SSブログ

2014年7月6日 [その他(戦史研究関係)]

昨日の7月5日は、1943年7月にソ連西部の街クルスクの南北で繰り広げられた「ツィタデレ作戦」の開始から71周年でした。潮書房光人社さんのNF文庫の一冊として刊行される私の新著『クルスク大戦車戦』は、8月後半に発売の予定です。既に校正は完了しており、あとは発売を待つばかりです。21世紀に入って欧米諸国で大きく進展した、クルスク戦の再評価を反映した内容で、会戦全体を多角的に描き出した作品です。この主題に興味のある方は、ぜひ楽しみにしていてください。


また、昨日は学研パブリッシングさんの『歴史群像』誌最新号(2014年8月号/第126号)の発売日でした。私の担当記事は2本とも1942年8月19日のディエップ上陸作戦で、カラー4頁はディエップ上陸が行われた海岸の現況リポート、白黒10頁は作戦の背景と経過についての分析研究記事です。写真と戦況図も私が担当しました。

ディエップ1s.jpg


ディエップ2s.jpg


ディエップ3s.jpg

ディエップ上陸作戦は、これまで第二次大戦史研究の中でも(日本では)あまり光が当てられておらず、作戦の目的や意義についても、いまひとつ判然としないと感じられていた方も多いかと思います。今回の『歴史群像』誌の記事は、こうした輪郭の曖昧だった部分をクッキリと浮かび上がらせ、戦争全体の流れの中でのこの作戦の位置づけを明確にすることを目指して書いたものです。巻頭カラーの写真入りリポートは、わりと地味な上陸海岸の写真が多いですが、本文記事と併せてお読みいただければ、より内容の理解が深まるのではないかと思います。

このクルスク文庫本とディエップ上陸作戦の記事内容については、6月16日に書いた記事も参考にしてください。

ちなみに、次号の私の担当記事は第三特集の「WWI 中東戦線」です。第一次世界大戦期における、オスマン帝国(トルコ)と英仏連合軍の中近東一帯での戦いが主題となります。

現在のイラクやシリアは、第一次大戦中に英仏が結んだ密約「サイクス=ピコ協定」に端を発する国家で、ある意味では「アラブやイスラムに理解のない西欧の価値観で作られた人工国家」とも言えます。テーマから外れるので本文では深入りしない予定ですが、同地に最近出現した「イスラム新国家」の背景を理解する上で、オスマン時代の同地を知ることは参考になると思います。


それともう一つ、六角堂出版の電子書籍の新刊として、第42弾『ノルウェー侵攻作戦』を出版しました。

ノルウェイ.png

山崎雅弘戦史ノート 第42弾『ノルウェー侵攻作戦』

ノルウェー戦は、ドイツ軍による侵略という形式で開始されましたが、ノルウェー側についたイギリスとフランスも、それぞれの「国益」追求という観点から、ドイツ軍のノルウェー侵攻を「好都合な出来事」と捉える態度をとっていました。自国の利害や意志とは全く関係なく、ドイツと英仏の戦争に巻き込まれた中立国ノルウェーの事例を通して、国の安全保障問題について考える一助となれば幸いです。

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
2014年6月27日2014年7月19日 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。