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2009年5月28日 [ツィタデレ: クルスクの決戦]

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シックス・アングルズ第13号本誌に掲載予定の「戦史夜話」第3回の校正ゲラを、先ほど大木毅氏にお送りしました。第1回と第2回も、読者からの反響は上々でしたが、第3回は今までにも増して内容の濃い、そして多くの戦史ファンに読んでいただきたい記事に仕上がっています。主題は、ドイツ陸軍参謀総長ツァイツラーの一代記と、彼が第二次大戦中に果たした役割、とりわけ「ツィタデレ作戦」の計画立案と実行決定にまつわる彼の役割といったことですが、戦後の世界でいつしか常識となった「第二次大戦史の解釈」が、実は彼(および彼が属するグループ)の意向を色濃く反映したものであったという、非常に重要な指摘も含まれています。

また、我々がなんとなく理解していた「後手からの一撃=第三次ハリコフ戦におけるマンシュタインの華麗な反攻」という図式が、実は「ある著者」の意向による誤った誘導であったという、これも非常に興味深いコラム記事も併載しました(今回は1ページ増量で計5ページ)。大木氏と直接お話したり、疑問に思ったことをメールでお尋ねして教えていただいたり、あるいは本誌やコマンド誌などで執筆された原稿を読むたび、いろいろな面で己の未熟さを痛感させられます。

独ソ戦史に詳しい方ならご存知のとおり、米国陸軍退役大佐デーヴィッド・グランツ氏の精力的な研究により、英語圏における独ソ戦期のソ連軍研究は飛躍的に進歩し、ジョン・エリクソン氏らが築いた一段階から、新たな段階へと移行していきました。大木氏は現在、戦史研究をメインに活動されているわけではなく、他の文筆活動でご多忙のようですが、願わくば、日本の第二次大戦期のドイツ軍研究における「グランツ大佐」的存在になっていただき、日本の戦史ファンの「実は根拠の怪しい思い込み」を一掃して、ドイツ軍研究を「新たな段階」へと導いていただきたいと思います。

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