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2012年10月15日 [突撃レニングラード]

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昨日、石田さんとシックス・アングルズ別冊第9号『独ソ戦コレクション-2』のメインゲーム「突撃レニングラード(Assault on Leningrad)」の日本版開発用テストを行いました。

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ご存知の方も多いかと思いますが、このゲームは米国WWW社より『The Wargamer』誌第14号付録として1980年に発表され、1983年にホビージャパン社より箱入りの日本語版として発売されたゲームの復刻版です。今回の別冊第9号としての出版に際しては、原版をプレイする上で問題と思われた点(地図上の曖昧な地形の明確化など)や改善すべき点(コマに記載する情報の追記やデザインの工夫など)を盛り込み、さらに過去の「レトロスペクティブ」シリーズと同様、ゲームの内容を改善させるための「日本版追加選択ルール」を盛り込んでいます。

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今回のテストは、制作中の地図や駒の使い勝手の確認と、余白に入れる情報の検討、ルール不明点の検証、「日本版追加選択ルール」の効果の確認などが主目的でしたが、途中でいろいろ中断しつつも、一日でほぼフルターンを終わらせることができました。

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1983年にホビージャパンから日本版が出た時、ほぼ同時期に出版された『スターリングラード攻略』(シックス・アングルズ別冊第1号として2005年に復刻出版)と比較して、話題性の面で少し弱かったような記憶がありますが、私は当時からこの二つを両方とも気に入っており、新『シミュレイター』誌の第8号かその前後(記憶があやふやです)の読者参加記事で好きなゲームについて書いた時も、両方をリストアップしました。

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今回、改めてプレイして感じたのは、オーバーランのルールが無いオーソドックスな作戦級のシステムのためか、展開の派手な『スターリングラード攻略』との対比としての全般的な「展開の地味さ」でした。当時中学生だったゲーマーの感覚では、どうしても派手な展開に魅力を感じる傾向があったと思いますが、全25ターンという時間軸の中で、三方向からドイツ軍が一点(レニングラード)を目指すという作戦の計画を、プレイヤーが自分で組み立て、通常のゲームならば「オーバーランあり」の1ターンで進める距離を、「オーバーラン無し」の3ターンくらいかけて進むという展開は、じっくりと腰を据えて取り組むには逆に適したスタイルであるように思われます。

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ドイツ軍は、北方軍集団の第41と第56装甲軍団、および中央軍集団から分派される第39装甲軍団を構成する装甲師団や自動車化歩兵師団を、連隊規模のユニット(装甲師団は3個連隊、自動車化歩兵師団は2個連隊)で保有していますが、軍団ごとの師団の所属が厳しく固定されており、自由自在に部隊を走らせることができません。この制約も、当時の中学生ゲーマーにはフラストレーションがたまる要素でした。しかし今改めてプレイすると、これは言うまでもなく実際の部隊運用に近い歴史的な制約であり、レニングラード戦の雰囲気をリアルに醸し出す「特長」であるように感じられます。

テーマが1941年のレニングラード戦ということで、ソ連軍は全体的に防御側となり、『ベアズ・クロウ』のような戦車師団を用いた大反撃は、なかなか行うのが難しい状況にあります(ただしドイツ軍が師団をばらして連隊で戦線を張るような局面では、反撃のチャンスもあります)。では、ソ連軍プレイヤーはゲーム中ずっと受け身なのか、といえば、決してそうではなく、正規軍の各正面の陣地からの撤退のタイミングを見極めつつ、計4個のゲリラ大隊ユニットをドイツ軍の背後に浸透させ、間接的アプローチでドイツ軍の進撃計画を狂わせるという「作戦」を、アグレッシブに行う必要があります。

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私の印象では、これらの「ゲリラ大隊」ユニットは、このゲームの「ソ連側の陰の主役」とすら呼べるほど重要なユニットで、今回の対戦でもドイツ軍プレイヤー(私)がゲリラの脅威に過剰に対応し過ぎたため、レニングラードへの歩兵部隊の到着が遅れ、時間切れによるドイツ軍の敗北という結果に終わってしまいました。このゲームは補給切れのペナルティが厳しいので、最低限の兵力で各軍団ごとの補給線をゲリラの脅威から守りつつ、前進速度を落とさないよう、ドイツ軍プレイヤーは努力しなくてはなりません。

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今回の対戦では、「日本版追加選択ルール」として、以下の2点を導入しましたが、いずれも想定した通りに機能してくれているように感じられました。

1. ソ連軍のゲリラ大隊ユニットは、第1ターンのソ連軍移動フェイズで必ずレニングラード市街および転移へクスから本地図へと移動して出なくてはならず、ゲーム中は二度とレニングラード市街および転移へクスへと戻ってくることができない。

2. ソ連軍のゲリラ大隊ユニットと、ドイツ軍の軍団司令部ユニットは、爆撃結果の「分散」の影響を受けない。言い換えれば、プレイヤーはゲリラ大隊ユニットや軍団司令部ユニットを目標とする爆撃を行えない。

ユニットのデザインに関しては、いくつか改善の必要性が感じられたので、最終版とは違うものとなります。次回のテストでは、なんとか早期にレニングラードへと到達し、市街戦ルールの確認と追加選択ルールの検証を行う予定です。

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コメント 4

YSGA saehideo

初めまして YSGAのsaehideoと申します。
いきなりのコメント失礼いたします。

昔からこのゲームをプレイしていて先日もYSGAの例会にてプレイしておりましす。
写真の再販ゲームは色デザインなど素晴らしく非常に楽しみです。
特に駒が見づらいので自分でも自作してサンセットDDAY風に軍団、師団の区別が簡単にできるようにしておりました。
また近いうちにプレイする予定です。

すでにお気づきだと思われますが、上記写真で気になった点がございます。41装甲軍団の司令部です。元のゲームのユニットは車輪がついており自動車化(機械化)されております。新しいユニットの戦力等部分の白色が自動車化(機械化)だと思われます。41装甲軍団司令部は単純に移動力が8で多いのではなく、この司令部は機械化されているとしてプレイしておりました。

いきなりのコメント申し訳ございません。
よろしくお願い致します。
by YSGA saehideo (2012-10-26 22:38) 

Mas-Yamazaki

YSGA saehideoさま: コメントありがとうございます。ご指摘の通り、この最初のテスト用キットにはいくつか間違いが含まれています。第41装甲軍団司令部は、ルール11.37項にある通り、機械化(車輛)ユニットです。また、写真では判別しづらいですが、本来第28軍団所属であるSS髑髏師団が、間違って第41装甲軍団所属となっています。

これらの間違いを修正し、またマップの余白に増援ユニット置き場を入れたバージョンの地図と駒を作りましたので、明日、堀場さん宛に発送する予定です。先日の例会場で、山内会長よりD-Day風の自作ユニットを見せていただき、それを参考にしてドイツ軍ユニットの配色デザインも変更しました。新バージョンでは、軍団ごとの色の違いと装甲/自動車化歩兵師団ごとの色の違いを両方区別できるようにしています。

ということで、もしよろしければ新バージョンで一度プレイしていただき、ご感想や修正すべき点などのアドバイスをいただければ幸いです。『突撃スターリングラード』のマップとユニット、および修正箇所を列記した紙も同封しますので、そちらもぜひ一度プレイしてみてください。よろしくお願いします。
by Mas-Yamazaki (2012-10-26 23:07) 

YSGA saehideo

山崎様
さっそくのお返事ありがとうございます。
10月6日記事のマップについても少し書かせていただきましたので、ご参考にしていただけると嬉しいです。

このゲームは高校時代(25年以上前)に相当プレイしました。
YSGAで入会後15年以上ずーと対戦を希望を出していたのですが、プレイかなわず。やっと最近YSGA会長殿やS氏とプレイさせていだきました。

1日でプレイが終わるゲームです。私は非常に好きです。
移動中のスタック制限に痺れながらレニングラード市街前面の陣地でのユニットの入れ替えのギリギリ感や21ターンの41装甲軍団が撤退するまでに市街地突入を阻止することが楽しいです。

タクティクスのデザイナー氏の記事は気をつけなければならない部分があります。8ページの前進防御のリプレイは第8装甲師団、されこうべ師団、58装甲軍団が1ターンから投入されています。デザイナー氏はこのリプレイを載せるにあたり、バリアントとして提案していただけれいればこのリプレイ記事の意味があると思いますが。その場合、だれもロシアをプレイしないですね。

長々と申し訳ありません。
YSGA会長殿が再販について言っていたので、先ほどさらっと検索したらヒットしたのでびっくりしました。ここまで話が進んでいるとは思っていませんでした。
で、つい書き込んでしまいました。

よろしくお願い致します。
by YSGA saehideo (2012-10-26 23:34) 

Mas-Yamazaki

YSGA saehideoさま: コメントありがとうございます。ゲームは、既に堀場さんのところにお送りしましたので、新版のマップとユニットでプレイしていただければ幸いです。また、バリアントの『突撃スターリングラード』も一緒に入っています。

ご指摘のとおり、このゲームはスタック制限が移動中にも適用されるので、ユニット数は比較的少ないのに、移動時にはけっこう頭を使いますね。ソ連軍ではなくドイツ軍師団の軍団司令部への拘束も、なかなか良い効果をあげていると思います。
by Mas-Yamazaki (2012-10-31 21:35) 

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