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2011年11月14日 [その他(戦史研究関係)]

先々週から今週末まで、学研さんの『歴史群像』誌次号担当記事「ウラン作戦」と、KKベストセラーズさんの『歴史人』誌担当記事「日露戦争」の原稿執筆および地図製作に没頭しており、ブログの更新が滞り気味ですいません。

歴史群像』誌の「ウラン作戦」は、第二次世界大戦の転回点(ターニングポイント)とも評される、1942年11月に開始されたソ連軍のスターリングラード包囲を目指す反攻作戦を、「作戦術(Operational Art)」の文脈で読み解く記事です。大粛清以前のソ連赤軍内における作戦術研究の系譜(スヴェーチン、トリアンダフィーロフ、イッセルソン)や、トリアンダフィーロフとイッセルソンの薫陶を受けた赤軍参謀総長ヴァシレフスキーが反攻計画の立案で果たした役割、赤軍参謀本部の実務、そして「独ソ開戦以来一度も『作戦術』の文脈で軍事行動を行えなかったソ連赤軍が、なぜ『ウラン作戦』では初めて、そのような行動を行いえたか」という理由の分析などを盛り込んでいます。発売は来年1月初めの予定です。

歴史人』誌の記事は、日露開戦から第三次旅順口閉塞作戦の失敗までの日本海軍の苦闘を、原稿と計10点の地図で図解する記事です。地図は海軍軍令部編纂『明治三十七八年海戦史』やロシア側文献の収録地図などを基に、従来の類似本よりも明快で情報量の豊富なものに仕上げるべく尽力中です。こちらは、今年の12月中旬に発売予定です。両誌とも、興味のある方はぜひ楽しみにしていてください。

原稿執筆の作業で改めて資料本を読み込んでいると、関連テーマのゲーム(『パウルス第6軍』や『戦略級 日露戦争』など)をプレイして、ある特定の行動や要素についてのゲーム内での再現性などを確かめたくなることが多々あります。チル川から地図外への突破に付与した勝利得点の設定は妥当だったか、とか、旅順港封鎖に伴う連合艦隊の損耗は、など…。

stalingrad.png

残念ながら『パウルス第6軍』も『戦略級 日露戦争』も現在は品切れ絶版状態ですが、お持ちの方はぜひ、前記記事の掲載誌が発売されたら、新たな視点でプレイを楽しんでいただければと思います。

portarthur.png

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コメント 4

堀場

歴史人の日露戦争特集、面白そうですね!
太平洋戦争を特集した12号も、私は非常に気に入っています。
この手の雑誌で2/3以上を特集記事で埋めるというのは、なかなかの英断だと思います。
発売を楽しみにしています。
by 堀場 (2011-11-16 01:06) 

作戦級の僕

「作戦術」に関する記事とても楽しみにしています。ちょうど瀬戸氏の日露戦争の本の最後に書かれていた話を読んで、興味がわいてきた所だったので。。これは古くて新しい概念なのでしょうか?
by 作戦級の僕 (2011-11-17 14:45) 

Mas-Yamazaki

堀場さま: コメントありがとうございます。今回の私の担当記事は10ページですが、それでも日露戦争の「始まりの部分」だけなので、また「一冊丸ごと日清・日露戦争」という濃い内容になると思います。記事に入る予定の再現CGも見せてもらいましたが、これも結構すごいですよ。

ところで『ベアズ・クロウ』のもう一つのゲーム「キエフ=ウマーニ」のテストを月末に行います。「スモレンスク」で何かフィードバックがありましたら、ぜひ(メールで)お聞かせください。

by Mas-Yamazaki (2011-11-17 23:41) 

Mas-Yamazaki

作戦級の僕さま: コメントありがとうございます。瀬戸利春さんの『奉天大会戦』は、私も読みました。「作戦術」の概念が見直されるきっかけになったのは、1991年の湾岸戦争で勝利した多国籍軍の司令官ノーマン・シュワルツコフ大将が「完全勝利を収めた秘訣」としてこれを挙げたことでしたが、米軍内部ではそれ以前からソ連赤軍の内部文献を空軍などが訳してドクトリン研究の対象にしていたようです。

「古くて新しい概念」というのは、言い得て妙だと思います。掲載号の『歴史群像』は来年1月発売予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください。
by Mas-Yamazaki (2011-11-17 23:47) 

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