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2007年4月23日 [その他(ウォーゲーム関係)]

競合他社製品の研究を兼ねてコマンド・マガジン日本版の最新号を読みました。

長らく海外製品のライセンス生産を主軸としてきた同誌ですが、今後は本格的な
内容を備えたオリジナル製品の開発に力を入れるとのこと、国内の一般ゲーマー
にとってはもちろん、我々同業者にとっても歓迎すべき決断だと思いました。
コマンド編集部時代の上司(N氏)が、このところ精力的に新作ゲームをデザイン
されており、そのいずれもが高い評価を受けていることもあって、現在製作中の
「モスクワ攻防戦」もそれらに負けない内容に仕上げようと気持ちを引き締めて
いたところでした。

古角さんもブログで書かれていますが、各社が新作の開発に情熱を注いで、良い
意味で競合するというのが、あらゆる「業界」の本来あるべき姿だと思います。
定期刊行物としてゲーム雑誌を発行していくには、既に完成している海外の傑作
・良作をラインナップに含める必要があることは理解できます。ただ、話題性の
ある海外製品の傑作・良作がほとんど日本版となっている現状では、業界全体が
停滞しつつあるようにも感じられますし、その意味ではコマンド・マガジン日本
版の「オリジナル製品への本格回帰」は停滞を打破するカンフル剤としての効果
も期待できるように思われます。折りしも、サンセット・ゲームズからガダルカ
ナル戦のオリジナルゲームが箱入りで出版される計画が動き出した所ですし、
国内の3社プラス1(1はシックス・アングルズのことです)が、質の高いオリジ
ナル・ゲームで「建設的な競合関係」を築くことができれば、今後の業界をどう
すべきかなどと大上段に構えた議論をしなくても、業界の最低限の健全さは維持
できるのでは、と考えるのですが、いかがでしょうか。この辺りの話題は、週末
のウォーゲーム・ミーティングでも議題になるかと思いますが、とりあえず私は
「モスクワ攻防戦」の完成度を高める作業に全力を尽くします。

あと、私の手元にある「クルスク大戦車戦」の在庫が、いよいよ残り6部となり
ました。問屋ルートでも店頭在庫(お店に並んでいる商品)だけとなっており、
契約上の理由から増刷は一切行いませんので、ご了承ください。「戦略級 日露
戦争」の売れ行きも好調で、いつのまにか「バルジの戦い」と「砂漠のキツネ」
を追い越して、残り在庫は130部ほどになりました。他社製品と比較すると、
シックス・アングルズ製品はやや価格が高めですが、それでも内容を評価して
買って下さる方がまだまだおられるというのは、製作者には励みになります。
今後もベストを尽くして良い製品づくりに努力しますので、よろしくお願いします。


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yoshi

こんばんは。初めてお便りいたします。もともと私「歴史群像」の記事から山崎さんのホームページ知りました。戦史研究が好きでシックスアングルスのレトロシリーズは昔の秀作をさらに分かりやすく、日本人好み?に味付けされとても感銘しています。
オリジナル、レトロ(完成版)の二本だてこれからも楽しみにしております。
by yoshi (2007-04-24 23:17) 

東部戦愛好家

モスクワ戦のテスト、順調のようですね。以前の記事で、ドイツ軍の補給に関する話題がありましたけれど、モスクワ戦でのドイツ軍の補給面での苦労はゲームでどんな風に再現されているんでしょうか。さしつかえなければ教えてください。
by 東部戦愛好家 (2007-04-25 02:28) 

メソうさ

いつも拝見させていただいています。また、シックスアングルスも創刊号から10号、レトロシリーズまで購入させていただいています。今回の記事で価格の事を触れられていますが確かに高いと思いながら、購入しています。(できるだけ安く買えるようプレオーダー中心ですが。)ただ、ひとつ、疑問に思うことがあります。それはOmega GamesのWebSiteでシックスアングルコレクションが$39.95で販売されているということです。日本では7140円なのに海外では英訳付きで5000円程度で買えるというのはどうなのでしょうか。海外への輸送料、英訳でむしろ高くなるというのなら納得もできるのですが。差し支えなければ、教えていただけないでしょうか。
by メソうさ (2007-04-25 16:33) 

Mas-Yamazaki

yoshi様: コメントありがとうございます。歴史群像の記事から私のサイトを知ってくださったとのこと、非常に嬉しく思います。いつか何らかの形で、歴史群像誌上でウォーゲームの記事を書けたら… などと夢想していますが、今はまだ一般読者への最善のアピール方を見出し切れていません。今後も私なりにベストを尽くして頑張りますので、よろしくお願いいたします。
by Mas-Yamazaki (2007-04-26 12:43) 

Mas-Yamazaki

東部戦愛好家様: コメントありがとうございます。モスクワ攻防戦におけるドイツ軍の補給問題については、コメント欄で書くにはもったいないテーマなので、近々記事の方で詳しく紹介しますが、ドイツ軍は限られた補給ユニットを「部隊の維持」と「攻撃支援」の2つの目的に使用しなくてはならず、また後者に使用した補給ユニットは消費されて除去されてしまうため、自軍の攻勢限界の見極めという要素を再現するシステムとなっています。また、雪のターンには無条件で補給ユニット1個が除去されるという厳しいルールもあるので、ドイツ軍はソ連軍だけでなく、天候と補給という2つの大敵とも戦わなくてはならないことになります。この続きは、記事の方で…
by Mas-Yamazaki (2007-04-26 12:50) 

Mas-Yamazaki

メソうさ様: コメントありがとうございます。ご質問にお答えする前に、まず事実関係を説明させていただきます。

他のシックス・アングルズ製品と同じ表紙ロゴを用いているため、権利関係が不明瞭になってしまっていますが、「シックス・アングルズ・コレクション」はゲームと記事の版権をサンセット・ゲームズさんに買っていただいて、サンセット・ゲームズさんが自社商品として出版されたものです。従って、同商品の販売流通に関しては私は一切関知しておらず、アメリカに何部くらい輸出されたかもわかりません。私が個人事業としてのシックス・アングルズ刊行を開始したのは、第8号以降であり、第8号~第10号とレトロスペクティブ・シリーズは、私の方で販売している製品です。ただ、私が卸価格で問屋に販売したゲームが、その後どのような小売店に流通しているのかについては、やはり全てを把握しているわけでなく、海外へ何部渡ったのかも特定はできない状況にあります。

ご指摘の商品についての、日本と海外の販売価格差については、原因は私にもよくわかりませんが、一般論として言えば、卸価格というのは注文部数が大きければ大きいほど、割引率も高くなります。大手量販店が、同じ電器製品を、ふつうの町の電器店よりも安い価格で売ることができるのも、大量購入による割引率の高さが大きな理由です。おそらく、オメガ・ゲームズはサンセット・ゲームズの商品を大量に発注したことで、かなり有利なディスカウントを受けることができ、それで結果的に日本よりも安い価格設定で販売できているのではないでしょうか(これは私の推測です。私と古角さんはプライベートでは親友ですが、個々の問屋や小売店に対する割引率などに関する業務情報は原則として企業秘密で、同業者にも一般顧客にも「口外しない」のが商道徳上の慣わしなので、私が質問しても教えてはくれないはずです)。

あと、為替レートの不均衡という要素もあり、日本の価格では割高となる場合、アメリカで売られている他の商品と比較して販売価格を調整することもあり得ます。日本国内では、市場の混乱を避けるため、シックス・アングルズに限らず他社製品も全て「小売価格」を設定して流通しており、これが現状で特に問題だとは認識していませんが、特定の商品についての海外での販売価格が日本よりも安くなっていたとしても、出版サイドでそれを止める術はありません(アメリカは「市場の混乱回避」よりも「無制限の自由競争」が優先される社会です)。値段が安ければ安いほど良いというのが、消費者サイドの基本的な意識ですから、価格差を見ておかしいと疑問を抱かれるのもごもっともですが、我々が意図してそのような事態を招いているわけではない(むしろ困惑させられることの方が多い)ので、その点はご理解いただければ幸いです。
by Mas-Yamazaki (2007-04-26 13:11) 

メソうさ

山崎様
質問に答えていただきありがとうございます。

今回なぜ、このような質問したかといいますと「他社製品と比較すると、シックス・アングルズ製品はやや価格が高めですが、それでも内容を評価して買って下さる方がまだまだおられるというのは、製作者には励みになります。」と書かれていながら海外では安く販売されているところに違和感を感じたからです。

しかしながら事実関係を教えていただく事で納得することができました。

最初の書き込みでは書きませんでしたがNoble Knight Gamesでもシックス・アングルズ製品を扱われています。Noble Knight Gamesでも、「シックス・アングルズ・コレクション」は$44.95と日本より安いのですがほか製品は日本より高いです。「ハリコフ1941-1943」が$49.95、「ウォー・フォー・ザ・マザーランド」が$84.95というように。

と、するとサンセットゲームスとOmega Games、Noble Knight Gamesの間の取引に価格の原因があるのかと考えられますね。(ほかに輸入業者の存在があるのかもしれませんが。)

サンセットゲームスの事に関しては山崎様のブログで書く事ではないと考えますので、控えます。

私の書き込みに関して真摯に答えていただきました事に感謝いたします。

新作ゲームも期待していますので是非ともいいゲームを作り続けてください。
by メソうさ (2007-04-27 10:00) 

Mas-Yamazaki

メソうさ様: こんばんは。つたない説明でしたが、納得していただけたのことで、安心しました。言い訳のように聞こえるかもしれませんが、商品の価格というのは実は非常に奥が深い問題で、簡潔に説明することは難しいです。

ちなみに、卸売り価格だけでなく、出版物の印刷コストも、印刷会社への「発注総量」によって割引率が違ってきます。例えば、定期刊行で一年間に数多く出版している雑誌とか、その雑誌以外の出版物も同じ印刷会社にたくさん発注している場合など、商品の仕様が同じでも、1個当たりの単価は違ってきます。

いずれにせよ、シックス・アングルズ製品に関しては現状の価格が「私にできる限界」ですので、事業が破綻するリスクを冒して無理に価格を下げるよりも、少しでも「価格に見合っている」とお客さんに感じてもらえるような、他社の商品にはない「付加価値」(ルールの完成度、グラフィック面での品質、システム習熟用のミニゲームやミニシナリオ、本誌記事の充実など)をたくさん盛り込む努力をしていきたいと考えています。
by Mas-Yamazaki (2007-04-29 01:26) 

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