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2009年4月15日 [ベアズ・クロウ(熊の爪)]

今日は、以前に何度か軽く触れたことのある、東部戦線の新作作戦級ゲームの話題です。先日のアフリカ旅行では、飛行機の中で考えごとをする時間がたっぷりあったので、この新作の主題(テーマ)とその表現手法について、あれこれと考えを巡らせていました。前に告知した段階では、共通ルールを用いて時期ごと(1941年、1942年など)に数個のゲームを作るという漠然とした構想でしたが、そこからさらにテーマを絞り込んだ結果、まず第一弾として1941年7月のスモレンスク会戦と1941年6月のルーツク・ドゥブノ戦車戦(ドイツ南方軍集団戦区、第1装甲集団に対するソ連軍機械化軍団の大規模反撃)の2つを、共通の視点でパッケージにするという具体的なイメージが、かなり明確に浮かび上がってきました。

パッケージ(商品)のタイトルは、「ベアズ・クロウBear’s Claw)」。「熊の爪」という意味ですが、熊は言うまでもなくソ連赤軍の暗喩です。独ソ開戦直後のソ連軍は、指揮統制面で深刻な混乱状態に陥っており、モスクワの最高司令部は状況を正確に把握しないまま、闇雲に反撃の実行を命じていました。スモレンスク会戦もルーツク・ドゥブノ戦車戦も、遭遇戦に近い状況下で、ソ連軍の前線司令部はモスクワからの指令に基づいて手持ちの兵力をドイツ軍に叩きつけるような反撃を数度にわたって実行しましたが、強力な装備兵器を持つソ連軍の戦車師団は一時的・局地的にはドイツ軍部隊をパニックに陥らせたものの、統制のまずさとドイツ空軍の急降下爆撃による混乱ですぐに打撃力を失い、各個撃破されるか、または東への敗走を余儀なくされました。

このソ連軍の反撃を、寝込みを襲われて狼狽・逆上した「手負いの熊」に見立てて、両ゲームにおける全体的なイメージを膨らませてみました。ドイツ軍は、まだ完全には覚醒していない巨大な熊の場当たり的な反撃をかわしながら、急所に打撃を与えなくてはなりませんが、振り回される腕の先にある鋭い爪は、ほんのわずかにかすっただけでも相手に傷を負わせる威力を持ち、もし不運にも直撃を食らえば致命的な損害を被る可能性があります。従って、ドイツ軍プレイヤーは沈着冷静に状況を見極めた上で、自分の手番ごとに効果的な作戦を展開する必要があります。

対するソ連軍は、上層部からの絶対的な命令により、毎ターン一定数の攻撃やオーバーランを実行しなくてはなりません。この「攻撃強制」は、中黒さんの「モスクワ’41」にも含まれていたように、初年度のソ連軍が抱えていた指揮統制面での硬直を再現する上で有効かつ不可欠のルールだと思いますが、ターン開始時に「このターンは5回」という風に決定する方式だと、史実のソ連軍方面軍司令官が感じたであろう、理不尽さや(貴重な部隊をすり減らすことへの)焦燥感の再現という面ではやや不満が残るので、攻撃やオーバーランを1回実行するごとに、反撃実行チットを1個引くという方法を構想中です。

この反撃実行チットは、基本は全部で10個あり、うち5個には赤い星印がついていて、1ターンに3~5個(ターンによって異なる)の赤い星が出るまで、攻撃やオーバーランを実行する義務が継続します(これらの数はテストの結果を見て変更する可能性があります)。そして、もし(故意または不可抗力により)義務を果たさないでターン終了を迎えてしまったなら、次のターンでは赤い星の入っていない「ペナルティの反撃実行チット」を、前のターンに満たさなかった義務の数と同じだけ、カップに追加しなくてはならなくなります。例えば、あるターンに赤い星3個分だけしか攻撃義務を満たさずに終わったなら、次のターンには前記の10個プラス赤い星なしのチット2個の計12個をカップに入れなくてはならず、作戦の効果的な遂行がより難しくなるわけです。

この「作戦遂行の障害となる空チットを増やす」という方法は、一般的な「勝利得点にマイナス」という方法よりも、ソ連軍プレイヤーに心理的な圧迫感を与えられるのではないかと考えています。勝利条件のマイナスだけだと、冷静に割り切って頭を切り替えるような対応が可能となりますが、本来ソ連軍方面軍司令官が直面したであろう「攻撃実行の強制」とは、決して一過性の行動規制ではなく、頭を抱えて途方に暮れるような長期的な苦悩であったはずだと思われます(そして、似たような「トップダウンの行動強制」という事例はおそらく一般企業や官公庁でも存在していると思います)。実際に意図した効果が生まれるかどうかは、繰り返しテストしないと不明ですが、基本的には上記のような効果を狙ったルールを目指して、手法の検討を行うつもりです。

この2つのゲームにおけるソ連軍プレイヤーの課題は、無慈悲な独裁者スターリンから下される絶対的な攻撃実行の命令を遵守しつつ、自軍の損害軽減と土地の確保という、相反する副次的条件を満たすことにあります。この、後者の条件は、必然的にドイツ軍の勝利条件ともリンクしますが、ドイツ軍プレイヤーは一般的な作戦級ゲームのように、ゲーム開始時に明確な勝利条件を知ることはできず、土地占領(=前進距離)優先と、敵兵力の撃滅優先、および両者の中間という、3種類の「勝利条件」のいずれかを、ゲームの途中で(ソ連軍プレイヤーからは秘匿した形で)知ることになります。

私が過去に書いたいくつかの記事や文庫本でも触れましたが、バルバロッサ作戦の実行段階において、ドイツ陸軍参謀本部と各軍集団司令官、そして各軍/装甲集団司令官の間で、明確な「目標の優先順位のすり合わせ」が行われておらず、極端に言えば「同床異夢」のような形で、ソ連領内へと雪崩れ込んでいきました。陸軍参謀本部は、基本的には前年の対仏戦で見事な効果が証明された「ソ連軍の兵力撃滅」を優先する方針を抱いていましたが、第2装甲集団司令官グデーリアンや第3装甲集団司令官ホートらは、作戦の第一段階である「ドニエプル川到達」を達成した後の目標について、それぞれ異なった考えや疑問を抱いており、1941年7月のスモレンスク会戦でもそうした齟齬が表面化していました。

具体的には、第2装甲集団司令官グデーリアンは、究極的な進撃目標としてモスクワを常に念頭に置いた形で作戦を実行しており、スモレンスク会戦中にも次の段階である「モスクワへの進撃」を前提とした、イェリニャをはじめとする土地の確保を重視する方針をとっていました。これに対し、第3装甲集団司令官ホートは、北東方向への進撃を望んでいましたが、とりあえず陸軍参謀本部の基本方針である「ソ連軍の兵力撃滅」を優先し、スモレンスク周辺で孤立したソ連軍の大兵力を北から包囲するような形で、作戦を実行しました。その結果、スモレンスク会戦は全般的にはドイツ軍の勝利に終わったものの、ソ連軍はスモレンスク包囲陣から限定的ながら部隊を東に脱出させることに成功し、その中には後に元帥/ソ連邦英雄となるロコソフスキーらの名将も含まれていました。

コマンド誌の付録となった平野さんの「スモレンスク」は、ドイツ軍プレイヤーの視点をグデーリアンに限定するという大胆な手法で、この指揮統制上の齟齬という問題を見事に表現することに成功しており、同ゲームは対戦ゲームとしてはもちろん、スモレンスク会戦のシミュレーションとしても非常に優れた仕上がりになっていると私は考えています。ただ、私はホートとグデーリアンの齟齬という具体的な事例ではなく、この戦いが終わった後の段階(に関する中央軍司令官ボックや陸軍総司令官ブラウヒッチュ、そして最高司令官ヒトラーの構想)があやふやな状態のまま、会戦の前半を戦わなくてはならないという、ドイツ軍野戦司令官の内面的な不安をストレートに表現しようと思い、上のようなシステムを考案しました。これについても、実際の効果が意図した通りに出るかどうかはテストの結果次第ですが、デザイン上の目標は上に掲げたような問題点の表現にあります。

基本的なゲームシステムは、第11号付録「モスクワ攻防戦」の晴天ターンのルールとほぼ共通で、地図(両ゲームともハーフサイズ)のスケールはスモレンスクが1ヘクス=16.8km、ルーツク・ドゥブノが15.4kmです(モスクワ攻防戦は17.2kmでした)。ユニットの規模も、ドイツ軍は師団(KGのサブカウンターもあります)、ソ連軍は2個師団または1個軍団(すべて戦力未確認)と、「モスクワ攻防戦」とほぼ同じです。ただ、遭遇戦特有の不安感を両軍プレイヤーに実感してもらうために、ゲーム手順を固定化せず、多少変動させるような方法をいくつか検討中です。初期配置は、「モスクワ攻防戦」と同様に固定しますが、最初にどちらが動けるかを変動させることで、両軍とも臨機応変な対応を強いられることとなります。

ゲーム地図の作成は既に開始しており、他の仕事を進めつつ、合間の気分転換などを兼ねて少しずつ形にしていく予定です。前回の「モスクワ攻防戦」は、1日で最後まで終わるゲームというのが目標でしたが、今回は「1日で裏表2回」または「1日で両ゲームを1回ずつ」終わるゲームに仕上げるというのが目標です。新たな進展がありましたら、本ブログで報告しますので、興味のある方はぜひご期待ください。
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クロムウェル

熊の爪おもしろそうですね。スモレンスクとルーツク=ロブノというと、パンツァーグルッペグデーリアンとパンツァーグルッペクライストと同テーマですが、ソ連の攻撃強制ルールとドイツ軍の勝利条件未確認ルールは面白い試みかと。完成を楽しみにしています。
by クロムウェル (2009-04-17 02:38) 

しのはら

「1日で裏表プレイができる」というコンセプトは魅力的です。
金銭より時間が貴重な年になってしまった現在、手軽にプレイできるゲームは有難いです。
by しのはら (2009-04-17 21:15) 

紫龍

どうもです。いつも拝見してます。

独ソ戦の局地戦をゲーム化するにあたり、「不確定勝利条件」というアイデアはすばらしいと思います。というのは、戦記ものを読んでよく出くわす指揮官の悩みとは、「敵は何を考えているんだ」ではなく「上は何を考えているんだ!?」だからです。
これまでのウォーゲームではこの「上は何を考えているか」は「勝利条件」という形で明確で、疑う余地はありませんでした。しかしそれでは、史実で指揮官が感じた不安や焦燥をプレーヤーが感じないことになり、結果的に史実で彼らが何であんなに苦労したのか分からなくなることがあると思います。それではせっかくゲームにしている「面白さ」が失われてしまうだろうと思います。

私はかねてから、ヒストリカル・ウォー・ゲームが一番面白いのはそれを最初にプレーするときだと思っていました。それはそのゲームについてまだよく知らないので、史実の指揮官に最も近い状態でプレーできるからです。実際、独ソ戦の各局面における軍や方面軍レベルの指揮官は、ほとんどの場合「初めてのプレーヤー」として行動していたのではないでしょうか。その状態をプレーするには、初めてゲームをする状態、つまり敵の増援はもちろん自分の増援の登場位置やスケジュールもよくわかっておらず、勝利条件を満たすのはどうプレーするのが最も効果的かも手探り状態というのが一番近いと思います。

同じゲームを繰り返すことでプレーヤーとしては成長しますが、それは「賢すぎるソ連軍」とかができるだけで、シュミレーションとはどんどん離れていくものになるでしょう。現にそういうことを私は「ウクライナ43」で経験しました。今このゲームをソ連軍でプレーすれば私は「賢いソ連軍」を演じる自信がありますが、きっとゲームとしてはつまらないものになるでしょう。
そのようなジレンマを「不確定勝利条件」や「強制攻撃」は解消してくれると思います。ソ連軍プレーヤーは分かっていても「無謀な攻撃」を繰り返さざるを得ない精神的にタフなプレーが要求されるのでしょう。それでも「勝つ」というのは大変でしょうが、やりがいがあるかもしれません。少なくとも相手の手番には自軍が潰されるのを呆然と見続け、自分の手番には後退するしかないようなこれまでの独ソ戦ゲームよりは面白そうです。

私はたぶん「賢い赤軍」よりは「イワンの馬鹿」になりたいゲーマーなのかもしれません。と言うより、「ソ連軍がバカをしなければならなかったのはそれなりに理由があった」と納得したいのかも。そういう私は今度の山崎さんのゲームに期待しています。
by 紫龍 (2009-04-18 00:27) 

Mas-Yamazaki

クロムウェルさま: コメントありがとうございます。ご指摘のとおり、「熊の爪」で扱うテーマは、SPI/AH社の「パンツァーグルッペ・グデーリアン」とタクテクス誌に掲載された同ゲームのヴァリアント「パンツァーグルッペ・クライスト」と同じですね。意図したわけではありませんが、東部戦線の序盤でソ連軍が大規模かつ機動的に反撃した戦いということで、作戦級ゲームのテーマとしては適していると思います。上記2ゲームは、電撃戦の再現がテーマだったかと思いますが、「熊の爪」は少し違った視点から、この2つの戦いを描き出します。ぜひご期待ください。
by Mas-Yamazaki (2009-04-21 00:08) 

Mas-Yamazaki

しのはらさま: コメントありがとうございます。1日がかりでじっくり取り組むゲームももちろん作りますが、「熊の爪」に関しては3時間前後で1ゲームが終わることを目標に制作を進めるつもりです。小さいからといって、単調なゲーム、底の浅いゲームにならないよう、充分にテストとディヴェロップを行う方針ですので、ぜひご期待ください。
by Mas-Yamazaki (2009-04-21 00:11) 

Mas-Yamazaki

紫龍さま: コメントありがとうございます。シミュレーション・ゲームの主要な「システム」の中で、移動や戦闘、補給、情報の制限(戦場の霧)などについては既に研究が進んでさまざまな新機軸が発表されている半面、勝利条件についてはそれほど注目されていないように思えます。そうした理由から、次号(第13号)の「第6の視角」では、勝利条件と最終ターン(の行動)というテーマでいろいろ書こうと思っています。

プレイヤーが「敵」ではなく「上は何を考えているんだ?」というストレスを感じられるゲームは、確かにほとんどありませんね。強いて言えば「ヒトラー命令」や「皇帝命令」が多少はそれに近いかという気もしますが。私が考えている勝利条件のルールが、ブログ本文で意図した通りの効果を実際に生み出せるかどうかはテストを重ねないと何とも言えませんが、もし効果が薄いようなら(「モスクワ攻防戦」の時みたいに)優秀なプレイテスター諸氏の知恵を拝借して別のルールを考案して、上記したような心理状況を生み出すようなルールに仕上げたいと思います。

『私はたぶん「賢い赤軍」よりは「イワンの馬鹿」になりたいゲーマーなのかもしれません』というお言葉は、非常によくわかります。私も同様です。前に一度、「1941年のソ連軍をプレイするなら、全然ソ連軍らしくない洗練された戦い方で勝つよりも、1941年のソ連軍っぽく戦って負ける方が満足できる」と某飲み会で発言したところ、某シミュレーションゲーム雑誌の某女性編集者の方に不思議そうな顔をされてしまいましたが(笑)。もっとも、これはあくまで他の人が作ったゲームを1プレイヤーとして遊ぶ場合の話で、自作ゲームのプレイテストの時には、(なけなしの)知力を絞って全力で勝つことを目指します。

あと、お名前のリンクにあるブログの方も拝見しました。非常に示唆に富んだ記事が多く、感銘を受けました。とりわけゴリラと「男性的価値観」と戦争の話は、私がずっと暖めている本の企画(前にブログで少しだけ触れたことがあります)とも関係がある話題なので、興味深く読ませていただきました。このあたりの話は、日を改めて記事本文の方で書こうと思うのですが、件の記事をリンクさせていただいても構いませんでしょうか? なにとぞよろしくお願いいたします。
by Mas-Yamazaki (2009-04-21 00:29) 

紫龍

丁寧なお返事をありがとうございました。
勝利条件ルールについては私もコメントを書いてから「うまく機能するものを作るのは難しいかも」と思ってました。プレイテスターの方々の協力も必要でしょう。きっと思わぬ「抜け道」を指摘する方もいるでしょう。

私のブログまでお読みいただき、ありがとうございます。
人類の進化または進歩については興味のあるところで、いろいろ本を探しているのですがこれはというものがなく、そのため拙文もまったくの思いつきに近いものでお恥ずかしい限りです。しかし「人類の好戦性」については、このあたりから考えないと答えが出ないのだろうと漠然と思ってます。何かいい本を読んで自説が補強できるようになったらまた書きたいと思います。
リンクの件はどうぞご自由に。半端な文章ながら、公開しているものですからいまさら隠すわけにもいきません。
では。
by 紫龍 (2009-04-21 22:16) 

ハナザー

楽しみにしてます(´∀`)
ところでソ連の反撃チットなんですが「貯めて貯めて最終ターンだけ反撃」みたいな方法は、どう防ぎましょうかねー(?_?)
まあ反撃チットの総数は有限にしておいて「全部ひききったら即時敗北」でいいと思いますけど(・∀・)
by ハナザー (2009-04-23 20:18) 

Mas-Yamazaki

紫龍さま: コメントおよびリンク掲載のご承諾ありがとうございます。「戦争は人間の本能だ! だから根絶などできない!」みたいに、いきなり冷笑的な結論だけを書くような手法は嫌なので、このテーマは注意深く取り扱うつもりです。私もアフリカ旅行や野生動物の習性についての事前学習で、戦争や犯罪についての新たな視点を見つけたような気がしています。

もう少し練ってから自分なりの考えをブログに少し書くつもりですが、それを本に書くには、動物行動学をきちんと勉強して実証的な裏づけを充分に用意する必要があるので、焦らず、気長に取り組んでいこうと思います。
by Mas-Yamazaki (2009-04-24 19:09) 

Mas-Yamazaki

ハナザーさま: コメントありがとうございます。ご指摘の問題は、追加の反撃チットを5個程度にして、それを使い切ってしまったらソ連軍のサドンデス負け、という対処法を考えています。最初からゲームに負けるのを覚悟でペナルティを無視してプレイし、非合理的な要求を排除して合理的な行動を最後までとり続け、ドイツ軍を苦しめるだけで良しとするソ連軍プレイヤー(類似の行動をとる人を実際に見たことがあります)への対処が目的ですが、これについてもテストの結果を見て、調整や変更を行う可能性があります。

とりあえず、次号の「ツィタデレ作戦」の追加シナリオで、類似の不確定勝利条件ルールを試してみるつもりですので、効果を慎重に確かめた上で、裏技的な落とし穴がないルールに仕上げたいと思います。
by Mas-Yamazaki (2009-04-24 19:17) 

紫龍

「熊の爪」に「クルスク」にと大忙しですね。いずれも勝利条件で大胆な試みをなさるとのこと、期待してます。
「熊の爪」について言えば、この時期のソ連軍の勝利条件としては何があるだろうと私なりに考えてみました。そしてそれは、ドイツ軍の思惑を阻止することだろうと思いました。とにかくこの時期まともにドイツ軍を止めようと思っても無理なので、「電撃戦」が成就しなければ局地的にはソ連の勝ちと言っていいと思います。時間はソ連の味方になりますから。
とすればゲームとしては、まずドイツの勝利条件を設定して、ソ連はそれを阻止すれば勝ち、そしてそのためにある程度の反撃が有効かつ必要である、という具合にできればいいのではないでしょうか。
史実のソ連軍は、例えば戦車旅団が華々しく反撃するものの、すぐに息切れしてかえってドイツを利することになったというようなことを何かの本で読んだ気がします。あまりにお馬鹿な反撃はドイツにとって大助かりになったりしたのですね。つまりソ連軍プレーヤーは攻撃を強制されたとしても、それからはプレーヤーの腕の見せ所、というようなゲームにできれば面白いのではないかと思います。
漠然とした話ですいません。何かの参考になれば。
では。

by 紫龍 (2009-04-27 22:33) 

Mas-Yamazaki

紫龍さま: コメントおよびご提案ありがとうございます。ご指摘のとおり、この両ゲームにおけるソ連軍プレイヤーの「課題」は、「ドイツ軍の思惑を阻止する」ことに尽きると思います。そしてそれは、「ドイツ軍の思惑」が当のドイツ軍プレイヤーにも明確でないゲーム前半は、ソ連軍もまた明確な目標が何なのか不明なまま、ドイツ軍に反撃を行って打撃を与え、前進を阻止しなくてはならないという、当時のソ連軍の野戦司令部に近い心理状況を生み出せるのではないかと、そんな風に考えています。

現段階で危惧される、システム面での「穴」は、ソ連軍プレイヤーがただ反撃義務を満たすために、重要度の低い弱小ユニットを捨てて自殺的な低比率攻撃で「反撃回数」を稼ぎ、重要な機械化軍団を温存する、といった「賢いけれども当時のソ連軍野戦司令部の心理状況とは大きく異なる」選択が有効になってしまうかもしれないということですが、このあたりはテストを重ねて問題点を1つずつ取り除き、ソ連軍にとってのプレイ上の利点と「当時のソ連軍の野戦司令部に近い心理状況」と両立できるようなシステムに組み立てるつもりです。

ソ連軍の勝利条件設定で目指すべき方向性については、以前のコメントで紫龍さんが書かれていた、「ソ連軍がバカをしなければならなかったのはそれなりに理由があった」というお言葉が、非常にうまく言い表していると思います。ドイツ的な合理主義とは異なる価値判断基準で動いていた組織を指揮するプレイヤーが、ドイツ的な合理主義ではなく、当時のソ連軍の価値判断基準と同じ動機で勝利を目指すように誘導することが、ソ連軍プレイヤーの「勝利条件」設定のカギになるのではないか、そう考えています。

ドイツ的な合理主義の観点からすると「バカ」に見えてしまうけれども、結局は彼らにはそのような方法しか取れなかったし、結果的にはそれが戦争に勝利する上で一番有効な対処法だったのかもしれない、ということですね。
by Mas-Yamazaki (2009-04-29 13:49) 

Sgt_Sunders

全くの推測ですが、ドイツ軍の進撃を止めることがソ連軍の目標であり、安定した戦線が形成されれば上層部も安心し冷静な指揮ができるようになったのではないでしょうか。状況不明確の中ではとりあえず反撃によって敵戦力を破壊することが敵の進撃を止めることになると考えられていたのだと想像します。

 したがって、ドイツ軍の進撃が止まる(あるいは遅れる)ことによって無謀な攻撃命令が治まってゆくという仕掛けがあると良いのではないでしょうか。ソ連軍プレイヤーが成功を収めればその結果としてより戦いやすい指揮権を獲得していけるわけです。
 ゲームのプレイヤーとしては全く理不尽なルールに振り回されているという感覚とそれを努力で振り払うことができたという感覚を味わうことができるのではないでしょうか。またノルマ達成のためだけではない反撃を意図させせる効果もあるかもしれません。

 そうなるともう一方のドイツ軍プレイヤーにも進撃の遅れに伴うペナルティーを課すことも考えられるのですが・・・。

by Sgt_Sunders (2009-04-30 02:04) 

紫龍

山崎さん
概ね期待するようなゲームになりそうで大変楽しみです。
独ソ戦初期ゲームのうちでは、唯一私が買いたくなるようなゲームになりそうです。これまでのこのテーマのゲームは「それで誰がソ連軍をやるの?」と問いたくなるようなものばかりだったので。
御懸念の犠牲部隊で攻撃回数を稼ぐ件ですが、そもそも機械化部隊に犠牲にしてもいいような弱小部隊をなくし、なおかつ攻撃には必ず機械化部隊を含まなければならないとするのはいかかでしょう。部隊規模の取り方はいろいろあると思うので、必ずしも史実通りに部隊駒を作らず、小さいのはまともてしまってもいいと思います。
あとはCRTの作り方ですね、有用な部隊がかなりの確率で消えるとしたら、義務を果たすだけの「負けてもいい攻撃」は影をひそめるでしょう。

by 紫龍 (2009-04-30 15:41) 

Mas-Yamazaki

Sgt_Sundersさま: コメントおよびご提案ありがとうございます。確かに、ソ連軍プレイヤーの「任務達成度」によって上からの要求が多少軽減されるというのは、ソ連軍プレイヤーの意識を当時のソ連軍前線司令部におけるそれに近づける意味では有効かもしれません。また、ソ連軍の反撃はもちろん、義務の遂行というだけでなく、何かしらドイツ軍に打撃となる形でないと、ソ連軍プレイヤーは勝ってもスッキリしない部分が残るでしょう。

「任務達成度」のルール化については、特定ターンに特定のヘクスを保持できるているか否か、というのが、一番シンプルな解決法ですが、いろいろなアイデアを考えた上で、それぞれの効果をテストで試してみようと思います。また、何か良いアイデアがありましたら、ご提案いただけると幸いです。よろしくお願いします。
by Mas-Yamazaki (2009-05-04 23:33) 

Mas-Yamazaki

紫龍さま: コメントおよびご提案ありがとうございます。ご指摘のとおり、部隊の規模は「モスクワ攻防戦」と同様、師団や旅団、大隊などを適度にまとめたものにするつもりです。あと、ソ連軍が攻撃義務を達成したか否かについては、防御側に「-」(効果なし)以外の結果が出ないと、攻撃したとは見なされないという形にするのも一案かと思います。そうすれば、特定のドイツ軍ユニットに反撃を行う際、史実と同様、最も弱そうな部分に集中することになるでしょうし、特定の攻撃にどれだけのユニットを投入するかも、ソ連軍プレイヤーが決断しなくてはならなくなります。投入ユニットをケチったばかりに、防御側の損害は皆無となれば、攻撃に参加したユニットは単なる「戦力の浪費」になってしまいます。そのような展開を避けるためには、ソ連軍プレイヤーはある程度現実的な視点で、軍事的に効果的な反撃を計画しなくてはならなくなるわけです。

CRTについては、最初のテストは「モスクワ攻防戦」と同じものを使用するつもりですが、戦闘結果の配分はテストの結果を見て微調整する可能性があります(同じ物を使わなくてはならない理由はないので)。ゲーム手順についても、いろいろとアイデアを暖めていますので、ぜひご期待に添えるような面白いゲームに仕上げたいと思います。また、何か良いアイデアがありましたら、ご提案いただけると幸いです。よろしくお願いします。
by Mas-Yamazaki (2009-05-04 23:41) 

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