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2007年3月17日 [その他(ウォーゲーム関係)]

今日は、2月22日の記事に対するコメントへの返答という形で
いろいろ考えていることを書こうと思います。

  >> 東部戦線ゲームですが、旧HJの凍結戦線再版の話はどうなった
  >> のでしょうか? 諸般の事情によりお蔵入り、あるいは無期限延期
  >> ですか?
  >> もし、そうなら1942年のソ連軍冬季反攻シリーズのゲームパックと
  >> して別に作り直すというのはいかがでしょうか? 冬季というだけが
  >> 共通ですがウェリキエ・ルーキも他にゲームが少ない(2個だけ)の
  >> でいいのではないでしょうか。
  >> by 佐藤(Pum) (2007-02-23 01:01)

凍結戦線ですが、今のところは「無期延期」という状態です(以前にどこか
で告知したと思っていたのですが、探したところ見つかりませんでした)。
デミヤンスク包囲戦をオーソドックスな視点から再現した真面目な作戦級
ゲームで、ルールの難易度やコンポーネントも手ごろなので、北半分を
追加デザインして出そうというのが最初の構想でした。しかし、テーマ的に
マイナーすぎるためか、このゲームに対するメールなどの反響はほとんど
なく、またゲーム展開も史実に即した形でパターン化していて、両軍とも
作戦の幅がかなり限られているので、東部戦線マニア以外にはアピール
しないのではないかという印象が強まってしまいました。シックス・アングル
ズの出版は、ある程度は自分の好きなようにやっている部分もありますが、
単に出したいゲームを出しているわけではなく、一定のニーズが見込まれる
ゲーム(知名度が低くても、出せばきっと認められるだろうと判断したゲーム
も含みます)だけを、最大限に磨き上げた状態で出すという方針で「事業」と
して進めています。なので、あまりにマニアックなゲームというのは、個人
出版では(リスクが大きすぎて)手を出せないというのが本当のところです。

ただ、このゲームの発売を完全にあきらめたわけではなく、もう少し作戦的
な幅を持たせることができれば、戦史マニア以外の普通の作戦級ゲーマー
にも喜んでもらえるゲームになるのでは、と考えています。具体的には、北
のレニングラード方面へ地図を拡張するのではなく、南のトロペツ=ルジェフ
=ヴェリキエ・ルキ方面へと拡張して、ソ連軍の冬季反攻をより広い範囲で
扱うゲームにするというアイデアを構想中です。「凍結戦線」では、ゲーム
序盤に多くのユニットを地図南端から番外へ脱出させなくてはならないという
ルールがあり、多くの人には意味不明なため、単にソ連軍プレイヤーにスト
レスを感じさせるルールとなっていますが、これらのユニットはトロペツから
ヴェリキエ・ルキ方面へと向かっており、もしこの攻勢が成功したなら、ドイツ
軍の北方軍集団と中央軍集団の間隙部に大きな穴が開いて、モスクワ正面
での反攻がより成果を挙げていた可能性もあります。史実では、補給物資の
不足から、ヴェリキエ・ルキ方面へのソ連軍の反攻は成功しませんでしたが、
より広い範囲で両軍が兵力配分を考えることのできる初期配置にすれば、
デミヤンスクとヴェリキエ・ルキ、そしてルジェフの戦いすべてを1つのゲーム
に収めて、しかも緊迫した内容のゲームになるのではないかと思います。

いずれにせよ、「凍結戦線」についてはどのような形で出すのがベストか、
現段階では「熟成中」なので、気長に見守っていただければと思います。

  >> ところで、SPIコブラが出た後のレトロスペクティブシリーズの予定は、
  >> 何かあるんですか? 再版ものもいいですが、もし良いゲームがない
  >> のなら、無理に出す必要もないのでは? 良いゲームをひととおり
  >> 出し尽くして、出すものがなくなったからといって、足切りラインを下げ
  >> て、苦肉の策でB級やC級ゲームを出すというのでは、いつぞやの
  >> ゲーム業界がたどった道を繰り返すことになるのでは、と危惧します。
  >> 最近、業界全体がそっち寄りになりつつある気がしますが。
  >> by 一ゲーマ (2007-02-23 14:03)

現在進行中の「ウォーゲーム・レトロスペクティブ」シリーズは、今年9月に
発売予定の「激闘ノルマンディ(SPI”COBRA”)」でいったん終了となります。
以後の(つまり第7弾以降の)ゲームについては、現段階ではまったく白紙
の状態です。海外の新旧のゲームの中で、これは出す価値があると判断
できる作品(上に述べた業界のニーズという要素も含めて)が見つかれば、
個別に検討した上で「ウォーゲーム・レトロスペクティブ」シリーズの続編とし
て出すこともあり得ますが、無理に何かを出すという出版方針はありません。
私も1980年代からゲーム業界に関わっている人間で、当時の業界が犯した
戦略ミスを繰り返さないよう、肝に銘じて仕事に取り組んでいます。いずれ
にしろ、シックス・アングルズ製品はオリジナルも復刻再版ものも「絶対に
粗製濫造はしない」方針を貫いていきますので、その点はご安心いただけ
ればと思います。

  >> 以前にブログで書かれていたバルジの広域ゲームをぜひ完成させて
  >> 欲しいです。1944年12月のルクセンブルク~オランダをマップに入れ
  >> て、終戦までできるゲームというのはどうでしょう。ラインの守りをどの
  >> くらいの規模で、どの方面に向けてやるかで、西部戦線の終章が変わ
  >> るゲームはきっと面白い!お願いします。(マーケットガーデン辺りか
  >> らのミニシナリオもあっていいかも)
  >> by もんてぃ (2007-02-23 19:32)

バルジ、というか1944年12月の西部戦線ゲームは、以前に告知した後も、
頭の中の引き出しに「寝かせて」熟成させている段階です。ドイツ軍は限られ
た補給物資、連合軍は油断による兵力配置の不備という弱点があるので、
アントワープに行くというギャンブルは別として、作戦的状況としては非常に
興味深いものがあります。このゲームに関しても、アイデアのブレークスルー
があれば「モスクワ攻防戦」のように具体的な形になると思いますので、気長
に見守っていただければと思います。

  >> イタリア戦線のキャンペーンゲームが手に入らないので、再販でも、
  >> オリジナルでも、是非とも欲しい所です。ANZIO(スペルあってます
  >> か?)のようなゲームが日本にはなくて。って、みなさん、いろいろと
  >> 欲しいものがあるようで、言ったらきりがなくなりそうですね。もちろん、
  >> 上のコメントの皆さんのおっしゃるゲームも欲しい!!
  >> バグラチオン作戦には大いに興味があります。こちらは是非とも!
  >> って、なんだか全部ですね(笑)
  >> 独ソ戦史は速攻で購入させて頂きます。
  >> by どーちぇ (2007-02-23 21:06)

イタリア戦線の作戦級ゲームというのは、テーマとしては地味ではありますが、
フランス方面よりも地形が険しく、機動戦に適さないというのが一因かもしれ
ません。アバロン・ヒル社の「アンツィオ」は、確かによくできたゲームでした
ね。ただ、シックス・アングルズで出すとなると、上の「凍結戦線」の場合と
同様、訴求力という点でやや二の足を踏まざるを得ないというのが実情です。
そのうち、イタリア戦線でゲームになりそうな戦いがないか調べてみます。

  >> 新作の話題も興味ありますが、私はまず次の「モスクワ攻防戦」に期待
  >> してます。東部戦線のクワドリだと、戦争初期の戦いに興味をひかれ
  >> ますが、1942年のボロネシとかはいかがでしょうか。パウル・カレル
  >> を読むと、なかなか拮抗した戦いみたいですが。
  >> by ニノ (2007-02-23 23:32)

1942年のヴォロネジというのは、なかなか良いアイデアですね。さっそく検討
してみます。「モスクワ攻防戦」は、必ずや面白いゲームに仕上げますので、
期待していてください。

  >> 東部戦線のシンプルな作戦級セットいいですね。特に戦争初期セット
  >> は楽しみです。私の追加希望はレニングラード方面(41年8~9月の
  >> 市街到達あたり)とスターリングラード方面(42年7月~8月の市街到達
  >> あたり)です。後者はパウルスの時にオミットされた題材ですし、この
  >> 機会に復活されてはいかが。
  >> by 東部登場戦 (2007-02-24 22:59)

レニングラード方面に関しては、クォードリとは別に、単体のゲームとして
1941年7月初め~9月中旬でデザインする予定です(基本システムもなるべく
同じか、近い感じにしたいところ)。1942年7月~8月のスターリングラードへ
の進撃は、非常に良い案ですね。第2次ハリコフ会戦は、戦争前期セットから
外して、ハリコフ、ヴォロネジ、スターリングラードへの進撃ともう1つで「戦争
中期セット」に組むのがいいかもしれません。まぁ、あまり考えを広げすぎると
個々のデザインが散漫な感じになる恐れがあるので、とりあえずは「モスクワ
攻防戦」のテストとディヴェロップに重点を置きつつ、まずは「戦争前期セット」
のデザイン作業を進めていきたいと思います。


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コメント 6

どーちぇ

お返事ありがとうございます。
確かに、マイナーで売れ線ではないと思います(笑)
コブラや東部戦線モノだけでも、十分すぎるほど納得しておりますので、なが~い目で待っております。それにしても、将来のいろいろな夢?と言うか楽しみができて本当に待ち遠しいです。

さて、サンセットゲームのサイトでは、クルスクがもうすぐ売り切れと書いてあったのですが、本当でしょうか?本当なら慌てて購入しないと…(;^_^A
by どーちぇ (2007-03-18 00:47) 

山下 純

 はじめまして。凍結戦線の山下です。諸般の事情(本当にいろいろあったんです)から、ゲームの世界から姿を消してから20年もたつのですね。
 さて、凍結戦線の北半分(ウォルホフ方面)ですが、当時すでに完成していたのですが、 ①テストプレイが不十分だった ②地図がタクテクス誌に入る大きさより若干大きかった ③南半分(デミヤンスク方面)との連結プレイが未完だった 等々の理由で出版に至りませんでした。
 そのころ私はもう2つ、クリミヤ戦(セバストポリ周辺の市街戦マップ付き)とオデッサ包囲戦(と言うよりロシア版ダンケルクですな)を作ったりしておりましたので、時間的にも無理があったようです。
 同じスケールのマップで東部戦線作戦級のゲームを出し続け、いつかは全域をカバーするというヨーロピアン・シリーズのようなことを考えていました。ご指摘と通り、凍結戦線は自由度の低いゲームで、それはそのように作ったからなのですが、今わたしがゲームをするのであれば、いろんな作戦をとれるゲームをするでしょうね。そのためには、ゲーム化する戦役をもっと考えなければならなかったのでしょう。
 凍結戦線完成を待たれていた方にはご迷惑をおかけいたしました。
by 山下 純 (2007-03-19 03:42) 

Mas-Yamazaki

どーちぇ様: コメントありがとうございます。「クルスク大戦車戦」の在庫は、すでにカウントダウンに入っていますので、近いうちに売り切れとなります(私の手元の在庫もわずかです)。ゲームの方は、気長にコツコツと作っていきますので、ぜひ見守ってください。
by Mas-Yamazaki (2007-03-21 19:37) 

Mas-Yamazaki

山下様: コメントありがとうございます。「凍結戦線」の復刻再版については、記事の冒頭でも書きましたが、まだあきらめてはおりませんよ(笑)。シックス・アングルズ製品として「凍結戦線」を出版するチャンスは(他の復刻アイテムと同様)一度きりだと思いますので、どうすればゲームの良さが最大限にユーザーへと伝わる形にできるか、というベストの商品体裁をいまだ模索中というところです。トロペツ=ルジェフ=ヴェリキエ・ルキ方面への拡張というのは、自分では良いアイデアだと思っているのですが、山下さんはどのようにお考えでしょうか? どうせなら、山下さんにとっても満足のいく形で出版できればと考えていますので、アドバイス等をいただけると幸いです。

あと、オデッサとクリミアのゲームは、原型はまだお持ちでしょうか? クリミアの方は、私も過去に似たようなゲームをデザインしました(3W”Crimean Shield”)が、「凍結戦線」と同様のオーソドックスな作戦級ゲームでしたら、今でもニーズはあると思いますよ。ぜひ詳しい話をお聞きしたいところです。
by Mas-Yamazaki (2007-03-21 19:47) 

きむ

凍結戦線、もし可能であれば、山崎氏と山下氏の合作でリニューアルしていただきたい、と思います。
by きむ (2007-03-22 15:11) 

Mas-Yamazaki

そうですね。ぜひ山下さんにも新版の製作にご助力をいただければと思います。「凍結戦線」の基本システムは、ルール文量が実質6ページという驚くべき簡潔さでありながら、当時の作戦面の要所を絶妙に押さえてあるので、なるべく手を加えずに、状況設定だけを変更することでゲーム展開の幅を広げられれば理想的かなと思っています。
by Mas-Yamazaki (2007-03-26 22:52) 

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