2022年12月30日 [仕事関係のおさらい]
8月15日の更新以来、いろんな用事にかまけてブログを放置してしまいましたが、この4か月の仕事に関する新しい情報を投稿します。
まず、1999年から23年間、1回のお休みを除いて毎号寄稿している雑誌「歴史群像」(ワン・パブリッシング)への寄稿から。
9月発売の10月号の担当記事は「アイゼンハワー」で、第二次大戦後半戦で西ヨーロッパをナチスドイツから解放した、欧州連合軍最高司令官の評伝です。
16年間も少佐止まりだった下積み時代、パワハラ上司マッカーサーの下での苦労などを経て、第二次大戦勃発時は中佐だった彼が、たった数年で欧州連合軍最高司令官と元帥に昇進。そんなサクセスストーリーと、戦後に合衆国大統領へ選出されるまでの足跡を概説しました。長い下積み時代に培った専門知識と経験が、有事に大きな力となって花開いた希有な事例です。
11月発売の12月号の担当記事は「韓国軍の歴史」で、大日本帝国による朝鮮併合の時期から現在にいたるまでの韓国軍とその成立前段階の歴史を、組織と精神文化、戦歴等から概説しました。
創設時の韓国軍幹部のほとんどは、日本軍や満洲国軍の元軍人でした。反共思想を含む日本軍の精神文化を継承して創設された韓国軍の、国内と海外での「戦い」の足跡を俯瞰しています。
そして来年1月6日発売予定の23年2月号の担当記事は「フランコ伝」で、20世紀のスペイン史に大きな足跡を残した「独裁者」フランコの人物伝です。
スペイン現代史で最も国際的知名度の高い軍人政治家の足跡を、青年将校時代からスペイン内戦期、さまざまな思惑で中立を維持した第二次大戦期、戦後の独裁政権期へとたどります。ヒトラーやムッソリーニと似た面もありましたが、大きく違う面もあり、それゆえ前二者が滅びた後も、フランコは生き延びたのだろうと思います。
大阪府保険医協会が刊行する「大阪保険医雑誌」2022年8・9月号に、「戦争プロパガンダと歴史修正主義」という原稿を寄稿しました。
戦争プロパガンダと歴史修正主義は、構造的にも目的面でも共通点が多く、それらの手法と影響力を分析することは、あらゆる「政治プロパガンダ」を読み解く上でも役立つと思います。
財界展望社の「ZAITEN」10月号には、9月の安倍国葬に関するメディア報道の「弱腰」あるいは「下僕的態度」を批判する記事を寄せました。権力者が横暴な態度をとれば、最前線でそれに抗うべき政治報道の業界人が、異様なほど弱腰になっていると改めて思いました。戦前戦中のメディアと同じ道。「この先」が危険です。
全日本教職員組合の機関誌「クレスコ」(大月書店)12月号の巻頭エッセイ「私の出会った先生」にも寄稿しました。小5〜6年の担任だったH先生の話。当時先生を通じて買った本『科学的とはどういうことか』(板倉聖宣著、仮説社)は引っ越しの時も手放さず、今も書庫にあります。
前回のブログ更新直後の8月15日には、東京の文化放送ラジオ「大竹まこと ゴールデンラジオ」にリモートで出演しました。
同番組への出演は、2015年に続いて二度目でしたが、新刊『未完の敗戦』(集英社新書)で提起した「なぜこの国は人を粗末に扱うのか」という観点で、現在の日本社会の問題点について、さまざまな事例を挙げながら自分の考えを述べました。
この時の放送は、私の出演部分の音源がYouTubeで公開されています。26分25秒ありますが、興味のある方はぜひお聴きください。
【ゲスト:山崎雅弘】2022年8月15日(月)【大竹まことゴールデンラジオ】
7月14日に共同通信の記者が名張まで来られ、近所の珈琲店で受けたインタビューの記事が、8月15日とその前後に各地の地方紙約20紙に掲載されました。
テーマは、こちらも『未完の敗戦』で指摘した「日本軍の人を粗末にする形での戦争遂行」とその原因(従順さを子どもに植え付ける教育)、現在もなお社会にはびこる「人を大事にせず粗末に扱う精神文化」などについて話しました。
11月8日にZoomで受けたインタビューの内容が、11月21日付の神奈川新聞の記事で取り上げられました。外務省が公式サイトで始めた「我が国の立場と相容れない、又は我が国に関する事実誤認に基づく記述についての情報提供」というページの政治的な意味について、背景にある政治的意図「歴史戦」に言及しつつ所見を述べました。
10月15日には、朝日カルチャーセンター新宿教室主催でオンライン講座を行いました。8月に上梓した『太平洋戦争秘史』(朝日新書)を軸に、アジア太平洋戦争を「周辺国と植民地の視点」から振り返る意味、国際社会で互換性のある歴史認識などについて語りました。
ブルース・リーの映画「ドラゴン危機一髪」、大沢たかお主演「深夜特急」パート1、NHK大河ドラマ「いだてん」などのエピソードも絡めながら、東南アジアの旧植民地や周辺国と太平洋戦争について、今までとは少し違った観点の話をできたのでは、と思います。
11月15日には、衆議院第2議員会館第5会議室で講演を行いました。タイトルは【「安倍後」も続く「戦前回帰」の背景】。
冒頭で、7年前の2015年に『戦前回帰』(初版は学研)を上梓した理由について説明し、その「理由」、つまり1930年代の大日本帝国時代と重なる社会的現象の増加が、安倍氏の退場後も続いている事実を指摘しました。
7月から12月まで、毎月名古屋の栄中日文化センターで行った連続講座「知られざる第二次世界大戦・太平洋戦争 周辺国から読み解く」も、全六回を無事に終了しました。『第二次世界大戦秘史』と『太平洋戦争秘史』で紹介した、大国以外の「周辺国と植民地」の視点で、ヨーロッパの第二次大戦とアジア太平洋戦争を読み直すという内容でしたが、毎回とても鋭い質問が寄せられ、緊張しつつも中身の濃い講座にできたのでは、と思います。
このほか、2008年に個人出版した歴史ボードゲーム「モスクワ攻防戦」の中国語版が、9月末に上海のメーカーから出版され、10月8日に見本が届きました。
莫斯科で「モスクワ」と読みます。グラフィックは私が制作したオリジナル版をほぼ流用し、テキスト部分だけ中国語に変換されました。本作は2020年にアメリカのメーカーからも英語版が出版されたものです。来年も、いくつかの歴史ボードゲームについて、中国語版を出す話が進行しています。
このブログの2022年の記事を読み返すと、今年もいろいろなことがあった一年だったと深い感慨を覚えます。8月に父が永眠するなど、つらい出来事もありましたが、全体としては充実した2022年でした。
今年は新書三冊を上梓しましたが、来年は(現時点で決まっているものとして)、単行本一冊と新書二冊、文庫本一冊を出す予定で、それ以外にもさまざまな活動をしていく所存です。今年一年、応援やご支援を下さった方々に深くお礼を申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。
それでは皆様も、よいお年を!
【おまけ】
びわ湖の西岸から湖を見渡した光景です。来年は、コロナの感染拡大も収まりますように。
まず、1999年から23年間、1回のお休みを除いて毎号寄稿している雑誌「歴史群像」(ワン・パブリッシング)への寄稿から。
9月発売の10月号の担当記事は「アイゼンハワー」で、第二次大戦後半戦で西ヨーロッパをナチスドイツから解放した、欧州連合軍最高司令官の評伝です。
16年間も少佐止まりだった下積み時代、パワハラ上司マッカーサーの下での苦労などを経て、第二次大戦勃発時は中佐だった彼が、たった数年で欧州連合軍最高司令官と元帥に昇進。そんなサクセスストーリーと、戦後に合衆国大統領へ選出されるまでの足跡を概説しました。長い下積み時代に培った専門知識と経験が、有事に大きな力となって花開いた希有な事例です。
11月発売の12月号の担当記事は「韓国軍の歴史」で、大日本帝国による朝鮮併合の時期から現在にいたるまでの韓国軍とその成立前段階の歴史を、組織と精神文化、戦歴等から概説しました。
創設時の韓国軍幹部のほとんどは、日本軍や満洲国軍の元軍人でした。反共思想を含む日本軍の精神文化を継承して創設された韓国軍の、国内と海外での「戦い」の足跡を俯瞰しています。
そして来年1月6日発売予定の23年2月号の担当記事は「フランコ伝」で、20世紀のスペイン史に大きな足跡を残した「独裁者」フランコの人物伝です。
スペイン現代史で最も国際的知名度の高い軍人政治家の足跡を、青年将校時代からスペイン内戦期、さまざまな思惑で中立を維持した第二次大戦期、戦後の独裁政権期へとたどります。ヒトラーやムッソリーニと似た面もありましたが、大きく違う面もあり、それゆえ前二者が滅びた後も、フランコは生き延びたのだろうと思います。
大阪府保険医協会が刊行する「大阪保険医雑誌」2022年8・9月号に、「戦争プロパガンダと歴史修正主義」という原稿を寄稿しました。
戦争プロパガンダと歴史修正主義は、構造的にも目的面でも共通点が多く、それらの手法と影響力を分析することは、あらゆる「政治プロパガンダ」を読み解く上でも役立つと思います。
財界展望社の「ZAITEN」10月号には、9月の安倍国葬に関するメディア報道の「弱腰」あるいは「下僕的態度」を批判する記事を寄せました。権力者が横暴な態度をとれば、最前線でそれに抗うべき政治報道の業界人が、異様なほど弱腰になっていると改めて思いました。戦前戦中のメディアと同じ道。「この先」が危険です。
全日本教職員組合の機関誌「クレスコ」(大月書店)12月号の巻頭エッセイ「私の出会った先生」にも寄稿しました。小5〜6年の担任だったH先生の話。当時先生を通じて買った本『科学的とはどういうことか』(板倉聖宣著、仮説社)は引っ越しの時も手放さず、今も書庫にあります。
前回のブログ更新直後の8月15日には、東京の文化放送ラジオ「大竹まこと ゴールデンラジオ」にリモートで出演しました。
同番組への出演は、2015年に続いて二度目でしたが、新刊『未完の敗戦』(集英社新書)で提起した「なぜこの国は人を粗末に扱うのか」という観点で、現在の日本社会の問題点について、さまざまな事例を挙げながら自分の考えを述べました。
この時の放送は、私の出演部分の音源がYouTubeで公開されています。26分25秒ありますが、興味のある方はぜひお聴きください。
【ゲスト:山崎雅弘】2022年8月15日(月)【大竹まことゴールデンラジオ】
7月14日に共同通信の記者が名張まで来られ、近所の珈琲店で受けたインタビューの記事が、8月15日とその前後に各地の地方紙約20紙に掲載されました。
テーマは、こちらも『未完の敗戦』で指摘した「日本軍の人を粗末にする形での戦争遂行」とその原因(従順さを子どもに植え付ける教育)、現在もなお社会にはびこる「人を大事にせず粗末に扱う精神文化」などについて話しました。
11月8日にZoomで受けたインタビューの内容が、11月21日付の神奈川新聞の記事で取り上げられました。外務省が公式サイトで始めた「我が国の立場と相容れない、又は我が国に関する事実誤認に基づく記述についての情報提供」というページの政治的な意味について、背景にある政治的意図「歴史戦」に言及しつつ所見を述べました。
10月15日には、朝日カルチャーセンター新宿教室主催でオンライン講座を行いました。8月に上梓した『太平洋戦争秘史』(朝日新書)を軸に、アジア太平洋戦争を「周辺国と植民地の視点」から振り返る意味、国際社会で互換性のある歴史認識などについて語りました。
ブルース・リーの映画「ドラゴン危機一髪」、大沢たかお主演「深夜特急」パート1、NHK大河ドラマ「いだてん」などのエピソードも絡めながら、東南アジアの旧植民地や周辺国と太平洋戦争について、今までとは少し違った観点の話をできたのでは、と思います。
11月15日には、衆議院第2議員会館第5会議室で講演を行いました。タイトルは【「安倍後」も続く「戦前回帰」の背景】。
冒頭で、7年前の2015年に『戦前回帰』(初版は学研)を上梓した理由について説明し、その「理由」、つまり1930年代の大日本帝国時代と重なる社会的現象の増加が、安倍氏の退場後も続いている事実を指摘しました。
7月から12月まで、毎月名古屋の栄中日文化センターで行った連続講座「知られざる第二次世界大戦・太平洋戦争 周辺国から読み解く」も、全六回を無事に終了しました。『第二次世界大戦秘史』と『太平洋戦争秘史』で紹介した、大国以外の「周辺国と植民地」の視点で、ヨーロッパの第二次大戦とアジア太平洋戦争を読み直すという内容でしたが、毎回とても鋭い質問が寄せられ、緊張しつつも中身の濃い講座にできたのでは、と思います。
このほか、2008年に個人出版した歴史ボードゲーム「モスクワ攻防戦」の中国語版が、9月末に上海のメーカーから出版され、10月8日に見本が届きました。
莫斯科で「モスクワ」と読みます。グラフィックは私が制作したオリジナル版をほぼ流用し、テキスト部分だけ中国語に変換されました。本作は2020年にアメリカのメーカーからも英語版が出版されたものです。来年も、いくつかの歴史ボードゲームについて、中国語版を出す話が進行しています。
このブログの2022年の記事を読み返すと、今年もいろいろなことがあった一年だったと深い感慨を覚えます。8月に父が永眠するなど、つらい出来事もありましたが、全体としては充実した2022年でした。
今年は新書三冊を上梓しましたが、来年は(現時点で決まっているものとして)、単行本一冊と新書二冊、文庫本一冊を出す予定で、それ以外にもさまざまな活動をしていく所存です。今年一年、応援やご支援を下さった方々に深くお礼を申し上げます。来年もよろしくお願いいたします。
それでは皆様も、よいお年を!
【おまけ】
びわ湖の西岸から湖を見渡した光景です。来年は、コロナの感染拡大も収まりますように。
2022-12-30 03:37
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