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2012年9月3日 [マザーランド]

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昨日、石田さんと自宅でシックス・アングルズ第9号『ウォー・フォー・ザ・マザーランド』の第3版ルールでの検証プレイテストを行いました。今日はその小報告です。

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これは、以前の記事でご紹介しました、ケン先生との検証テストの続きで、その時に記録しておいた終了時の部隊配置を地図上で再現した上で、1941年8月II(第6ターン)からプレイをスタートしました。1回目は、以前の記事でリンク先を公開しています第3版ルールそのままで第8ターン(1941年11月)までの3ターンをプレイしてみましたが、秋から冬に至る展開と、降雪ターンの修正がうまく機能していないと思われたので、以下の2点を修正した上で、改めて第6ターンから第11ターン(1942年2月)までの6ターンをプレイしました。

《追加修正点1》
ルール8.85項に以下の文章を追加します(第9号掲載ルール8.85項の一部復活)。
 ドイツとフィンランド以外の国籍を持つユニットは、補給切れマーカーが置かれている状態では、味方ユニットのいない敵ZOCへの退却を行えません。

《追加修正点2》
ルール11.27項と11.28項(降雪ターンの戦闘への影響)を、以下のように変更します。
11.28 最初の冬の降雪ターン(第8〜第11ターン)に発生する、全ての枢軸軍の攻撃やオーバーランを解決する際には、戦力比を左に2列ずらして解決します。また、これらのターンに発生する、全てのソ連軍の攻撃やオーバーランを解決する際には、戦力比を右に3列ずらして解決します。
11.29 二度目の冬と三度目の冬の降雪ターン(第2〜第25ターンと第36〜第39ターン)に発生する、全ての枢軸軍の攻撃やオーバーランを解決する際には、戦力比を左に1列ずらして解決します。また、これらのターンに発生する、全てのソ連軍の攻撃やオーバーランを解決する際には、戦力比を右に2列ずらして解決します。

1つ目の修正は、ステップロスしたソ連軍ユニットが予想外の方向に退却するのを阻止する為に、非常にトリッキーな部隊運用が必要になるため、第9号のルールに記された制約を部分的に戻しました。ただし、移動力が足りなくても敵ZOCからの離脱は行えるという改訂はそのままにしてありますので、包囲さえされなければソ連軍ユニットは第9号のオリジナルルールよりも生き延びる可能性は高まっています。

2つ目の修正は、今回のテストの主題である「降雪ターンにおけるドイツ軍の最終攻勢と、ソ連軍による初年度の冬季反攻の検証」を行う過程で生まれたものです。1回目のプレイで、公開中の第3版ルールのままだと、戦力比によってはドイツ軍への制約が逆に有利に働くことが判明しました。また、最初の冬の時点では、攻撃力が低いCの戦力チットがまだ多数カップに残っているため、何も修正がなければソ連軍の冬季反攻が成立しづらくなるので、ソ連軍の攻撃とオーバーランにも戦力比の(有利な)修正を適用しました。

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2回目のプレイは、これらの修正を適用して行いましたが、冬季戦の様相はかなりいい感じに改善されたように思われました。ソ連軍の攻撃は、戦力比が右に3列シフトされるため、最初にどれほど最低比率であっても、修正により平地で「3:2」の欄で攻撃できます。この時、攻勢支援群の範囲内であれば、サイの目マイナス3が適用されて、「1/1」「L1/-」「L1/-」の結果が「L/L」「L/L」「L/-」に切り替わります。

これにより、攻勢支援群が配置された正面では、独ソ両軍が激しく消耗する展開となり、ドイツ軍は計4ステップある軍団ユニットが、防御のたびにステップをすり減らされる恐ろしい光景が出現します。もちろん数字の結果であれば、退却を選ぶことも可能ですが、隣接部隊との戦線形状が大きく崩れないようにするためには、「-/3」の結果で3へクス退却することは難しく、1へクスまたは2へクスのみ退却して、残りはステップ損失で満たすという苦渋の決断を強いられます。

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一方、攻勢支援群のない場所では、たとえ戦力比が3列右にシフトされたとしても、一定以上の戦力比が立たないとソ連軍の攻撃は完全なギャンプルとなり、平地で「3:2」の欄で1〜3なら「1/2」「-/1」「L/L」となる反面、上記した通り4〜6だと「1/1」「L1/-」「L1/-」という結果になります。従って、この修正を適用すれば、第9号掲載ルールよりもさらに、ソ連軍の攻勢支援群の存在が冬季反攻に及ぼす影響が大きく(そしておそらくより適切な形に)なります。

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ソ連軍がキエフとオデッサの防備を固めれば、第5ターンの生産ナンバー「1」というのを阻止するのは難しいかもしれませんが、第7ターンの「3」と第9ターンの「5」による攻勢支援群の生産を阻止できるか否かによって、冬季戦におけるドイツ軍ユニットの損害ステップの数は大きく変わると言っても、過言ではなくなりました。これはすなわち、南方軍集団はキエフ攻略よりもドニエプル川下流の経済資産を早期に破壊しなくてはならなくなることを意味し、必然的に「キエフ・バルジ」を挟撃するための兵力を、中央軍集団からも割いて南下させるという展開となります。

今回も第11ターン終了時の両軍の配置を記録に残してあり、いずれ続きを行う予定です。

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2012年4月2日 [マザーランド]

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シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』の反響は上々のようで、フェイスブックで画像や内容を紹介していたこともあり、海外からも問い合わせが多数届いています。先日は、「『ウエストウォール/アルンヘム』のマップのへクス2220(マルデン)に住んでます」というオランダ人のゲーマーから、いくつかの製品についての質問がありました。現在、このゲームの英語版についての交渉が大詰めに差し掛かっており、近日中に某メーカー系のサイトで何らかの発表があるかと思います。

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ところで、先日の記事でもご紹介しましたが、旧作の第9号付録『ウォー・フォー・ザ・マザーランド』を、『モスクワ攻防戦』『ベアズ・クロウ』ファミリーの一作として復活させる作業を現在進めています。ルールブックのPDFと新しい戦闘結果表を、以下のリンクでダウンロードしていただけます。

『マザーランド』改訂第3版ルール(PDF)
『マザーランド』改訂第3版戦闘結果表(JPEG)

まだ手直しをする可能性がありますが、先日の第1〜第5ターンのプレイテストでは、かなり良好な感触を得ることができました。まるで最初からこういうルールと戦闘結果表だったと思えるほど、違和感無くスムーズに進みました。ゲームをお持ちの方は、ぜひお試しください。

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それから、明日(4月3日)から土曜日(4月7日)まで、東京と横浜に出張します。この間、メールやツイッター、フェイスブックの確認ができなくなりますので、ご了承ください。よろしくお願いいたします。
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2012年3月26日 [マザーランド]

シックス・アングルズ第14号『ベアズ・クロウ』の店頭発売が、昨日開始されました。プレオーダーの数は、件数ベースで144件、冊数ベースでは155冊でした。600冊作ったうち、約400冊を既に出荷しており、今回は予想より早く商品が動いています。ご購入いただいた皆様、どうもありがとうございました。興味がおありの方は、ぜひ店頭で手に取ってご覧下さい。

さて、昨日、東京からケン先生が我が家にお見えになり、シックス・アングルズ第9号『ウォー・フォー・ザ・マザーランド』の改訂第3版ルールと改訂版戦闘結果表のテストを兼ねて、バルバロッサ作戦シナリオの対戦を行いました。午前中は地元の自治会に出席する必要があったため、午後からの対戦となり、1941年6月から8月Iまでの計5ターンしか進みませんでしたが、改訂第3版ルールと改訂版戦闘結果表は、どちらも上手く機能しているように感じられ、久しぶりのマザーランドを楽しめました。

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第3版ルールにおける変更箇所は、以下の通りです。

1. ゲームの手順変更。4〜6(※)の順序を入れ替え。
    1. 両軍補給フェイズ
    2. 枢軸軍移動フェイズ
    3. 枢軸軍戦闘フェイズ
    4. ソ連軍移動フェイズ(※)
    5. ドイツ軍機械化移動フェイズ(※)
    6. ソ連軍戦闘フェイズ(※)
    7. 管理フェイズ

2. 枢軸軍プレイヤーは、各ドイツ軍機械化移動フェイズに1個のみ、補給ユニットを選んでフルに移動させられる。

3. ユニットのZOCは、大河ヘクスサイドを越えない。また、隣接する大都市ヘクスに対しても、ユニットのZOCは及ばない。

4. 補給切れ状態のユニットも、通常のユニットと同様、ステップロスのペナルティ付きで敵ZOCを通って退却できる。

5. 移動フェイズ開始時に、敵ZOCにいるユニットでも、5.24項で認められた最低1ヘクスの移動(敵ZOCからの離脱も含む)を行える。

6. 枢軸軍のユニットは、経済資産ユニットまたはそれを含むソ連軍のスタックに対して、オーバーランを行うことができない。

7. オーバーランの実行ユニットと目標ユニットに対して、『モスクワ攻防戦』および『ベアズ・クロウ』と同様の、退却ヘクスの制限を適用。

8. あるターンの管理フェイズ開始時に、戦力減少状態の戦力チットを持つソ連軍の軍規模ユニット(兵科や種別は問わない)が、3個の工場ユニットと同じヘクスでスタックしているなら、ソ連軍プレイヤーはその戦力チットを「完全戦力状態」に戻すか、または新たな戦力チットを引き直して「完全戦力状態」でそのユニットに置くかの、どちらかを行える。

9. 降雪ターンの修正を変更。枢軸軍の攻撃/オーバーランに対しては、最初の冬に行う場合は左に2列コラムシフトした上、サイの目から2を引いて解決。二番目と三番目の冬については、左に1列コラムシフトした上、サイの目から1を引いて解決。ソ連軍が行う攻撃やオーバーランについては、降雪ターンでも修正なし。

10. 攻勢支援群の効果を「サイの目プラス3」から「サイの目マイナス3」に変更。

11. 攻城砲の効果を変更。攻城砲ユニットが、大都市または要塞に対する枢軸軍の攻撃に「直接参加」しているなら、戦力比を右に2列コラムシフトした上、サイの目から2を引いて解決。

12. 戦闘結果表を『モスクワ攻防戦』および『ベアズ・クロウ』と似たタイプに差し替え。戦闘は6面体、オーバーランは10面体サイコロで解決。0より小さいマイナスの欄を追加。

13. ソ連軍の復帰待ちユニットの早期回復。1942年3月・4月ターンとそれ以降の泥濘ターンの、ソ連軍移動フェイズの開始時において、ソ連軍プレイヤーは、その時点で復帰待ちとなっている(既に全滅した)各科統合軍ユニット(復帰ターンが決まっているものの、まだそのターンに到達していないユニット)の全てを、増援として地図上に登場させることができる。親衛軍、打撃軍、戦車軍は、この方式では復帰できない。

14. ソ連軍プレイヤーは、管理フェイズにおいて、補給下ないし補給不足の状態にある軍ユニットを、狙撃兵軍団2個に分割できる。

15. キャンペーン・シナリオでのソ連降伏の判定を変更。判定には10面体サイコロを使用。出た目が0ならば、ソ連邦はドイツに降伏したものと見なされ、枢軸軍の決定的勝利としてゲームは終了。1か2ならば戦意喪失。判定の瞬間にレニングラードとセヴァストポリがドイツ軍の支配下にあるなら、それぞれサイの目マイナス1修正(累積)。

16. 枢軸軍プレイヤーは、1941年6月ターンから9月/10月ターンまで(第1〜第7ターン)の間、補給ユニットの消費(9.26項)を行えない。

以上のような形となりますが、手順の変更と「機械化移動フェイズにおける補給ユニット1個の移動資格」、敵ZOCにいるソ連軍ユニットに対する「最低1ヘクスの移動資格(ZOC to ZOCの直接進入でない限り離脱も可)」の3つは、かなり効果の高い変更であるように感じました。

1の手順変更は、ソ連軍の移動を戦闘より先にしたことで、ソ連軍プレイヤーの攻撃をより効果的なものにする試みですが、それと同時に「ソ連軍の移動」と「ソ連軍の戦闘」の間に「ドイツ軍の機械化移動」を挟むことで、浸透移動で突進したドイツ軍の戦闘団が、ソ連軍戦闘フェイズの反撃で返り討ちに合うリスクも含ませることができたのでは、と思います。

5の修正(足の遅いソ連軍狙撃兵の敵ZOCからの離脱許可)により、ソ連軍プレイヤーは第1ターンから考えること・やることが増え、2の修正はソ連軍プレイヤーには「敵が機械化移動でどこまで突進してくるかを見切る悩み」を、枢軸軍プレイヤーには「次のターンで北方・中央・南方のどちらへの突進に重点を置くかという悩み」を提供するものとなっています。

また、3と8の修正により、包囲されたレニングラードの籠城部隊は原版よりも高い回復力を持つようになりました。戦力チットの回復に必要な軍需工場3つを持つ大都市は、モスクワとレニングラードですが、消耗戦でそのうちの1つでも失われれば、この特典も得られなくなります。

9の降雪ターンの修正変更は、原版の問題点として指摘されていた「冬季戦でドイツ軍の突進力が弱くならない」ことへの対処です。また、ソ連軍の修正を廃止し、冬季攻勢を思う存分に行えるようにしました。

13の「全滅ユニットの復帰前倒し」の効果については、今回はまだ検証できませんでしたが、第5ターン終了時の両軍ユニットと使用チットの記録を全てとりましたので、次回はこの続き(第6ターン開始時)からプレイを再開します。

1942年以降のソ連軍の弱体化も、原版の問題点として指摘されていましたが、この修正を加えたことにより、枢軸軍は1942年夏季攻勢に備えて1941年は可能な限り前進しておく必要があり、また最初の冬のソ連軍冬季攻勢に遭遇しても、可能な限り前線を下げずに、奥地で戦線を死守せざるを得なくなります。損害回避の為に退却すればするほど、1942年春に復帰するソ連軍全滅ユニットの登場地点は西となり、1942年の夏季攻勢の開始線は押し下げられてしまいます。

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これらの修正を全て盛り込んだ第3版(テスト用)ルールのPDFと新版戦闘結果表は、近日中にホームページで公開するつもりです。今回の抜本的改定で、『マザーランド』はより面白いゲームに生まれ変わると信じていますが、興味のある方はぜひ改訂第3版(テスト用)ルールと新版戦闘結果表でプレイして、結果をフィードバックしていただければと思います。

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2011年1月13日 [マザーランド]

来月発売予定のハードカバー単行本 『宿命の「バルバロッサ作戦」』 は、着々と完成に近づいています。この仕事に熱中している間に、うっかりして前回の記事から一週間以上経ってしまいました。地図50点と表3点、戦闘序列8ページ、口絵16ページ等を含め、全体で650ページ前後になるかと思います。関心のある方は、ぜひ発売を楽しみにしていてください。

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この原稿を書いている時、過去にプレイしたいろいろなバルバロッサ作戦のゲームを思い出していましたが、以前に『マザーランド』の初年度シナリオを作るアイデアが、いくつか浮かんでいます。7月IIターンから始まるものと、8月Iターンから始まるものを用意するつもりですが、前者はスモレンスク会戦の始まりから、後者はスモレンスク会戦が一段落した時から、1942年春までをプレイします(従ってソ連軍の冬季反攻込みです)。

後者のシナリオは、独中央軍集団が「スモレンスク突出部」を形勢した段階でのスタートですが、この状態でモスクワに突進することが、いかにリスクを伴うものであったかを表現したいです。単行本でも書きましたが、ドイツ側が「キエフ包囲戦」という作戦構想を具体化するのは、8月31日にクレメンチュグ東方で第17軍が橋頭堡を確保した以後のことであり、グデーリアンの南進が開始された8月25日の段階では「キエフ包囲戦」という目標は存在しませんでした。言い換えれば、ヒトラーの命令で実施されたグデーリアンの南進は、あくまで「モスクワ攻勢を前提とした、中央軍集団の右翼を広げるための作戦」であったわけです。

また、マザーランドのルール改訂については、追加でひとつ検討しているものがあります。全滅したソ連軍の復帰が遅いのではないか、そのために1942年のバランスが、ドイツ軍に大きく傾いているのではないか、というプレイ報告(複数)に基づくもので、ソ連軍の損害回復力を少し強化するための措置です。

《7. ソ連軍の全滅「軍」ユニットの回復》
1942年3月・4月ターンと、それ以降の泥濘ターンにおいて、ソ連軍プレイヤーは、その時点で復帰待ちとなっている(既に全滅した)軍ユニット(復帰ターンが決まっているものの、まだそのターンに到達していないユニット)の半分を、増援として地図上に登場させることができます。ただし、親衛軍、打撃軍、戦車軍は、この方式では復帰できません。

あくまで「試案」段階で、春頃からフルターンのテスト等を行う予定です。「マザーランド改造計画」の成功に向けて、今年は本格的に取り組みます。
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2010年7月20日 [マザーランド]

今日は、マザーランド(シックス・アングルズ第9号『ウォー・フォー・ザ・マザーランド』)の話題です。もうご覧になった方もおられるかと思いますが、まあちんさんという方が運営されている「シミュレーションゲーム馬鹿一代記!」というブログで、マザーランドのキャンペーン・シナリオのプレイ報告が紹介されています。

http://ameblo.jp/mapzk/entrylist.html

フルターン(全40ターン)のプレイレポートだけあって、記事の方も18回+αと長丁場ですが、読み物として面白く、また当該ゲームのデザイナーには非常に参考になる示唆や指摘の多い、ありがたい記事でした。

実は、少し前から石田参謀長との間で、再び「マザーランド改造計画」が話題に上ることが多く、先日の隠(なばり)ゲームクラブでも、石田さん、KMTさんとの3人で、この話題で盛り上がりました。最近は執筆の仕事と自治会関係の用事で忙しく、なかなかゲームのプレイに時間をとれないのですが、休憩時間や執筆テーマの切り替えなどの時期には、脳の休憩も兼ねて、ルールの改善案をいろいろと考えていたところでした(執筆で使う脳と、グラフィック作業で使う脳、ゲームデザインで使う脳は、それぞれ領域が違うみたいです)。

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可能な限り少ない修正で、最大限の効果を狙うことを目指して、現在デザイナーが考案しているルール改定案は、次の6点です。

《1. 手順》
降雪ターンのみ、以下の手順で行う。

1. 両軍補給フェイズ
2. 枢軸軍戦闘フェイズ
3. 枢軸軍移動フェイズ
4. ソ連軍移動フェイズ
5. ドイツ軍機械化移動フェイズ
6. ソ連軍戦闘フェイズ
7. 管理フェイズ

《2. ZOC》
ドイツ軍のKGは、全て弱ZOCを持つ(攻撃力1の歩兵KGも含む)。
ドイツ軍KGの弱ZOCは、大河の対岸に及ばない。
ドイツ軍KG以外の両軍ユニットのZOCは、大河の対岸に及ぶ時には「弱ZOC」となる。
弱ZOCは、敵の補給線を遮断できるが、敵の移動や退却には影響を与えない。
ドイツ軍のKGが2ユニットスタックしていれば、弱ZOCではなく、通常のZOCを持つと見なす。この通常のZOCも、大河の対岸に及ぶ時には「弱ZOC」となる。
ドイツ軍装甲師団は、弱ZOCではなく通常のZOCを持つ。

《3. オーバーラン》
枢軸軍は、ソ連の経済資産ユニットまたはそれを含むスタックに対して、オーバーランを実行できない。

《4. 降雪ターン》
11.27項と11.28項は廃止。代わりに、最初の冬(第8~11)ターン中に、ドイツ軍が行う攻撃やオーバーランでは、修正前のサイの目が5か6なら、戦闘結果を通常どおり適用した後、攻撃参加ユニットの中からソ連軍プレイヤーが1ユニットを選んで、1ステップを失わせる。2回目の冬(第22~25)ターン中に、ドイツ軍が行う攻撃やオーバーランでは、修正前のサイの目が6なら、戦闘結果を通常どおり適用した後、攻撃参加ユニットの中からソ連軍プレイヤーが1ユニットを選んで、1ステップを失わせる。

《5. ソ連軍の戦力回復》
ソ連軍は、管理フェイズ中に補給下ないし補給不足の状態にある軍ユニットを、狙撃兵軍団2個に分割できる(14.39項は廃止)。敵ZOCにいてもかまわない。このようにして分割された軍団ユニットは、同じ管理フェイズ中に、14.34項~14.36項に従って「編入」を行うために使用できる。

《6. ドイツ軍補給基地の機械化移動》
ドイツ軍機械化移動フェイズに、枢軸軍プレイヤーは、補給ユニットを1個のみ、全移動力で移動させられる。

このうち、《1》と《4》は、冬季(降雪)ターンにおけるドイツ軍の行動に関する、制約ルールの改訂です。史実におけるドイツ軍の「バルバロッサ作戦」は、改めて述べるまでもなく、数か月の「短期決戦」でソ連に痛打を加えて勝利するという、いわば「時間との勝負」という側面を持っていたわけですが、マザーランドの現行ルールでは「雪が降っても、ドイツ軍は多少の損害さえ覚悟すれば夏と秋の延長で攻勢を継続できるので、無理に冬までに決着をつける必要がない」という展開になりがちです。

これでは、枢軸軍プレイヤーのプレイ中の心理状態は、史実でドイツ軍の首脳が感じたであろう切迫感や焦燥感とは、似ても似つかないものになってしまいます。言い換えれば、枢軸軍プレイヤーに「何がなんでも雪が降る前に(初年度の)決着をつけねば!」という心理面でのプレッシャーを与えようというわけです。ちなみに、手順の変更というアイデア自体は以前から検討していました(第11号の「ゲーム制作工房」でも少し触れています)が、「降雪ターンのみ変更」という形式は、前記のブログでのご提案を採用させていただきました(ありがとうございました)。

《2》は、ドイツ軍KG(特に装甲)の威力を大きく削ぐものですが、浸透移動の能力は依然として有効なので、ソ連軍の背後を遮断するという戦法において、現行ルールでは例えば3本可能だった攻勢軸が2本ないし1本に絞られるという効果を期待しています。このルールと「経済資産にはオーバーラン不可」という《3》のルールは、石田さんの提案を参考にさせていただきました(ありがとうございました)。

《5》は、ソ連軍に防御面での柔軟性を付与するものですが、現行ルールでは1ステップを失った軍ユニットの強化(該当ヘクスの防御力回復)がきわめて困難という、ルールシステム上の問題があると思われるので、それを解消するために、上のようなルールを用意しました。

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とりあえず、現状ではまだ一度も対戦テストを行っていないので、あくまで「草案」段階ですが、もし興味のある方がおられましたら、ぜひ上の改訂ルールでプレイしていただければ幸いです。私も、自治会の役職から解放される来年には、バルバロッサ・シナリオとキャンペーン・シナリオの両方で、上記の改訂ルールをテストしてみたいと考えています。その上で、最終的な改訂版ルールは「第2版ルール」として、PDF形式で無料配布する予定です。

「マザーランド改造計画」については、ちょうど2年前に記事を書きましたので、興味のある方はぜひそちらもご覧ください。

ちなみに、冒頭で紹介しましたブログには、マザーランドだけでなく、GDW/HJ社の『英国本土決戦(ゼア・ファイネスト・アワー)』や、XTR社/コマンド日本版創刊号付録の『ウェン・タイガーズ・ファイト』など、他ではあまりお目にかかれない、いろいろなゲームのプレイ報告も写真入りで詳しく紹介されています。いずれの記事も、ちゃんと最終ターンまでプレイした上で論評するという姿勢を貫かれているようで、個々のゲームに対する愛情を感じます。

シックス・アングルズ関係では『激闘ノルマンディ(コブラ)』の本編に加えて、オマケで付けたノルマンディ上陸のミニゲーム『いちばん長い日』のプレイも紹介されているのが嬉しいところ。あのミニゲームは、こちらで作ったバリアントで、版権には抵触しないはずなので、そのうちルールとマップ、ユニットのデータを無料配布することも考えています。


追記

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昨日は、毎年恒例の甲子園巡礼でした。ゲーム自体は双方の投手が好調で、打撃面では薄味の試合でしたが、スタンドには涼しい浜風が吹いていて心地よく、金本選手が先発復帰後初めての甲子園で鮮やかなホームランを打つなど、それなりに満足のいく内容でした。

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視界いっぱいに数万個の風船が飛び交う「非日常空間」で気持ちを切り替えたところで、今週はハードカバー単行本の執筆は一休みして、歴史群像の記事『ニカラグア内戦』に取り組んでいます。
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2008年7月17日 [マザーランド]

今日は、シックス・アングルズ第11号から連載記事としてスタートさせる「マザーランド改造計画」について、少し書いてみます。

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このゲーム「ウォー・フォー・ザ・マザーランド 第2版」(以下マザーランドと略)は、第9号の付録として2004年、つまり今から4年前に出版したものです(初版は1994年発売)。同号の本誌に収録したデザイナーズ・ノートにも書きました通り、これを作った当時はゲームの内容にとても満足していました。しかし、いろいろな人からプレイの感想を聞き、自分でも何度かプレイする中で、ゲームの内容に違和感を覚える部分が感じられるようになりました。また、私のゲームデザイナーとしてのデザイン手法や題材の捉え方、歴史的事実をゲームのルールに置き換える上での処理方法に関しても、当時と現在では大きく変化している部分があり、現在のデザインスタイルで見ると不満に思う点がいくつか出てきました。

これを「無責任」と取るか、それとも「この4年間で少しだけ成長した」と取るかの判断は、ユーザーの皆様にお任せしますが、しかし作った本人が「これはまだ改良の余地あり」と感じているゲームを店頭で売り続けている以上、既に買って下さったお客さんや、これから買って下さるお客さんへの責任として、より良い製品(ゲーム)として遊んでいただく、または支払って下さったお金の対価としての「満足度」を上げるという努力は、今後も続けなくてはいけないことだと考えています。

こうした理由から、「マザーランド」のルールを根本から洗い直し、なるべく少ない修正で最大限の効果を得られるような形で、新版のルールを作って「PDF形式で無料配布する」という計画を、本格的に始めようと思いました。完成がいつになるかは、今の段階では何とも言えませんが、やるからには中途半端なものではなく、当分は「ルール修正をしなくていい」という状態まで持っていきたいので、慎重にテストしながら、個別のルール修正案を評価していきたいと思います。

最新作の「モスクワ攻防戦」をデザインするに当たっては、前作「パウルス第6軍」と同様、デザインスタイルとしての「鈴木銀一郎イズム」を念頭に置きながら、ゲーム全体の整合性をとるよう注意を払いました。この「鈴木銀一郎イズム」については、第10号の本誌収録記事で詳しく説明しましたが、簡潔に要約すると「プレイヤーが後世の歴史研究家の視点ではなく、当時の軍事指導者の視点で、目の前の作戦や戦争を捉えられるような処理方法」ということになります。「パウルス第6軍」をデザインした時には、かなり明白に「銀一郎イズム」の価値を理解していましたが、「マザーランド」をデザインしていた時期にはまだ、こうした処理方法を理解していませんでした。

その結果として、「マザーランド」をプレイする独ソ両軍のプレイヤーは、「当時の軍事指導者の視点」から見て、おや?と違和感が生じるいくつかの状況に直面することになりました。ゲーム序盤で言えば「ドイツ軍の装甲部隊が、敵領土の奥地に突進した後、機械化移動フェイズで突然バックして、蜘蛛が巣に戻るように退いていく」とか、「ソ連軍プレイヤーは敵の補給ユニットの配置を見て、装甲部隊の最大進出線を見切れるので、心理的に不安を感じることなく、敵進出限界の先に整然と戦線を形成できる」といったことです。

こうした状況については、プレイテストの段階から意見として出ていましたが、当時の私は「後世の歴史研究家としての視点」に立って、そのような問題も許容範囲内と考え、デザイナーズ・ノートにも「後世の歴史研究家としての視点」からの説明を加えておきました。しかし、「当時の軍事指導者の視点」を重視する「鈴木銀一郎イズム」のデザインスタイルで見直すと、これらの問題はゲームの興味を大きく殺ぐ「欠点」以外の何物でもないことは明らかです。

オリジナル版のゲームは、雑誌「歴史群像」に執筆しているライター仲間の何人かも高く評価してくださっており、「後世の歴史研究家としての視点」で作ったゲームとしてはそれなりに上出来だったのかもしれません。しかし、現在の私は、歴史研究家としての仕事は原稿執筆の分野で行い、ゲームデザインに関しては(文字情報ではなかなか表現できない「情報」を伝えられる)「鈴木銀一郎イズム」のスタイルで整合性をとるのがよいだろうと理解しており、今後デザインする新作についても、同様の路線に進むことになると思います。

話が少しそれましたが、上に挙げたような問題点を解決するためには、ゲーム手順に何らかの修正を加えることが必要であろうと考え、現在いくつかの修正案を用意しています。本ブログで「マザーランド愛好家」さまがご提案くださった「ソ連軍の移動フェイズと戦闘フェイズを入れ替え、ドイツ軍機械化移動フェイズをリアクション・フェイズに変えてソ連軍移動フェイズの後に入れる」というのも一案ですが、このご提案の一部を採用させていただいた上で「手順としてはソ連軍の移動フェイズと戦闘フェイズの入れ替えに留め、ドイツ軍機械化移動フェイズに1個ないし2個の補給ユニットを移動可能とする」という別案も、上記した問題を解消するのに有効ではないかと考えています。

石田参謀長の報告では、ソ連軍の「移動フェイズ」と「戦闘フェイズ」の入れ替えは、従来のルールでは一方的に「何もできず盤上の動きを見ているだけだった」ソ連軍プレイヤーにも作戦上の判断を下す余地を広げられるので、良い提案だろうとのことでした。私が目指す目標は、「マザーランド」を両プレイヤーがゲーム序盤から緊迫感を持ってプレイできるゲームにすることですが、ルールの骨格はなるべく保ちつつ、当時の独ソ両軍指導部が感じた不安や葛藤を、シンプルな形でゲームに盛り込めたら、と考えています。

もし、この改造プロジェクトが上手くいったなら、おそらく1941年だけを扱ったフルマップ1枚の「バルバロッサ」シナリオだけでも、両軍が充分に楽しめるゲームになるのではないかと思います。結論を焦らず、地道に作業を進めていきますので、「マザーランド」を既にお持ちの方はぜひ、早まって処分せずに(笑)期待していただけたらと思います。

また、「マザーランド」の内容に関するご不満なども、ぜひメールやコメントでお知らせください。挨拶など抜きに、不満点をただ箇条書きにしたような内容でも結構です。お寄せいただいたご意見は、全て検証作業の参考にさせていただくつもりです。

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2008年3月16日 [マザーランド]

旅行前に仕上げなくてはならない仕事(確定申告も含む)に追われて、更新が遅れまして申し訳ありません。今日は、3月8日の記事に対する「マザーランド愛好家」さまのコメントへの返答という形で、ウォー・フォー・ザ・マザーランドについて少し書こうと思います。

まず、石田さんがブログ(http://blogs.yahoo.co.jp/jl3mhd/folder/1496886.html)で公開されているルール改訂案ですが、プレイテストで有効性が確認されれば「改訂版ルール」として採用させていただくつもりでいます。現在テスト中の主な改訂案としては「補給切れ状態のユニットも、ペナルティ付きで敵ZOCへの退却を行える」「経済資産ユニットへはオーバーラン実行不可」「大都市には隣接ユニットのZOCは及ばない」などですが、いずれも最低限のルール変更で最大限の修正効果を得られるもので、オリジナル版に残る問題点を軽減する上で有効だという印象を持っています。

また、「マザーランド愛好家」さまの提案されている、「プレイ手順の変更」と「レニングラードの補給ルール修正」も、非常に興味深い改訂案だという印象を受けました。オリジナル版では、ドイツ軍の機械化移動フェイズは「突破移動」の意味を込めていましたが、補給ルールの制限があるため、ドイツ軍プレイヤーはなかなか有効に活用できないという問題があるようです。また、ドイツ軍の装甲部隊が、機械化移動で後方に下がるという戦法については、私なりの解釈をデザイナーズ・ノートに記しましたが、違和感を感じられた方も多いようで、同様のご意見を他にもいくつかいただいています。

今回の「マザーランド愛好家」さまの改訂案は、ドイツ軍の機械化移動フェイズに「対応移動」の意味を持たせようというもので、ソ連軍の手順が「移動→戦闘」に変わるのと合わせて、ゲーム全体の流れは大きく変わると思われます。そのため、他のルールと比較すると、採用には慎重にならざるを得ませんが、しかし改訂版の手順が、私の表現したいことをより明確に表現できるのであれば、オリジナル版の手順に固執するつもりはないので、ゲーム中盤から終盤にかけての影響を確認するためのフルターン・テストを含めて、前向きに考えたいと思います。

もし、マザーランドをお持ちの方がおられましたら、ぜひこれらの改訂案を使ってプレイしてみてください。そして、プレイ中に感じられた印象や、発見された問題などを、メールやコメントで知らせていただければ幸いです。最終的に「改訂版ルール」が完成した暁には、PDF形式でホームページに公開し、ダウンロードできるようにするつもりです。よろしくお願いいたします。

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2007年7月11日 [マザーランド]

先週の週末、米国オハイオ州のコロンバスで開催されたゲームイベント「オリジンズ」で、MMP社から「マザーランド」の完全英語翻訳版「レッド・スター・ライジング」が先行発売されました。正式な発売もすぐらしいですが、古角さんや佐藤拓さんのリポートだと売れ行きは好調だったようで、デザイナーとして非常に喜ばしく感じています。


※写真は全てオリジンズ会場で古角さんが撮影されたもの。

マップやユニットのグラフィックは、私の好みとはだいぶ違いますが、特に不満に感じているわけではありません。日米両国のメーカーでグラフィックの仕事をしてきた過去の経験から言って、日本人とアメリカ人では、グラフィックの好みが大きく違うようで、実際ConSimのフォーラムなどを見ても「ナイス・グラフィック!」という意見が書き込まれているようです。料理の味付けも、「本場の味」がいいという人もいれば「日本人の好みに合わせてアレンジした」のがいいという人もいるので(生ハムやチーズも日本のスーパーで多く売られているものはヨーロッパのものとはだいぶ濃さや香りの強さが違います)、アメリカ人プレイヤーが喜ぶグラフィックにしてくれたMMP社のスタッフには素直に感謝しています。前にも書きましたが、グラフィックはあくまで「プレイヤーに奉仕するもの」だと思いますから、それぞれの販売圏で最大多数のプレイヤーが喜ぶグラフィックにするのは理想的な形だとも言えます。

これ以外のオリジンズの模様は、古角さんと佐藤拓さんのブログで詳しく知ることができます。それぞれの分析や紹介されているエピソードを読むと、1993年から2001年まで毎年オリジンズに上洛していた頃の記憶が蘇ってきて楽しめました(ノース・マーケットと、イタリア料理屋のマルティニ、懐かしいなぁ)。

ウォーゲーム武芸帳(古角さんのブログ)
http://sunsetgames.cocolog-nifty.com/slg/

Pum’s Life (佐藤拓さんのブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/satotaku13/


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2007年2月19日 [マザーランド]

昨日の日曜日、森之宮のミドルアース例会場で、出口さん、石田
さんと「リプレイ記事用マザーランド対戦」後編を行いました。
詳しいプレイ内容は、リプレイ記事で書きますが、対戦の結果は
ソ連政府が1942年7月に降伏して、出口ドイツ軍の決定的勝利と
なりました。下は、ソ連降伏時の地図上の戦況です。


北方戦域。冬季反攻で部隊を浪費したのが裏目に出て、レニング
ラードを完全包囲後に攻城砲つきの総攻撃で陥落させられました。


中央戦域。モスクワをなんとか守るべく必死で努力したものの、
兵力面でドイツ軍の優位を崩すことができず、後手後手の展開に。


南方戦域。バクー油田からアストラハンに通じる石油輸送路を
4ヶ所で破壊され、遂にソ連政府は降伏を決意。セヴァストポリも
陥落していたため、降伏修正が「サイの目+3」で出た目は「4」。

前回の記事でも書きましたか、ドイツ軍はやはり兵力温存とソ連軍
の部隊撃破を優先する戦略で、最初の冬にも全く揺らぐことなく、
当初の方針どおりに着実な攻撃を各地で展開しました。一方、私は
といえば、前半終了時のドイツ軍の進撃スピードが史実より遅かった
こともあり、情勢を楽観視し過ぎて冬季反攻で部隊を消耗しすぎ、
史実のスターリンが犯した過ちをより大規模な形で繰り返す結果と
なってしまいました。ただ、負けたとはいえ、最後の数ターンはソ連
軍プレイヤーとしての焦燥感・心理的圧迫感を痛感しつつ、デザイ
ナーとしては「(太平洋艦隊のデザイナー佐藤弘明氏流に言えば)
自分の仕事がそれなりに成功した」という妙な充実感を味わって
いました。ソ連軍の負け方・ドイツ軍の勝ち方が、「史実で起こりえた
可能性」の範疇に充分入っているように思われたからです。

モスクワやレニングラードなどの都市をいつ占領するかという時期
はさほど重視せず、とにかく前線のソ連軍部隊を壊滅させて「ソ連
の軍事力」を無力化すれば、実質的に戦争の行方は決するので、
都市の占領順序はそれから考えても充分間に合うという考え方は、
実は史実のドイツ軍首脳部における対ソ侵攻計画の立案初期段階
における共通認識であり、モスクワか、キエフかという有名な優先順
位をめぐる議論は「前線のソ連軍部隊を壊滅させることに失敗した」
ために生まれたものでした。今回の対戦で出口さんがとった戦略は、
進撃スピードで史実より遅れても、より多くのソ連軍部隊を確実に
壊滅させるというもので、その戦略にまんまと乗せられた私は、前進
防御と冒険的な冬季反攻で必要以上に部隊を浪費し、遂にはソ連
の全面降伏という最悪の結末を迎えることになってしまいました。
もし私が相手の戦略をもう少し早く掴んで、兵力温存策に切り換えて
いたなら、最初の冬以降の展開もだいぶ違ったものになっていたか
もしれません。ともかく、最初から最後までブレることなく一貫した
戦略を実行し、ほぼ完璧な勝利を収めた出口さんには最大限の敬意
を表したいと思います(彼が「鉄人」と呼ばれる理由が理解できました)。

対戦後、出口さんと石田さんと3人で居酒屋に行き、今回の対戦内容
についていろいろ意見交換しましたが、私もマザーランドとパウルスに
関してはそれなりに持論を持っているので、出口戦略を研究してから、
年内にもう一度私がソ連軍を担当して再戦したいとお願いし、出口さん
にも快諾していただきました。そして、来月のミドルアース例会では、
この3人で「パウルス第6軍」を対戦することで合意しました(私がドイツ
軍、石田さんと出口さんがソ連軍)。次回は、油断せずにソ連軍の攻勢
から第6軍を生還させ、今回の雪辱を晴らしたいところです。

森之宮の居酒屋会談ではそのほか、「モスクワ攻防戦」のプレイテスト
に出口さんも加わってもらえるという(私にとっての)大収穫もありました。
モスクワ以外にも、新作ゲームのアイデアや要望などを両氏から聞くこ
とができましたが、この辺りの話題は日を改めて触れたいと思います。


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2006年12月18日 [マザーランド]

昨日、大阪ミドルアースの例会にお邪魔して、久々に製作中ゲームの検証
以外で「純粋に」ゲームのプレイをしました。対戦の内容を、サンセット・
ゲームズの機関誌「プラン・サンセット」に投稿する予定なので、厳密には
「純粋なプレイ」とは言えないかもしれませんが、とにかく「1プレイヤーと
して対戦に熱中する楽しさ」を存分に味わえました。今回対戦したゲームは、
シックス・アングルズ第9号付録「ウォー・フォー・ザ・マザーランド」で、前々
から「一緒にやりましょう」と約束していた出口さんが相手をしてくださいま
した。また、リプレイ記事にするということで、前日に北海道から帰阪したば
かりの石田さんが、記録員兼「公認戦力チット引き官」として手伝ってくれま
した。出口さん、石田さん、どうもありがとうございました。

今回の対戦では、私の担当はソ連軍でしたが、初年度の基本戦略として
「粛清で弱体化した赤軍将兵に戦闘経験を積ませるためと、ドイツ軍の
進撃を停滞させるため、極力兵力を前面に投入して交戦させる」という
「前進防御」の方策をとりました。この戦略は、失敗すれば序盤で兵力を
吹き飛ばされて大敗するリスクを伴いますが、史実のソ連軍が1942年に
とった「全面後退戦略」を1941年に実行すると、兵力は温存できる反面、
アステリスク付きの戦力チットが大量にカップの中へと残ることになるので、
それを避けることを優先して、出血覚悟で部隊をドイツ軍の攻勢正面に
ぶつけ続けました。その結果、いくつかの重要な局面でサイの目に恵ま
れたこともあり、第7ターン(1941年9~10月)の終了時点で、モスクワと
レニングラード、そしてキエフの三都市全てを保持することに成功しました。
ただし突出して包囲されているキエフの運命は、もはや風前の灯火ですが…。



第7ターン終了時の東部戦線。


第7ターン終了時のモスクワ正面。


第7ターン終了時のレニングラード正面。

ドイツ軍の進撃は、史実よりもやや遅れ気味ですが、出口ドイツ軍は
徹底した「兵力温存(損失回避)戦略」をとっているので、兵力的には
史実のドイツ軍よりも強い状態で、最初の冬を迎えています。これから
ソ連軍の冬季反攻が開始されますが、1942年春の雪解けを迎えた時、
戦略的な情勢がどのようなものになっているか、今の段階では予測する
ことがかなり難しいと言えます。ソ連軍は、第8ターンに5個軍と1個攻勢
支援群、第9ターンに6個軍と1個司令部、第10ターンに2個軍と1個空挺
軍団の増援を受け取り、改編用の打撃軍ユニットも4個得られるとはいえ、
ブリャンスク=キエフ間とワルダイ高地の空白地にも戦線を形成しないと
いけないので、部隊の消耗を伴うような作戦は控えなくてはなりません。
出口ドイツ軍が、1941年ではなく42年の決戦に対ソ侵攻戦略の焦点を
合わせているらしいことが判明しているので、こちらもそれを前提とした
戦略をとる必要がありますが、しかし冬季反攻で敵の装甲部隊を消耗
させるという誘惑も魅力的なので、悩めるところです。

次回の対戦(続き)は、1月下旬を予定しています。今回は、双方とも好き
なだけ長考できる方式でプレイしたため、予想したほどのターン数を消化
できませんでしたが、次回は「少しペースを上げましょう」と帰り際に合意
できたので、1943年春の泥濘くらいまでは進めたいところです。


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