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2006年11月27日 [戦略級 日露戦争]

土曜日の11月25日に、石田さんと「戦略級 日露戦争」のルール検証
プレイを行いました。前半のほぼ半分を2回繰り返してプレイしましたが、
1度目は日本軍が進撃を焦りすぎて逆包囲を食らい、2度目は逆に慎重
になり過ぎて兵力の展開が遅れたことで、2回とも(私の指揮する)日本
軍の劣勢という展開となってしまいました(でもたっぷり楽しめました)。

このゲームの日本軍プレイヤーは、対戦前に序盤の作戦プランをかなり
練りこんでおく必要があります。特に、ゲーム開始時に7個しかない(あと
はソウルや東支鉄道、旅順、遼陽などの重要地点を初めて占領するごと
に1個ずつ増える)商船隊の運行スケジュールを詰めておくことは、実際
の戦争でもそうであったように、この戦争における日本の勝機を大きく左右
します。場当たり的に兵力を送るだけでは、時々刻々と増加するロシア軍
の兵力に圧倒されて、消耗戦の泥沼にはまり込むことになります。ウラジ
オストク方面への上陸の可能性(この方面からのロシア軍兵力引き抜きの
回避)を残しつつ、本土の師団や旅団、砲兵を効率よく大陸に運び、また
戦線の進展に伴う補給拠点の移動にも気を配らなくてはなりません。

今回、ゲームの戦史面の監修役を引き受けてくれた瀬戸さんも指摘して
いましたが、このゲームのデザイン・コンセプトは「史実の日露戦争の経過
をたどること」ではなく「当時の日本軍参謀本部が構想した対露戦争計画
を地図上で検証すること」にあったと思われるので、日本軍プレイヤーは
参謀本部が行ったのと同様の「グランド・ストラテジー」の視点で兵力展開
と作戦遂行を考える必要があります。ルールの量は比較的少ないですが、
プレイヤーが考慮しなくてはならない要素が非常に深く、戦略レベルでの
日露戦争とはこんな戦いだったのか、と体感できることも多いです。

特に、日本軍プレイヤーが痛感させられるのが、ゲーム全体で使用できる
ユニットの数が限られているという現実。日本版のバリアントでは、第13~
第16師団を動員して、ポーツマス会談での取引材料として使うために樺太
に上陸させたりすることもできますが、標準ルールでは歩兵13個師団(第1
~第12と近衛)と13個後備旅団、2個騎兵旅団の他は砲兵だけなので、
これらを大事に使わなくてはなりません。ところが、陸上戦闘の結果は全て
ステップロスで適用されるため、1ステップの損失でユニットを除去するたび
に「断腸の思い」に囚われます。なぜなら、師団ユニットは完全戦力で2ス
テップ、旅団ユニットは1ステップしか持たず、いったん全滅して除去された
日本軍のユニットは、補充ポイントを使用しても復活させることができない
からです。しかも、日本軍が受け取る補充ポイント(減少戦力段階の師団
を完全戦力に戻すために使用できる)数は、ゲーム全体でわずか7ポイント
(3ヶ月ごとに1ポイント!)しかありません。私はプレイ中に何度も、当時の
日本政府はよくもこんな無謀な戦争を始めたものだと感嘆させられました。

フィンランドやトルコでは、今でも日露戦争当時の日本の奮戦を賞賛する
意匠(ビールのラベルなど)がありますが、彼らが(当時の)日本に対して
敬意を払う理由が、このゲームをプレイすれば実感できると思います。


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コメント 2

Mark

やっぱり、日本軍は難しそうですね。
個人的には、補給切れ即除去というルールが、ネックになっているように思うのですが。
それとも、動員と攻勢のタイミングを間違えなければ、うまく露軍を押し込んでいくことができるのでしょうか。
by Mark (2006-11-28 20:12) 

Mas-Yamazaki

Mark様: コメントありがとうございます。確かに、日本軍はラクではありませんが、これは「プレイ中の心理的重圧を感じる」という意味で、ゲームバランスが崩れているというわけではありませんよ。むしろ、日本軍が心理的重圧を感じることなく、ラクにプレイできる日露戦争の戦略級ゲームがあったら、そちらの方が(リアリズムの点では)不自然だと思います。とはいえ、道路が通じていなければ荒地にはZOCが及ばない(したがってロシア軍騎兵の浸透を防ぐにはユニットで戦線を形成しなくてはならない)という絶妙の(笑)ルールがあるおかげで、日本軍プレイヤーは気苦労が絶えないのは事実です(小国の悲哀というやつですか)。そのあたりが、私がこのゲームを高く評価している理由の一つです。

あと、司令部が活性化する確率は、日本軍の方がやや高いので、数は多くても、移動や戦闘を行えないロシア軍ユニットがけっこういます(軍司令部が活性化できなければ、そこに所属しているユニットは移通常移動や攻撃を行えない)。明日、石田さんとルール検証のプレイテストをする予定ですが、今度こそは、熊退治を成功させたいと思っています。
by Mas-Yamazaki (2006-12-01 19:23) 

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