SSブログ

2014年3月9日 [その他(戦史研究関係)]

今日は雑誌記事の告知を2つ。まず、学研パブリッシング刊『歴史群像』誌の第124号が発売されました。

06.JPG


rekigun124s.JPG

私の担当記事「第一次世界大戦への道」は、この戦争が勃発した経緯を、直前に起きた二度のバルカン戦争を軸に、当時の欧州列強と周辺中小国の世界秩序(ワールド・オーダー)から読み解いています。日本では、あまり知名度が高くないバルカン戦争ですが、この二度にわたる戦争の背景、つまり当時のバルカン情勢を知れば、「サラエボ事件」(1914年6月28日、オーストリアの皇位継承者フランツ・フェルディナント夫妻がオーストリア領ボスニアのサラエボでセルビア系ボスニア人の若者に暗殺された)がなぜ第一次世界大戦の発端になったのかという理由を、より理解しやすくなるのではないかと思います。

次号の担当記事は、ドイツと英仏露三国の対立関係を軸に、第一次世界大戦の勃発経緯に迫る内容で、今号の記事と「組」になります。参戦国が多いこともあり、日本人にはわかりにくい第一次世界大戦ですが、「第三次バルカン戦争」(最新号の記事)と「東西欧州戦争」(次号の記事)に切り分けると理解しやすくなるかと思います。

02.JPG

ちなみに、今号の巻末には、第一次世界大戦の戦況を文章と写真、そして戦況図で紹介する戦時グラフ誌『欧州戦争実記』の一部が採録されています。出版元は、博文館という当時の雑誌文化を担った出版社で、私も何冊か所有していますが、珍しい写真が多く(各国の政治家や将軍など)掲載されているほか、詳細な折り込みの戦況図は特に私にとって興味深い内容です。青島(チンタオ)攻略戦やセルビア戦線の地図などは、眺めていると当時の戦いの息吹が伝わってくる気がします。1914年8月から1918年6月まで、計100号(!)が刊行されました。

03.JPG


04.JPG

ところで、私が『歴史群像』誌に初めて寄稿したのは、1999年の春夏号(第38号、当時は季刊だった)で、それからちょうど15年、冊数に直すと87冊になります。最初の原稿は、ドイツ軍の名将エーリヒ・フォン・マンシュタインのクリミア半島攻略をテーマにした「マンシュタイン戦記」でした。

第38号から最新号まで、一号も欠かさず毎号一本以上の本文記事を書いてきた筆者は私一人だけです(自慢御免)。記事の本数を数えたら、最新号で計94本で、あと6本で100本の大台に乗ります。今後も、編集部からの執筆依頼が続く限り、内容の充実した記事を書くようベストを尽くしていきます。

01.JPG



あと、先月の話になりますが、国際通信社刊『コマンドマガジン日本版』第115号も発売になっています。私の担当記事は、シックス・アングルズ別冊第7号『ウエストウォール』に収録している4ゲームの1つ「アルンヘム」の内容紹介です。付録ゲーム「マーケット・ガーデン作戦」と一緒に、このゲームも楽しんでいただければ幸いです。

08.JPG


09.JPG

記事の中では、製品本体に収録できなかった「選択ルール」にも触れています。これは、橋梁爆破の判定がサイコロの目に大きく左右されるという、SPI社の原版にある構造的問題を解消するために考案したものです。ドイツ軍プレイヤーは、大河の道路橋(戦後に「フロスト橋」と名付けられる、アルンヘムの鉄橋を含む)以外では、連合軍のユニットが運河橋と鉄道橋のヘクスサイドに初めて接触した時、橋梁爆破を試みることができます(映画『遠すぎた橋』でソン橋が爆破されるシーンのイメージです)。

成功率は3分の1(6面体サイコロで1か2の目が出たら成功)で、爆破された橋は一時的に使用できなくなります。連合軍は、第30軍団の工兵ユニットを用いて、爆破された橋を修復できます。ただし、サイコロで判定するルールだと、ゲーム全体の運・不運に偏りが出る可能性があるため、製品には専用の橋梁爆破マーカー(橋1つごとに1回、爆破の試みを行える)を計15個用意し、「橋梁爆破マーカーをカップに入れて、チットとして引く」形式でプレイできるようにする選択ルールを考案したのですが、誌面スペースの関係から本誌に収録することができませんでした。

そこで改めて「アルンヘム」の選択ルールを以下に発表します。ゲームをお持ちの方は、ぜひ下記のルールでプレイしてみてください。

12.2 橋の爆破に関する選択ルール
12.21 両プレイヤーが同意すれば、以下の選択ルールを用いて橋の爆破を判定します。
12.22 ゲーム開始時に、計15個の橋梁爆破マーカーを、マグカップなどの不透明な容器に入れておきます。そして、ドイツ軍プレイヤーは、橋の爆破を判定する機会が生じるごとに、サイコロを振る代わりに、このカップから無作為にマーカーを1個引きます。
12.23 もし、引いたマーカーの表面(縁にカーブがある側)に「爆破失敗」が印刷されていれば、爆破は失敗したものと見なされます。引いたマーカーの表面に「爆破成功」が印刷されていれば、爆破は成功したものと見なされます。
12.24 引かれたマーカーは、そのまま表面を上にして、該当する運河橋または鉄道橋のヘクスサイドに置かれます。
12.25 いったん引かれたマーカーは、連合軍工兵による修理でマップ上から取り除かれても、カップには戻さず、ゲームから除外されます。

計15個あるマーカーのうち、「爆破失敗=表」が10個、「爆破成功=表」が5個なので、1回目の確率はサイコロを振る場合と同じですが、ゲーム全体での「成功と失敗の確率」がほぼ均等化できます(爆破の試み自体が行われない橋もあるので、完全に均等化されるわけではないですが)。


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
2014年2月5日2014年3月15日 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。