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2010年4月29日 [その他(戦史研究関係)]

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更新が遅れましたが、今週は月曜から水曜まで、出張で東京と横浜に滞在して、いろいろな方とお会いし、充実した時間を過ごしました。

月曜の26日は、夕方から学研さんにうかがい、私の次の著書やムックの『太平洋戦争』シリーズ、『歴史群像』誌の打ち合わせをした後、歴史群像統括編集長の新井邦弘さん、フリーの編集者で『軍事研究』などにも時おり寄稿されている樋口隆晴さん、そしておなじみの瀬戸利春さんと呑み会でした。三重県の田舎で仕事をしていると、喧騒とは無縁に粛々と進行できる半面、仕事の内容や方法論などについて突っ込んだ議論をする相手がいないので、年数回の上京時はそういった刺激を得られる、貴重な機会です。私の次の著書(たぶん11月頃発売)は、文庫ではなくハードカバーになりそうです(テーマは後日発表します)。

火曜の27日は、『Panzer』誌や『』誌などで活躍されている坂本雅之さんとお会いし、渋谷のBunkamuraで開催中の「美しき挑発 レンピッカ展」を一緒に鑑賞した後、アイリッシュ・バーで昼食を食べながら、いろいろお話しました。レンピッカ展は、いい意味で期待を大きく裏切られた内容で、出口の直前からまた最初に戻って、2回も観てしまいました。

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画像はBunkamura ザ・ミュージアムの公式サイトより。

鮮烈なタッチの女性の絵画で知られるレンピッカは、一般には「アールデコのシンボル的存在」という派手なイメージがあり、実際パリの社交界に華々しく出入りしていた頃の作品は、皮膚も髪の毛もすべて艶やかなシルクのような質感で描かれていますが、実は絵画の技法研究にも熱心で、決して虚飾の画家ではなく、非常に真面目な勉強家という一面もあったようです。赤やグリーンなどの彩度の高い色を使っていても、色数を極力抑えていることもあって、全体的に下品な配色にならず、しっとり落ち着いた印象に仕上がっています。

また、第二次大戦の勃発に際しては、生まれ故郷のポーランド(ワルシャワに住む貴族の家庭に生まれ、サンクトペテルブルクで絵画を学んだ後、ロシア革命時にフランスへ亡命)がドイツに侵略併合された事実にも心を痛めていたのか、1940年頃の作品とされる「逃亡」は、幼子を連れて流浪する若い母親の悲哀を、彼女ならではの手法で生々しく描き切っているように感じました。女優にもなれそうな美貌に恵まれたレンピッカの、凝ったポートレート写真や優美に煙草をふかす記録映像なども数点展示されていますが、筋骨隆々になる前のマリア・シャラポワ様にも通じる、凛とした美しさ、カッコよさがあります。

その後、先日の記事で少し触れました、大西將美さんのお宅にお邪魔し、いろいろと興味深いお話をうかがったり、制作中の原画(クライアントさんから「外部の人間に見せても構わない」という許可が下りているもの)を拝見するという、得がたい経験をさせていただきました。大西さんは、タミヤ模型をはじめとするプラモデルのパッケージ・アートが有名ですが、他にもイッセイ・ミヤケの広告および店内ディスプレイや、松任谷由美のミュージカル公演のポスターなど、幅広い領域でご活躍されており、卓越した筆力、色彩感覚、表現力などに改めて敬服しました。拝見した原画は、某新興プラモデル・メーカーのパッケージに使われるもので、南方の海岸にたたずむ某日本海軍機と数人の日本海軍軍人がモチーフですが、他のファイン・アートと同様、こういったミリタリー・アートも原画と印刷物では色彩の持つパワーが全然違うので、いつか「原画展」をどこかで開催されたら、と思わずにはいられませんでした。

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画像は三菱一号館美術館の公式サイトより。

水曜の28日は、午前中に三菱一号館美術館で開催中の「マネとモダンパリ展」を鑑賞した後、横浜に移動して、こちらも多方面で幅広くご活躍中の堀場亙さん、そして樋口さん(再び)とお会いし、夕方の新幹線の時間まで、時間を忘れて歓談しました。それぞれ異なったスタイルとアプローチで、戦史や軍事関連の原稿を書く仕事をしていますが、3人とも同い年ということで、話題はむしろ少年時代や学生時代の経験、大人になってからの苦労話などがメインとなり、共通する部分や全然違う部分などが、なるほどと思える形で入り混じっているのが面白かったです。

貴重な時間を割いて、私と過ごしてくださった皆様方、どうもありがとうございました。おかげさまで、新たな仕事に取り組むエネルギーを充電できました。

5月は、シックス・アングルズ別冊第7号『ウエストウォール』の制作と、歴史群像誌の原稿「アパルトヘイト」執筆に没頭します。近々、『ウエストウォール』の地図の見本画像などもご紹介できるかと思いますので、興味のある方はぜひご期待ください。

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坂本さんと高平鳴海さんの共著『図解 軍艦』。

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堀場さんとたちばないさぎさん(奥様)の共著『ひなたの風景』。
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