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2009年3月16日 [その他(雑感・私生活など)]

今日は少し身近な生活の話題など。たまたま自分が行ったお店で不愉快な経験をしたからと言って、その店の悪口をブログに書いてウサ晴らしするというのは、たいへん大人気ないことだとは思います。ですが、個々のお店や個々の店員がどうこうという話ではなく、少なくとも私の住んでいる名張市という地域社会全体に、なんだか良からぬ「傾向」が進行中のようで、私がここ数ヶ月のうちに経験したことを、敢えて少し書いてみることにします。たまたま、特定の出来事が重なったというだけなのかもしれませんが…。

ケース1: とある(行きつけの)コーヒーショップにて
 今までその店では見かけなかった若い女性店員(恐らくアルバイト)が、ニッコリ笑顔で「カフェオレで~す」と言いながら、真っ黒いコーヒーを私の前に置く。「カフェオレって、こんな外見だったかな?」と一瞬違和感を覚え、頭が少し混乱するも、自分が間違っている可能性もないとは言い切れないので、心の中で「カフェオレ=コーヒー+牛乳」で間違いないはずだと冷静に3回チェックした後、「すいません、カフェオレ注文したんですけど」と店員に伝える。ちなみに、この店は広域にチェーン展開するそこそこ有名な「コーヒー専門店」で、私は資料本の読み込みや校正チェックでよく利用していたが、同店がもっとも大事にしていることは、「コーヒーを大切にする心」なのだとか(同社ホームページより)。ホールの店員がこれだと、厨房はだいじょうぶかと不安になり、最近は同じく広域でチェーン展開する別のコーヒー専門店(こちらの店員はなかなか対応がしっかりしている)を利用する機会が増えた。

ケース2: とある(行きつけの)パン屋さんにて
 今までその店では見かけなかった若い男性店員(恐らくアルバイト)に、「食パンをサンドイッチ用に10枚切りにしてください」と言うと、「10枚はできません」との返答。今まで、同じ店で過去に何度も同じ注文をしてきたので、何かの間違いかと思い、「あれ、何日か前にやってもらったんやけど?」と言うと、店員は「10枚はできないんです」と同じ返答。「そうなん?」と念押しするも「そうです」との返答。しょうがないので、その場では5枚切りを買って帰ったが、次回からは「10枚切り」のリクエストに対応してくれる別のパン屋で買うことにしている(そのパン屋にはもう行かなくなってしまった)。

ケース3: とある(行きつけの)スーパーにて。
 今までその店では見かけなかった高齢の男性店員が、駐車場に放置されたカート(手押し車)を大量に押して、店内に戻そうとしている。スーパーの入り口には、他の客が入店しようとしているが、おじさんはまったく気にせず中央を強行突破。あやうくぶつかりそうになってよける人、長さ3メートルくらいに達するカートの縦列が通り過ぎるまでじっと待っている子供連れなど、お客さんの冷たい視線を浴びつつも、おじさんは「すみません」の一言すら口にせず、ゴーイング・マイ・ウェイで、黙々と自分の職務に没頭していた。

ケース4: とある(行きつけの)飲食店にて。
 午後3時過ぎ頃、少し遅い昼食をとろうと思い、店舗の外に展示してあるメニューで品定めし、いざ入ろうとすると、今までその店では見かけなかった若い女性店員(恐らくアルバイト)が入り口をふさいでおり、暖簾の位置を整えたり、扉のガラスを拭いたりと、自分の仕事に熱中して、私のことに気づいていない。30秒くらい経過して、ようやく私に気づいた彼女は、入り口に立ちふさがったまま、ニッコリ笑い、カタコトの日本語で一言、「ランチは、もう終わりました」(どうやら外国人)。出鼻を挫かれた格好の私は「あ、そう」と答え、尻尾を巻いてすたすたと駐車場のクルマに戻り、別の飲食店へ行き、先の店で心に決めていたメニューをオーダーした。ちなみに、私が最初に入るつもりだったお店は、午後3時以降も(ランチメニュー以外で)深夜まで営業している。


経済状況が芳しくない昨今、生き残りに必死な個々の企業が「コスト削減」の一環として「人件費の切り詰め」を進めていることは、私も常識として知ってはいますが、人件費を切り詰めすぎた結果、サービスの低下によって客離れが進むというのは、完全に「負のスパイラル」へと陥っているようにも見えます。そもそも、社員やアルバイトに支払う給料や研修の費用を、設備投資や仕入れ原価などと同列に「コスト」と平然と呼ぶ経営感覚というか価値判断基準に、私は大きな違和感を覚えます。

これは決して、道義的な観点からそう思うのではなく、経営的な観点から見て、長期的には決してよい結果にはつながらないだろうと考えるからです。「接客する店員の質の低下」が引き起こす売上げの減少と、仕事の内容を理解した熟練店員から(仕事の内容を理解していない)賃金の安い新規店員に切り替えることで得られる「コスト削減」を、単純に比較することはできません(後述するように、前者には明確に数値化できない部分が多々あるため)。しかし、目先のコスト削減にばかり目を向けるあまり、目に見えないところで長期的な利益を少しずつ損ない、最終的には倒産・廃業という悲惨な結末に至るとしたら、経営者・被雇用者・客の全員にとって望ましくない展開だと言えます。

私もかつては会社勤めをしており、特に埼玉県狭山市に在住した8年間にはさまざまな職種の会社で内情を見ましたが、一人一人の社員が与えられた仕事をしながら、作業を効率化するための道具や整理箱などを自分で(段ボールの切れ端などで)こしらえたり、上から命じられたわけでもないのに(自分の仕事に対する愛着から)工程の改善を提案したりする人が多い会社ほど、職場の雰囲気が明るく、業績も(下っ端のアルバイトや契約社員から見える範囲では)上向きだったような気がします。そういう会社の経営者は、社員を単なる労働力=「コスト」とは見なしておらず、現場の人間にしかわからない観点で会社の事業を(自律的に)改善してくれる「アセット(資産)」と考えて彼らを信用し、自由にものを言える雰囲気を保つ努力をしていたように感じられました(あくまで主観というか想像ですが)。

そういった熟練社員を、より時給の安い臨時雇用の人材と入れ替えることで、短期的には帳簿上の数値(いわゆる人件費)を好転させることができるかもしれません。しかし、その会社は代償として「現場の人間にしかわからない観点で会社の事業を(自律的に)改善してくれる」貴重な資産を、ゴミ箱に捨てていることになります。一方、(相対的に)時給の安い臨時雇用の人は、本人には別に悪気はないのだと思いますが、とりあえず最初の1年くらいは目先の仕事を覚えることに精一杯で、他のことに気がまわらず、自分が(知らないうちに)お客さんに不愉快な思いをさせていても、それを察知する精神的余裕がない場合が多いようです。ですので、私は個々の店員「だけ」を責めようとは思いません。

あるお店のサービスの低下に不満を感じて、次から行かなくなった人が増えたとしても、わざわざ「行かなくなった理由」をその店に伝えにいく人はまずいないので、経営サイドがその実情を正しく認識できるかどうかは疑問です。そこで、「売上げが先月よりも落ちた」「やはり景気悪化でお客さんの消費意欲が落ちたせいか」「しょうがない、じゃあ他にどこかコストを削れるところがないか探そう」「店員をもっと賃金の安い人間と入れ替えよう」「社員教育ももう少し簡略化しよう」などという方向に関心が行ってしまったのでは、その店の経営状態はおそらく悪化する一方です。

このブログを読んで下さっている方々の中にも、企業の経営者や、お店を持って店員を雇っている方はおられるかと思います。賢明な経営者の方なら、私のようなド素人に言われるまでもなく、そのあたりの視点はきちんと持っておられるとは思いますし、余計なお世話かもしれませんが、現状の固定客が見えないところで一人また一人と離れていくことを食い止めるため、お客さんの視点で定期的にサービス内容(品質)をチェックされることをお薦めいたします。
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Satoru

初めてコメントさせていただきます、Six Angles を買わせて頂いている、守口市の伊〇です。

人件費・研修費=「コスト」と呼ぶくだり、全く同感です。
少し違うかもしれませんが、経営者が、「リストラを行って不況を乗り切った。」と自慢げに話すのはどうかと思っていました。
「リストラしなければ不況を乗り切れなかった。」の間違いではないかと。

『ドイツ軍名将列伝』、本日入手しました。
平積みだったので厚さがわからず、手に取った瞬間少し驚きました。
一人当たりの少ないページ数にもかかわらず、事実の羅列のみで終わらせないという思いが感じられました。
『ツィタデレ作戦』、期待してます。
by Satoru (2009-03-17 01:12) 

マル

人的資源の価値を軽視するという点では、先日の旧軍関係の話題と通じるものがあるかもしれませんね。うちの会社でも仕事の内容を極限まで単純化・マニュアル化し、人間を簡単に入れ替えできる態勢にすることが「合理化」という方針がずっと続いてますが、それではマニュアルでカバーした範囲内でしか業務が発展しないということくらい考えればすぐにわかりそうなもんですが。経営サイドが社員を信用していないというのはあるかもしれません。

しかし戦況が好転していざ反転攻勢!となった時、経験豊富なベテラン不在で、狭くて短い視野しかない新兵だけでどうするつもりなんでしょうかね。
by マル (2009-03-18 13:38) 

Almera WRC

 かなり以前の話になりますが、某ハンバーガーチェーンのお店のレジで同じ日に2度、別々の店で不快な思いをして以来そのチェーン店にはまったく行っていません。
 ちょうどその頃売り上げ減少でニュースになっていた時期ですので、アルバイトへの店員教育に手間が掛けられなくなったのだろうなと想像はしますが、その後もテレビ等でその企業のCMを見ていると余りに一貫性のないCMが多く、最近はかなり売り上げも向上しているみたいですが、正直ここの商品は大丈夫なのかと思うことはあります。

 ほんの些細なことでもそれがいくつも積み重なると最終的には取り戻すことが出来ないぐらいに状況が悪化する。SLGをプレーしていた頃に何度もそういう経験をしています。結局どんなことでもそういうことなのではないでしょうか。
by Almera WRC (2009-03-20 02:48) 

Mas-Yamazaki

Satoruさま: コメントありがとうございます。いわゆる「リストラ」の選択を誇らしげに吹聴するというのは、私もおかしいと思います。外的要因があるにせよ、基本的には「経営の失敗」を意味しているわけですし、社員の生活保障に全く関心がないかのような経営者の下には、長い目で見ればよい人材は残らないでしょうね。

ところで、お名前のリンク先を拝見しましたが、バンド活動をしておられるのですね。私も音楽が好きですが、歌や楽器の才能はゼロなので、非常にうらやましいです。一時期、JR塚本駅のそばに住んでいましたが、ガード下にライブハウスがあったとは知りませんでした。
by Mas-Yamazaki (2009-03-21 23:58) 

Mas-Yamazaki

マルさま: コメントありがとうございます。確かに、業務のマニュアル化を重視し過ぎると、短期的には「当面のしごとを効率的にこなせる人材」は増やせても、長期的に「新たな展開を発想できる人材」は育たないでしょうね。企業によっては、最初から「幹部候補」と「そうでない(入れ替え可能な)労働力」とを分けているところもあるようですが、例えば「プロジェクトX」や「プロフェッショナル」には、けっこう後者の地位にいた人も登場しているようです。

経営が上向いた時、現場の「限界」と「可能性」を見極めたベテランこそが力を発揮するという見方はまったく同感です。あれこれとネット上の経営者インタビューなどを見ると、そのあたりをちゃんと理解している企業も少なからずあるようですから、日本の経済がずっと下向きということはないだろうと思いますが…。
by Mas-Yamazaki (2009-03-22 00:05) 

Mas-Yamazaki

Almera WRCさま: コメントありがとうございます。やはり、私と似たような経験をされた方は、他にもおられるのですね(苦笑)。「ほんの些細なことでもそれがいくつも積み重なると最終的には取り戻すことが出来ないぐらいに状況が悪化する」というのは、まったくその通りですね。「マザーランド」のソ連軍その他で、私もいやというほど思い知りました(笑)。

私も、現状は比較的仕事に恵まれている方だと思いますが、今後も日々の仕事を絶対におろそかにしないよう、さらに注意したいと思います。
by Mas-Yamazaki (2009-03-22 00:09) 

maasa

はじめてコメントを投稿させていただきます。
「ドイツ軍名将列伝」を現在読んでいます。
将官の人間的なエピソードを読むと、とても
楽しい反面、どうにもならなかったドイツの歴史
を思うと、空しい気持ちにもなります。
当時のドイツを率いた人物がヒトラーでなかったら・・・
と、これも空しい想像ですね。
この本を読んでいると、私は旧日本軍の将官のことを
改めて調べたくなりました。
一国一城の主たる者の心構えと責任は途方もなく重くて深い。

私は両親と共に居酒屋を営んでおります。小さい店ながら、
まあ、一城の主であります。同年代のバイトの男性に来てもらって
おり、出来た方なので私のほうが日々教えられています。
ですが、忙しい時ともなると、心身ともに疲れてくるとつい、接客態度が
悪くなってきてしまいます。駐車場の男の人の話を読んでいると
自分のことのようで恥ずかしくなります。
料理や接客態度をお客さんの立場にたって点検しなおす。分かって
いるつもりでこれがなかなか難しい。でも、おろそかにせずに、実行
していかなくてはいけませんね。
自分は商売(経営)のプロだ!と思ったとき、そこに大きな陥穽が
あるように感じます。
by maasa (2009-03-22 02:52) 

Mas-Yamazaki

maasaさま: コメントありがとうございます。『ドイツ軍名将列伝』は、幸いにも読者の方々に歓迎していただけたようで、嬉しく思います。

ご両親と居酒屋を経営されているとのこと、たいへんなお仕事だと思います。妻の妹も最近、友人と二人で、昔からの夢だったフランス料理のお店を開いて頑張っているようですが、開店からずっと働きづめで体調を崩しかけたようです。お客さんを満足させる、と言葉にするのは簡単でも、ちょっとした理由で風向きが大きく変わることもあるようですし、私が手掛けているような仕事とは別の形で、日々新たな課題と向き合っておられるお仕事なのかな、と想像します。

「自分をプロだと思ったとき、そこに大きな陥穽がある」とのお言葉、私も肝に銘じようと思います。
by Mas-Yamazaki (2009-03-22 22:07) 

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