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2010年8月9日 [その他(ウォーゲーム関係)]

今日は、(おそらく)紙製シミュレーション・ゲーマーではない人が書かれた、非常に興味深い「ゲーム的視点による歴史解釈」についての話題です。

先日の記事でご紹介しました「たぬきちの『リストラなう』日記」の筆者である「たぬきち」氏は、現在これとは別に「たぬきちの野良犬ダイアリー」というブログを運営されているのですが、そちらでつい最近「忠臣蔵と新選組」という記事を書かれていました。

http://d.hatena.ne.jp/tanu_ki+2/20100804/1280890443

この記事は、野口武彦氏の著書『新選組の遠景』(集英社 2004)と『忠臣蔵──赤穂事件・史実の肉声』(ちくま新書 1994)の書評および読後感という内容なのですが、「新選組と忠臣蔵の違い」をゲームのルールに喩えて論じておられる箇所は、ゲーマーおよびゲーム・デザイナーとして「なるほど、そういう視点もあったか」と、強い印象を受けました。

「たぬきち」氏に敬意を払いつつ、(紙製シミュレーション・)ゲーマーの興味を惹きそうな点を、少しだけ引用させていただくと…

思うに、赤穂浪士が闘ったゲームは、ルールが不変だった。

対する新選組が戦ったゲームとはどういうものだったか。彼らの最終的な目標とは何か。これがよくわからない。

そして新選組が赤穂浪士ともっとも違っていたのは、新選組がやっていたゲームはルールがどんどん変わっていったのである。これが最大の敗因だったといえよう。


詳細は、上のリンクから記事本文を読んでいただければと思います。2番目の文は「勝利条件」の話題ですね。

記事の最後で「我々もまた、ルールが刻一刻と変わるゲームをプレイしている」といった記述があり、これは深くうなずける点でした。歴史上の著名人に自分をなぞらえる気などさらさら無いですが、10年後、20年後の日本がどんな社会になっているのか、出版業界の「ルール」がどう変わっているか、まったく予想できないというのは、面白くもある反面、不安と緊張をはらむ厳しい現実ではありますね。



NHKの『龍馬伝』は、志と志が正面からぶつかり合う群像劇から、どちらかといえば利害損得で物事が動く「政局」的な流れに移行して、個々のキャラクターへの感情移入がしづらくなり、脚本も少し中だるみのような印象を受けることもあります(岩崎弥太郎のバラエティ番組風の「ノリツッコミ」は正直興ざめ)が、新撰組の近藤勇を演じている原田泰造は、なかなか上手いキャスティングのような気がします。

あの「武人ヅラ」というのでしょうか、鋭い目と無骨な顔のつくりも、写真で見る近藤さんの雰囲気と非常に近い気がしました(昨日の放送で、目覚めてお椀の水を飲み干した瞬間の顔など)。キャシャーンの高杉晋作は、賛否両論あるかもしれませんが、私はけっこう気に入っています。
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コメント 4

エルンスト・チョ無料テスキー

こんにちは。

いつも思いつきの放談ですので気の利いた
コメントをお返ししようと思ってもかしこまってしまい全然ですw

前回思いついたのは↓とでもいえばよいのでしょうか。
個人:金の成る木としての『電子書籍』などの諸サービス。
国益:それらを統べる『決済(ID管理!)システム』の森。

最近よく脱工業化社会の延長線で、産業構造の比較で、トヨタ・Google・Appleなどの時価総額をくらべている議論を見かけます。

工業製品の『普遍化』…世界中のどこででも安くて良いもの大量生産。
情報産業の『一元化』…Windows・Google・Amazon。

日本は、いわば、鋼鉄と情報の嵐の中で到達した敗北の果ての極地にいる訳です。

しかし、この魔術的ゼロ地点を突破したその先に『在る』ものこそは、
見えざる力の源泉、『ものづくり』や『検索・比較キーワード』など
旧来の基準で測りえない、それ自体が新たな尺度となるもの、
『ロゴス(総合知識コンテンツ)』なのではないでしょうか。

 未来の子供たちは、それを『琥珀色のノート』と呼ぶことでしょう。。。

そして、それを最初に手にするものこそは、我々、
21世紀の新日本人であることを、私は、今、確信しているのです。


by エルンスト・チョ無料テスキー (2010-08-10 21:23) 

TsuMo

リンク先の記事読みました。ゲーマー目線で見ると納得のいく論点がたくさんあって面白かったです。最初にパーフェクトの完勝してしまったのが後に弱点になったとか他にも歴史上の実例がありそうですね。
by TsuMo (2010-08-11 00:16) 

エルンスト・チョ無料テスキー

微修正です(なんか痛いですけどw)。

×:情報産業の『一元化』…Windows・Google・Amazon。
○:情報産業の『一極化』…Windows⇒Google⇒Amazon(クラウド)。

×:未来の子供たちは、それを『琥珀色のノート』と呼ぶことでしょう。。。
○:20年後、子供たちはそれを『琥珀色のノート』と呼ぶことでしょう。。。


by エルンスト・チョ無料テスキー (2010-08-11 03:30) 

Mas-Yamazaki

エルンスト・チョ無料テスキーさま、TsuMoさま: コメントありがとうございます。ご指摘のとおり、日本が1970年代から1990年代まで、経済的に躍進していた時の「ゲームのルール」と、今の経済で勝敗を左右する「ゲームのルール」は、明らかに違っていると私も思います。そして、古いルールで大きな成功を獲得した企業や産業ほど、手持ちの「資産(だったもの)」に未練が残り、新しいルールに適合しづらいというのも、歴史上繰り返されたことである気がします。

しかし、今の日本の学校で教えている「ゲームのルール」は、どちらなんでしょうね。「新卒者の就職内定率云々」が大きな問題になっているという報道を見ると、今でも「古いルール」を教えているようにしか見えませんが…。もっとも、ネットで新しい情報に接している若者は、学校で教えられなくても、「新しいゲームのルール」を感覚的に吸収しているのかもしれません。
by Mas-Yamazaki (2010-08-14 00:14) 

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