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2009年5月17日 [その他(テレビ番組紹介)]

今日は、以前にもご紹介しましたNHKスペシャル「マネー資本主義」の第2回でした。第1回に比べると、ややインパクトが弱い印象でしたが、それでも最後まで注視してしまいました。

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(画像はNHKホームページより)

金融政策の「マエストロ(巨匠)」と呼ばれた、いわば「百戦錬磨の名将」である米連邦準備制度理事会の前議長アラン・グリーンスパン氏ですら、現下の「戦況」を大きく読み誤った、そして有効な対応策を見出せなかった、その背景に関する説明がなかなか興味深かったです。また、民主党のクリントン政権は米経済の建て直しに成功し、財政赤字を克服したという説明を今まで漠然と信じていましたが、現在の悲惨な状況がその時に実施された経済政策(ドル高誘導)の「ツケ」だとするなら、ロバート・ルービン元財務長官に対する歴史の評価もまた変わってくるでしょう。

今回の番組はもう一つ、富田靖子主演の低コストな(笑)室内ドラマと並行する構成になっていて、最後の種明かしまで観ると「なるほど」と思いましたが、込められたメッセージの割には芝居が冗長で、時間を食いすぎている印象を受けました。ただ、非常にシンプルな筋立てながら、インターネットによる質と量の両面での情報伝達やそれを活用した新たなシステム(経済取引に限らず)が日進月歩である以上、番組の中で言われていたように、投資や取引そのものが「モンスター化」して誰にも管理・統制できなくなっている(統制する方法が即座には見出せない)という、今回の経済危機の背景に存在する「ルールとシステムの複雑化と頻繁な更新」という問題を、改めて認識させられました。

「市場経済」という概念ひとつとっても、一般主婦の財布の総和が秒単位でウォール街に直結するようなシステムが存在しなかった時代と現在とでは、その構造も影響が及ぶ範囲も、そして経済システム全体にダメージを与えうる破壊力も、当然のことながら大きく異なっています。一定の社会的信用を備えた人間なら、誰でもノートパソコンのキーボードを叩いて資金を借り入れ、それを特定の国の市場に送り込んで運用できるというシステムがこれだけ普及してしまった以上、今さら後戻りは難しいでしょうが、頭のいい専門家の方々が、システムの要所要所に取り付ける安全装置を考案・設置することに成功しなければ、アメリカでの低所得者層向け住宅ローンの破綻が、日本の自動車製造工場における契約社員の大量解雇へと瞬く間に波及するというような、ウィルス感染にも似た災厄がいずれまた発生することになります。

高速道路を猛スピードで走っているバスの摩滅したブレーキを、走行しながら修理する。想像するだけで恐ろしい話ですが、もはや誰もバスから降りられない以上、専門家の智恵にすがるしか選択肢はありません。今の米財務長官(ティモシー・ガイトナー)には、重量が軽くて値段の安いブレーキではなく、重くても高価でも耐久力のある、そしてさまざまなストレスに耐えうるブレーキを付けてもらいたいものです。

なお、第2回の再放送は、2009年5月20日(水)午前0時45分~1時39分(19日深夜)とのことです。
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