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2010年11月4日 [その他(雑感・私生活など)]

ブログ更新の間隔がだいぶ開いてしまいましたが、先週末の10月30日(土)から昨日の11月3日(水)まで、仕事の打ち合わせや「15年越しの対戦成就」(後述)などの用件で、横浜と東京に遠征していました。幸い台風の影響もほとんど受けず、非常に充実した5日間となりました。

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画像は公式ホームページより

初日は、堀場亙さんと横浜美術館で「ドガ展」を鑑賞した後、夕食をご一緒しながらお話しました。ドガの「踊り子」シリーズは、ブエノスアイレスの国立美術館に素描が多く展示されているのを目にして以来、どこかできちんと展覧会を観たいと思っていたところでした。印象派の中では、ドガの赤や黄色の重たい彩色は好きな部類に入りますが、今回の目玉である「エトワール」の優雅な表現(パステルで描かれた踊り子の儚げな美しさ)も素晴らしかったです。姪っ子が何年も前からバレエ教室に通っているので、お土産に踊り子さんのポストカードを何点か買いました。あと、常設展示室にあるシュルレアリスム作品も、前回は見なかったダリやエルンストの作品が何点かあり、思わぬ収穫でした。

堀場さんとは、絵画の話に加えて、文筆の仕事や歴史・戦史、ゲームデザインなど、話題は多岐にわたりましたが、執筆に使用されている新しいデバイスをいくつか見せていただき、新製品の技術情報から取り残されている人間(私も妻も、iPad/iPhoneを「友達に少し触らせてもらったことがある」というレベルです・笑)としては、コンパクトで便利なツールが次々と出ているのだなぁ、と感心しました。私は、以前の記事でも述べました通り、仕事では「紙の書籍」を主な情報源としていますが、PDFでA4判1000ページに達するようなデータ(米陸軍が全訳した「ハルダー戦時日誌」無編集版など)になると、紙への出力など事実上不可能なので、軽くて丈夫で可読性が高くて安価で電力消費も少ない(理想は「電源不要」ですが)PDFリーダーがあれば、PDF資料の閲覧専用機として一台導入したいところです。

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10月31日(日)は、横浜の古豪ゲームクラブYSGAさんの例会にお邪魔して、同会の松谷健三さんとGDW 『ホワイト・デス』 の「15年越しの対戦」を成就できました。この対戦に至るまでの経緯や、対戦の模様(地図上の展開)については、以前の記事のコメント欄とYSGAさんの公式ブログ記事を参照していただきたいですが、まさかこのような形で「時の流れに埋もれて消え去ろうとしていた約束」が果たされる機会がやってこようとは…。これが初対面となった松谷さんと対戦しながら、つくづく、人と人との「縁」といったものを実感させられました。

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対戦そのものは、7ターンまで進行できましたが、このゲーム(あるいは作戦戦術級)の魅力である「白い雪原で双方の各兵科部隊が、それぞれの特質を活かして必死に射撃戦を繰り広げ、砲声と黒煙が戦場を覆う中で、戦況が秤のように少しずつ片方へと傾いたり元に戻ったりする、上質の戦記書を読んでいるかのようなドラマ」を、たっぷり満喫できました。例会の後は、こちらも15年ぶりの再会となった山内会長やYSGAの皆さんと夕食をご一緒でき、各人がシミュレーション・ゲームを始めた頃の逸話や、プレイ経験に基づくさまざまなゲームの評価など、本当に楽しい時間を過ごすことができました。対戦してくださった松谷さんはじめ、YSGAメンバーの皆様、どうもありがとうございました。正式な月例会だけでも、今回で「第256回」とのことで、外的環境の変化にもまったくブレることなく、ゲームの魅力を最大限に引き出して楽しむという姿勢を貫かれた上での活動実績は、このホビーを愛する同好の士として、深い尊敬に値するものだと思います。ぜひまた参加させてください。

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11月1日(月)は、新横浜から八王子経由というルートで東京入りし、お昼はKEN先生と昼食をご一緒して、政局の問題点など興味深いお話をいろいろうかがえました。今年の参議院選挙以来、大きな事件が高波のように次々と現政権に打ち寄せていますが、私は戦史や紛争史の分析を行う時、いつも「当事者が何を主張しているか」よりも「特定の出来事に対して、当事者がどのような反応(行動)を示したか」を調査・観察することで、その当事者が「本当に頭の中で考えている(いた)こと(行動原理や動機など)」を判断する材料にしています。そういう視点で、現政権の諸々の「大波」に対する反応を見ると、ある種の結論に到達せざるを得なくなってしまいますが、それでも参謀将校に近い立場で代議士を支えて、大小の「波」と全力で対峙する姿勢をとっておられるKEN先生のような方は、本当に貴重な存在だと思います。今後ますますのご活躍を期待しています。

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新しくなった第二議員会館最上階からの、国会議事堂(背面)の眺め。

同日の夕方からは、学研さんにお邪魔して、執筆が大詰めを迎えているハードカバー本の最終打ち合わせと、ムック『太平洋戦争』第10巻の担当記事の相談等を行った後、同社編集部の重鎮太田さん、『歴史群像』前編集長の新井さん、同誌現編集長の池内さんと食事しながら、私の関わる仕事の今後の方針などに関する「戦略会議」(笑)を行っていただきました。「バルバロッサ作戦」のような大規模な軍事作戦はもちろん、小規模な作戦であっても、参加する人員の「意思統一」が万全でないと、途中で綻びが生じたり持てる能力をフルに発揮できなくなったりする度合いが高くなる気がしますが、編集・出版サイドの「意思」や「目標設定」をなるべく詳細に把握することで、私が執筆者として関わる出版物の完成度を高めることにより貢献できればと思いました。また、私の過去の仕事について、いろいろな角度からの質問や指摘を受けることで、特定の能力をさらに磨いたり、新たな分野への能力を開拓したりする上でのプラスにもなるので、現在年二回で行っている上京は、職業人としての私にとって大変有意義な(あるいは不可欠な)イベントとなっています。来年は、あと一回くらい増やしてもよいかもしれません。

11月2日(火)は、上野の国立科学博物館で開催中の「空と宇宙展」を観に行きました。「はやぶさ」関連の展示が充実していたこともあり、平日の午前にもかかわらず館内は大盛況でしたが、ちびっこから年配の方まで年齢層が幅広く、また女性の姿も多く見られ、企画展としては大成功だったようです。個人的には、昔勤務していた会社の雑誌記事で紹介したこともある二宮忠八の直筆書状(しかもカラスのイラスト入り!)などに感動しましたが、人気が集まっていたのはやはり「はやぶさ」とYS11関連のコーナーでした。帰還カプセルやその時の降下パラシュートなどは、別室に展示した上、ガードマンが両脇を固めて「写真撮影は厳禁。もし撮ったらその場で削除していただきます」という、まるでレーニン廟のレーニンの遺体のような物々しい扱いでしたが、カプセル本体はどう見ても普通の調理用のナベにしか見えず(笑)、言われなくても写真なんて撮らないよ、という感じでさりげなく通過しました。

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画像は公式ホームページより

その後、神田神保町で開催中の「神田古本まつり」を少し覗いてから、日比谷に移動して、以前の記事でご紹介したアイルトン・セナの映画を観たり、「高橋コレクション日比谷」という現代美術の展示会場で奈良美智さんの作品を観たりして過ごしました。昔は、神田に行くたびに大量の古書籍を購入して指が痛くなったものですが、最近は上京しても神保町に足を向けることがほとんど無くなり、今回もいろいろ店舗を見て回ったものの、結局何も買わずに立ち去りました。執筆の仕事に古い文献は不可欠なので、今でも一般の人よりも大量の古書を購入してはいるものの、古本屋に入って「ワクワクする」という感覚は、今はもうなくなってしまいました。この辺りの心境の変化については、いずれ整理して書こうと思っていますが、間違いなく私の中で何か大きな変化が生じているようです。

11月3日(水)は、まず六本木の国立新美術館で開催中の「ゴッホ展」を鑑賞しました。ゴッホ好きの妻から、この画家のエピソードをいろいろ聞くうち、「アルルの寝室」のような有名な絵も今までとは少し違う視点で観ることができるようになりましたが、今回は二点の自画像が特に印象に残りました。また、生前は全く評価されず、後世に「天才」と見なされた一人の画家の足跡を丁寧に追うという企画の趣旨も、なかなか興味深いと思いました。影響を受けたと思われる画家(スーラやモネなど)の作品を併せて展示することで、創作手法の変遷を探るという試みも、なるほどという印象でした。

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画像は公式ホームページより

この展覧会を観た後、六本木で昼食を食べて、帰りの午後6時発の新幹線まで時間があったので、あまり深く考えずに両国の「江戸東京博物館」に行ってみたのですが、そこに展示されていた歌川広重の浮世絵を観ているうち、つい数時間前に観たゴッホの作品のいくつかが重なり合って見え、これは確かに影響をだいぶ受けている(ゴッホが広重から)と確信できました。もしゴッホ展をご覧になる予定の方がおられましたら、こちらの博物館も覗いてみられることをお薦めします。江戸~東京にまつわる展示も非常に充実していて、想像していた以上に楽しめました。

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画像は公式ホームページより

今回の関東遠征でも、いろいろな方が会ってくださったおかげで、非常に充実した時間を過ごせました(樋口さん、坂本さんが急に体調を崩されて、お会いできなかったのは残念でしたが、また次の機会に)。皆様、お忙しい中で時間をとっていただき、本当にありがとうございました。これで、年内の長距離移動の予定は一応完了し、あとは月内にハードカバー本を脱稿すべく最後の加速に入ります。

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XXV

こんばんは!

以前にブログでコメントされていたらごめんなさい。
「ウエスト・ウォール」結構楽しみにしていたのですが、
出版の予定は無くなってしまったのでしょうか?
by XXV (2010-11-04 22:06) 

堀場

山崎さん、こんにちは。
先日はどうもありがとうございました。

ようやく最近、「ネット引きこもり」状態から脱して、現在は慣らし運転中です。
もう少ししたら、HPなどの整備も行なっていく予定です。

それはさておき、ドガ展や、その後の会話は久々に良い刺激になりました。
政治絡みの話や社会情勢など、普段はあまり話すこともできないので……。

そういう意味では、日本にもイギリスのような「サロン」があるといいなぁと思います(ドイツにもありましたっけ?)。

1日~3日もかなり濃厚な日程だったのですね。
江戸東京博物館は私も以前から行きたいと思っていて、なかなかタイミングが合わずにいつも逃していました。
こちらも近いうちに行ってみたいですね。

>古本屋に入って「ワクワクする」という感覚は、今はもうなくなってしまいました。

これ、ちょっとわかる気がします。
もっとも未だに物欲魔人の私は、やっぱりワクワクして買ってしまったりするのですが。

今回は樋口さんが欠席ということで残念でしたが、次回はぜひまた三人で「会談」したいものです。

最後の追い込み、頑張ってください。
私もそろそろラストスパートです。
by 堀場 (2010-11-04 22:15) 

茨城の材木屋

2度目のコメントになります
YSGAですか、懐かしいですね。直接の接点はありませんでしたが、学生のころは何度か名前をお聞きしたゲーム団体でした。
ところで、私ごとですが、学生時代に所属していたゲームサークル(国学院大学のKGMCといいます)がこのたび創立30周年を迎えました。数多くあった大学ゲームサークルでおそらく唯一の生き残りかと思います。
山崎様が上京していた時期にちょうど学園祭でゲームの展示・競技を行っていました。今後、機会がありましたら、お寄りください。
失礼かとは思いますが、HPのアドレスを書き込んでおきます。

http://www.geocities.co.jp/CollegeLife/5406/index2.html

かつては、4日間の学園祭で
ロンゲストデイやSPIのWAR IN EUROPAやファイアー・イン・ジ・エースト等のビッグゲームをやっていたのが思い出です。
by 茨城の材木屋 (2010-11-05 17:50) 

Mas-Yamazaki

XXVさま: コメントありがとうございます。お尋ねの 『ウエストウォール』 ですが、現在執筆の仕事と自治会長の仕事が忙しく、やむを得ず進行がストップした状態になっています。ただし、出版計画そのものは「生きて」いますので、自治会長の任期が来年3月に終わってから作業を再開し、5月か6月くらいを目途に、発売しようと構想中です。また、『ベアズ・クロウ』 も同様で、来年春以降にデザインとディヴェロップを再開する予定です。

お待たせして申し訳ありませんが、ベストの状態に仕上げた上で、必ず出版しますので、もうしばらくお待ちいただければ幸いです。よろしくお願いします。
by Mas-Yamazaki (2010-11-11 22:55) 

Mas-Yamazaki

堀場さま: コメントありがとうございます。こちらこそ、先日はおかげさまで(翌日のYSGAさんの例会&食事会も含め)楽しい時間を堪能できました。次回もよろしくお願いします。

江戸東京博物館は、けっこう見応えのある内容でしたので、建設中のスカイツリー見物なども兼ねて、一度行かれることをお薦めします。その際、JR両国駅ではなく、地下鉄大江戸線の両国駅を出て、西側の階段から3階部分(大きすぎてそこが地面と錯覚します)へと上がっていくルートがお薦めです。映画 『第9地区』 の宇宙船、あるいは某アニメの「木馬」が低空に浮かんでいるような錯覚を味わえます(笑)。

堀場さんも、仕上げの執筆に頑張ってください。
by Mas-Yamazaki (2010-11-11 23:05) 

Mas-Yamazaki

茨城の材木屋さま: コメントありがとうございます。リンク先のサイトを拝見しました。YouTubeの会員募集の動画、超カッコイイですね~。活動歴30年とは、素晴らしい実績だと思います。ブログをブックマークさせていただきましたので、次回の上京日程を計画する際には、参考にさせていただきます。

今後も、長く活動を続けられることをお祈りします。
by Mas-Yamazaki (2010-11-11 23:11) 

XXV

おはようございます。
お忙しい中お返事ありがとうございます。

安心して良いものができるのを待たせていただきます。
お仕事がんばって下さい。
by XXV (2010-11-12 10:02) 

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