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2006年12月11日 [戦略級 日露戦争]

今日は「戦略級 日露戦争」の商船隊ユニットについての話です。

過去の記事でも触れましたが、このゲームの日本陸軍は商船隊の存在なく
しては何の活動も行うことができません。本土から大陸へと移動するには
商船隊ユニットに運んでもらわないといけませんし、沿岸ヘクスに限定補給
源(商戦隊ユニットの裏面)がなければ、補給を受けられずに全滅します。

ゲーム開始時には、日本軍の商船隊は7個与えられていますが、ゲーム
の途中で初めて東支鉄道を分断したり、ソウル、遼陽、旅順、奉天の各
都市を占領した時に、新たな商船隊を1個、ゲームに登場させることが
できます。この「海外での戦費調達」というルール(18.3項)は、日露戦争
に詳しい方ならご存知のように、高橋是清によるロンドンでの日本公債
売却による戦費調達を表しています。極東からの「日本軍戦勝」の報道
がヨーロッパに伝わるたびに、日本公債への応募が殺到し、当座の戦費
を賄う資金を捻出することができました。こういった戦略レベルの史実が
きちんと再現されているあたりも、私がこのゲームを気に入っている理由
のひとつです。なお、ウラジオストクの陥落はこの戦費調達ルールには
何の影響もありませんが(実際のところ、日本軍がウラジオストクを占領
するというのは独ソ戦でドイツ軍がゴーリキーを占領するくらいに難しいと
思います)、一応日本版改訂ルールではフォローしておくつもりです。

追伸: KY様、ノルウェーとデンマークの資料、確かに拝受いたしました。
  関連の原稿を執筆する際に活用させていただきます。貴重な資料を
  お譲りいただき、ありがとうございました。


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コメント 2

QUIET

山崎様
『日露戦争』(CMJ40/エポック)は好きです。不満点として騎兵の過度の評価(やりすぎの戦闘後前進ルール)と38サンチ砲の非現実的柔軟性(野戦に自在に活用可能)がありますが、日露戦争キャンペーンで他に代わるべきものがないことと競技性が優れていることで可としていました。CMJ55『日露大戦争』は期待が大きかっただけに失望しました。プレイし易さ、競技面での楽しさで『日露戦争』に軍配を上げました。
そこで『戦略級 日露戦争』に新たな期待をかけています。特に戦場からの勝報が軍事資金に影響するのはこの時の戦いをシミュレートするには欠かせない要素だと考えていましたので、それが含まれていると知り、喜んでいます。完成を待ち望んでおります。
by QUIET (2006-12-15 12:23) 

Mas-Yamazaki

QUIET様: コメントありがとうございます。エポックの「日露戦争」は、私も何度かプレイしたことがありますが、ご指摘のとおり競技性重視のディヴェロップ(これは当時のレック作品に共通する「長所」ですね)により、完成度の高い作戦級ゲームに仕上がっていたと思います。ただ、このゲームだけでは史実の日露戦争「全体」(つまり戦略レベルでの諸問題)を理解することはできないので、その「欠けている部分」をカバーしているゲームということで、「戦略級 日露戦争」の再販を決断しました。明石大佐の革命煽動工作など、「戦略級 日露戦争」の標準ルールにも含まれていない要素はまだ残っています(なんとか日本版選択ルールで入れたいところですが、これが意外と難しい)が、それでも私は「日本の市場で出す価値のあるゲーム」だと考えています。

どんなトピックでもそうですが、1つのゲームを仕上げるには「重視する部分」と「捨てる部分」をどうしても選択せざるを得ず、あるゲームで泣く泣く割愛した要素を、別のゲームが補って、ホビー全体として「相互補完」の関係を形成するというのが、一番合理的ではないかと私は思います。全てを1個のゲームに含めようとした「モンスター・ゲーム」は、結局プレイにかかる物理的・精神的負担が大きいという理由で「虻蜂取らず」になる結果も少なくないようですから。
by Mas-Yamazaki (2006-12-18 14:20) 

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