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2010年1月28日 [その他(ウォーゲーム関係)]

前回の更新から一週間経ってしまいました。先週末に「ウィルス性の急性副鼻腔炎」というのに罹り、熱を出してしばらく休んでいたのですが、ここ数日はだいぶ体調も回復したので、今は業務を再開して、文庫本『ポーランド1939』の執筆に取り組んでいます。

静養していた間に、ベッドでいろいろと考えを巡らせるうち、企画中のゲーム『フランス1940(仮)』のシステムに関して、ひとつブレイクスルーがありました。このテーマで最大の難題とも言える「アルデンヌ問題」、つまり史実では完全な奇襲効果を生むことになったものの、ゲームではフランス軍プレイヤーが最初から「アルデンヌの可能性」を熟知しているという問題を、どのように解決するかについて、なかなか良いアイデアが浮かばなかったのですが、「鈴木銀一郎イズム」のアプローチで、ひとつゲーム化する方法を思いつきました。基本システムは、『ベアズ・クロウ』と同じく『モスクワ攻防戦』のバリエーションとしてデザインする予定ですが、もちろんいくつかの重要な変更を適用します。これについては、後日あらためて記事の方でご紹介するつもりです。

ところで、もう既にご覧になった方も多いかと思いますが、田村さんが主宰されているサイト「XoD」で、非常に興味深い記事が公開されています。

A Brief History of Non-PC Wargaming in Japan: 1972-2008

内容は、日本における、ウォーゲーム(紙製シミュレーション・ゲーム)の歴史をまとめた概説史で、模型雑誌『ホビージャパン』に掲載された「アバロンヒル・ゲーム」の広告に、懐かしさを覚えられた方も多いかと思います(紹介されている広告の画像をクリックすると大きくなります)。

私が最初にウォーゲームの存在を知ったのは『ホットドッグ・プレス』という雑誌で、当時はプラモデルも作っていたものの、こづかいの資金的制約から『ホビージャパン』誌は購読していませんでした。しかし、何かのきっかけで同誌を見て「アバロンヒル・ゲーム」の広告を知り、これがあの(『ホットドッグ・プレス』で紹介されていた)ゲームかということで、友人二人と穴が開くほど広告文を読み返して、最初のゲームである『スコード・リーダー(戦闘指揮官)』を購入しました。買ったお店は、はっきりとは覚えていないのですが、梅田のキディランドか、心斎橋の大丸百貨店のどちらかだったと思います。

当時は「ウォーゲーム」でも「シミュレーション・ゲーム」でもなく、社名を冠した「アバロンヒルゲーム」という呼称が用いられていましたが、映画『ナバロンの要塞』を連想させる独特の「語感」も、日本でこのホビーが広まるに際して、多少はプラスに働いたのではないか… などと思うのは、私だけでしょうか。

上記のコンテンツではこのほか、日本に「伝来」した当時、ウォーゲームが日本社会でどのように捉えられていたか(具体的には『朝日新聞』がどう紹介したか)や、エポック『朝鮮戦争』販売中止の背景(「全容は今なお不明」とありますが、判明している範囲でも、けっこう複雑な事情があったのだと今回初めて知りました)、そして衰退と再生までが述べられており、日本におけるこのホビー全体の「簡潔な歴史(A Brief History)」を把握するには最適の記事だと思いました。

この記事の目的は、国際交流を前提とした「日本サイドからの情報発信」かと想像しますが、日本の現役ゲーマーあるいはこのホビーの歴史に軽く関心を抱いた「非ゲーマー」にとっても有益な情報を多く含んでいると思いますので、できれば日本語版もぜひ公開していただきたいと感じました。

追記: 「ウォーゲーム支那語辞典」もなかなか興味深いです。中文ゲームを買った時には参考にさせていただきます。
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コメント 4

田村@せたがや

あ、紹介ありがとうございます。アクセスがぐんぐん伸びています。
元々、アジアのゲーマーと交流してゆく内に、アジアにおけるウォーゲームの先達がどのような道を辿ったのか、伝える必要があると思うようになり、去年の秋頃から資料を集めてコツコツ書き溜めていたのですが、去年台湾で発足した福爾摩莎戰棋社が、以前ここで山崎さんも紹介されていた知兵堂出版社と共同でゲーム付き季刊誌「戰棋」を創刊するということで、それに合わせて前倒しで公開することにしました。
実は、福爾摩莎戰棋社代表の鄭偉成氏がこれを夜中に読んだ後、一気に北京語に訳して、それをネットで公開させて欲しいと訳文のPDF付きでメールしてきたのですが、まだバンダイやアドテク、EWEなどの紹介が抜けているので、ちょっと待ってもらっている状態です。今後もどんどん加筆してゆく予定です。日本語訳は、、、うーん、結構ズケズケ書いてしまっているので、今のところ未定です。
あー、でも、国会図書館でのコピー代だけで5000円以上投入した甲斐があったなぁ。
by 田村@せたがや (2010-01-28 22:57) 

Mas-Yamazaki

田村さま: コメントありがとうございます。バンダイやアドテクノス、エポックのEWEというのは、確かにあった方がいいかもしれません。ただ、あまり要素を入れすぎると、全体として長くなり、ブリーフヒストリーとしては読みづらくなる恐れがあるので、難しいところですね。個別のメーカーごとの小史ページをそれぞれ作って、ハイパーリンクでそこに飛べるようにするというのも一案かと。

『戰棋』には、私も興味があり、和訳付きで販売が始まったら、一冊購入することになると思います。ところで、今年は台湾に行かれるご予定はありますか? いや、特に何か確定した話があるというわけではないですが、台湾、面白そうな場所だな、と思いまして…(笑)。
by Mas-Yamazaki (2010-02-04 20:35) 

田村@せたがや

各メーカーの詳細については、列伝のような形で別記する予定です。
台湾では毎年2月と8月に台北でボードゲームの大型コンベンション「COOL.CON」が開催されるので、それに合わせた台湾取材も予定しています。スケジュールが合えば、中黒編集長も同行する予定です。
http://www.coolbg.org/
ただ、今度のCOOL.CONは3月初頭に開催されるようで、まだ開催日が告知されていません。
by 田村@せたがや (2010-02-08 01:02) 

Mas-Yamazaki

田村さま: コメントありがとうございます。3月は仕事の都合上無理ですが、8月前後なら参加できるかも。以前にブログ記事で書きました台湾のゲーマーも「来るならぜひ連絡してくれ」と言ってくれているので、なるべくゲームのイベントに合う日程で、今年は台湾への探索旅行を計画しようと思います。

『戰棋』はさっそく注文しましたが、値段が…(笑)。こんな商品が大挙して上陸してきたら、シックス・アングルズはさらに苦戦を強いられるかも。速報性重視の週刊誌などはともかく、急がない出版物であれば、印刷を日本でやっている出版社はそのうち淘汰されるかもしれませんね。そういえば、WWWなどイギリス系のウォーゲーム出版社は昔、印刷を香港でやっていた記憶が。
by Mas-Yamazaki (2010-02-10 17:42) 

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