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2013年2月6日 [その他(戦史研究関係)]

今日は六角堂出版の新刊告知です。戦史ノート第16弾『ヴィシー・フランス』と第17弾『レジスタンス』が発売されています。

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ヴィシー・フランス (山崎雅弘 戦史ノート Vol. 15) [Kindle版]



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レジスタンス (山崎雅弘 戦史ノート Vol. 15) [Kindle版]

ヴィシー・フランス』は2009年3月、『レジスタンス』は2006年7月に、それぞれ『歴史群像』誌で発表した原稿ですが、この2本を通しで読むと、第二次世界大戦期のフランスが直面した苦難と、フランス国民がその苦難にどう対処したのか、という主題を、複眼的に捉え直すことができるのでは、と思います。

第二次世界大戦が終結した後の国際社会では、「ファシズムの否定」という価値判断基準でこの戦争を捉える認識が主流であり、ナチス・ドイツ寄りの立場をとることで苦難を乗り切ろうとしたヴィシー政府のペタン元帥らは「邪悪なヒトラーに迎合した売国奴」と断罪されることになります。しかし、いわゆる東側諸国のみならず西側諸国においても、政治的意図に基づく歴史解釈が幅広く行われていた事実が明らかになった現在では、そうした「白か黒か」という二元論とは異なる視点で、改めてヴィシー政府とは何だったのかを読み解くことができる環境にあります。

1940年夏に屈辱的な敗北を喫したフランスが、敗戦後の国家存続あるいは再興について考える時、ドイツつまり「ファシズム陣営」に付くべきか、それとも英米両国の「(西側)連合国陣営」に付くことを選ぶべきか、という対外政策が「縦糸」だとするなら、国内の政治で誰が主導権を握るか、というフランス国内での政治闘争は、いわば「横糸」だと言えます。『ヴィシー・フランス』と『レジスタンス』は共に、これらの歴史を織りなす様々な色の「糸」を、私なりに紡いで仕上げたコンパクトな概説書です。

国家が戦争に負けるというのは、どういうことなのか。敗戦国は、敗北を受け入れた上で、どのような道を進むべきなのか。外国との戦争に敗れた回数が事実上ただ1回しかない日本とは異なり、ある意味で「敗北慣れ」しているフランス人の意志決定に関する歴史は、現代の日本人にとっても重要な示唆に富んでいるのではないかと思います。
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