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2010年6月22日 [その他(ウォーゲーム関係)]

前回の記事に対して、いろいろな方から、大変興味深いコメントをいただきました。今日は、最近観た映画の話を書こうと思っていたのですが、予定を変更して、少しこの話題で掘り下げてみたいと思います。

まず、同窓会ゲーマーのつぶやきさんのコメントについて。私もシックス・アングルズというゲーム出版物を刊行している「メーカー」の一員なので、耳の痛い部分も多々あるご意見ではありますが、非常に貴重な問題提起だと思いました。とりわけ「メーカーの利益」と「一般ゲーマーの利益」の違いについての考察は、今まであまり注目されていなかった論点ではありますが、このホビーと「ゲーム業界」のあるべき姿を考える上で、避けては通れない問題だと思います。

新作ゲームを買わないゲーマーが、メーカーからどのように扱われるかについてですが、私は「全然意味の無い存在」とは考えていません。シミュレーション・ゲームというホビーに、愛情を注いでおられる方がそこに存在することは、メーカーと関わりのない形で、ゲームが「プレイされる環境」を自発的に維持されているということでもありますから、それだけで「ゲーム業界」にとってはプラスの要素だと思われるからです。

たとえ直接的な利益には結びつかなくても、シミュレーション・ゲームというホビーの魅力を、既に理解している方というのは、言い方は変かもしれませんが、有事の際には独立した環境でゲリラ作戦を展開できる、基礎的な訓練を済ませた「予備役兵」的な存在である気がします。そういった方がおられる限り、シミュレーション・ゲームを出版する「メーカー」が再び滅びても、「ホビー」自体は前回と同様に生き延びられるだろうという気がします。

また、シックス・アングルズ製品を制作するに当たっては、買われた方に繰り返しプレイしていただくことを念頭に置いて、グラフィックやチャート類の整理、ルールブックの構成などを検証していますので、もし過去に買われたゲームの中に、シックス・アングルズ製品が含まれているとしたら、それは発行人として大変嬉しいことです。

コメントで指摘されていますように、ゲームを1個制作するには、膨大な時間と努力を要するもので、それゆえに価格も他の紙製出版物に較べると割高となってしまっています。そういった、いわば「努力の結晶」とも言うべきゲームの価値を徹底的に探求すべく、すり切れるほどに繰り返してプレイされるという、同窓会ゲーマーのつぶやきさんの姿勢は、ある意味においては「ゲーマーの鑑」と呼ぶべきなのかもしれません。

ゴドーさんがコメントで指摘されていますように「コレクションが増える毎に、1コあたりのプレイ時間が減るのは事実」だと、私も思います。これは、ある意味で宿命的とも言える問題なので、どのように解決すればよいのか、私にはまだ答えが見えない状況ですが、幸いにも最近はネットのブログなどでさまざまなゲームのプレイ報告が公開されているので、それで読んで刺激された読者が、押し入れに眠っていたゲームを引っ張り出して、プレイしてみようという気になる可能性はあるかもしれません(そういえば、昔『シミュレイター』誌でそんな特集記事がありましたね)。

もう一つ、現在のゲーマーの姿(考え方、振る舞いなど)が、このホビーについて予備知識のない第三者の目にどう映っているかという視点も、今までの議論では完全に抜け落ちていたかと思います。その視点を抜きにして、内輪にいる人間の視点(あるいは固定観念)だけで「業界の活性化」などと意気込んでも、空回りになる可能性は高いと言わざるを得ないでしょう。

ただ、現実問題として、「メーカーの利益」と「一般ゲーマーの利益」は、必ずしも対立するものではない、という風にも考えています。実際、私自身も「メーカー(発行人)」と「ゲーマー」という、二つの立場が重なり合う位置に立っていると理解していますし、一般ゲーマーの利益を損なう形で、メーカーとしての利益を得ようと思ったことは一度もありません。

この辺りの兼ね合いは、正解がない難問ですし、今後の課題とさせていただこうと思いますが、今回このような形でご意見をいただけたことだけでも、私にとっては「大変価値のある存在」であられると申し上げたいです。今後も、お気づきの点やご意見などありましたら、お聞かせいただければ幸いです。

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続いて、管理職さんのコメントについて。「初心者勧誘に無関心だと『この業界のことを考えないエゴイスト』みたいな目で見られるのはおかしい」とのご意見には、私も同意見です。また「一般ユーザーが奉仕のように業界(メーカー)の面倒を見ないといけないなんていう甘えた風潮は、他の業界には思い当たりません」とのご指摘も、当事者として恥ずかしい気持ちは多少ありますが、的を射ていると思います。

多少の語弊を承知で、敢えて書きますと、この世界ではブーム終焉後に大手メーカーが全面撤退して、国内のメーカーがひとつも無くなったという、いわゆる「冬の時代」を経験した辛い記憶から、やがて春を迎えた頃には一般ユーザーが(新たに出てきた)メーカーに対して過剰とも言えるほど「優しく」なり、いつしか「お布施買い」と呼ばれる、自分の利益よりもメーカーの利益を優先するかのような購買行動をとるゲーマーの姿も、決して珍しくはないという空気が広がってきたようです。

正直、シックス・アングルズ製品も、そういった有志のゲーマーによる「お布施買い」に支えられて、今日まで存続できたという一面があることは、否定できないだろうと思いますし、その点は購買者の皆様に深く感謝しないといけないことだと理解しています。しかし、どんな業界でもそうですが、外部要因によって過保護にされると、企業(メーカー)はどんどんひ弱になり、競争力を失い、最後には「ガラパゴス化」と称されるような、閉じた境遇の中でしか生きられない存在となってしまうことも、悲しいことながら事実である気がします。

当たり前の話ですが、シミュレーション・ゲームの面白さをまだ知らない「入門者」に対して、この業界を支えるために「お布施買い」を強要することなどできませんし、そんな「風習」が存在することを知ったら、せっかく興味を持った人もすぐに離れていく可能性が高いと思われます。紙製シミュレーション・ゲームを楽しむ人の数を増やそうと思うなら、他のホビーとの間で競合して勝てるような「競争力」を身につける必要がありますが、現状ではなかなか、そういった外部世界にアピールできるような「頑強な体力」は、持ち得ていないように見えます。

「一般ユーザーは、業界(メーカー)の利益なんて一旦度外視して、自分が購買した商品の満足度だけで、率直に意見を言う権利があります」というご意見も、まったくおっしゃる通りだと思います。今後も、シックス・アングルズ製品やその出版活動について、お気づきの点や疑問がありましたら、遠慮なくご指摘いただければと思います。

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次は、残り火さんのコメントについて。ブーム末期と現在の状況に、類似点が多々あるとのご指摘は、正直「戦慄」を覚えるほどリアリティがありました(笑)。「ブーム末期の頃にも『シミュレーション・ゲーム入門』という、入門者ターゲットの製品は何個も出てましたが、焼け石に水でした」というのは、確かにそうですね。あの頃も、各社とも必死でゲーマー離れを食い止めようと努力していたようです(『タクテクス』誌に、今で言う「萌えキャラ」の可愛い女の子が登場したり)が、結局は全て徒労に終わりました。あの時、各メーカーは何をやればよかったのかという視点の「歴史研究」は、残念ながら、あまり話題に上ることもないようです。

シミュレーション派対ゲーム派、歴史派対データ派、という「不毛な論争」もなつかしい。と言いたいところですが、実は少し前に、これと似た「論調」をある場所で見かけて、ちょっと失望したところでした。敢えてリンクは貼らずにおきますが、私の尊敬するある方が、次のような意見を、とある場所に書かれていました。

「ゲームは勝つために行うもの。コミュニケーションツールだなどと甘いことを言う人が居るがそれは間違っている」

私はこう思う、とか、私はこういう姿勢でシミュレーション・ゲームというホビーを楽しんでいる、という意見は、どんどん提示すべきだと思うのですが、自分と違う意見や姿勢は「間違っている」と全否定するのは、何かを破壊することはあっても、まったく何も生み出さない「不毛な行動」ではないかと、私は考えています。違う意見、違う姿勢の相手と共存しながら、会話などを通じて、自分が今まで知っていたのとは異なる物の見方や価値観を知り、相手のことをより深く理解しつつ、自分も成長する、という関係性は、違う意見、違う姿勢の相手を「間違っている」と全否定する発想とは対極に位置するものです。

石田さんともよく話すことですが、私がシミュレーション・ゲームというホビーをまだ続けている理由は1つではなく、複数あり、そのうちの1つは、歴史とも軍事とも直接関係しない「友人とのコミュニケーションを楽しむ」ことにあります。貴重な休日を1日費やして、気心の知れた友人とゲームをプレイし、地図上の展開に一喜一憂しながら、途中の会話を楽しむ。両プレイヤーが、全力で合理的な判断を行って「勝利条件」を目指すことが、そのゲームの「価値」を最大限に引き出す仕組みになっている「がゆえに」、そういう意味での「勝利を目指す」努力はしますが、最後に勝利得点を計算してどちらの勝利になったかよりも、その1日を「たっぷり楽しめたかどうか」、充実した休日だったかどうかで、ゲームをプレイした「結果」を判断しています。

おそらく、多くのゲーマーも、ただ1つの理由でシミュレーション・ゲームというホビーを愛しているわけではなく、戦史や軍事への興味や、自分が知力を振り絞って最善策を考え、それを実行するという「チャレンジ」の要素、そして対戦相手との頭脳戦を繰り広げる「勝負事」の要素など、さまざまな魅力を複合的に味わっておられるのではないかと想像します。ただ一つの、自分の考えだけを絶対視し、それ以外の可能性を全否定するという発想は、かつての「不毛な論争」への回帰にもつながりかねないと思いますし、そういった発想には明確に、反対する姿勢を示したいと考えます(私が反対するのは「自分の考えや見方だけが正しい」という、共存を否定する発想だけです)。

ビジネス的観点からの「日本シミュレーション・ゲーム・ブームの興亡」は、私もぜひ読みたいですが、書ける人を探すのは難しいでしょうね。日本では昔から、関係者がみんな鬼籍に入った後でないと、本当のことは誰もわからない、という事例が多いですから(笑)。

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最後に、出戻り2008さんのコメントについて。つい最近、ダニガンの『ウォーゲーム・ハンドブック』(ホビージャパン)を読み返しましたが、ダニガンはこの本で、コンピュータを導入したシミュレーション・ゲームの可能性について、こう書かれていました。

わたしは軍隊の各組織からウォーゲーム利用の演習について質問を受けるたびに、コンピュータを使うことを勧めている。すべてを手作業で行うウォーゲームでは、かなりの労力が──ゲームを専門にやる必要のない非ゲーマーには我慢できないほどの労力が要求されるのだ」(P.120)

コンピュータという道具が一部マニアの高価な玩具ではなくなり、各種データを画像込みで扱える携帯端末まで一般化した今となっては、「ゲームを専門にやる必要のない非ゲーマーには我慢できないほどの労力が要求される」紙製のシミュレーション・ゲームに対する一般人の認識は、我々がこれを始めた頃とは全く異なっているだろうと想像します。前にも書きましたが、もし私が今中学生だったなら、この紙製シミュレーション・ゲームというホビーに足を踏み入れていた可能性は、きわめて低いと思います。

それでは、今このホビーを続けている我々が、なぜ「ゲームを専門にやる必要のない非ゲーマーには我慢できないほどの労力」を、我慢できているかと考えれば、その途方もない努力の果てにある、紙製シミュレーション・ゲームでしか味わえない「何か」の価値を知っているからだと思います。

「この岩石だらけで足場の悪い藪を、虫に刺されながら10キロほど歩いていったら、この世の物とは思えないほどの素晴らしい絶景を堪能できる場所がある」という場合、過去にそこへ行った経験のある人なら「もう一度見たい」と足を踏み入れるかもしれませんが、行ったことのない人なら「そんな大変な思いをするくらいだったら、最近できた、車で行ける展望台で我慢するよ、あそこでも結構きれいな景色は味わえるから」と思うでしょう。いくら必死に「絶景だよ、素晴らしいよ」と説得しても、テレビや雑誌などで紹介された有名な観光スポットでもなければ、悪路を往復20キロ歩こうと考える人はまずいないと考えるのが自然です。

でも、こういう現状というのは、別に悲観する必要もないと、私は思います。今の若者が、今の時代に合ったホビーで、我々が過去に味わったのと同じような興奮を楽しんでいるのなら、それを肯定して受け入れるしかないでしょう。あの時代(1980年代)に生きた我々は、あの時代に生まれた紙製シミュレーション・ゲームというホビーを深く楽しみ、その魅力や価値を時間をかけて少しずつ知ったわけですが、物事の変化のスピードがあの時代とは比べものにならないほど速い現代に、あれと同じことをやれるかと聞かれたら、私は「たぶん無理」と答えると思います。

じゃあ、自分に何ができるかと言えば、紙製シミュレーション・ゲームでしか味わえない「何か」の正体を探求し、たとえ完全な解明は不可能だとしても、少しでも本質に迫る努力を続けることだと思います。こうした価値観に、共感して下さる方がおられるというのは、大変心強いことですし、今後も「お互いに」ゲームの価値をより深く味わっていけたら、と思います。

さまざまなご意見、ありがとうございました。私にとっても、今回取り上げた問題を考えるよい機会となりました。今後とも、よろしくお願いいたします。
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2010年6月18日 [その他(ウォーゲーム関係)]

先日の「第6の視角 DTPウォーゲームの将来」「知られざるSPI社の内幕 レドモンド・サイモンセン氏インタビュー」に続いて、シックス・アングルズの過去記事復刻配布シリーズとして、今回は創刊号の巻頭に掲載しました「シックス・アングルズ 創刊の言葉」の文面を、PDF形式にて無料配布します。

http://www011.upp.so-net.ne.jp/mas-yamazaki/6Aforeword.pdf

シックス・アングルズの創刊号は、1994年の発行で、確か500部印刷して販売したところ、あっという間に完売した記憶があります(従って、この「所信表明演説」を今回初めて読まれる方も多いかと思います)。当時はコンピュータを使ったDTPではなく、ワープロでプリントアウトした文字を台紙(版下)に貼って制作していたので、デジタルデータは最初から存在せず、改めて文字を打ち直してPDFを作成しました。

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これを書いた当時と今とでは、ゲーマー間のコミュニケーションという問題について、隔世の感と表現してもよいほどの違いがあり、特に個々のゲーマーが写真入りのブログという「媒体」を手軽に作成・公開できるようになったことは、当時は想像もつかなかった重大な変化だったと思います。これにより、海外の新作ゲームの詳しい内容や、個々のゲームをプレイした感想などの情報が、ゲーム雑誌を買わなくても豊富に手に入るようになりました。ただ、シックス・アングルズという出版物が目指す、基本的な方針や問題意識などは、これを書いた16年前も今も、ほとんど変わっていません。

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創刊号の誌面を、今あらためて読み返すと、文章の構成や組版の仕上げなど、技術的には(未熟さが目に付いて)恥ずかしいと感じる点も多々あります。しかし、これを瀬戸利春さんらの仲間と一緒に作っていた時には、まさか16年後も「シックス・アングルズ」という出版物が続いているなどとは、まったく考えていなかったはずです。さまざまな紆余曲折を経ながらも、一定の購読者の方々に恵まれて、なんとか続けることができています。今後も、自分のできる範囲で、このホビーが持つ可能性や価値を高める努力を続けていきたいと思います。

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2010年6月4日 [その他(ウォーゲーム関係)]

つい最近、新しいゲームを2個購入しました。今日は、そのゲームの話題です。

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1つめは、ゲームジャーナル誌第35号『激闘! グデーリアン装甲軍』。ご存知の方も多いかと思いますが、米国MMP社の『A Victory Denied』の日本版であるこのゲームは、かつて同誌第4号附録として出版された『激闘! マンシュタイン軍集団』と、ほぼ同一のシステムを使用しています。米国MMP社から出版された後者の英語版『A Victory Lost』は、チャールズ・S・ロバーツ賞三部門受章をはじめ、数々のゲーム賞を獲得した傑作です。

ちなみに『激闘! グデーリアン装甲軍』のデザイナーは、元システムの『激闘! マンシュタイン軍集団』を作られたGJの中村さんではなく、MMP社のアダム・スタークウェザー氏です。この人とは、シックス・アングルズ第9号附録『ウォー・フォー・ザ・マザーランド』の英語版『Red Star Rising』を制作する際、何度もメールのやりとりをしましたが、非常に誠実かつ実務能力の高い人物で、私はかなり好感を持っています。

私が今回『激闘! グデーリアン装甲軍』を購入したのは、現在製作中のゲーム『ベアズ・クロウ』の「スモレンスク」と、ゲーム化している時期と地域が一部重なっている上、手順にチットを使うというシステムも似ているので、先行他社製品を少し研究してみようと思ったからでした。そして、実際に手に入れてみると、本誌の記事が非常に充実していて、ゲーム本体をプレイする前に、いろいろと有益な刺激や情報を得ることができました。

附録ゲームの突っ込んだリプレイ記事と、プレイヤーズ・ノート、デザイナーズ・ノート、日本版での修正点とその理由などの解説に加えて、YSGAの山内さんによる「グデーリアン装甲集団テーマ」のゲーム6点についての要点を突いた評論や、堀場さんらベテランゲーマーによる座談会形式での各ゲームの長所・短所の指摘などは、新作として「スモレンスク会戦」のゲームを制作途中のデザイナーにとっては、たいへんありがたい、示唆に富んだ記事でした。

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もう1つは、GMT社の『Stalin's War』。あのテッド・レイサー氏が、独ソ戦のキャンペーンをどのように捉え、補給や戦略目標、戦争中の両軍の質の変化といった問題をどういうシステムで表現しようとしているのかに、興味を惹かれました。まだルールをざっと一読しただけですが、レイサー氏いわく「実際の独ソ戦より長い時間をかけて」デザインしたとのことで、あちこちに「なるほど」と思える処理が施されているようです。

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例えば、ドイツ軍(枢軸軍)の兵站限界を、最初から地図上に明記してあり、そこから先(コーカサス地方など)に進むと、補給上のペナルティが生じる形となっています。また、保持している油田の数によって、手持ちカードの上限が変動したり、ユニットが「大規模部隊(ドイツ軍の軍、ソ連軍の方面軍)」と「小規模部隊(ドイツ軍の軍団、ソ連軍の軍)」に分かれていて(ユニットそのものの大きさも違う)、戦力値が同じ「3」であっても、ファイアパワーで戦闘を解決する時の効果(敵に損害を与える形式)が違うなど、実際のプレイではどんな効果が得られるのか、好奇心をかき立てられます。

ざっくりとした形で全体を定義し、細かな変動要素はカードでカバーするという手法のようですが、一度誰かが対戦しているところを(ルールブック片手に)観戦してみたいと思いました。

ちなみに、今月末に予定している2010年第1回の「隠(なばり)ゲームクラブ」のお題は、GMT社の『Barbarossa: Army Group Center』の「スモレンスク」シナリオです。年初の計画では、今年は(シックス・アングルズ製品以外の)ゲームプレイに力を入れる年にするはずでしたが、4月から地元の住宅地の自治会長と、その広域組織の書記、そして関連の一般社団法人の理事などを1年間務めることになってしまい、一か月に8日ほどの貴重な土日(石田さん、KMTさんの都合に合わせる必要がある)の半分が、それらの会合で埋まってしまうので、ゲームプレイ集中計画はあっけなく崩壊(というか来年に延期)してしまいました。

年内に可能かどうかは不明ですが、『ベアズ・クロウ』の「スモレンスク」を完成させる前に、この『激闘! グデーリアン装甲軍』を実際にプレイして、個々のルールの効果を自分で確かめたいと思っています。
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2010年5月3日 [その他(ウォーゲーム関係)]

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今週は、シックス・アングルズ別冊第7号『ウエストウォール』の制作を進めています。上と下の画像は、制作中の「アルンヘム」の地図見本です。荒地の地形が少し弱くて判別しにくいので、多少手を加えます。

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ところで、数日前にアメリカから封筒が届き、開封してebayで落札したゲーム付き雑誌2冊を取り出してみたところ、「あれっ!?」と思うことがありましたので、少し書いてみます。本ブログの読者の中には「そんなの、前から知ってたよ」という方もおられるかとは思いますが…。

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まず、上の写真は、2つのゲームの駒シートです。今回、安く落札できたのは、SPIの「ヴィクトリー・イン・ザ・ウエスト」シリーズの2作『オペレーション・グレネード』と『パットン第3軍』。どちらも、過去にホビージャパン版を何度かプレイした経験がありますが、前者は最初から所有しておらず(瀬戸さんの持っていたのをプレイした)、後者はだいぶ前にオークションで手放してしまっており、また手に入れてプレイしたいと思っていたところでした。しかし、ジップロックの袋から出してみると、同じシリーズゲームですが、駒シートの大きさが違います。右側は、見慣れた「200個のシート」ですが、左側のは…。SPIのゲームで、こんなフォーマットの駒シートあったっけ?

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オペレーション・グレネード』の駒シート。よく見ると、左に7個、右に8個の計15個で1列となっており、縦方向の配列も、見慣れたものとは違います(基本は2列ごとに組ですが、中央は1列だけ)。私は過去に、たくさんのSPIゲームを見てきたつもりで、基本は200個のシート、それを半分に裁断した100個のシート、200個が2つ連結した400個(ブックケースのボックスだと真中に折り目が入っていますが、フラットトレイタイプだと折り目なし)のシートもよく見かけましたが、こんな変則的なシートは初めて見ました。

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シートの上を見ると「255個」という文字が。先日のゲーム・グラフィック私塾で作った、A4サイズのテンプレートと同じです。あれを作った時には、『オペレーション・グレネード』の駒シートが255個だとはまったく知りませんでした(ホビージャパンから出た日本版は、200個+100個の300個でした)。確かに、これだと8.5インチx11インチ(日本のA4サイズに近いですが、微妙に違う)のスペースを最大限に活用できます。うーむ、SPIの人も、なかなかやるなぁ。

という、ただそれだけの話です(期待外れに思われた方、申し訳ありません)。ちなみに「また手に入れてプレイしたい」と思い始めたきっかけは、文庫本『詳解 西部戦線全史』の執筆に際して、いろいろと文献を読んだことでした。このシステム(『オペレーション・タイフーン』もほぼ同じ)は、応用もしやすい(大昔に『ホワイト・ファング』という同人誌で、同システムを流用した「マレト・ライン」(北アフリカ終盤の戦い)のゲームが付いていたのを思い出します)ので、オリジナル・ゲームのデザインに興味がある人にもお薦めです。

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この255個の駒シートを使ったSPIのゲームって、他にも何かあるんでしょうか。単なるトリヴィア的興味ですが、もしご存知の方がおられましたら、教えていただけると幸いです。
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2010年3月10日 [その他(ウォーゲーム関係)]

昨日、フランスから一通の封筒が届き、開けてみると、先日定期購読を申し込んだゲーム雑誌『Battles』と、定期購読特典のゲーム『クンルン峠の戦い(Storm over Kunlun Pass)』が入っていました。文庫本『ポーランド電撃戦』の初校戻しも今日の昼間に無事に終わったので、今日はこの雑誌について、少し書いてみます。

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パッと見の印象は、以前の記事でもご紹介しましたアメリカのゲーム雑誌『Against the Odds(ATO)』と似た感じですが、こちらはフランス人のオリヴァー・レヴェヌ氏が主宰する、ヨーロッパのシミュレーション・ゲーム雑誌です。ページの隅々から、作り手の「シミュレーション・ゲームに対する愛情」と「楽しんで雑誌を作っている空気」が伝わってくる、なかなか興味深い内容でした。

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フルカラーで132ページの本誌は、ありがたいことに全文英語で、しかも『Vae Victis』とは違ってミニチュアゲームのページはなく(アクチャルゲームが好きな方には残念かもしれません)、最初から最後までボードのシミュレーションゲーム記事が満載です。プレイ中のマップとユニットを写した鮮明なカラー写真も多く、見ているだけで楽しくなる誌面です。

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特に、1ページ全部を使っての「プレイ中のマップ上」を鮮明に収めた大判写真がふんだんに入っているのは、非常に新鮮な印象を受けます。まるで、どこかの例会で他の卓をのぞいて回っている時のような、独特の臨場感みたいなものを感じます。

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第3号の付録ゲーム『地獄での一週間(A Week in Hell)』。キューブリックの映画『フルメタル・ジャケット』の後半でも描かれた、ベトナム戦争における1968年の「フエの戦い」がテーマで、ハーフサイズのエリアマップには、フォーン川(パフューム川)を挟んだフエ旧市街と新市街が描かれていて、まるで航空写真のような仕上がりです。ユニットは、ベトナム軍のユニットよりもアメリカ軍の方が大きいサイズになっています。

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定期購読特典のゲーム『クンルン峠の戦い』は、日中戦争がテーマで、1939年末に中国最南端(仏印との国境近く)の南寧近郊で発生した戦いを描いています。デザイナーは、以前の記事でご紹介した『台児荘の戦い』と同じテレンス・コー氏。システムも同じ「アルンヘム強襲」系列です。

この特典ゲームは、定期購読を申し込んだ先着1000人限定だそうで、興味のある方は以下のリンク先から確認してください。

http://www.battlesmagazine.com/
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2010年3月1日 [その他(ウォーゲーム関係)]

昨日は午後から大和八木にて、横浜から三重北部に出張で来られているMさんをお迎えして、石田さんとの3人で呑み会でした。Mさんは、私や石田さんよりもゲーム歴が長い方で「日本のシミュレーション・ゲーム界の歴史」にもお詳しく、新旧のゲーム談義や映画の話などで盛り上がりました。M様、楽しいひとときをありがとうございました。

夕方にMさんをお見送りした後、石田さんといつもの鶏居酒屋に行き、三次会では行きつけの珈琲店に入って、そこで『戰棋』の第2付録ゲーム「八百壯士」をプレイしてみました。ここは、呑み会の締めの時間帯にいくと、わりと広い店内に他のお客さんが一人もいないことが多く、しかも店主のご夫婦がとても印象のいい方なので、居心地が良くてついつい長居してしまいます。

ルールの明確化が多少不足しているような箇所がいくつかありましたが、妥当と思われる解釈で最終ターンまでプレイしました。結果は、石田日本軍の勝利で、予想以上におもしろいゲームでした。国民党軍は、ユニット数が少なくて苦労する反面、手榴弾(仕掛け爆弾なども含む?)で同エリアの日本軍に損害を与えたり、四行倉庫に青天白日の国旗を掲げて士気を鼓舞し、自軍ユニットの行動ポイントを1ずつ回復させたり、といったルールが、適度なスパイスとして効いています。結局、倉庫に突入されて負けはしたものの、川の対岸にある租界から見ている欧米人に「奮闘の姿」をアピールできたのではないか、と思います。

周囲に他のお客さんがいる場合(およびお店の方へ)の配慮として、サイコロが「カラカラン!」と大きな音を立てないような工夫(我々はルール和訳の紙の上で振っていました)をすれば、喫茶店でも最後まで(慣れれば1時間ちょっとくらい?)白熱してプレイできる、コンパクトな好ゲームだと思いました(勝敗のバランスは未検証ですが)。

考えてみると、この「喫茶エリート」での「八百壯士」対戦が、私にとって2010年の「ゲーム始め」でした。ふつうの珈琲店で、この手のゲームをプレイしたのも、生まれて初めての経験です(笑)。

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2010年2月23日 [その他(ウォーゲーム関係)]

学研M文庫の最新作『ポーランド電撃戦』(これが最終のタイトルだそうです)は、4月中旬に発売予定となりました。

ご存知の方も多いかと思いますが、ドイツ軍のいわゆる「電撃戦(ブリッツクリーク)」は、ポーランド戦の段階ではまだ未完成で、いわば実験段階にあり、ドイツ軍の攻勢そのものは古典的な両翼包囲による敵軍隊の殲滅作戦だったわけですが、それでもドイツ軍の航空戦力によるポーランド軍後方への打撃や、それに起因する指揮系統や通信、動員の段階的麻痺、シュトゥーカの戦術支援、グデーリアンの第19軍団による敵後背地への突進など、後に「電撃戦」の根幹となる要素はポーランド戦でもその萌芽が見られるということで、読者への訴求力などを総合的に判断された上で、このタイトルになりました。

もちろん、本文では、宣伝によって創られたイメージと実情との違いや、ポーランド戦におけるドイツ軍戦車部隊の苦戦などについても、きちんと説明しています。



この週末は少し休んで気力と体力を回復した後、月曜からは同文庫に収録する地図や表、付録などの制作に取り掛かっています。地図は全部で30点(30ページ)、表は3ページで全6点、あと戦闘序列やポーランド軍戦車/航空機解説などの付録が10ページ入る予定です。

仕事の区切りがひとつ付いたということで、週末は地図制作の段取りを考えつつ、今月買ってそのまま保管していた本や雑誌、ゲームをいろいろと眺めたりして過ごしました。買ったゲームはこの2つ。

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一つ目は、昨年(2009年)にポーランドのTaktyka i Strategia社から出版された『ポルスカ(ポーランド)1939』。タイトルの通り、1939年のポーランド戦全体を再現する、エリア方式の作戦級ゲームです。フルサイズ1枚より少し面積が広いくらいの、変則的なマップには、1939年のポーランド全域が描かれていて、エリアは一般的な同システムのゲームよりもかなり小さいです(1/2サイズのユニットがなんとか置けるくらい)。

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激戦地となったイウジャ(イルザ)周辺のようす。

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東プロイセンとダンツィヒ、そしてポーランド回廊。

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ユニットは、厚紙打ち抜きのシートが3枚と、型抜きのないマーカーのボール紙が6枚入っています。ドイツ軍もポーランド軍もソ連軍も、基本的には師団規模で、リーダーや旅団などのユニットもあります。ルールは5ページちょっとでシステムそのものはさほど複雑ではないような印象(ポーランド語なので推測)ですが、各ユニットの戦力数値は、1戦力単位で低下し、ロスターシートで記録していく形式なので、手間はかかりそうです。シナリオは、9月1日と9月9日の2本で、9月9日シナリオはポーランド軍がこの戦争で行った最大の反撃(ブズラ川の戦い)からゲームが始まります。

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ポーランド軍のリーダーは、本人の写真入り。



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もう一つは、もう既にお持ちの方も多いかと思いますが、台湾のゲーム雑誌「戰棋」。本誌が分厚い!(112ページもある)

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四行倉庫の戦いがゲームになるなんて、予想もしていませんでした。ちなみに、四行倉庫の戦いについては『歴史群像』第89号の拙稿「蒋介石伝」に、金門島上陸作戦については『歴史群像』第71号(『歴史群像アーカイブ アジア紛争史』にも収録)の拙稿「中国・台湾紛争史」で、簡単に解説していますので、よろしければご覧ください。

以前の記事でご紹介した、フランス製のフランス戦(1940年)ゲームもそうですが、テーマとなっている国で作られた「ご当地ゲーム」というのは、ついつい気になって、内容をよく確かめもせずに買ってしまいます(笑)。まぁ、これもこのホビーの楽しみのひとつということで。
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2010年2月10日 [その他(ウォーゲーム関係)]

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今日は、シックス・アングルズに関連した告知です。2010年3月1日から、シックス・アングルズ製品のバックナンバーの一部を、値下げ販売することにしました。

私が個人事業として進めておりますシックス・アングルズの出版は、2010年現在で、本誌は第13号、別冊は第6号まで刊行しましたが、バックナンバーのいくつかは、ここしばらく在庫の動き(つまり出荷)がほぼ停止した状態にあります。しかし、その一部は長らく私の自宅の書庫を占有しており、執筆に使う参考文献の増加に伴い、その状況を多少なりとも解消する必要が生じてきました。以前の記事でも書きましたように、書庫の文献が整理されていない状態を放置することは、執筆に支障を来たす上、必要な時に関連文献を活用できなければ、その文献の購入費用が無駄になってしまうからです。

そこで、2004年に刊行しました第9号(ウォー・フォー・ザ・マザーランド)と、2005年に刊行しました第10号(パウルス第6軍)、そして2006年に刊行しました別冊第4号(砂漠のキツネ)の3点を、半額にて販売することにしました。なお、第11号(モスクワ攻防戦)以降については、在庫の動きもまだ流動的で、在庫数も(印刷部数の調整により)それほど多くはありませんので、当面は価格の値引きは考えておりません。

  第10号: 本体2900円(税込み3045円)
  別冊第4号: 本体2900円(税込み3045円)
  第9号: 本体3400円(税込み3570円)

この半額への値下げは、私のところでの直接販売だけでなく、一般の小売店様で販売していただいている商品にも同様に適用されます。既に、各小売店様からはご了承をいただいており、2010年3月1日以降は上記の3アイテムの価格は全国一律で半額となります。

ちなみに、今日現在での上記3アイテムの残り在庫数は、以下の通りです。いずれのアイテムも、完売後に増刷する予定はまったくありません。

   第9号(ウォー・フォー・ザ・マザーランド) 残り380冊
     (発行1300冊中、920冊販売済)
   第10号(パウルス第6軍) 残り140冊
     (発行1000冊中、860冊販売済)
   別冊第4号(砂漠のキツネ) 残り198冊
     (発行800冊中、602冊販売済)

今回の割引販売に当たり、ひとつ心配だったのは、発売当時にプレオーダーまたは定価販売でご購入いただいた方に、不快な思いをさせてしまうのではないか、ということでした。改めて述べるまでもなく、私が現在シックス・アングルズの事業を継続できているのは、ひとえに私の商品の価値を認めて下さり、変わらず買い支えて下さった多数のお客様からのご支援のおかげです。ただ、先に述べましたとおり、販売当時の価格では残り在庫を売り切ることはきわめて難しく、また書庫の占有による執筆業務への支障など、どうしても他の方法では解決できない問題が生じておりますので、大変恐縮ですが、どうか悪しからず、ご了承いただければ幸いです。

第9号と第10号は、ゲームの出来にも自分なりに満足していますし、また第9号にはタクテクス初代編集長の斉藤純氏、第10号には鈴木銀一郎氏のインタビュー記事なども掲載されており、本誌の内容は今でも充分に通用する仕上がりではないかと思っています。他社メーカーとの比較において、価格設定が理由でご購入を見送ってこられた方も、この機会にぜひご検討いただきますよう、お薦めいたします。

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2010年1月28日 [その他(ウォーゲーム関係)]

前回の更新から一週間経ってしまいました。先週末に「ウィルス性の急性副鼻腔炎」というのに罹り、熱を出してしばらく休んでいたのですが、ここ数日はだいぶ体調も回復したので、今は業務を再開して、文庫本『ポーランド1939』の執筆に取り組んでいます。

静養していた間に、ベッドでいろいろと考えを巡らせるうち、企画中のゲーム『フランス1940(仮)』のシステムに関して、ひとつブレイクスルーがありました。このテーマで最大の難題とも言える「アルデンヌ問題」、つまり史実では完全な奇襲効果を生むことになったものの、ゲームではフランス軍プレイヤーが最初から「アルデンヌの可能性」を熟知しているという問題を、どのように解決するかについて、なかなか良いアイデアが浮かばなかったのですが、「鈴木銀一郎イズム」のアプローチで、ひとつゲーム化する方法を思いつきました。基本システムは、『ベアズ・クロウ』と同じく『モスクワ攻防戦』のバリエーションとしてデザインする予定ですが、もちろんいくつかの重要な変更を適用します。これについては、後日あらためて記事の方でご紹介するつもりです。

ところで、もう既にご覧になった方も多いかと思いますが、田村さんが主宰されているサイト「XoD」で、非常に興味深い記事が公開されています。

A Brief History of Non-PC Wargaming in Japan: 1972-2008

内容は、日本における、ウォーゲーム(紙製シミュレーション・ゲーム)の歴史をまとめた概説史で、模型雑誌『ホビージャパン』に掲載された「アバロンヒル・ゲーム」の広告に、懐かしさを覚えられた方も多いかと思います(紹介されている広告の画像をクリックすると大きくなります)。

私が最初にウォーゲームの存在を知ったのは『ホットドッグ・プレス』という雑誌で、当時はプラモデルも作っていたものの、こづかいの資金的制約から『ホビージャパン』誌は購読していませんでした。しかし、何かのきっかけで同誌を見て「アバロンヒル・ゲーム」の広告を知り、これがあの(『ホットドッグ・プレス』で紹介されていた)ゲームかということで、友人二人と穴が開くほど広告文を読み返して、最初のゲームである『スコード・リーダー(戦闘指揮官)』を購入しました。買ったお店は、はっきりとは覚えていないのですが、梅田のキディランドか、心斎橋の大丸百貨店のどちらかだったと思います。

当時は「ウォーゲーム」でも「シミュレーション・ゲーム」でもなく、社名を冠した「アバロンヒルゲーム」という呼称が用いられていましたが、映画『ナバロンの要塞』を連想させる独特の「語感」も、日本でこのホビーが広まるに際して、多少はプラスに働いたのではないか… などと思うのは、私だけでしょうか。

上記のコンテンツではこのほか、日本に「伝来」した当時、ウォーゲームが日本社会でどのように捉えられていたか(具体的には『朝日新聞』がどう紹介したか)や、エポック『朝鮮戦争』販売中止の背景(「全容は今なお不明」とありますが、判明している範囲でも、けっこう複雑な事情があったのだと今回初めて知りました)、そして衰退と再生までが述べられており、日本におけるこのホビー全体の「簡潔な歴史(A Brief History)」を把握するには最適の記事だと思いました。

この記事の目的は、国際交流を前提とした「日本サイドからの情報発信」かと想像しますが、日本の現役ゲーマーあるいはこのホビーの歴史に軽く関心を抱いた「非ゲーマー」にとっても有益な情報を多く含んでいると思いますので、できれば日本語版もぜひ公開していただきたいと感じました。

追記: 「ウォーゲーム支那語辞典」もなかなか興味深いです。中文ゲームを買った時には参考にさせていただきます。
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2010年1月16日 [その他(ウォーゲーム関係)]

今月は、仕事のスケジュールがかなりタイトなので、ブログの更新が滞りがちになっていますが、執筆の方は着実に進展しています。『歴史群像』次号の「終戦1年前のチェックメイト」と、ムック『太平洋戦争』第6巻の「大東亜共栄圏の実状」は既に完了し、現在は学研M文庫『ポーランド1939』の仕上げに全力で取り組んでいます。それぞれの原稿に興味のある方は、ぜひご期待ください。

最近は、事情があって新作ゲームの購入を控えていたのですが、遂に我慢できなくなって、気分転換も兼ねて2つほど買ってみました。「事情」というのは、執筆の仕事が忙しくてプレイする時間を取れないのに加えて、昨年末のベルリン=ワルシャワ旅行の旅費を貯めるために、執筆の仕事と直接関係のない出費を緊縮していたという事情によるものですが、旅先のワルシャワで予想外のゲームを1個買ったほかは、ネットで他の方のブログを見たりするだけに留めていました。

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今回買ったのは、ほぼ1年前の記事でご紹介したGMT社の『ザ・コーカサス・キャンペーン』と、フランスのVae Victis誌とドイツのUGG社のコラボ企画『ブリッツクリーク1940』の2つでした。前者は、既に各地のブログで紹介されているので、あまり説明の必要もないかもしれませんが、ユニットが5/8サイズで数も少なく、『ウクライナ43』や『ザ・キャンペーン・フォー・スターリングラード』などに比べると、はるかにプレイし易そうです。

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もう1つの『ブリッツクリーク1940』は、フランスのゲーム雑誌『Vae Victis(敗者の悲哀)』第63号付録として2005年に出版された同名の戦術級ゲームを、ドイツのウド・グレーベ・ゲームデザインが同社のゲーム雑誌『コマンド&ストラテジー(C&S)』の第7号特別版として、英文の箱入り仕様で昨年(2009年)に発売したものです。折込式の薄いボックスには、同ゲームと「本誌」(記事内容はVV誌第63号とは異なります)、A4両面のチャート2枚、そして同誌が毎号付録としてパーツをつけている『パール・ハーバー』という太平洋戦争ゲームのコマシート5番などが入っています。

テーマとなっているのは、1940年5月のフランス戦における、アヌー(5月13日)とストンヌ(5月15日)の戦車戦で、ドイツ軍はもちろんフランス軍の戦車ユニットもいろいろ登場します。ハーフサイズの地図1枚に、両ゲームのマップが収録されているので、実質的にはクォーターサイズの小型ゲームです。

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1ユニットは中隊ないし司令部、1ヘクスは500メートル、1ターンは1時間というスケールで、歩兵は1ヘクス、戦車や機関銃は2ヘクス、大口径砲やそれを装備した戦車は3ヘクスの射程を持ちます。VV版では、ユニットは打ち抜きでない厚紙に印刷されていて、表裏を貼って自作する必要がありましたが、UGG版では厚紙打ち抜きのユニットになっています。

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VV版とUGG版の地図を比べてみたところ。配色が穏やかなのは右のVV版ですが、実際のプレイにおける機能面ではUGG版の方が優れているようです。

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ストンヌ周辺の描き方。上がVV版、下がUGG版。

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雑誌の表紙。左がVV誌、右がC&S誌。仕事が全て片付くまでは、ユニット切りもお預けです。
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