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2010年6月18日 [その他(ウォーゲーム関係)]

先日の「第6の視角 DTPウォーゲームの将来」「知られざるSPI社の内幕 レドモンド・サイモンセン氏インタビュー」に続いて、シックス・アングルズの過去記事復刻配布シリーズとして、今回は創刊号の巻頭に掲載しました「シックス・アングルズ 創刊の言葉」の文面を、PDF形式にて無料配布します。

http://www011.upp.so-net.ne.jp/mas-yamazaki/6Aforeword.pdf

シックス・アングルズの創刊号は、1994年の発行で、確か500部印刷して販売したところ、あっという間に完売した記憶があります(従って、この「所信表明演説」を今回初めて読まれる方も多いかと思います)。当時はコンピュータを使ったDTPではなく、ワープロでプリントアウトした文字を台紙(版下)に貼って制作していたので、デジタルデータは最初から存在せず、改めて文字を打ち直してPDFを作成しました。

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これを書いた当時と今とでは、ゲーマー間のコミュニケーションという問題について、隔世の感と表現してもよいほどの違いがあり、特に個々のゲーマーが写真入りのブログという「媒体」を手軽に作成・公開できるようになったことは、当時は想像もつかなかった重大な変化だったと思います。これにより、海外の新作ゲームの詳しい内容や、個々のゲームをプレイした感想などの情報が、ゲーム雑誌を買わなくても豊富に手に入るようになりました。ただ、シックス・アングルズという出版物が目指す、基本的な方針や問題意識などは、これを書いた16年前も今も、ほとんど変わっていません。

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創刊号の誌面を、今あらためて読み返すと、文章の構成や組版の仕上げなど、技術的には(未熟さが目に付いて)恥ずかしいと感じる点も多々あります。しかし、これを瀬戸利春さんらの仲間と一緒に作っていた時には、まさか16年後も「シックス・アングルズ」という出版物が続いているなどとは、まったく考えていなかったはずです。さまざまな紆余曲折を経ながらも、一定の購読者の方々に恵まれて、なんとか続けることができています。今後も、自分のできる範囲で、このホビーが持つ可能性や価値を高める努力を続けていきたいと思います。

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同窓会ゲーマーのつぶやき

 創刊のことばを拝読しました。自分は、もう何年も新作のゲームを買っていない、俗にいう同窓会ゲーマーです。大昔に買った数個のゲームを、仲のいい友人と繰り返しプレイして、飽きもせずに楽しい時間を過ごしています。新作ゲームを買わなくても、自分も友人もこのホビーを愛しています。

 ゲームを出しているメーカーが、消費者の数を増やしたくて、新規顧客の開拓をするのは、商行為の定石ですから理解できます。けれど、いつのまにか一般ゲーマーまでもが、当たり前のように、そのようなメーカーの利益という意味での業界活性化を、自分たちの努力目標であるように論じていることに、自分は前から違和感を覚えていました。メーカーの利益と、一般ゲーマーの利益は、当然違うもののはず。が、その違いを理解せず、メーカーの利益を一般ゲーマーの利益と同一視する論調が昨今目立つように感じています。

 一般ゲーマーの利益とは何でしょう。それは、買ったゲームを繰り返し遊んで、そのゲームの価値をとことん味わい尽くすことだと思います。それこそ、コマやマップが擦り切れるほど、遊び倒す。遊ぶたびに新しい発見があり、買った値段の減価償却をとっくに済ませたゲームを、さらに深く遊んで、友人と共に、楽しい時間を過ごす。このゲームについて、もう知り尽くしていると思っても、対戦で予期せぬ敗北を喫して、おのれの軽率さを思い知らされる。自分はこのホビーで、そういうなにものにも代えがたい経験を、過去に数え切れないほど堪能してきました。

 こんな遊び方をするゲーマーは、メーカーにとっては全然意味の無い存在でしょうね。だって新作ゲームを全然買わないんですから。居ても居なくても関係ない存在。ですが、おとなしい羊のように新作を次々と買うゲーマーが、このホビーを支えているかと問われれば、私はざんねんながら同意しかねます。メーカーもしくは業界を支えている、とは言えるでしょう。ですが、ホビーと業界は本質的には別のものだと思います。じっさい創刊のことばで書かれているように、業界は過去に全滅して滅びましたけど、ホビーは滅びずに脈々と生き延びているのですから。ホビーではなく、業界の利益優先の思考に、私はいささか抵抗を感じます。

 デザイナーや開発スタッフの方が、何年もかけて丹念に作り上げたゲームを、世間の常識からすると高い値段で購入しても、2,3回遊んだだけで、次に出た新製品をまた買って、それを少し遊んだ頃に、また新しいゲームが出て、それを買う、もしくは買わされる。売るほうも、ひとつ商品を売ったら、すぐに次の商品の宣伝を始めて、ところてんのように、ひたすら新製品を出す。メーカーは当面儲かって大歓迎でしょう。が、何千円も出してゲームを次々と買ったのに、上っ面だけ遊んだだけで、このゲームはバランスがどうだ、システムがどうだ、とか皮相的な感想を述べただけで、そのゲームの深い価値を知ることもないまま押入れに突っ込んで、次々と新製品を消費させられている。ゲームを買うだけの、単なる消費者。そういうゲーマーの姿を第三者が見て、自分もその仲間入りしたいと思うでしょうか。第三者の目には、単なるお金のむだづかいに映っていないでしょうか。

 新しいゲーマーが増えないのが問題だとしたら、その原因は、そういうところにあるのではないかという気がしてなりません

 乱筆乱文でたいへん失礼いたしました。
by 同窓会ゲーマーのつぶやき (2010-06-19 14:02) 

ゴドー

おもしろい意見ですね。

でも新作ゲームを買う人は、納得して買っているわけだから、別にいいのでは?

コレクションが増える毎に、1コあたりのプレイ時間が減るのは事実ですけど(^^;

やり込んでないゲーム、もったいないと言われれば、その通りかもしれませんね~。
by ゴドー (2010-06-19 22:55) 

管理職

新作を次々と買う人が、買ったゲームを深くプレーしていないとの見方は、思い込みだけの極論だと思います。ただし、業界(メーカー)の利害と一般ユーザーの利害を、同一視する意見が現在の主流という指摘には同意します。初心者勧誘に無関心だと「この業界のことを考えないエゴイスト」みたいな目で見られるのはおかしいです。一般ユーザーが奉仕のように業界(メーカー)の面倒を見ないといけないなんていう甘えた風潮は、他の業界には思い当たりません(販売や流通も趣味の延長で互助でやっている同人誌の世界は別)。一般ユーザーは、業界(メーカー)の利益なんて一旦度外視して、自分が購買した商品の満足度だけで、率直に意見を言う権利があります。
by 管理職 (2010-06-20 12:46) 

残り火

「創刊のことば」と、コメント欄に書かれた皆様のご意見を読み、久々に大昔(1980年代)の状況が脳裏に蘇りましたよ。

シミュレーション・ゲームが、空前のブームだった当時、大手のおもちゃメーカーが参入して、ゲーマーの数は爆発的に増えました。けど、出せばとりあえず売れるという状況下で、国産製品の粗製濫造が始まり、当然売れ行きは山なりに急落、採算がとれなくなったおもちゃメーカーはアッサリ撤退。ゲーマーはといえば「歴史派」だ「シミュレーション派」だ「ゲーム派」だと分裂して内部抗争。今から思えば、いったい何やってたんだろう、と。みんな若かったのか(笑)

出版社やゲームシステムの系譜を追った「シミュレーション・ゲーム史」は、雑誌で何度か見ましたけど、もっと全体的な視野で「日本シミュレーション・ゲーム・ブームの興亡」みたいな、社会現象の歴史の総括を、誰かしてくれないでしょうかね。特に大手おもちゃメーカーの内部判断の変遷とか、いつ撤退を決断したかなど、ビジネス面の動きがわかれば面白いと思うんです。

ブーム末期の頃にも「シミュレーション・ゲーム入門」という、入門者ターゲットの製品は何個も出てましたが、焼け石に水でした。大手おもちゃメーカーが出してた製品ですから、ネームバリューも流通個数も、今より1桁は多かった。でも成功しなかった。なぜ失敗したか。失敗した理由があるはず。そういう詳細な敗因分析研究もやらずに、なんとなく同じパターンの行動をみんなで繰り返すのは、歴史の趣味人としていかがなものか、と(笑)
by 残り火 (2010-06-21 02:19) 

出戻り2008

94年といえば、ダニガン氏デザインとされるVictory at SEAが発売された年だったと思います。

コンピュータ誌の記事を見てMac用の日本語版を購入したのですが、このゲーム、ボードゲームをそのまま移植してAI対戦できる様にしていたそれまでのゲームと違って、“コンピュータを使用するとモンスターゲームの様な詳細なデータを手軽に扱える様になる”と思わせる内容になっていました。しかし残念な事に、これに追随するゲームは(少なくとも日本では)発売されませんでした。

最近ナポレオニックのゲームに関連して当時の戦術(戦法)をネットで探していたところ、トータルウォーというとんでもないPCゲームに辿り着きました。会戦に関してはそれこそSPIのウェリントンの勝利レベルの詳細さになっています。また、ネット上のコミュニティも充実している様で、なかなか楽しそうです。膨大な開発費が掛かっていそうなゲームなので競合製品が乱立する事も無いでしょうし、案外細く長く存続して行きそうな気がします。

現在の私は、紙のマップ上に並んだ駒を眺めながらデザイナーの意図を確認したり、歴史的背景について調べたりする事が趣味となっているので、あえてこのゲームに手を出そうとは思いませんが(Mac版があったらアマゾンでクリックしてしまいそうです)、ウォーゲームにハマった若い頃にこんなゲームが存在していたら、あえてボードゲームを選択する事は無かったのでは無いかと思いました。

『歴史や軍事にかぎらず、ひとつの問題をさまざまな角度から分析・検証し、その問題の本質に少しでも近づこうと努力する人間に対して、実に多く の「考えるヒント」を与えてくれるのが、ウォーゲームというホビーです』

今の私には非常に共感できる言葉です。
新たな視点を与えてくれるゲームを できれば1年に1作、提供し続けて頂けましたら、とても嬉しいです。
by 出戻り2008 (2010-06-21 21:39) 

Mas-Yamazaki

同窓会ゲーマーのつぶやきさま、ゴドーさま、管理職さま、残り火さま、出戻り2008さま: コメントありがとうございます。いただいたご意見に対する、私の返答は、新しい記事の方で書かせていただきました。今後も、何かお気づきの点などありましたら、お聞かせください。よろしくお願いします。
by Mas-Yamazaki (2010-06-22 19:00) 

RS

タクテクスの愛読者でしたが、初期の号数1ケタ台は、ゲームプレーに役立つ実用記事が豊富な上、スタッフのSGへのパッションや愛情が伝わってくる誌面だったので、今でも捨てられずに手元に残してます。

ブームの盛り上がりでゲームの粗製濫造時代が始まり、タクテクスがRPGと相乗りになった頃から、雑賀さんの言われるようにゲーム雑誌が「みな宣伝誌化」してつまらなくなりました。末期の季刊時代は値段が高くなったのに誰得な読者参加企画のページが大量にとられてたり編集後記で毎回コンピュータゲームの話題ばかり出るなど、ボードのSGにパッションも愛情もなさそうなスタッフがやっつけで作業をしている感じでしたけど、貴重なSG雑誌だったので廃刊まで惰性で買ってました。

あの頃の業界の内情までは知りませんけど、ある時期からSGへのパッションや愛情よりも売上げ優先にシフトしたのは間違いないと思います。ふつうのおもちゃ屋さんにも置いてるくらいだったし、ブームが終わるまではよっぽど儲かったんでしょうね、メーカーさんは。
by RS (2010-06-24 00:01) 

Mas-Yamazaki

RSさま: コメントありがとうございます。初期の『タクテクス』誌は、私も手放さずに持っています。原点回帰、というわけでもないですが、たまに読み返すと、ゲームデザインやシックス・アングルズ制作の迷いや躊躇が打ち消されることがあったりします。

ブームの時期の収益については、いずれのメーカーも外部には公表していないので、本当のところは不明です。しかし、大手さんがあれだけ参入したわけですから、動いていた金額は相当大きかったと思います。推測ですが、億単位まで達していたかもしれません。
by Mas-Yamazaki (2010-06-27 00:20) 

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