。日本は何も悪くないと誰かに言われれば、一人の日本人として肩の荷が下りたような気になるが、本当にその結論でいいのだろうか……。
 また、こうした本がどうも胡散臭いと感じても、具体的にどこがどう間違っているのか、何がどう問題なのかを、自分の言葉でうまく説明できない人も多いのではないでしょうか。

 本書は、そんなモヤモヤした違和感を、「事実」と「論理」の二つの角度から検証し、ひとつずつ解消していく試みです。本書を最後まで読まれれば、今まで心に引っかかっていた疑問や違和感の正体を理解でき、この種の本に巧妙に仕掛けられたさまざまなタイプのトリックを、一瞬で見破れるようになるはずです。
 また、歴史という大きな問題と向き合う姿勢についても、本来あるべき姿を改めて考えるヒントを、読者に提示するよう努めました。
 最近は特に、日本人の歴史との向き合い方が、大きく揺らいでいると思うからです。

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また、ネット書店向けに用意された内容紹介の文を、以下に転載します。

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今、出版界と言論界で一つの「戦い」が繰り広げられています。

南京虐殺や慰安婦問題など、歴史問題に起因する中国や韓国からの批判を「不当な日本攻撃」と解釈し、日本人は積極的にそうした「侵略」に反撃すべきだという歴史問題を戦場とする戦い、すなわち「歴史戦」です。
近年、そうしたスタンスの書籍が次々と刊行され、中にはベストセラーとなる本も出ています。

実は戦中にも、それと酷似するプロパガンダ政策が存在しました。
しかし、政府主導の「思想戦」は、国民の現実認識を歪ませ、日本を破滅的な敗戦へと導く一翼を担いました。
同じ轍を踏まないために、歴史問題にまつわる欺瞞とトリックをどう見抜くか。豊富な具体例を挙げて読み解きます。

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これらの説明で大体おわかりかと思いますが、この本はいわゆる「歴史修正主義」の出版物と正面から対峙し、そこで語られる言葉やロジックを「事実」と「論理」のふたつの角度から解析して、その言説としての信憑性や論理的整合性を検証する試みです。

これに加えて、現代の日本で繰り広げられる「歴史修正主義」の言葉やロジックが、実は先の戦争(日中戦争と太平洋戦争)の時代に日本政府が国の内外で展開したプロパガンダの方法論「思想戦」と瓜二つであることを、当時の資料をふんだんに紹介しながら実証し、彼らがなぜ「歴史修正主義」の思想に惹かれるのかという内面的な問題にも光を当てています。

この本で私が取り上げた主な内容は、ネット書店向けに用意された内容紹介で紹介されています。

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【主な内容】
◆産経新聞が2014年から本格的に開始した「歴史戦」
◆「歴史戦」のひとつ目の主戦場:戦時中の慰安婦問題
◆「歴史戦」ふたつ目の主戦場:日本軍による南京での虐殺
◆なぜ大日本帝国の否定的側面を批判する行為を「自虐」と呼ぶのか
◆第一次世界大戦後の日本軍人が着目した「総力戦」と「思想戦」
◆思想戦の武器は「紙の弾丸、声の弾丸、光の弾丸」
◆「歴史戦」の論客の頭の中では今も生き続ける「コミンテルン」
◆「戦後の日本人はGHQのWGIPに洗脳された」という「ストーリー」
◆児玉誉志夫は「思想戦」の独善的側面に警鐘を鳴らしていた

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そして、本書の章立ては、以下の通りです。

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【目次】
第一章 「歴史戦」とは何か
第二章 「自虐史観」の「自」とは何か
第三章 太平洋戦争期に日本政府が内外で展開した「思想戦」
第四章 「思想戦」から「歴史戦」へとつながる一本の道
第五章 時代遅れの武器で戦う「歴史戦」の戦士たち

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いわゆる「歴史修正主義」を扱った本は、今までにも何冊か刊行されていますが、本書のようなアプローチの本は書店の本棚に見当たりませんでした。そのせいか、発売から4日で二刷、18日で三刷と増刷を重ねており、書店での売り上げランキングでも1位になっているようです。

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この本の執筆に際し、担当編集者と相談したのは「既存の右派・左派という戦いの構図から少し距離をとりましょう」ということでした。自分を右派とも左派とも思わない人にも手に取ってもらえるよう、帯の文も工夫しました。

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先日上京した際には、慰安婦問題を扱った話題の映画「主戦場」のミキ・デザキ監督と、某誌の企画で対談しました。彼がこの映画でとった手法は、私が『歴史戦と思想戦』でとった手法と共通する部分があり、さまざまな話題で充実した対談になったと思います。具体的な記事として掲載され次第、改めて媒体名などを告知します。

父親や友人、会社の先輩や上司が、いつのまにか「いわゆるネトウヨ」化してしまったが、どう対処したものかと困惑されている方は、「本屋でこんなの見つけたよ、よく知らないけど」と、さりげなく『歴史戦と思想戦』をプレゼントされるのも一策かもしれません。

また、新刊企画会議で「売れるから」と提起された「歴史修正本」や「中韓悪口本」の企画を自分の良心に照らして出したくないと思う編集者の方や、書店の店頭に「歴史修正本」や「中韓悪口本」を並べたくないと思う書店員の方も、ぜひ『歴史戦と思想戦』(集英社新書)を上司の説得に活用してください。

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2019年5月12日 [その他(戦史研究関係)]

まず告知です。『歴史群像』誌(学研)の最新号が刊行されました。

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私の担当記事は、前号の続き「朝鮮戦争(後編)」です。1950年10月に中国が軍事介入した後の朝鮮戦争については、日本での知名度が比較的低い模様ですが、米国・韓国軍が中国・北朝鮮軍と戦場で激突した、過去に唯一の機会でした。今回も政治と軍事の両面から、朝鮮戦争の様相を読み解いています。

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朝鮮半島情勢は、今なお予断を許さない状況ですが、北朝鮮と中国およびロシアの複雑な関係を理解する上で、朝鮮戦争における中国およびソ連の役割を知ることはプラスになるのでは、と思います。いまだ「休戦」状態に留まり、「終戦」に至っていない朝鮮戦争の全体像を俯瞰する一助として、『歴史群像』誌の前号と最新号に寄稿した記事を役立てていただければ幸いです。

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歴史群像』誌最新号の書籍等を紹介するページでは、「朝鮮戦争(後編)」をより深く理解するアイテムとして、韓国映画『高地戦』を紹介しました。これは非常によくできた作品で、戦争という社会現象が持つ普遍的な不条理と、朝鮮戦争という出来事に固有の不条理を、生々しくえぐり出して描くことに成功しています。背景に関する多少の予備知識がないと、意味がよくわからない部分がいくつかありますが(「貴方は彭徳懐の恐ろしさがわかっていない」という台詞など)、「朝鮮戦争(後編)」を読んだ後でご覧になれば、それらの疑問はほぼ解消するだろうと思います。


それから、7月発売の『歴史群像』次号では、また私のデザインする歴史ボードゲームが付録として付きます。

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今回のテーマは、二人用が「第二段作戦」、一人用が「マレー沖海戦」です。指揮官の決断の重さや、重要局面でのリスク判断の難しさなども実感できる内容に仕上げるべく、鋭意制作中です。

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ここに紹介している「第二段作戦」のグラフィックは、いずれも制作途中段階のもので、細部は製品版と異なる場合があります。

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テストプレイ中の風景。ミッドウェー海戦(MI作戦)を行わずに、フィジー・サモア作戦(FS作戦)やポート・モレスビー作戦(MO作戦)を行っていたら、など、いろいろ試してみることができます。

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1回のプレイ時間は、慣れれば30〜40分(今までの最短は25分)で、未確認マーカーを併用するシステムなので展開は毎回変わり、日米どちらが勝っても「もう一回やろう!」となるようなゲームに仕上がりつつあります。空母戦の解決も、どちらが先手を打つかで展開が変わり、奇襲の効果が生じれば、一撃で相手空母を轟沈、という逆転の展開も起こりえます。

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二人用「第二段作戦」は、史実のような空母戦の緊迫感を演出しつつ、対戦相手が見つからない人が一人でもプレイできるよう、システムを工夫してあります。一般的な隠匿配置や秘匿移動のシステムは使っていないので、ソロプレイでも大丈夫です。一人用の「マレー沖海戦」と共に、今回もリプレイアビリティの高いゲームに仕上げます。ぜひご期待ください。



あと、今月17日に新刊『歴史戦と思想戦』(集英社新書)が発売されます。この本の内容については、次回の更新で詳しく説明します。こちらも、お楽しみに。

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2019年4月22日 [その他(戦史研究関係)]

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3月はまた忙しくて更新し損ない、4月もうかうかしていると終わってしまうそうなので、とりあえず更新です。

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まず、3月発売の『歴史群像』(学研)に、巻頭特集記事として「朝鮮戦争《前編》」を寄稿しました。

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1945年に大日本帝国が連合国に降伏した後、政治力の空白が生じた朝鮮半島がなぜ南北に分断され、どんな経緯で韓国と北朝鮮という二つの国家が生まれたのか。北朝鮮の金日成はなぜ、1950年に韓国への軍事侵攻を開始したのか。朝鮮戦争序盤の韓国軍と米軍は、なぜ大敗したのか。韓国を助ける「国連軍」が、いかなる経緯で創設され、国連安保理の常任理事国であるソ連や中国はなぜ拒否権を発動しなかったのか。今回の前編では、中国人民解放軍の介入までの朝鮮戦争を、政治と軍事(戦略と作戦)の両面から読み解きます。

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昨年11月に韓国を旅行した際、北朝鮮との休戦ライン近くにも行きましたが、ある地点から先に行くと緊張感が俄然高まり、朝鮮戦争はまだ終わっていないのだと改めて感じました。

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また、連休明けの5月7日に発売予定の『歴史群像』誌次号にも、「朝鮮戦争《後編》」を寄稿しています。1950年10月に中華人民共和国が朝鮮戦争に介入した経緯と、1953年の休戦成立までの「中国・北朝鮮対アメリカ・韓国・国連」の戦争の推移を、政治と軍事の両面から読み解きます。前後編を通しで読まれれば、知っているようで知らない人の多い、朝鮮戦争についての理解が深まるのではないか、と思います。


それから、シックス・アングルズ第14号の付録としてデザインし、個人出版したボード・シミュレーションゲーム『ベアズ・クロウ』の中国語版が、近いうちに中国の出版社から『赤熊之爪』というタイトルで出版される予定です。

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テーマは、第二次世界大戦期の独ソ戦序盤における二つの戦い(スモレンスク攻防戦とキエフ=ウマーニ包囲戦)で、マップやユニット、チャートのグラフィックは、私のデザインしたオリジナル版のデータを基に、テキスト部分を日本語から中国語に置き換えたもので、マップの地名も英文と中文が表記されます。

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以前に上海と南京を訪問した時、現地のゲーマーとも交流しましたが、全体的に年齢層が日本のゲーマーよりも若く、バイタリティに溢れている感じでした。他のタイトルの中国語版も交渉中です。

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来月、新しい新書『歴史戦と思想戦』(集英社新書)が刊行予定ですが、それについては次回の更新で詳しく紹介する予定です。お楽しみに。さらに、次の単行本も既に原稿の校正が進み、収録する地図制作などを進めているところです。こちらも、発売が近づいたら改めて書名や内容をご紹介します。


【おまけ】

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トップの写真と上の写真は、名張の桜です。4月19日に家の近所で撮影しました。庭の様子も、すっかり春らしくなりました。
 
 
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2019年2月17日 [その他(雑感・私生活など)]

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久々の更新です。2019年の1月は、後述するように、昨年から執筆してきた新書の脱稿とミャンマー(旧ビルマ)旅行、雑誌原稿(『歴史群像』誌次号の巻頭記事「朝鮮戦争 前編」)の執筆と沖縄旅行という慌ただしさで、ブログに手をつける余裕がありませんでした。

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まず、1月発売の『歴史群像』(学研)第153号に、私の担当記事「二つのイタリアと第二次大戦」が掲載されています。第二次大戦の歴史で光を当てられることの少ない領域の一つである「枢軸国イタリアの連合国との休戦と、それ以後の南北に分裂したイタリアの戦い」を、政治と軍事の両面から読み解いています。

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軍事や戦史のマニアの間では、兵器の性能が総じて低く、個々の「戦闘」の敢闘精神で日独に劣る第二次大戦期のイタリア軍をバカにして見下す風潮が根強いですが、価値判断の基準を少しずらして国民の戦争全体との向き合い方を俯瞰すると、むしろ日本やドイツよりも「賢い部分」もあったように思います。


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1月10日から15日までは、ミャンマー(旧ビルマ)のヤンゴン(旧ラングーン)と古都バガンを旅行しました。昨年『歴史群像』誌に「ビルマの第二次大戦」という記事を書いたこともあり、ヤンゴンでは「独立の父」アウンサン将軍とビルマ近現代史に関連する場所を見学して、理解を深めました。

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ミャンマー訪問は初めてでしたが、ラオスと同じように人がとても穏やかで、居心地良く過ごせました。買い物をする時、間違えて余分にお札を出しても、超過分を返してくれます。寺院等では入口から裸足が決まりで、歩くと平穏な気持ちになり、仏像の前に座るたびに自然と手を合わせる心境になりました。

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ミャンマー(旧ビルマ)のヤンゴン(旧ラングーン)にある「ボージョー(将軍)・アウンサン博物館」。独立の父と称されるアウンサンが、1945年5月から暗殺される1947年7月まで住んだ邸宅(建物自体は1921年に完成)で、二階建ての館内には彼の生涯とビルマ独立運動指導者としての活動が説明されています。

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こちらは、アウンサンが独立運動の司令部として使用した建物ですが、今はレストランとして営業中。二階の一室はアウンサンの執務室で、当時彼が使用した机やタイプライターなどが展示されています。

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ヤンゴン(旧ラングーン)の中心部にあるシュエダゴン・パゴダ。パゴダとは仏塔を中心とする仏教の参拝施設で、ここは規模が大きく、周囲の緑地も含めれば東京ドームより広いとのこと。中央の一番大きな仏塔は五年に一度の修復が行われていたが、その周囲にもお堂や祠が建ち並び、くつろいで休憩できます。

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お堂や祠には、金箔や宝石をふんだんに使った装飾が施されており、じっくり観察すると時間が経つのが早い。参道では、生年月日から算定する八つの曜日にちなんだ花が売られており、私は月曜日だったのでその花束を買って、月曜の神様のところにお供えしました。水かけ不動のように、仏像に器で水をかけます。

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ミャンマーのヤンゴン(旧ラングーン)中心部に残る英植民地時代の建物。ミャンマー港湾局(1928年)、ヤンゴン地方裁判所(1900年頃)、元最高裁判所(1908年)。縦横に区画整理された街並みで、大通り以外の細い道には露店が建ち並んでいますが、朝夕は道路が激しく渋滞します。

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ミャンマーのバガンにあるニャウンウー空港。外国人旅行者はここで、5日間の入域料として25000チャット(約1800円)を支払います。あとは寺院や仏教遺跡をいくら見学しても無料。私は充分に元が取れました。

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古都バガンでは、到着日と翌日の丸二日、レンタル電動バイク(一日約600円)に乗って、一三世紀前後に作られた仏教の寺院と遺跡を見て回りました。広大な場所に仏教遺跡の尖塔が林立し、空気が乾燥しているので劣化が少ない遺跡内の壁画も興味深く鑑賞しました。ミャンマーにおけるヤンゴンとバガンの関係は、ラオスのビエンチャンとルアンパバーンと似ています。

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ミャンマーのバガンは、エーヤワディー川(イラワジ川)のほとりにあります。川はここで西向きから南向きに流れを変えるので、バガン南部の河岸ではきれいな夕陽と夕焼けを満喫できます。対岸の遠くに見えるのは、ミャンマーとインドの国境付近に連なるアラカン山脈。イラワジ川とアラカン山脈といえば、太平洋戦争末期に行われた、あの作戦を思い出しますが、日本兵もこの美しい景色を見ていたのでしょうか。

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シュエサンドー・パゴダ。十一世紀に建てられた仏塔で、高さは45メートル。

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ダマヤンジー寺院。十二世紀に建てられた寺院で、バガンで特に強い印象を受けた建造物の一つ。ガイドブックの写真ではわかりませんが、他の寺院よりサイズがでかくて、古城のような威容に圧倒されます。シュエサンドー・パゴダの方から細い道を走っていくと突然これが目に入り、宮崎駿のアニメに入り込んだような錯覚を覚えます。

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エーヤワディー川(イラワジ川)に沈む太陽。


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ミャンマーから帰国したあと、1月19日には、大阪の隆祥館書店での相澤冬樹さん(『安倍官邸vs.NHK』著者)のイベントにゲストとして登壇しました。会場は大盛況で、部屋の隅までお客さんで埋まり、財務省の国有地不正払い下げ疑惑やNHKと権力の癒着状況など、幅広い話題で盛り上がりました。


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1月27日から31日までは、四泊五日で沖縄へ行ってきました。今回は本島の那覇周辺と久米島で過ごし、珍しい自然や博物館、戦史・紛争史関係の場所を見て回ったほか、琉球新報本社の勉強会で講師として少しお話しました。また、牧志から安里まで古書店を何軒かはしごして、沖縄戦や戦後の沖縄に関する段ボール一箱分の古書を買い、自宅へ別送しました。

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沖縄の久米島と橋で繋がった奥武島の海岸にある「畳石」。亀の甲羅のような六角格子の石が並んでいるように見えますが、実はこれらは「冷えた溶岩の柱」で、地中深くまで伸びているらしい。水の透明度が高くて、水たまりには小さい魚やカニがいました。

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久米島の北部にある「ミーフガー」という奇岩と、南部にある「鳥の口」という崎。後者の名前の由来は、手前下に写っている「口を開けた鳥」に似た高い岩で、左奥の衛星通信施設(白い球)から遊歩道でテクテクと歩いて登る。久米島ではレンタカーを借りて島内を回りましたが、海水浴のシーズンオフのためか、今回は久米島のどこに行っても貸し切り状態でした。

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久米島のサトウキビ畑の一角にある「痛恨之碑」。久米島では、朝鮮人を含む住民20人が、沖縄戦の実質的な終結後に、米軍ではなく駐留していた日本軍人によってスパイ容疑等で虐殺されました。日本軍人に殺された住民の中には、赤ちゃんもいました。今年刊行予定の単行本でも、この出来事について説明しています。

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久米島の大岳小学校南側の駐車場そばに建つ、沖縄戦で亡くなった島民の慰霊碑と顕彰碑。市民を虐殺した日本軍の通信部隊の指揮官は、米軍と接触した島民をスパイ容疑で虐殺したあと、自分は米軍に投降して戦後も生き延びました。メディアの取材を受けた彼は、自分は間違っていないとして謝罪を拒否し、居直っていました。

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沖縄の屋根の上や門の上にいるシーサー(厄除け、守り神の獅子)たち。通りをぶらぶら歩いていると、街のあちこちにいます。それぞれの性格が顔や姿に表れているようでおもしろい。

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那覇市内では今回は車を借りず、モノレールとバス、タクシー、徒歩で移動しました。モノレール駅のエスカレーターにも、琉球新報と沖縄タイムスの社屋にも、県民投票の広告が。とりあえず全県民が投票できる、当たり前の状況に戻って良かった。

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観光客が絶えない那覇の首里城にある守礼之門から、わずか90メートルほど離れた場所にある、第32軍司令部壕の入口。現在は封鎖されていますが、高台にある首里城の地下に作られた司令部施設の出入り口で、中学生から成る「鉄血勤皇隊」の少年が、砲弾の降る中で、壕の警備や伝令などの軍務に就いていました。

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こちらは、観光客が絶えない首里城そばにある玉陵(琉球王国時代の王墓)から、わずか50メートルほど離れた場所にある、一中健児の塔。鉄血勤皇隊に参加して命を落とした一中(沖縄県立第一中学校)生徒の慰霊碑で、隣接する展示館では、十代の中学生がどれほど過酷な境遇に置かれていたのかを学べます。

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沖縄・那覇の奥武山(おうのやま)公園にある島田叡元沖縄県知事の記念碑。兵庫出身の島田知事は、太平洋戦争での日本の敗北が決定的となっていた1945年1月に「他になり手がない」沖縄県知事として赴任し、戦火の中で(天皇でなく)県民のために最後まで尽力して亡くなった人物で、市民が玉砕や自決することを戒めました。

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大田實海軍中将が「(沖縄)県民に対し後世特別の御高配を」と打電して自決した旧海軍司令部壕を今回初めて訪れましたが、沖縄にある他の戦争関連の施設とは空気が違っていました。売店で戦艦大和グッズをたくさん並べている時点で、方向性が違うとわかる。戦没した海軍軍人の顕彰と慰霊が、施設の第一の意図。

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沖縄・那覇のシーサイドにある「不屈館」。戦後の沖縄で県民のために尽力した政治家・瀬長亀次郎の功績を称える博物館で、彼の足跡を追うことはそのまま戦後の沖縄県民の苦難を知ることにもつながります。同じ日本の一部なのに、なぜ沖縄県民が戦中も戦後も、現在も、過剰な理不尽を背負わされ続けるのか。いろいろなことを考えさせられる場所でした。

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琉球新報本社での勉強会で使用した資料の一部。今の日本のメディア状況の問題点を読み解く視角はいくつか考えられますが、今回は「民主主義国と権威主義国のメディアの違い」という角度から光を当ててみました。右か左か、という時代遅れの分類法では、問題の核心に近づけず、逆に遠ざかるのでは、と思います。


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それから、いま書店で発売中の『週刊金曜日』最新号は、NHKの問題点を批判・検証する特集ですが、私も岩田明子解説委員兼政治部記者に関する記事を寄稿しました。国民から強制徴収する受信料で高い給料を得ながら、特定の権力者にピッタリ寄り添い奉仕する態度は、政権が何党であるかに関係なく、公共放送の役割を逸脱した国民への背任だと思います。

今月は、少し時間に余裕があるので、しばらく停止していた電子書籍の刊行を再開しようかと思っています。『ロシア内戦』『シベリア出兵』『チェコスロヴァキアの第二次大戦』『モンゴルの第二次大戦』『インドの第二次大戦』などが候補です。いずれも『歴史群像』誌に掲載された記事の電子化ですが、関心のある方は、ぜひご期待ください。

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ミャンマーのバガンで道路をのんびり進む牛車。


【おまけ】

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ミャンマーでは、特徴的な油っぽいカレー(ヒン)のほか、麺類をいろいろ食しましたが、細いビーフン(米粉)からうどんような太い麺まで、種類が豊富でした。気温が高くて空気が乾燥しているので、一日あちこち歩き回ったあとのビールが美味い。1枚目はエビのカレーで、大きなエビがどっかり入っていました。

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こちらは、沖縄で食べた美味しいもの。山羊汁、ラフテーの炒飯、久米島のざるもずく(店主が採ってきた太くて長いもずくをごまだれに浸けていただく)、島どうふ。左の豆腐に乗っている小さい魚は、スクガラスというアイゴの稚魚の塩辛で、豆腐と良く合います。山羊汁は前回もいただきましたが、これを食すと沖縄に来たと実感できます。

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日本では沖縄にしかない米国系ファストフードチェーン「A&W」のThe A&Wバーガーとポテト、そしてルートビア。沖縄の人はA&Wを「エンダー」と呼ぶ、と琉球新報の人に教えてもらいました。
 
 

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