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2008年12月16日 [ベルリン陥落]

64年前の今日、アルデンヌではちょっとした騒ぎがあったようですが、私は今週も、学研M文庫の執筆で厳しい日々が続いています(良い本に仕上げられそうだという手ごたえはあります)。そんな中で、関連資料を読み込むうち、以前から構想を暖めていたゲーム「ベルリン陥落」のデザインについて、脳みその奥の方でブレイクスルーがありました。今まで、米国クリティカル・ヒット社から2001年に発売された「神々の黄昏」の地図とユニット(戦闘序列)を流用して、システムだけ変更しようと考えていましたが、それらを思い切って綺麗さっぱり捨て去り、最近の私のデザイン手法(鈴木銀一郎イズムと勝手に称していますが)に則った形で、骨格から作り直すことにしました。「神々の黄昏」の修正第二版というアプローチでは、ユニットが多すぎて(ドイツ軍は連隊/大隊規模)1日でフルターンを完了できない場合が多く、また私の頭の中で組み立てている「両軍プレイヤーに与える課題」をよりクリアに表現するには、基本システムに属する作業上の負担をもう少し軽くした方がよいと考えたからです。

マップに収める領域は、「神々の黄昏」とほぼ同じ(ベルリン市街の拡大地図も入れます)ですが、ヘクスの径を大きくし、ユニットもソ連軍は兵科ごとに戦力数値が共通の4ステップの軍団ユニット(2個目のユニットは「モスクワ攻防戦」のドイツ軍KGと同様、所属方面軍名のみ記されたもの)ですが、ドイツ軍は歩兵師団、装甲/装甲擲弾兵師団、戦車/突撃砲大隊、フォルクスシュトルム(国民突撃兵)の4種類に分けたアントライド・ユニットとし、師団規模ユニットは一部を除き2ステップ(減少ステップはKGユニットで表現)、大隊(および一部の連隊)は1ステップとなります。悲哀あふれるフォルクスシュトルムも、「神々の黄昏」のような大隊ユニットではなく、3~5個大隊で1ユニットのアントライド(1ステップ)となります。

本ゲームにおける「両軍プレイヤーに与える課題」については、特にドイツ軍の課題をどうするかが重要な問題となりますが、当時のドイツ軍上級司令官であったハインリチやフォン・マントイフェル、ブッセの直面した葛藤をそのまま表現するため、土地確保と部隊温存の二系統で勝利得点の判定を行う工夫を考えています。土地確保については、ベルリン中心部の帝国議事堂などを含めた重要目標ヘクスをソ連軍が占領するごとに、ターン数と6面体サイコロの交差で判定する「勝利得点判定表」を使って該当ヘクスの(ソ連軍が獲得する)VPを判定する方式を検討中です(当然、ターン数が進めば進むほどにVPの平均値は低くなる)。そして、ゲーム終了時に地図西端から補給線を設定可能なドイツ軍ユニットごとに、ドイツ軍プレイヤーは定められた勝利得点を獲得します。

こうすることで、ドイツ軍プレイヤーは戦線放棄と撤退のタイミングが早すぎても(重要目標の早期失陥で)不利になり、遅すぎても(包囲される部隊の増加により)不利になるので、両者のバランス(言い換えれば、死守を命じる総統命令の遵守と上級司令官としての合理的判断の相剋)を見極めたプレイを要求されることになります(重要目標はベルリン市内に多数存在するので、まずはソ連軍のベルリン市街への突入時期を最大限に遅らせ、その後は可能な限り多くのユニットを、西へと逃す努力を行う)。また、敵に包囲された部隊を救出するため、浸透移動が可能な装甲/装甲擲弾兵ユニットで回廊を作り、浸透移動を行えない歩兵ユニットはソ連軍に攻撃をかけて、攻撃側戦闘結果による退却という形で回廊へと逃れる(当然、想定通りにいかない場合もある)という、四四年から四五年の末期戦特有の戦術を多用するような展開を想定しています。

一方、ソ連軍プレイヤーの課題としては、上記のドイツ軍の目標を裏返しにしたものが当面の目標となりますが、これに加えて重要目標の占領による獲得VPを、そこに進入したユニットの所属により、ジューコフの第1白ロシア方面軍とコーニェフの第1ウクライナ方面軍の二系統に分けて累積し、より少ない方のVP合計を、ドイツ軍の獲得VP合計と比較して勝敗を判定するという方式を考えています。これにより、ソ連軍は単に目の前のドイツ軍ユニットを撃破するだけでなく、ジューコフとコーニェフにバランスよく「手柄を立てさせる」形で、ベルリン攻勢全体を組み立てなくてはならなくなります。もちろん、ドイツ軍がこれを逆手にとってトリッキーな小細工(わざと一方のみ強くするなど)を行っても勝敗判定で有効にならないようにする必要がありますが(一方の方面軍が一定の勝利得点を獲得すればサドンデス勝利、など)。

戦闘システムは、以前から考えていたファイアパワー方式にするか、「モスクワ攻防戦」と同様の戦力比方式にするか、まだ検討中ですが、後者を使うとしてもそのままではドイツ軍プレイヤーにとって面白みに欠けると思われるので、何らかの工夫を施すつもりです。プロトタイプの製作に着手するまでには、まだ少し時間が必要だと思いますが、「モスクワ攻防戦」と同様、繰り返しプレイしてもゲームの面白さが綻びない、強靱さを備えた作品に仕上げたいと考えています。また進展がありましたら、本ブログで告知しますので、興味のある方はぜひご期待ください。
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コメント 6

ノルゲ

こんにちは。CH版の神々の黄昏は末期戦独特の閉塞感があるので気にいっていますが、モスクワ攻防戦タッチのベルリン戦ゲームも面白そうです。メンタル的要素がうまくプレイヤーの心理に投影できれば、単なるワンサイドゲームじゃない作戦級ゲームになるのではと思います。ゲームの完成を楽しみにしています。
by ノルゲ (2008-12-17 19:46) 

ハナザー

ジューコフとコーニェフの功名争いは、おもしろいアイデアですね!(・∀・)
完成はしばらく先になるとは思いますが、気長にお待ちしてま~すヽ(´ー`)ノ♪
by ハナザー (2008-12-17 19:58) 

Mas-Yamazaki

ノルゲさま、ハナザーさま: コメントありがとうございます。このゲームに関しても、プレイテストとディヴェロップに充分な時間と労力をかけるつもりですので、ぜひ気長にお待ちいただければと思います。完成品のイメージはかなりクリアに頭の中で出来上がっていますので、良いゲームに仕上げられるよう、全力で取り組みます。
by Mas-Yamazaki (2008-12-18 21:16) 

ハナザー

思ったのですが勝利得点判定をサイコロですると記録ミスとかおきやすいので各都市に「第?ターンまで何点」みたいなチットを与えて、獲得したらターン記録欄に置いていった方が、間違えにくいかもしれませんねー(´∀`)
by ハナザー (2008-12-23 08:25) 

末期戦フリーク

ベルリン最終戦のゲーム期待しています。米軍が本気でベルリン取りに行くバリアントなどいかがでしょうか?
by 末期戦フリーク (2008-12-24 01:31) 

Mas-Yamazaki

ハナザーさま、末期戦フリークさま: コメントありがとうございます。チットを使うというのも一案ですね。ただ、ターンごとにVPが少しずつ減少するというのを、全ての目標ヘクスで行うのは、チットでは難しいかもしれません。あるいは、チットにするならゲーム終了まで両プレイヤーとも見られないようにして、ゲーム終了時に方面軍ごとにオープンにするという方法も考えられますね。それだとドイツ軍もゲーム終了まで「自軍の勝利に必要な獲得VP」がわからない状態でプレイできるはずです(少ない方の方面軍が獲得したVP合計がわからないため)。

米軍(シンプソンの第9軍)が史実より大規模に登場するヴァリアントは、西の追加マップを含めて検討中です。何らかの形で入れたいと思いますので、ぜひご期待ください。
by Mas-Yamazaki (2008-12-24 17:14) 

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