2016年7月7日 [隠(なばり)ゲームクラブ]
いつものように、まずは告知から。現在発売中の週刊誌『サンデー毎日』に、ジャーナリストの青木理さんと私の「日本会議」に関する対談記事が掲載されています。
雑誌の記事ではありますが、なんと毎日新聞のサイトで、対談記事の全文が無料で読めるようになっています。
日本会議 正体を暴く! 日本会議は何をやろうとしているのか? 青木理×山崎雅弘
かなり踏み込んで発言していますので、日本会議問題に関心がある人は、ぜひご一読を。そして、日曜の参議院選挙での投票先を決める参考にもしてください。
この対談は、青木さんの新著『日本会議の正体』(平凡社新書)が7月11日に、私の新著『日本会議 戦前回帰への情念』が7月15日に、それぞれ発売されるのを前に企画していただいたもので、日本会議とそれが政権と結びつくことの政治的・社会的・歴史的な意味について意見を交換しました。
青木さんはジャーナリスト、私は在野の戦史・紛争史研究家ということで、同じテーマを扱っても、光を当てる角度や重点配分のバランスは当然異なります。青木さんの新書をPDFで一足先に読ませていただきましたが、部分の解釈や重要度の認識には多少の差はあれど、私の本と相互補完的に読むのに最適な内容だと思いました。
青木さんは、日本会議に関わるさまざまな立場の人(同国会議員懇談会の議員も含む)に取材され、特定の狭い人脈に偏ることなくバランスよく全体をカバーされています。特定の狭い人脈の人間とだけ会い、その狭い人脈が全体を支配している等の、ある種陰謀論的なストーリーに囚われる陥穽には落ちていません。
青木さんとの対談でも述べましたが、私の関心は日本会議という組織そのものよりも、それが引き起こす政治的・社会的影響の方に強く向いています。もう一つ、これも対談で述べたことですが、私の言う「戦前回帰」とは、社会を規定する様々な価値観や認識、例えば国家と国民の関係や人権の重さ・軽さ、国民の自由を制限する理由付けなどの核心的部分が「戦前のそれに戻る現象」であり、1から100まで何もかも戦前と同じという皮相的な主張ではありません。
7月15日に発売される私の『日本会議 戦前回帰への情念』の見本は、既に私の手元に届いていますが、本の目次が、アマゾンの商品説明に追加されています。帯の推薦文は、内田樹さんと島薗進さんに書いていただきました。まずは冒頭の「『花燃ゆ』と日本会議の副会長」の話を、ぜひ書店で読んでみてください。
『日本会議 戦前回帰への情念』
それから、いつも寄稿している雑誌『歴史群像』(学研)も最新号(8月号)が発売されました。今回の私の担当記事は「ロシア内戦」で、1917年のロシア革命に始まる赤軍対白軍の国内戦が、連合国によるロシア干渉戦争(日本軍のシベリア出兵も含む)へと至る多層構造の複雑な戦いをわかりやすく解説しています。GMT社の『レッズ!』など、ロシア内戦のシミュレーション・ゲームをプレイする際の参考にもしていただければ幸いです。
さて、6月26日の日曜日、友人二人が家に来られ、久々に自宅で「隠(なばり)ゲームクラブ」を開催しました。プレイしたゲームは、ポーランド製のボードゲーム『コレイカ(行列)』と、GMT社のシミュレーション・ゲーム『スペイン内戦』の二つでした。
一個目の『コレイカ』は、前に紹介したポーランドの社会派ゲームで、友人の一人がロシア語に堪能なソ連帰りということで、ロシア語版コンポーネントで対戦しました。
日用品店で買えるはずの、トイレットペーパーが品薄で困ります。
ボードゲーム『コレイカ』は、旧東側社会を舞台に、プレイヤーの分身をお店の前で行列に並ばせて、衣料品や食料品、電化製品などの品々を手に入れる内容ですが、商品の内容も旧ソ連感満点です。
食料品店の前には長蛇の列ができていますが、商品の配送車が来ない。
二個目は、先日バルセロナで会ったスペイン人デザイナー、ハビエル・ロメロ氏の手になるGMT社の『スペイン内戦』。これは発売日未定ですが、シックス・アングルズ別冊として日本版を刊行する予定の作品です。軍事面だけでなく、共和国軍側の党派的・地域的な不協和音など、同内戦特有の複雑な様相を、プレイすることで俯瞰できる秀作だと再認識しました。
今週末は、参議院議員選挙の投票日です。今回の選挙は、結果次第では憲法の変更に道が開かれるという、戦後初めての重要性を持つ総選挙です。言い換えれば、今を生きる我々だけでなく、あとの世代の生活にも大きな影響を及ぼすかもしれない、日本の近現代史の重要な分岐点です。
投票先の候補者や政党は自由ですが、自分のためだけでなく、あとの世代のためにも、投票には行くようにしましょう。
雑誌の記事ではありますが、なんと毎日新聞のサイトで、対談記事の全文が無料で読めるようになっています。
日本会議 正体を暴く! 日本会議は何をやろうとしているのか? 青木理×山崎雅弘
かなり踏み込んで発言していますので、日本会議問題に関心がある人は、ぜひご一読を。そして、日曜の参議院選挙での投票先を決める参考にもしてください。
この対談は、青木さんの新著『日本会議の正体』(平凡社新書)が7月11日に、私の新著『日本会議 戦前回帰への情念』が7月15日に、それぞれ発売されるのを前に企画していただいたもので、日本会議とそれが政権と結びつくことの政治的・社会的・歴史的な意味について意見を交換しました。
青木さんはジャーナリスト、私は在野の戦史・紛争史研究家ということで、同じテーマを扱っても、光を当てる角度や重点配分のバランスは当然異なります。青木さんの新書をPDFで一足先に読ませていただきましたが、部分の解釈や重要度の認識には多少の差はあれど、私の本と相互補完的に読むのに最適な内容だと思いました。
青木さんは、日本会議に関わるさまざまな立場の人(同国会議員懇談会の議員も含む)に取材され、特定の狭い人脈に偏ることなくバランスよく全体をカバーされています。特定の狭い人脈の人間とだけ会い、その狭い人脈が全体を支配している等の、ある種陰謀論的なストーリーに囚われる陥穽には落ちていません。
青木さんとの対談でも述べましたが、私の関心は日本会議という組織そのものよりも、それが引き起こす政治的・社会的影響の方に強く向いています。もう一つ、これも対談で述べたことですが、私の言う「戦前回帰」とは、社会を規定する様々な価値観や認識、例えば国家と国民の関係や人権の重さ・軽さ、国民の自由を制限する理由付けなどの核心的部分が「戦前のそれに戻る現象」であり、1から100まで何もかも戦前と同じという皮相的な主張ではありません。
7月15日に発売される私の『日本会議 戦前回帰への情念』の見本は、既に私の手元に届いていますが、本の目次が、アマゾンの商品説明に追加されています。帯の推薦文は、内田樹さんと島薗進さんに書いていただきました。まずは冒頭の「『花燃ゆ』と日本会議の副会長」の話を、ぜひ書店で読んでみてください。
『日本会議 戦前回帰への情念』
それから、いつも寄稿している雑誌『歴史群像』(学研)も最新号(8月号)が発売されました。今回の私の担当記事は「ロシア内戦」で、1917年のロシア革命に始まる赤軍対白軍の国内戦が、連合国によるロシア干渉戦争(日本軍のシベリア出兵も含む)へと至る多層構造の複雑な戦いをわかりやすく解説しています。GMT社の『レッズ!』など、ロシア内戦のシミュレーション・ゲームをプレイする際の参考にもしていただければ幸いです。
さて、6月26日の日曜日、友人二人が家に来られ、久々に自宅で「隠(なばり)ゲームクラブ」を開催しました。プレイしたゲームは、ポーランド製のボードゲーム『コレイカ(行列)』と、GMT社のシミュレーション・ゲーム『スペイン内戦』の二つでした。
一個目の『コレイカ』は、前に紹介したポーランドの社会派ゲームで、友人の一人がロシア語に堪能なソ連帰りということで、ロシア語版コンポーネントで対戦しました。
日用品店で買えるはずの、トイレットペーパーが品薄で困ります。
ボードゲーム『コレイカ』は、旧東側社会を舞台に、プレイヤーの分身をお店の前で行列に並ばせて、衣料品や食料品、電化製品などの品々を手に入れる内容ですが、商品の内容も旧ソ連感満点です。
食料品店の前には長蛇の列ができていますが、商品の配送車が来ない。
二個目は、先日バルセロナで会ったスペイン人デザイナー、ハビエル・ロメロ氏の手になるGMT社の『スペイン内戦』。これは発売日未定ですが、シックス・アングルズ別冊として日本版を刊行する予定の作品です。軍事面だけでなく、共和国軍側の党派的・地域的な不協和音など、同内戦特有の複雑な様相を、プレイすることで俯瞰できる秀作だと再認識しました。
今週末は、参議院議員選挙の投票日です。今回の選挙は、結果次第では憲法の変更に道が開かれるという、戦後初めての重要性を持つ総選挙です。言い換えれば、今を生きる我々だけでなく、あとの世代の生活にも大きな影響を及ぼすかもしれない、日本の近現代史の重要な分岐点です。
投票先の候補者や政党は自由ですが、自分のためだけでなく、あとの世代のためにも、投票には行くようにしましょう。
2016-07-07 22:38
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コメント(2)
山崎さん
いいですね~、ロメロのスペイン内戦。シックスアングルズでの再版期待しています。
佐藤
by Sato_Pum (2016-08-21 13:52)
佐藤さま:おひさしぶりです。ようやく正式な契約にこぎつけました。また石田さんも交えて、西大寺あたりで飲みましょう。
by Mas-Yamazaki (2016-11-03 01:58)