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2012年3月14日 [その他(戦史研究関係)]

今週は、学研さんの『歴史群像』誌次号用記事「シリア紛争史」の執筆をメインに仕事を進めています。ご存知のとおり、シリアでは現在、バッシャール・アサド大統領を指導者とするシリア政府軍が、反政府勢力を各地で弾圧しており、ホムスなど反政府派の支持者が多い都市では、政府軍ないしバッシャール派の民兵による一般市民(多くの子供を含む)の虐殺が行われていると見られています。

今回の記事では、第二次世界大戦後に独立したシリアが歩んだ道のりと、第四次中東戦争におけるゴラン高原の戦いなどを扱いますが、それと共にバッシャールとその父ハーフェズのアサド親子についても、どんな人物なのか解説する予定です。また、ロシアと中国がなぜ今でもシリア政府側を支援するのか、シリアにおける反政府運動は、いつ、どのようにして生まれたのか、今後どんな展開になると考えられるのか等、日々のニュースを読み解く助けになるような情報も、可能な限りたくさん盛り込みたいと考えています。

ところで、今月は私の担当した記事や地図が掲載されている雑誌が2冊、発売となりました。

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一冊目は、『歴史群像』の4月号で、私の担当記事は「キューバ危機」です。今からちょうど50年前の1962年に発生した、人類が最も第三次世界大戦あるいは全面核戦争の瀬戸際に立たされた出来事として知られる緊張の高まりを、冷戦終結後に明らかになった文献情報等を活用して解説しています。

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また、記事の最後では英語における「GAME」という言葉の用法に触れ、利害衝突における双方の当事者が、内容の根幹部分で共通するルールを見ているか、それとも一致しないルールに基づいて行動しているかによって、外交という「ゲーム」は容易に戦争という別の「ゲーム」へと転化してしまうという点にも言及しています。

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この「英語におけるGAMEという言葉の用法」について、私が初めて知ったのは、古参ゲーマーならご存知かと思いますが、ホビージャパンのシミュレーション・ゲーム雑誌『タクテクス』誌第5号(1982年)で、斉藤純編集長が書かれていた「巻頭言」でした。当時、私は中学生でしたが、同誌(それも隔月刊時代の初期、1号から12号あたり)の内容は今でもけっこう頭にくっきり残っていたりします。

ちなみに、この号の巻頭記事は瀬戸利春さんの「ソ連赤軍の誕生」で、第一次世界大戦末期のロシア革命から、1930年代後半の「大粛清」に至るまでの、新生国家・ソ連における「赤軍」の位置づけがよくわかる内容になっています。日本ではなかなか良い資料のない「ソ連=ポーランド戦争」についても、要点をコンパクトに述べられているので、このテーマのゲームをプレイする際の参考記事としても最適です。

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もう一冊は、KKベストセラーズさんの『歴史人』4月号で、今回は満洲事変に関連する地図4点の制作を担当しました。同誌は毎号、ひとつのテーマを徹底的に解説する特集記事が売りですが、今号は日本の大陸進出から1945年の敗戦に至るまでの「満洲国」の歴史に光を当てています。

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1ページ全体で、満洲事変の経過を解説する地図。時系列の順番が分かりやすくなるよう工夫しました。「カラフルだけど落ち着いた配色」というのも、毎回注意を払っている部分です。

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こちらは、満洲事変の発端となった「柳条湖事件」とその直後の日本軍部隊の動きを解説する地図。事件翌年(昭和7年)に発行された、奉天の詳細な市街地図をベースに、街路の一本一本まで忠実にトレースしました。ここまで詳しい(そしてわかりやすい)柳条湖事件の関連地図は、過去に無かったのでは、と思います(単に私が知らないだけかもしれませんが)。


《追記》
3月30日(金)の「小規模ミーティング」は、あと一席となりました。私と全然面識のない人も参加されますので、興味のある方はぜひどうぞ。
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