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2008年12月7日 [その他(雑感・私生活など)]

今週は、引き続き学研M文庫の執筆で缶詰状態です。昨日は、嵐のような風が吹いていましたが、今日は気温こそ低いものの落ち着いた気候なので、運動不足解消のため、近所を少し散歩してきました。文庫本のテーマは、申し訳ありませんが、諸事情によりまだ内緒です(笑)。第二次世界大戦のドイツ軍関係とだけ、お伝えしておきます(今回は「詳解 西部戦線全史」のあとがきで触れた、地中海戦域の全史ではありません)。

nabari.JPG
私の住む百合ヶ丘の稜線から名張市内を見た風景。街の向こうは山地ヘクスが続きます。

ところで、新聞やニュースでも大きく報じられましたが、ホンダがF1レースからの完全撤退を発表しました。ホンダがF1の歴史に残した偉大な足跡を考えれば、これは重大なニュースのはずですが、しかし私の感触では、F1ファンの間での反響や失望は、実はそれほど大きくはないようです。私自身も、このニュースを知った時には「へぇ、やめるんだ」程度の印象しかありませんでした。その理由は、もう何年も前から、ホンダというF1チームは、既に一部のイギリス人集団によって事実上「乗っ取られた」ような形で運営しており、同じF1チームであったスーパーアグリという鈴木亜久里氏運営のチームを裏で邪魔(ほぼ公然の秘密)するなどの疑問の多い行動もあり、日本のF1ファンの中でのホンダのイメージは、アイルトン・セナやナイジェル・マンセルが活躍していた1980年代~90年代の頃とは比べ物にならないほど低下していたからです。

現在、F1浪人として海外チームのテストを受けている佐藤琢磨が、BARという半英国・半日本(ホンダ)のチームで表彰台に上がった2004年が、いわゆる「第三期ホンダ」のピークでした。しかし、この翌年から現在までホンダチームの実質的な権限を握った某英国人の下で、ホンダの成績は急激に低下し、遂に今年は参入一年目の弱小チームと最下位争いをするまでに落ちぶれてしまいました。また、BARで佐藤琢磨のチームメイトだった某英国人ドライバー(現在もホンダチームに居座っている)が、チーム戦略を無視した行動(ピットストップ2回で走るマシンは、通常ストップ3回の軽い状態でより速く走るチームメイトに道を譲って、チームとしてのリスクを分散すべきなのですが、それをせずに3ストップの佐藤琢磨を後ろに抑え込むなど)をとっても何の譴責も行わなかったり、佐藤琢磨がスーパーアグリに移籍して本家のホンダよりも好成績を上げ始めると、同チームがより効率的な新パーツを導入するのを陰湿な手法で妨害したり、最終的にはスーパーアグリに海外のファンドによる買収話を持ちかけておきながら土壇場で潰し、資金難に苦しむスーパーアグリに止めを刺す(鈴木亜久里氏は今年前半のF1からの撤退会見で件の某英国人の名を挙げ、明らかに怒りの感情を込めて「彼には本当に感謝しています」と皮肉を述べておられました)など、日本のF1ファンの多く(あくまで私の印象です)は「どうしてホンダはあんな英国人に好き勝手にやらせておくのか」と、苛立ちと憤りの感情を何年も募らせてきました。

テレビや新聞の報道では、今回の撤退は「サブプライム・ショックの余波で世界的な景気後退が発生し、特に北米での新車売上げが激減したことによる、経済的判断」という局面が強調されています。しかし、長年F1と接して来られたジャーナリストの今宮純氏は、それとはやや異なる見方を提示されており(興味のある方は下のリンク先を参照してください)、私も今までに知ったいろいろな情報を総合すると、こちらの方がよりリアリティのある分析であるように思えました。おそらく、景気後退や販売不振がなくても、ホンダは遅かれ早かれ同じ道をたどっていたように思います。

http://www.f1world.jp/news/07.html

また思い出話になってしまいますが、80年代後半から90年代初頭のホンダ(F1)エンジンは、とにかくレースで強くて、日本の技術力を海外に見せつける姿は本当にかっこ良かった。ピットウォールに凛として立つ総監督の桜井淑敏氏や後藤治氏は、寡黙な仕事人というか、まさにサムライのイメージでした(実際に桜井氏は名前が似ているので現場ではそう呼ばれていた)。しかし第三期のホンダには、最後まで「サムライ」のようなプロフェッショナリズムを感じさせる雄姿も、創設者の本田宗一郎氏のレースに賭ける純粋な情熱を受け継ぐような「ホンダイズム」も感じられず、ただビジネスベースで参入し、ビジネスで英国人にしてやられて失敗したから出て行く一日本企業という、ネガティブな印象しか残りませんでした。F1という興行(決してスポーツではない)も、存続の是非を含めた重大な過渡期に差し掛かっているようですが、F1を文化として日本に定着させたいと、現場引退後さまざまな活動を行ってこられた桜井さんが、今回のホンダの決断をどう見ておられるのか、うかがってみたい気もします。
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テューダー

今宮さんのコラム読みました。F1の世界も陰謀渦巻く世界なんですね。お金はあるけどパワーネゴシエーションに弱い日本企業はいいカモなんでしょうか。

ところで話は変わりますが、VASSALというシステムをご存知でしょうか?ボードSLGを、ネット通信可能な形に変換したシステムですが、他社製品に比べてシックスアングルスのゲームは、あんまり見かけない気がします。本格的に力を入れられてはどうでしょうか?次号の「ドイツ中央軍集団」は、ルール拝見すると時間を要するゲームみたいですが、VASSALを使えば数日がかりで最後までプレイ可能かと思います。ぜひご検討ください。
by テューダー (2008-12-09 17:29) 

きむ

今回のホンダ撤退。
私も残念・寂しい・負け犬のままで終わるの?(昔の負けん気はどこへ?)
といった気持ちの反面、92年の撤退時ほどの感慨はないのが正直なところです。
個人的には、今のホンダ、トヨタよりはスーパーアグリのほうがリザルトに関係なく純粋に応援できました。
成績の善し悪しではなく、全期間を通して第二期の参戦時のワクワク感(惨敗だった92年ですら感じた)がなかったのが残念です。
所詮、ある英国人の食い物にされたということなのでしょう。。
悔しいですが。
by きむ (2008-12-09 19:36) 

積み木好き

VASSAL開発はわたしもぜひお願いしたいです。小さいこどもがいると、マップにユニットを置いたまま長時間放置しておけないもので。。。マザーランドやパウルスもVASSALなら最後までやれそう。よろしくです。
by 積み木好き (2008-12-09 19:58) 

Mas-Yamazaki

テューダーさま、きむさま、積み木好きさま: コメントありがとうございます。ホンダのF1撤退については、あちこちのF1ファンのブログでもいろいろ書かれていますが、全体的に第三期の「不完全燃焼」感についての苛立ちと失望が目立ちますね。今はもう亡くなられたハーヴェイ・ポストレスウェイト氏設計のマシンで、最初からオール・ホンダで参戦していたなら、たとえ経済的理由で撤退が決まっても、今回のような寂しい反応にはならなかったでしょう。きむさんの書かれているとおり、昔のホンダが好きだった人(日本人だけでなく、海外にもたくさんいる)は、第三期のホンダではなくスーパーアグリの方を応援していたんですよね。あの年代落ちで非力なマシンをゴールまで運んで、琢磨が初ポイント取った時には、本当に感動しました。

VASSALについては、記事の方で少し説明させていただきました。私はまだ、システムを正しく理解していないので(すいません・笑)、2009年の課題の1つということにさせていただこうと思います。
by Mas-Yamazaki (2008-12-11 12:22) 

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