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2006年10月16日 [戦略級 日露戦争]

昨日の日曜、石田さんと「日露戦争: 皇国の興廃」ルール検証プレイを
私の自宅で行いました。ある程度は予想していたことですが、SPI版の
ルールでは説明されていない部分がいろいろ見つかり、日本版ルール
で補足することになりました。これは、ルール原文の主旨を尊重する形
での「補足と明確化」で、別途用意する「日本版改訂ルール」とは異なり
ます。ただ、ゲーム展開そのものは、今までの日露戦争ゲームでは味わ
えなかった種類の醍醐味を味わえたので、大いに盛り上がりました。

特に、日本軍プレイヤーの立場はまさに当時の日本政府指導部と軍の
最高首脳部であり、わずかな商船隊をフル稼働させて本土から兵員を
大陸に運んでいく様は、明治時代の日本が直面していた地政学的な
立場の弱さを実感させてくれました。もし朝鮮半島がロシアの支配下に
入り、釜山港にロシア艦隊が展開すれば、日本の「商船活動」はもはや
ロシアの承諾なしには行えなくなっていたことでしょう。なぜ、日本政府
は大国ロシアに大して、無謀ともいえる戦争を挑んだのか。このゲーム
をプレイすれば、その理由が感覚的に理解できるような気がします。


マップ全景。遠近法で大きさの感覚がつかめないかもしれませんが、
手前の海戦ディスプレイはハーフサイズ、奥のマップはフルサイズです。


開戦直後の日本列島。黒木将軍と共に、第一陣がこれから船で大陸へ
と出陣します。第1と第2艦隊は、東郷・上村提督と共にヘクス24にいます。


日本軍第1艦隊とロシア軍旅順艦隊による、旅順沖海戦のようす。
三笠には東郷平八郎、ペトロパヴロフスクにはスタルク提督が座乗して
います。ちなみに、この日のプレイでは、双方とも積極的に海戦を行う
展開となったため、第一次旅順沖海戦ではペトロパヴロフスクが撃沈され
てスタルク提督が死亡、第ニ次旅順沖海戦では後任のマカロフ提督が
旗艦セヴァストポリもろとも撃沈されて死亡、第三次旅順沖海戦では
ヴィトゲフト提督の乗るレトヴィザンが三笠に直撃弾を浴びせ、艦は損傷
だけで済んだものの、艦橋を砲弾が直撃したため東郷提督が戦死する
という凄まじい展開となりました(しかも陸上ではまだ一発も撃たれてい
ない序盤の段階で)。


陸上作戦のようす。日本軍の補給線は、沿岸ヘクスに置かれた商船隊
ユニットから3移動力、またはその位置にいる直属司令部からさらに
3移動力の範囲で設定されます。ただし、移動コストは荒地(黄緑色)
が標準の1で、平地は2分の1、道路沿いだと3分の1移動力なので、
そこそこ内陸での作戦も行えます。ロシア軍は、地図北端に通じている
鉄道線から3移動力の補給線を設定でき、さらに旅順とウラジオストク
は蓄積している補給ポイントを1使うごとに1ターン限定の補給源として
機能します。そのため、日本軍は早期に騎兵を進出させて東支鉄道
を遮断し、地図北端から旅順への補給ポイント輸送を阻止しなくては
なりません。


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コメント 14

黒鳩金

こんにちは。日露戦争、すごく楽しみです! こういう視点のゲームが欲しかった! というか、戦略級、キャンペーン級、作戦級、要塞攻略、艦隊戦、野戦の戦術級など、日露戦争をいろんな角度から捉えたゲームがこれからも出てくれたらと思います。第二次大戦もいいですが、日露戦争もお忘れなく!
by 黒鳩金 (2006-10-17 01:42) 

Mark

その昔昭和の御世に、SPI版を作戦Qの例会か何かでプレイした覚えがあります。
その時は二人で日本軍を担当したのですが、不十分な戦力で無理押ししたところに露軍の反撃を受け、主力が補給を切られて壊滅。あとは戦力の逐次投入の典型パターンでボロ負けでした。
戦闘ユニットよりも、港にうずたかく積まれた補給マーカー?ばかりが目立っていたような記憶が……。
日本語版はぜひ入手して、リベンジしたいものです。
by Mark (2006-10-17 10:23) 

森下

いつも拝見しています。いつのまにかブログ記事のカテゴリー分けができていたのですね。気がつきませんでしたが、すごく便利になったと思います。今までだと、あるゲームの記事をもう一度見たいと思っても、日付順に全部調べないといけなかったので・・・
by 森下 (2006-10-17 12:51) 

Mas-Yamazaki

黒鳩金様: コメントありがとうございます。日露戦争は、テーマとしては非常に魅力的(日露双方にさまざまな人間ドラマがあるので)ですし、今後も機会があれば新たな視点でゲームをデザインしてみたいと思っています。そういえば、陸戦の戦術級ゲームで日露戦争テーマって、見たことありませんね。個人的には、バルチック艦隊の途方もない回航の時期、本国と艦上で繰り広げられていたロシア側のエピソードが興味深いと思いますが、これはゲームでは再現されない部分に属するので、シックス・アングルズ等で取り上げるのは難しいかもしれません(もしページ数に余裕があれば、本誌記事にこのあたりのコラムを書くかもしれません)。
by Mas-Yamazaki (2006-10-19 13:05) 

Mas-Yamazaki

Mark様: コメントありがとうございます。本ゲームには、補給マーカーという駒は登場しないので、商船隊ユニットでしょうか? 日本軍は、序盤に電撃的(と言っても徒歩行軍なので知れていますが・笑)な進撃で遼東半島に進出して、ロシア側が態勢を整える前に「戦いの構図」を組み立てる必要があります。ただ、序盤に無理押しすると兵力を消耗して、以後の作戦が困難になる(日本軍は本土に配置されている以外に新たな増援ユニットを一切もらえず、補充ポイントも微々たるもの)ので、このあたりの見極めが勝敗のポイントになります。完成の折には、ぜひいろんなオプションを試してみてください。

森下様: コメントありがとうございます。この件についての返答は、10月19日の記事に書かせていただきました。おっしゃる通り、過去の記事を検索する上で、カテゴライズというのは不可欠だと思います。何で今まで気がつかなかったのか、と己の不明を恥じる次第です。今後も何かお気づきの点がありましたら、ぜひコメントかメールでお知らせください。よろしくお願いします。
by Mas-Yamazaki (2006-10-19 13:12) 

どーや

こんにちは。いつも拝見しています。日露戦争の発売、楽しみにしています。できましたら、ブランクマーカーで日清戦争バリアントを作成していただけないでしょうか?バランス的には一方的な展開になりそうですが、マップは成歓、牙山の戦いからスタートし、黄海海戦、牛荘、田庄台の戦いあたりまではできそうなのですが?。日清戦争単独では市販されそうもないテーマですし・・・。日清戦争から日露戦争までのキャンペーンを是非見てみたいと思っています。
by どーや (2006-10-26 20:45) 

Mas-Yamazaki

どーや様: コメントとご提案、ありがとうございます。「日清戦争」のバリアント、企画としては非常に興味深いですね。対戦ゲームとしてのバランスをとるのは難しいかもしれませんが、ご指摘のとおり、日露戦争との対比という形でプレイすることで、19世紀から20世紀に差し掛かる時期の日本が置かれていた地政学的な状況を、感覚的に理解する助けにはなると思います。

ただ、今回の製品にバリアントとして同梱するのは、かなり難しいですね。マップが約2枚、ユニットは132個のシートが4枚(うち2枚は艦艇用のダブルサイズなので、駒の数は132x4よりも少ない数になります)というボリュームなので、価格を6800円に抑えようと思うと、これ以上のコンポーネントの追加は困難なのです(駒シートには、残念ながら空きスペースがほとんどありません)。

なので、今回いただいたご提案は、今後の課題として、検討させてください。何かの機会に実現する方向で、頭の片隅に留めておきたいと思います。また何か良いアイデアがありましたら、ぜひお知らせください。
by Mas-Yamazaki (2006-11-02 23:51) 

宝剣柏葉騎士

こんにちは、大変素晴らしいゲームです。
どーや様がご提案した日清戦争のバリアントは、私も大変興味を持っております。ます、このテーマを扱うゲームは今殆ど見たことがないです。もしこれから実現できれば、本当に素晴らしいことですから、期待しています。
当然日露戦争と異なって、清軍は近代的な装備をしているにも係わらず、其の編成はまだ前近代的なものとしかいえません。それを表現する特別ルールが必要でしょう。海戦においては、日本艦隊の勝因は其の速度と速射砲他ならないと思います。其の速射砲の表現も面白いでしょう。
また個人的なオプションとして、清軍南洋水師の艦艇の加入や、両国チリの軍艦を購入争うことを表現してもいいではないでしょうか。
by 宝剣柏葉騎士 (2006-11-24 14:07) 

宝剣柏葉騎士

山崎様、海戦ディスプレイ上のBattlelineは戦列艦と訳されましたが、もしかしたら戦列線のほうが正しいでしょうか。戦列艦というのは帆船時代の主力艦でしょうか。
by 宝剣柏葉騎士 (2006-11-24 23:37) 

Mas-Yamazaki

宝剣柏葉騎士様: コメントありがとうございます。「日清戦争」のバリアント案を瀬戸利春氏に相談したところ「ぜひ作りたいね」との好返事をいただきました。ただ、マップの領域を少し付け加える必要が出てきそうですが(朝鮮南部と山東半島)。製作には、新たなプレイテストとディベロップが必要なので、発表の時期は未定ですが、日清双方の性格づけの違い等を考慮したルールを練り込んで、よいバリアントに仕上げたいと思います。

あと「バトルライン」の対訳については、少し検討してみます。ゲームシステム内での重要な呼称でもあるので、単体としての訳語だけでなく、「Secondary」と対比になるような単語にしないといけないのが頭の痛いところです。
by Mas-Yamazaki (2006-11-27 18:49) 

宝剣柏葉騎士

早速のご返事ありがとうございました。
其の新作を心よりご期待いたします。もし清軍につきまして何か資料を必要であれば、いつでもご提供いたします。それを研究している中国の学者何人も知り合えがいます。
「バトルライン」の対訳については、私はルールを見たことがありませんので、その確かの意味は知りません。但し、「Secondary」と対比になるような単語にしないといけないとおしゃいましたら、私の勝手な推測ですが、もしかしたら砲撃は主攻撃手段とした主力艦隊及び雷撃する駆逐艦、水雷艇が主とする小艦隊でしょうか、そうであれば「主力戦列」と「軽型戦隊」の方がいかがでしょうか。その両方とも同じ艦種だけではなく、戦列線の中に戦艦以外装甲巡洋艦もあり、小艦隊の中でも偵察巡洋艦、駆逐艦、水雷艇を含めていると思いますから。それでは宜しいのでしょうか。
by 宝剣柏葉騎士 (2006-11-28 11:48) 

Mas-Yamazaki

宝剣柏葉騎士様: コメントありがとうございます。「日清戦争バリアント」については、作業開始は少し先になるかと思いますが、その時には改めてこのブログで告知させていただきますので、ご助力をいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
by Mas-Yamazaki (2006-12-01 19:09) 

たぁ丸

なぜに「畝傍」なのでしょう?バルチック艦隊の先鋒として化けて出そうです。Twitterネタでスイマセン。
by たぁ丸 (2011-06-30 23:38) 

Mas-Yamazaki

たぁ丸さま: コメントありがとうございます。「畝傍」ネーミングについては、ツイッターの方で説明いたしました。忽然と姿を消したこの船が、乗組員と共に現代へとタイムスリップしたら、どんなことになるんでしょうね? 125年前のメンタリティを持つ日本人が、現在の日本を観てどう思うのか、とりあえず聞いてみたいです。
by Mas-Yamazaki (2011-07-03 00:18) 

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