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2007年10月27日 [その他(ウォーゲーム関係)]

多忙のためしばらく更新が滞っており、頂いたコメントへの返答も遅くなってしまって申し訳ありません。「激闘ノルマンディ」の原稿執筆はほぼ予定通りに進んでいますが、印刷所さんと進行予定について相談した結果、プレオーダーの発送は11月中旬、店頭発売は11月下旬になりそうです。今回も、今まで同様、自信を持ってお奨めできる商品に仕上げるつもりですので、もうしばらくお待ちいただければ幸いです。

ところで、2007年9月29日の記事に対して、来年以降のシックス・アングルズの活動方針についてのご質問やご要望などを、コメントやメールでいろいろと頂きました。中には、私がオリジナルのゲームデザイン作業も停止すると早合点された方もおられるようですが、念のために「明確化」させていただきますと、来年(正確には第11号「モスクワ攻防戦」の出版後)に活動を一時休止する予定なのは「ゲーム出版事業」の方で、オリジナル・ゲームのデザインとプレイテスト、ディヴェロップなどの「ゲーム製作事業」の方は、石田参謀長をはじめテストプレイを担当して下さる「有志」の方々と一緒に、今までと同様に継続して取り組んでいくつもりです。

「ゲーム出版事業」を一時休止する理由については、先の記事でも少し触れましたが、シックス・アングルズ製品として出すに値すると思われる「一定数の販売量を見込める秀作ゲーム」が(私の見る限り)とりあえず底を尽いたので、それが一定量溜まるまで、放出側の「バルブ」を閉じてみようというのが私の考えです。デシジョン・ゲームズが版権を保有しているSPIゲームの多くについては、その気になればすぐにでも版権を取得して「レトロスペクティブ・シリーズ第7弾」として日本語版を出すことは可能です。しかし、現在のゲーム界のニーズと、まだ私が日本語版を出していないSPIゲームの(単体としての)商品価値、それに印刷コストの上昇などの要素を考慮すると、今までと同様の体裁や発行部数で第7弾以降を刊行するにはリスクが大きいのではないかと、私は考えています。

機会があるごとに繰り返し書いてきましたように、私がシックス・アングルズを自分で出版するようになった最大の理由は「いついつまでに新製品を出さなくてはならない」という、メーカー側の都合による「出版義務」のような制約から解放された環境で、個々の製品についての品質向上を最大限に行えるようにしたかったからでした。今までに出版されたシックス・アングルズ製品が、完全無欠であるという風には思っていませんし、とりわけオリジナルゲームの内容に関しては賛否両論のあることも承知していますが、それでも購買者に対する礼儀や敬意を欠いたケアレスミスの類は、製品から一掃できているのではないかという自負はあります。しかし、私が一消費者であると仮定して「日本版を購入したい」と考える秀作ゲームが、現在すぐに版権を取得可能な範囲に見当たらないのも事実で、今までの「レトロスペクティブ・シリーズ」のラインナップを購入して一定の評価をして下さった方からの「ブランドに対する信頼」を裏切らないためには、良いアイテムが見つからないからと製品化を検討する際の「閾値」を下げるのではなく、今までの「閾値」より上のゲームが何か見つかるまで、しばらく出版を停止するのがよいのではないかと考えたわけです。

また、オリジナルのゲームについては、次回出版作である「モスクワ攻防戦」のテスト状況をご覧いだだければおわかりのように、1作のプレイテストとディヴェロップに最低1年くらいは必要になる(少なくとも、私個人の能力と私がとっているテスト作業の手法では、これが限界です)ので、よほどの幸運と効率的なテスト/ディヴェロップ作業を行えるスタッフに恵まれない限り、2008年に新作ゲームを出すことは難しいと思います。現在の見通しでは、以前にCH社から出版された「神々の黄昏」の第二版である「ベルリン陥落」のほか、「モスクワ攻防戦」のシステムを使用した東部戦線作戦級のクォードリ・ゲームを2セット(1941~42年セットと1943~44年セット)製作する予定ですが、これ以外にも新作のアイデアはいろいろあるので(アルンヘム=ナイメーヘン地区とそれ以南を別スケールのマップで表現する「遠すぎた橋」など)、ゲームデザインの作業はこれからも意欲的に続けていくつもりです。

このところ原稿執筆の仕事がだいぶ増えてきており、ゲーム関係の仕事に割ける時間も少なからず制約を受けてはいますが、ゲームデザインは基本的にはやっていて楽しい仕事なので、完成予定など決めずに、気長に取り組むつもりです。また、印刷費の高騰などで自費出版が難しい状況になっていれば、どこかのゲーム出版社に送るという選択肢を選ぶこともできます。いずれにせよ、自分にとって無理のない範囲で、品質を落とさずに仕事を続けていくつもりですので、長い目で見守っていただけると幸いです。よろしくお願いします。


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風の祈り

 ゲーム出版活動をしばらく停止なされるようで、私なぞはシックスス・アングルスにとってあまり良い客ではないのですが、残念に思います。旧SPI社のゲームは私にとっては神がかった印象を受けるので、どんなゲームでも(というのはオーバーで、中には駄作もあるでしょうが)再販されればぜひ手に入れたいものです。
 それで一つうかがいたいことがあるのですが、山崎様の(もっといえば山崎家の)収入にとって、ゲーム出版事業は家計にプラスになっていらっしゃるのでしょうか。私はゲーム出版についてあるアイデアを温めているところなので、もしそれによって今のシミュレーションゲーム界に受け入れられ、自分の糊口をしのぐことができるかどうか迷っているところです。
 ぜひ先輩としてアドヴァイスをいただきたくコメントした次第です。どうかよろしくお願いします。
by 風の祈り (2007-10-27 02:44) 

国内軍

山崎さまのご判断は懸命かつごもっとだと思います。末永くまたクリエイターとしての本分を貫徹していただきたいです!個人的なリクエストを・・・ワルシャワライジングよろしくお願いします・・・小品ながらお気に入りです。
by 国内軍 (2007-10-27 17:07) 

作戦級の下僕

攻勢作戦が順調に進んだ後、補給線の限度を越える前に停止して戦線を整理し、物資と補充兵の到着を待つ。作戦指揮の基本ですね。無理をして攻勢限界点を越えてしまっては元も子もありません。近い将来に、新たな攻勢作戦を開始される時を楽しみにしています。
by 作戦級の下僕 (2007-10-27 23:57) 

Mas-Yamazaki

風の祈りさま: コメントありがとうございます。事業として見た場合のゲーム出版の実情(作業量、コスト、利益など)というのは、コメント欄でお答えするには大きすぎるテーマなので、本記事の方で近々ご説明させていただきます。私の個人的な経験の範囲内でしか述べられませんが、参考にしていただければと思います。
by Mas-Yamazaki (2007-11-01 13:42) 

Mas-Yamazaki

国内軍さま、作戦級の下僕さま: コメントありがとうございます。私の方針決定を支持してくださる方々が、多少なりともおられたことを、非常に嬉しく思います。今後とも、マイペースで堅実な仕事をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

あと、リクエストの「ワルシャワ蜂起」ですが、ゲームとしての出来はなかなか良いものの、いかんせんテーマがマイナーということもあり、そのままでは「レトロスペクティブ」の戦列に入れるのは難しい、というのが正直なところです。テーマであるワルシャワ蜂起という戦いは、非常に興味深いテーマで、歴史群像誌の編集部にも記事テーマとして推奨していますが、読者の関心が低いと評価されているせいか、いまだ執筆命令は下りていません。S&T誌版のコンポーネントは、地図はそれなりに雰囲気が出ていましたが、蜂起軍ユニットの裏に描かれた、幼児の絵のような「兵士マーク」は、なんとかしたいところではありますが…(笑)。もし出すとするなら、同じプラドスの手になる「モンティズ・Dディ」とセットという形で、部数500部か400部程度という体裁が考えられますが、価格はそれなりに高騰する(7~8000円)と思います。
by Mas-Yamazaki (2007-11-01 13:52) 

長州

ゲーム出版のリスクヘッジの1手法として、GMTやMMPが採用しているような「事前プレオーダーによる最低販売部数の確保」も有効かと思います。候補作を列挙して、一定数に達したものから出していくとか。あと、オリジナルはアメリカのメーカーから出す方法もありますね。
by 長州 (2007-11-02 12:08) 

国内軍

山崎さま、コメントありがとうございます!プラドス2作!卍◎プレオーダーします(笑)マイナーテーマをゲームにより追体験し理解を深める・・・ウォーゲームの本道です!WWⅡの暗部、戦後東西冷戦体制の象徴的なポーランド関連は山崎さまがおっしゃるように非常に興味深いテーマですよね。NHK・映像の世紀「勝者の世界分割」のヤルタ会談や映画「地下水道」、「アップライジング」など見ますとドラマ性・悲劇性てんこ盛りのテーマですよ。あのアブノーマルな蜂起はもっと注目されてもいいのではないでしょうか。ゲームとしてのヴァリエーション・イフもいろいろと構想できそうですね。歴史群像編集部さんは今まで相当マイナーでマニアックなテーマ扱っておられるはずですが・・・(笑) PS 中央公論新社「奪われた祖国ポーランド」(ミコワイチク回顧録)おすすめです。
by 国内軍 (2007-11-03 08:42) 

Mas-Yamazaki

長州さま: コメントありがとうございます。ご指摘のとおり、事前プレオーダーという方式は、リスクヘッジの有効な手段だと私も思います。もしかしたら、第7弾以降は、この方式で発売するかどうかを決めるかもしれません。ただ、その場合は無制限に募集するのでなく、半年くらいで期限を設けて、半年後にも一定数に達しなければ見送り、という形でもよいかと思います。幸か不幸か、この業界は人の入れ替わりがほとんどない世界なので、応募があるのは発表後の数ヶ月がほとんどだと思いますし、最初に応募された方の都合が変わったり転居されたりということもあるので、期間無制限の募集という方式はとらないと思います。

あと、アメリカのメーカーに送るという方法も有効です。MMP社は、私が今まで関係を持った米国メーカーの中ではいちばん信頼できる相手なので、もし新作を日本で出すことができなくなったら、ロンドン亡命政権のような形で(笑)あそこに送るという選択肢もあります。実は、第11号付録の「モスクワ攻防戦」については、MMP社から英語版を出すという契約を既に交わしており、グラフィックもこちらでやることになりそうです。
by Mas-Yamazaki (2007-11-05 12:00) 

Mas-Yamazaki

国内軍さま: コメントありがとうございます。映画「地下水道」は、ワイダ監督作品の中でもとりわけ印象深い作品でした。ミコワイチクの回想録は未見なので、機会があれば探して読んでみます。ソ連軍の救援可能性については、いろいろな説がありますが、私は蜂起当時のソ連軍部隊の配置から「軍事的には実現可能な状況だったがスターリンは政治的理由から意図的に放置した」という見方をとっています。
by Mas-Yamazaki (2007-11-05 12:04) 

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