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2009年6月3日 [その他(雑感・私生活など)]

今日は、先月の初め頃に新しく開設したブログの話題です。

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山崎立体写真館 《Two Angles》

この「琥珀色のノート」以外にも、ブログ用アカウントが複数使用できるというSo-netのシステムを活用して、10年くらい前から趣味でコツコツと撮り貯めていた「3D立体写真」専用のブログを立ち上げてみました。いわゆる「裸眼立体視(交差法)」という手法を用いたステレオ写真のコレクションで、手軽に追加・更新できるというブログの特質を活用して、それなりに手間と時間のかかるhtmlのフォトギャラリーとは別の形で公開してみようと思いました。

私がこの種の「立体写真」について初めて知ったのは、ジャック=アンリ・ラルティーグの写真集『時のまなざし』(リブロポート、1995年)を見た時でした。その中に、一風変わった手法で撮影された二対の写真が数点収められており、調べてみると当時(1913~14年頃)ちょっとしたブームになった(しかし少し経つと廃れてしまった)という「ステレオカメラ」で撮影されたものであること、同様の写真は、そのような専用のカメラがなくても、ふつうのカメラでも撮影可能であることがわかりました。

ステレオカメラとは、少し視点をずらした位置にある2つのレンズで、フイルムの連続するコマに露光するという方式の写真機ですが、ふつうのカメラで同様の写真を撮る場合、まず1枚撮影した後、フレーム内の構成が極力変わらないように注意しつつ(たいていは中心やフレーム端の位置を記憶しておきます)、左ないし右に少し視点をずらして、ほぼ同じ内容で、2枚目の写真を撮影します。そして、左側で撮った写真を右に、右側で撮った写真を左に置き、両目を少し「寄り目」気味にすると、この2枚の写真に写っている風景が、立体的に(つまり奥行きがある感じで)脳内に再構成されるというわけです。写真の下にある白い丸が、計3つになるように「寄り目」具合を調整するのがコツです(調整がうまくいかないと、白い丸は4つに見えているはずです)。

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原版となった写真単体と、立体視によって脳内に再構成された「奥行きのある空間」を比較してみれば、1枚の平面写真が「視覚的情報の伝達」という面において、どれほど限られた容量しか捉えられていないかという点に、まず驚かされます。そして、ほんの少し「視角(アングル)」をずらして撮影した2枚目の写真と併せて見ることで、同サイズの写真から得られる情報量は飛躍的に増大し、フレーム内に写っている対象物の構成や相互関係も、より的確に、そしてダイナミックに、理解できるようになります。ブログのタイトルである「トゥー・アングルズ」も、こうした立体写真ならではの特質を表したものですが、視点を複数持つという姿勢は、原稿執筆やゲームデザインなど、私が手掛けている他の仕事でもきわめて重要な意味を持つ要素です。

もちろん、「写真」の価値というのは、表現手法としての多様性の中で考えなくてはならず、上に書いたような「立体写真の特質」が価値判断基準の全てではないことは、賢明な読者の方々には説明不要かと思います。1点の素晴らしい写真に心を動かされた経験は、私にも多々あります(中でもロベール・ドアノーの写真集は宝物のように大事にしています)し、どのようなカテゴリーの話題であれ、自分が好むただ1つの価値判断基準のみが正しいと思い込み、それ以外の価値判断基準やそれを好む他者を、批判したり見下したり否定したりする行為は、それをしている人の精神的な未熟さの表れに他ならないように思えます(偉そうな文章で恐縮ですが、私もそうならないよう自戒を込めて書きます)。

ということで、従来の「写真」が持つ普遍的な価値はそのまま尊重した上で、それとは少し違うスタイルの「立体写真」を、いろんな人にも楽しんでもらおうと、ストックの中から厳選した作品を、ブログで一般公開することにしました。グーグルで検索すると、同好の士は他にもたくさんおられるようで、ふつうのコンパクトなデジカメや携帯のカメラでも撮影できる、こうした「遊び心にあふれる」撮影手法を楽しむ人が、今後もさらに広まっていけばいいなと思っています。

裸眼立体視(交差法)の見方については、こちらに簡単な解説ページを用意しています。一度では見えないという方も、すぐにあきらめず、しばらくトライしてみてください。初めて「見えた瞬間」には、きっと不思議な感動を味わってもらえると思います。

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